「3不社会」韓国の「3放世代」

経済界 / 2015年12月5日 15時0分



 周知のように、OECD(経済協力開発機構)中、韓国の自殺率が1番高い。2003年から2013年まで11年連続である。韓国の自殺率は10万人当たり29.1人で、2番目はハンガリー(19.4人)、3番目が日本(18.7人)と続く。特に、韓国では、若者の自殺率が高い。死因の第1位が自殺である。

 韓国の20代・30代へのアンケート(就職ポータルサイト・ジョブコリア。複数回答)結果を見ると、同国の過酷な実態が分かる。彼らは人生で“何かを諦める”必要があるというのだ。
 多くの若者は、①恋愛、②結婚、③出産を諦める。そのため、彼らは「3放世代」と呼ばれる。この3つに加えて、マイホームと人間関係(構築)を諦める「5放世代」、さらに夢と希望を諦める「7放世代」とも言われる。
 男性が諦めるのは、順に①結婚、②夢、③マイホーム、④出産、⑤恋愛である。他方、女性が諦めるのは、①出産、②結婚、③マイホーム、④夢、⑤希望の職業である。
 また、85.9%若者が、以上のいずれかを諦めなければならないと答えている。反対に、諦めないと答えた若者は、14.1%にすぎない。

 今、「働けば働くほど貧しくなる」と考えている韓国人がいる。また、「1日16時間働いても豊かになれない」と嘆く韓国人もいる。多くの韓国人は、労働意欲を喪失しているふしがある。

 IMD(スイス国際経営開発研究所)の調査によれば、韓国人の労働意欲は他のアジア諸国・地域と比べ著しく低い。61カ国中、韓国人は54位である。この順位は、52位のイタリア人、53位のロシア人の下に位置する。
 香港人は7位、台湾人は9位、日本人は11位、シンガポール人は21位、大陸の中国人は25位だった(ちなみに、1位がスイス人、2位がデンマーク人、3位がノルウェー人である)。
 韓国は日本をはるかに凌駕する「学歴社会」である。特に、大学受験は国を挙げてのメインイベントとなっている。また、大学での成績が良くないと、まず大企業には入れない。したがって、日本の大学生とは違って、韓国の大学生はほとんど遊ぶ暇はない。

 一般に、多くの韓国人は「寄らば大樹の陰」で“大企業依存症”である。起業する人は多くない(この点台湾人と真逆である。多くの台湾人は起業して「老板」〈=社長〉になるのが夢である)。
 そのため、韓国を代表する10大財閥(韓国GDPの約75%を占める)に勤めれば、“成功者”と見なされるだろう。ただし、従業員300人以上の大企業は、非正規雇用者が176万人おり全体の38.3%にも達する。非正規従業員が正規従業員に“昇格”する可能性は低い。

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