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松野家の6つ子のファッションアイテムからみるそれぞれのキャラクター②

おそ松さん アニメ 考察 表現 キャラクター

 【当ブログのアニメ考察記事を読む前の注意】
当ブログのアニメ考察記事は、アニメ制作側の意図に関わらず「こういう読解も可能ではないか」という一個人の考えを記述したものにすぎない。ゆえに「制作側の意図から外れた考察記事を掲載するな」という要求に対しては一切応えないものとする。これを踏まえたうえで各人の「自己責任」で当ブログの考察記事を楽しんでいただければ幸いである。

 

前回の考察に引き続き、ファッションアイテムに注目することで6つ子たちのキャラクターを紐解いていくことにする。前回の記事はこちら↓

 「松野カラ松のバスローブ」と「松野一松のマスク・松野十四松のつなぎの着方」の二章構成でそれぞれ論を展開した。この記事を更新した数時間後、以下のような質問がAsk.fmに寄せられた。今回取り上げようと思っていたテーマとも繋がる質問だったので、Ask.fmではなくブログで回答させていただこうと思う。質問は以下の通り。

アニメではカラ松は確かに女性用のバスローブを着用してますが、円盤の特典「パジャ松さん」のカラ松はふつうに男性用バスローブですよね。このことについてどのようにお考えになりますか?

Ask.fmに寄せられた匿名希望さまからのご質問より

「おそ松さん」のDVD&Blu-rayの特典情報は公式サイトに詳しく掲載されているので、まずはそちらをご覧いただきたい。これを見ると確かに「パジャ松さん」での松野カラ松は男性用バスローブを着こなしている。ではテレビアニメ本編(4話Bパート、8話Aパート、8話Bパート)で女性のようにバスローブを着ていたのはなぜなのか。「パジャ松さん」との違いはどこか。

実はバスローブの着方の他に、テレビアニメ本編と「パジャ松さん」とで異なっている点がある。

  1. 「パジャ松さん」でバスローブを着ている松野カラ松は髪をセットしている。
  2. 「パジャ松さん」でバスローブを着ている松野カラ松はサングラスをかけている。

これをふまえて、以下の論考を読んで頂ければと思う。

松野カラ松のサングラス

松野カラ松は頻繁にサングラスをかけた姿で描かれる。「おそ松さん」を見始めたばかりでまだ6つ子の区別がつかないという人には「イメージカラーが青で、よくサングラスをかけている眉がキリッとした人がカラ松だよ」と言えばおそらく通じるほどだ。

しかし「サングラスをかける」ことでキャラクターを識別できるというのはアニメや漫画ならではの現象であるように私は思う。普通はサングラスをかけると誰なのか識別しにくくなる。写真に写っている人物に目元に黒線を入れる加工をするのも「写っているのが誰か特定しにくくするため」である。それだけ私たちは目元を見て「それが誰なのか」を識別しているのだ。

アニメや漫画の世界においては、「サングラスをかけている」こと自体がキャラクターの特徴、個性となりうる。特に「おそ松さん」の場合、見た目がそっくりの6つ子に対してわかりやすい「識別のための記号」のうちの一つとしてサングラスは機能している。

松野カラ松というキャラクターは兄弟の誰よりもはっきりとした二面性を自ら持たせている人物である、というのがテレビアニメ第8話までを視聴した私の個人的な考えだ。こう考えたのはテレビアニメ第3話のショートコントで「松野カラ松は学生時代に演劇部に所属していた(そして6つ子の中で元演劇部という条件を満たすのはカラ松だけ)」という情報が出てくることに起因している。

結論から言えば、松野カラ松はキャラクターの演じ分けを行っている人物であると私は考えている。そしてそのキャラクターの演じ分けを彼が意図的に行う際に用いるアイテムこそ「サングラス」だ。これを用いることで素の状態に近い「出来事をそのまま受け入れてしまう」「強気の態度を示してくる相手に怯える(※2話Aパートハローワークでの面接)」状態から「カッコいい」「絶対的な自分への自信を持っている」状態へとキャラクターの切り替えを行っている。サングラスを使っていない場面で前者のような態度を取っている場合は無意識的にそういうキャラクターを作ってしまっている状態ではないかと考えている。

