「覆面デモ禁止」に抗議 朴大統領、ISと同一視で
【ソウル米村耕一】韓国で、デモや集会での仮面や覆面の着用を規制することの是非を巡る論争が起きている。発端は先月にソウルで覆面をしたデモ参加者と警官隊が衝突したことだが、朴槿恵(パク・クネ)大統領が「覆面デモ」の禁止を訴え、論争が過熱した。国会では与党セヌリ党が覆面着用を禁止する法改正の構えを見せ、最大野党・新政治民主連合が集会の自由などの観点から反発している。
聯合ニュースなどによると、ソウル中心部で11月14日に行われた政府の労働市場改革や歴史教科書の国定化に反対するデモで、覆面をした一部のデモ参加者が警官隊と衝突、数十人が負傷した。これを受けて朴大統領が同月24日、閣議で「覆面デモはできないようにすべきだ。(過激派組織の)イスラム国(IS)もそういったことをしている」と自国のデモ隊をISになぞらえ、野党支持層を中心に反発が広がった。
このため、今月5日にソウル中心部で行われた労働組合主導のデモでは、参加者の大半が仮面をつけて「覆面禁止」への反対の意思表示をした。聯合ニュースによると、警察の推計で約1万4000人、主催者発表で約4万人が参加した。
ただ、覆面着用を禁じる法改正について、韓国ギャラップ社が1〜3日に行った世論調査では賛成が60%、反対が32%だった。国民の間では、覆面着用者による暴力的なデモへの批判も根強い。