日米など6カ国・地域は3日まで札幌で開催した国際会議で、太平洋の一部でクロマグロが急減した場合に漁獲規制ルールを導入することで基本合意した。太平洋ではクロマグロの資源量が10年で半減しており、参加国が危機感を強めていることが背景だ。都内では3日、北太平洋でのサンマに関する国際会議が開かれ、資源管理に向けた議論が始まった。
高級すしネタにも使われるクロマグロを含むマグロ類の資源は、全世界の海域を5つに分けて国際管理している。今回協議の場となったのは「中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)」の小委員会だ。
日本政府はこの会合で、生後1年未満のクロマグロが大幅に減少した場合に備えて漁獲規制を設ける措置を提案し、他の参加国・地域から賛同を得た。今回の会合には一部の国が参加しておらず、12月に正式決定する予定だ。具体的な発動の条件などを検討したうえで、2016年に正式に策定する。
太平洋のクロマグロ資源量は大きく減少している。水産庁によると、太平洋での親魚の資源量は12年に約2万6千トンで、10年間で半減した。日本は全世界の8割を消費するだけに適正な資源管理で主導権を握りたい考えだ。
WCPFCは30キロ未満の小型魚の漁獲量を02~04年平均の半分に減らす規制を今年から開始している。日本はこの規制により「資源量は24年に4万3千トンまでの回復が見込める」(水産庁資源管理部の遠藤久審議官)とみている。
ただ米国はさらに厳しい資源管理が必要だと訴えている。今回の会合では30年までに親魚の資源量を約12万トンまで増やすとの高い目標を提案。漁業者への打撃を懸念する日本は「過度な要求」(遠藤審議官)と反対。合意には至らなかった。
日本食ブームなどを背景に欧米だけでなく、中国や韓国でも需要は増えている。東京・築地市場で輸入クロマグロの卸価格は14年平均で1キロ2900円程度と過去5年で2割上昇した。資源量の減少は価格に反映されており、このままではさらに手が届きにくい食材となってしまう可能性がある。
一方、北太平洋海域のサンマでも国際管理の動きが始まった。日本やカナダなど6カ国・地域は3日、都内で北太平洋漁業委員会(NPFC)の初会合を開き、東京に事務局を設置した。漁業の国際管理で国内に事務局を置くのは初めて。
日本政府を代表して開会式に参加した佐藤一雄・水産庁長官は「事務局のホスト国として、迅速かつ効果的に資源管理を実施していけるよう可能な限り支援していく」と話した。NPFCでは、同海域でのサンマの資源量を17年に評価し、新たな国際管理措置を実施することで合意した。
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