この考え方に基づいて「パジャ松さん」においてなぜ松野カラ松のバスローブの着方が変化しているか説明すると、こういうことになる。

「パジャ松さん」における松野カラ松は意図的に「カッコいい」キャラクターの状態を作るため髪をセットし、サングラスをかけて万全の状態を作り出している。それに対してテレビアニメ本編における松野カラ松は出来事をそのまま受け入れてしまうという自分に与えられた役割の方がより前面に出てしまっている(のでバスローブの着方が異なっている)。

もちろんいろいろな考え方があると思うのだが、現時点ではこのような解釈ができるのではないかという一考察をここでは取り上げた。なお、今後の質問の際にはできれば「ちなみに私はこう思うのですが……」という部分が含まれているとより嬉しい。私以外の方がどのように考えているかというところを知りたいがために考察記事を書いているからである。

松野チョロ松のメガネ

松野チョロ松のメガネにも松野カラ松のサングラスと同様、キャラクターを付与する効果があるというように考えている。ただサングラスと違ってメガネは「かけること」だけでなく「外すこと」でもキャラクターをはっきりと切り替える機能を持つアイテムであると考えている。たとえば「一見地味で暗い印象のある女性がメガネを外したら実は美女だった」という表現。これは「金田一少年の事件簿」のゲストキャラクターに対してたびたび見ることができるものだ。このように「メガネ」というアイテムは「外した時に印象が大きく変わる」という側面を持つ。また、メガネをかけているキャラクターは知的(賢い)、大人しい人物として描かれることが少なくない。

松野チョロ松は旧一話(円盤未収録予定)の「ふっかつ!おそ松くん」においてイケメン化した際、アイドルとしてステージに立つ場面ではメガネをかけていないが、学園生活を描くパートに入るとメガネをかけている状態で描かれた。単に踊るときにメガネが邪魔という理由もあるかもしれないが、「普段は知的でクールな彼が舞台に立つと生き生きと歌い踊るアイドルに変貌する」というギャップをわかりやすく表現しているという見方もできる。

また、松野チョロ松は弱井トト子のマネージャーとして登場する際にはメガネをかけている。この場合における「メガネ」は、普段の松野チョロ松と「アイドル・弱井トト子のマネージャー」であるときの松野チョロ松とをわかりやすく区別するための記号として作用していると考えることができる。つまりメガネの着脱によってその場面ごとに与えられているキャラクターの役割が切り替えられているという考え方だ。

 

実は「松野トド松となごみ探偵おそ松の帽子」についても記述しようと思っていたのだがまとまりが悪くなったので今回の記事では省くことにした。なお、次回の考察記事ではテレビアニメ第9話「チビ太のおでん」「十四松の恋」を視聴した後、「十四松の恋」に関しての私見を述べるつもりだ。

 

【過去に執筆した「おそ松さん」関連記事】

松野一松の口からハト、松野カラ松の耳から魚が出ていく描写について【おそ松さんOP映像】

松野十四松の特異性が松野カラ松と松野一松の関係性を紐解く可能性について

松野カラ松はなぜバスローブを女性のように着ていたか松野チョロ松の扮装と結びつけて考える 

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松野家の6つ子のファッションアイテムからみるそれぞれのキャラクター①

キャラクター おそ松さん 考察 アニメ 表現

【当ブログのアニメ考察記事を読む前の注意】
当ブログのアニメ考察記事は、アニメ制作側の意図に関わらず「こういう読解も可能ではないか」という一個人の考えを記述したものにすぎない。ゆえに「制作側の意図から外れた考察記事を掲載するな」という要求に対しては一切応えないものとする。これを踏まえたうえで各人の「自己責任」で当ブログの考察記事を楽しんでいただければ幸いである。

 

さて、今回はテレビアニメ「おそ松さん」の登場キャラクターたちの「ファッションアイテム」に注目することで兄弟それぞれのキャラクターについて何か読み取れることはないか考えてみることにする。なお、この考察記事の筆者である私ことyurico15(ゆりこ)は「おそ松さん」が放映されていないド田舎で生活しているため、この考察は8話視聴時点でのものであることをご了承頂きたい。

では早速見ていこう。まずは前回の記事でも大きく取り上げたこちら。

松野カラ松のバスローブ

7話視聴時点での松野カラ松のバスローブに関する私の考えは前回の「おそ松さん」考察記事でまとめている。

その後、8話を視聴したところAパートでもBパートでもバスローブを着ている松野カラ松が確認できた。そこで前回の考察に付け加える形で松野カラ松が女性のようにバスローブを着ていることから読み取れることがないか考えることにした。

結論から言えば、松野カラ松の性格およびその行動パターンとバスローブを女性の着方で身につけていることに関係性があるのではないかということに思い至った。

女性がバスローブを着て異性の前に姿を現すという場面を想像していただけるとわかるかと思うが、このようなシチュエーションで姿を現した女性というものは一般的に(余程の事情でもない限り)「その後の出来事を抵抗なく受け入れる」だろうと推測される。では、このことからバスローブを女性のように身に付けて登場する行為そのものに「その後の出来事を抵抗なく受け入れる」という意味を与えて読解することができるのではないか。そのように考えた上で松野カラ松の性格とその行動パターンを振り返ることにする。

松野カラ松という男は、松野一松からバズーカ砲で撃たれようが殺すぞクソ松と罵られようが特にこれといったリアクションを返すことはせずただただされたこと、言われたことを受け止めるだけの男である。他の兄弟に対してもそうで、たとえば「うるさいから眠れやしない」というような理由で鈍器(に類するもの)を投げつけられることがあったとしても松野一松との扱いの差についてただ一人叫ぶだけで兄弟に直接怒りをぶつけるという場面はなかった。また弟のために子守唄を歌おうとして無視されることがあっても「え」と呟くだけで「俺の歌を聞けぇえええ」などと訴えかけたりはしなかった。

8話Aパートにおける松野カラ松(バスローブ着用)は、犯人によって背中を包丁で刺されて即死している。この状況から、まったく抵抗することができないまま殺されたものと推測される。また8話Bパートにおける松野カラ松(バスローブ着用)は弱井トト子の必殺ボディーブローを二度も食らっているが、いずれの場面も抵抗する間さえ彼には用意されていなかった。

松野カラ松は大した抵抗をすることもなく何事も受け止めてしまう側面を持った(あるいはそういう役割を与えられた)キャラクターであり、その彼が頻繁にバスローブを女性のように着こなして登場することにはその役割を強調する効果があるのではないか。

 

松野一松のマスクと松野十四松のつなぎの着方

次はこちら。通称「数字松」というコンビ名でお馴染みの二人。共通点は「口元をすっぽりと覆い隠す」格好をする場面を時折見ることができる、ということ。この二人の「口元をすっぽりと覆い隠す」ファッションについて読み解く鍵は5話Bパート「エスパーニャンコ」の回にある。友達がいない(作っていない)松野一松のために、松野十四松が「猫と話せる薬」がないかどうかデカパンに相談している場面で、次のようなやりとりが出てくる。

十四松:この一松兄さんはね、ぜんぜん友達がいないんだ。
一松:いないんじゃないよ。作ってないだけ。
十四松:だから、あの猫と話せるようになればいいなあと思って。
一松:…余計なお世話。自分だってまともに人と会話できないくせに
十四松:言うよねー。

テレビアニメ「おそ松さん」第5話Bパート「エスパーニャンコ」より

このやりとりから、松野一松が自分自身と弟の松野十四松のことを「まともに人と会話できない(あるいはしようとしていない)」人物だと理解していることが読み取れる。単に一松がそう理解しているというだけでなく、この「エスパーニャンコ」の物語全体を通じて松野一松・松野十四松の両者ともに「本心を口に出して会話することを苦手としている人物」である点が丁寧に描き出されている。エスパーニャンコを通してそれぞれが「ごめんね」「俺もごめん」と謝る場面では感動のあまり思わず涙した方もいるかもしれない。数字松コンビの口下手で不器用な兄弟愛を伺い知れる名場面だ。

こうした二人のキャラクター性を象徴しているのが口元をすっぽりと覆い隠しているファッションにみられる、と私は考えている。つまり口周りを覆い隠した格好に「本心を言葉にして口から出すことができない(あるいは躊躇ってしまう)」という二人の性格がそのまま現れていると私は理解している。

ネタバレ情報を軽く読んだところ、テレビアニメ9話では松野十四松のつなぎの着用の仕方が変わっていたようだ。ここまでの考えを踏まえると、それは「本心を口に出す」という大きな変化が松野十四松に現れたということを示しているのではないかということになるのだが、まだ9話を視聴できていないのでこれ以上の言及は避けることにする。ただ少しネタバレを読んだだけでもそういう考え方ができそうだと思えたのでここで合わせて触れた。

 

次回の記事でも引き続きファッションアイテムから6つ子のキャラクターを紐解いていく予定だ。

 

【過去に執筆した「おそ松さん」関連記事】

松野一松の口からハト、松野カラ松の耳から魚が出ていく描写について【おそ松さんOP映像】

松野十四松の特異性が松野カラ松と松野一松の関係性を紐解く可能性について

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協議の結果をご報告させていただきます

皆様、この度の件では大変お騒がせいたしました。

鋼兵様との協議の中でほぼ解決に至ることができましたのでご報告いたします。

今後、鋼兵様より訂正版のアップロード、今回の経緯報告、当ブログへの意見などが発表されます。
よって現時刻をもちまして当ブログにおける問題の解決を宣言させていただきます。
同時に予告していましたとおり関連記事をすべて削除いたしました。

応援・ご支援いただいた皆様本当にありがとうございました。また、鋼兵様とそのファンの皆様にも多大なご迷惑をお掛け致しましたことお詫び申し上げます。

今後も継続して当ブログ内における鋼兵様およびその他個人・団体への誹謗中傷等はこれを一切禁じさせていただきます。
合わせまして今回の件を受け、はてなブログはてなダイアリー外への当ブログ本文の転載は今後一切禁止とさせていただきます。

最後になりましたが、鋼兵様および株式会社ドワンゴ様の今後の発展と活躍をお祈りいたしまして結びとさせていただきます。

 

【同日追記】

鋼兵様から違反があるかどうかの検証動画がアップロードされるとのことです。当事者の上げた検証の信憑性など所々疑問は残るものの、今後はそれに対する反応を見ての対応となりますのでご注意ください。

また、今後個人間での連絡は一切行わずいかなる対応も公式の場を持って臨ませていただきますことをご了承ください。

 

【追追記】

鋼兵様より追記の記述がミスリードではとのご指摘を受けましたが、わたくしといたしましてはそのような意図はございません。

第三者の作ったものではない検証に疑問を抱かないというのはあまりに難しいものでございますので、前述の記載は正当であるものと考えております。

また、メールでのやり取りの公開はご自由になさっていただいても構いませんがミスリードとならないようお気をつけくださいませ。

 

【追追追記】

ただ今確認致しましたところ、当初送信していたと認識していたメールが私がアドレスを間違えて送信したものであり、経過報告の記事を掲載する前日に送信したメールが最初のやりとりであったことが判明いたしました。

鋼兵様に対しいらぬ誤解が生じる記載があったことここで謝罪致します。

 

【結論】

 ただ今訂正版の動画がアップロードされたことを確認いたしました。

私といたしましては非常に労力のかかる再編集作業などをしていただきましたのでこの件に関しましてはこれをもちまして収束とさせていただきます。

検証動画につきましてはコメントの反応などもありますので後日確認致しまして今後の参考といたします。

私から今後この件に関してのコメント等は一切いたしません。

Askにもいくつか関連の質問など来ておりますが、そちらにつきましても同様ですのでご了承ください。

 

皆様をお騒がせしたことをここでお詫び申し上げるとともに、応援してくださった皆様に感謝を致しまして結びとさせていただきます。

 

 

yurico15(ゆりこ)

松野カラ松はなぜバスローブを女性のように着ていたか松野チョロ松の扮装と結びつけて考える

おそ松さん アニメ キャラクター 考察 表現

【当ブログのアニメ考察記事を読む前のご注意】

一連の考察記事はあくまで「私はこう読み解く」という個人的な考えについて述べるものであり、アニメ制作側の意図を的中させることを目的として書いた文章ではないことをあらかじめご理解いただきたい。現在、Ask.fmを通じて「ギャグアニメを深く考察することは無駄」「制作サイドはオープニング映像には特に意味がないと語っている」(※ソース不明。誰かご存知の方情報提供求む)「ギャグアニメなんだから何も考えずに見てろ」といった厳しいご意見を頂いているが、私の目的は制作側の意図通りにアニメ考察をすることではない(個人的に「こうした読み取り方もできるかもしれない」と考えたことについて述べているにすぎない)のでこのような意見を多数寄せられて困惑している。また、私の記事を好意的に評価していただいている読者の方からは「私は何も考えずに観て楽しんでいるだけなので、深い考察記事が書けるあなたはすごい」という大変嬉しい言葉も頂いているのだが、これについても「ギャグアニメであるので私も最初の3回目くらいまでは何も考えずに観て楽しんでいます。考察をして楽しむのはそれ以降の視聴からですね」という内容で返答をさせていただいた。何も考えずに観ても楽しい、あれこれ考えながら観てもまた楽しいのが「おそ松さん」の魅力であると私は常々記述してきたつもりなのだが、これらがまったく伝わっていなかったことに深い悲しみを覚えるとともに、自身の言葉の足りなさについて非常に反省しているところである。どうもすみません。

今後の考察記事でも同様の注意をごく簡潔に提示することでアニメ考察記事に対して不快感を覚える読者の方の目に触れないよう配慮させていただくこととする。これまでの考察記事で不愉快な思いをされた読者の方に心からお詫び申し上げる。

 

松野カラ松はなぜバスローブを女性の着方で着ていたか

さて、前置きが長くなってしまった。
今回はTwitterのフォロワーさんからの質問を元に考察を展開してみようと思う。

もりりんさんから「カラ松兄さんのバスローブの着方」について疑問があるという質問を頂いた。これは4話Bパート「トト子なのだ」の回でカラ松がバスローブを着て登場するシーンに関する質問である。この質問に対して単なる作画ミスの可能性を提示するのはあまりにもつまらないので、今回は敢えて「カラ松はなぜバスローブを女性の着方で着ていたか」について深読みを試みた。

実は、松野カラ松以外に「女性」を想像させる服の着方を過去にしていた人物がもう一人いる。松野チョロ松である。

2話デリバリーコントで「湖の女神」に扮した松野チョロ松

思い出していただきたい。2話のデリバリーコントにおいて松野チョロ松が扮していたのがイソップ寓話「金の斧」をモチーフとしているであろう「湖の女神」であったことを。まず、このデリバリーコントから私が読み取ったことについて述べていく。それでは最初に湖の女神に扮した松野チョロ松と釣り人に扮した松野十四松との間で展開されたデリバリーコントの内容を振り返ることにしよう。

①釣り人に扮した松野十四松が釣竿を湖(正確には釣り堀)に落としてしまう
②湖の女神に扮した松野チョロ松が「鋼の阿修羅像」と「ゼリーの阿修羅像」を持って現れる
③釣り人に扮した松野十四松が正直にどちらも初めて見た(=知らない)と伝える
④湖の女神に扮した松野チョロ松が「聖澤庄之助」を釣り人に扮した松野十四松に与える

ちなみにこのあと松野十四松に与えられた「聖澤庄之助」は「ニューおそ松兄さん」としておそ松を除く5人の兄弟から歓迎されている。

イソップ寓話の「金の斧」と同様、このデリバリーコントにおいても「神」は「正直な者に対して恵みをもたらす」ものである、ということが示されているということは指摘できる。では、正直な松野十四松に与えられたものは何であったか。彼が家宝にすると喜んだものは何であったか。のちに「ニューおそ松兄さん」と呼ばれる聖澤庄之助は「新しい家族」として迎え入れられたのではなかったか。

正直な者に対して「新しい家族」を与える女神を描いたのが、このデリバリーコントだ。

なお、イソップ寓話の「金の斧」では最初に落とした斧も木こりに返却されているが、このコントでは釣竿を失った代わりに聖澤庄之助を得たことになっていることも指摘しておきたい。釣り人に扮した松野十四松は「今日こそ湖の主を釣り上げ」たいと意気込んでいた。もし湖の主を釣り上げたなら食材として晩餐にするだろう。いや、あるいは物珍しい湖の主として売却し、金銭を得ていたかもしれない。いずれにしろ彼がそうした利益を獲得するために必要な道具である釣竿を喪失した、ということを元に「新しい家族を得ることと引き換えに大きな資産を失うこと」がこのコントにより描かれていると読み取ることはできないだろうか。

そして大きな資産を奪いながらも新しい家族を与えるのはもっぱら女性の姿で想像される神であることもここで示しておく。つまり、松野チョロ松はそういう女神に扮していたのだ。

「松野カラ松は新しい家族をトト子に与えようとしていた」説

では、この長い前置きをふまえていただいた上で4話Bパートにおけるトト子の部屋に来訪する兄弟たちの様子を確認してもらいたい。

トト子の部屋に来訪した順に
おそ松:トト子から告白されたらどうしようと緊張している(愛の告白を期待)
十四松:「野球すんのかな?」(一緒に野球をすることを期待)
トド松:「期待したぁあああ!!!」との発言から愛の告白を期待したものと推察。
一松:バンドマンのような服装・ヘアスタイルで登場。(普段着とのギャップの大きさからある程度の期待はあったものと考えられなくもない)
カラ松:風呂上りのバスローブ姿で来訪。着方は女性のもの。他の兄弟からドン引きされても平然とくつろいでいる。

という具合だ。

私が気になったのはカラ松の堂々とした態度のことである。トト子に対して思いっきり格好をつけた(その結果として方向性がズレた)だけであれば、他の兄弟がドン引きしている時点で自らのとった行動のおかしさに気付いてもいいはずだ。しかし自らがくつろいでいる真後ろで「怖いよね」と語り合う兄弟たちの発言にまったく動じていないところに私は違和感を覚えた。

そこで思い出したのが「女性として想像される神に扮していた松野チョロ松」のことである。松野カラ松の一連の違和感のある行動と、松野チョロ松がデリバリーコント内で演じた役割とに何らかの共通点が存在するのではないか?私はそのように考えたのだ。

もりりんさんからの指摘にあったように、松野カラ松はバスローブを女性の着方で着用している。このことからこの場面での松野カラ松がとっている行動は女性として想像される神に扮していた松野チョロ松がとった行動から説明できるのではないか、そう考えたときに「新しい家族を与える」という女神の役割のことに思い至った。

私の考えはこうだ。

松野カラ松はトト子から「あなたが好き」という正直な告白があった場合には自らを「新しい家族」としてトト子に対して提供する心づもりであったのではないか

そしてその際大きく失われることになるのは「家に呼んだだけなのに風呂上がりのバスローブ姿で来るなんて怖い」という評価が他者から下されるということ。つまり松野カラ松はそういうリスクを背負いながらもトト子に対する絶大な期待感を持って来訪したのではないかというように私は考えたのである。

というわけで今回はもりりんさんの疑問に答えるべくチョロ松の扮装とカラ松の格好を結び付けることで論を展開したが、他の観点からもあれこれ考察はできるテーマであるように思う。この記事をきっかけに皆様にもいろいろな想像を膨らませてもらい、「何も考えなくてもおもしろい。何か考えてもおもしろい」という「おそ松さん」ワールドを堪能してもらえれば嬉しく思う。

【過去に執筆した「おそ松さん」関連記事】

松野一松の口からハト、松野カラ松の耳から魚が出ていく描写について【おそ松さんOP映像】

松野十四松の特異性が松野カラ松と松野一松の関係性を紐解く可能性について - だれも知らない

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TwitterアカウントとAsk.fmについてのお知らせ

Twitterアカウントは主に女性ユーザーの方との「おそ松さん」トークのためにひっそりと利用する予定です。当ブログの「おそ松さん」考察記事などを楽しんでいただいている読者の方は、こちらのアカウントにフォローリクエストを送信してください。順次対応いたします。なお、当該アカウントは「腐向け」のツイートこそしませんが、「腐向け」の内容に対し「いいね」をつけることがありますので、以上をご理解いただいた方のみフォロー申請していただくようお願いします。なお、このアカウントに対し「ちょっとした気になること」を送信することで記事のネタとして当ブログで取り上げさせて頂く場合がございます。この点をご理解の上、交流して頂けますと嬉しいです。なお私は一松推しなので、同松拒否勢の方はご注意ください。一松のキャラグッズの購入予定等ありますので(というかパーカー予約した)……。

またAsk.fmですが、こちらは基本的にどのような内容であっても回答させていただくことにしています。しかしながら前回の記事に掲載したように、内容が著しく重複した質問や要望についてはブログ記事にまとめて取り上げ、それ以降は一切回答しないという方針をとらせていただくこととします。今回紹介した「歌ってみた動画がなかなかアップロードされない」というお悩みも多数頂いておりますが、そのうち最初に届いた一件のみを取り上げて回答させていただきました。おそらく現在楽曲の権利元に対して各種申請等を行っている最中だと推察されます(違っていたら大変申し訳ない)ので、皆様もう少し落ち着いてお待ちいただければと思います。

Ask.fmに対して寄せられた要望・質問に対する回答

読者の方から気軽に質問や意見を寄せていただきたいと思い、Ask.fmというWebサービスを利用している。例の件に関して、いくつか内容の酷似した意見が寄せられた。あまりに衝撃的な内容であったために「釣り」である可能性を考えたこと、また私自ら「この件については終わり」という記事を掲載していたため今日まで回答は避けてきた。しかしながら本日、早急に回答をせよという催促を受けたので、この場で回答が遅くなったことをお詫びするとともに回答を示したいと思う。また、この場で回答を示す以上、今後は同様の内容での意見を頂いても一切回答しないのでこの旨ご了承いただきたい。

鋼兵さんはしっかりとあなたのブログで謝罪しています。それなのにパクリパクリと大騒ぎしてみっともないとは思わないんですか?早く鋼兵さんに謝罪してください。
(アカウント:yurico15 | ask.fm/yurico15 に対して寄せられた匿名希望さまからの要望)

鋼兵 (id:vocal-kouhey)

鋼兵本人です

説明欄に書かせていただきました!

お騒がせしました、すみません。

鋼兵 (id:vocal-kouhey)

すみません、タイバニの件と書けば良いでしょうか?

あと、餌を与えすぎるなはよく言われていることかと…

鋼兵 (id:vocal-kouhey)

鋼兵です。

すみませんが、私の動画が盗用に当たらない証拠を消されてしまわれますと、
全てあなたのブログを丸パクりにしたなどと謂れなき誹謗中傷を受けますので、正確に残しておいてもらえませんか?
自ら拡散を促してらっしゃるのですから、正確に事態を皆に知ってもらう必要があると思うのですが。

 

(いずれも鋼兵さんから私の「おそ松さん」関連記事を引用元の明記なく無断で動画に使用された件に対して寄せられた鋼兵さんのコメントより引用)

「盗用に当たらない証拠」「 謂れなき誹謗中傷を受ける」という文言から一切の謝意を読み取ることができなかったことをお詫びさせていただく。この意見をお寄せくださった匿名希望さまが「お騒がせしました、すみません」という箇所を「しっかりとあなたのブログで謝罪」と理解しているのであれば私から納得できる回答は得られないと思うので、大変心苦しくはあるのだがこれ以上の説明を求められたところで対応することはできない。申し訳ない。

 

・鋼兵さんに引用してもらったのだからむしろ感謝するべきでは?
・ごく一部の引用に過ぎないのに騒ぎすぎでは?鋼兵さんに美味しいところ横取りされたってキレてるみたいだけど、無名ブロガーだったのを有名にしてもらってるんだからここはむしろ喜ぶべき局面。

(アカウント:yurico15 | ask.fm/yurico15 に対して寄せられた匿名希望さまからの質問)

こうした意見が他にも多数寄せられている。
では、現在私が置かれている状況を敢えてものすごく分り難い例え話で説明することにしよう。ものすごく分り難いので分かる方だけネタにお付き合い頂きたい。

私が液汁超獣ハンザギラン(下画像参照)をペットとして飼い、大切に育てていたとする。
(この時点でまったくついていけなくなった方は読み飛ばし推奨) 

ウルトラ怪獣500 ハンザギラン

ウルトラ怪獣500 ハンザギラン

 

ところがある日、この液汁超獣ハンザギランの背中が何者かによって引きちぎられ持ち去られるという驚くべき事件が発生。実はとある人物が持ち去ったハンザギランの背中を使って暴君怪獣タイラント(下画像参照)を作り出し、「暴君怪獣タイラントショー」を開催して小金を稼いでいることが発覚。

ウルトラ怪獣DX タイラント(SDU)

ウルトラ怪獣DX タイラント(SDU)

 

液汁超獣ハンザギランの飼い主である私は暴君怪獣タイラントの背中に愛するペットの体が合成されていることを公表してこれに抗議。ところが暴君怪獣タイラントショーの客から「暴君怪獣タイラントのほうがむちゃくちゃカッコいいし人気あるから別に怒ることじゃないじゃん!むしろこんなカッコいい怪獣の一部にしてもらえたんだから喜ぶべきだよ!」といった批判が……。

私の立場からすると現在こういう状況に陥っているわけだが、まあこの例え話ではちっともお分かり頂けないだろう。分からなくて結構。ただしこの例え話をもって頂いた質問には回答したことにするので今後は同様の内容での意見を頂いても一切回答しない。申し訳ない。

 

以上です。

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松野十四松の特異性が松野カラ松と松野一松の関係性を紐解く可能性について

おそ松さん アニメ キャラクター 考察 表現

少し前に書いたこの記事がTwitterでじわじわと拡散されているようで大変嬉しい。

今回はこの話に関連して「松野十四松」の特異性について触れ、彼がこの二人の関係性を紐解く可能性について言及したいと思う。

その前に、この論では押井守さんが好んで使用している「犬・鳥・魚」のモチーフの解釈をそのまま「おそ松さん」のキャラクターに強引に当てはめていることを断っておく。つまり「おそ松さん」製作サイドの意図していない読み取り方をしている可能性が十分にあるということだ。であるから、あくまでこの話は私(yurico15)の個人的なキャラクター考察論として楽しんでいただければと思う。

前回の記事では

・「おそ松さん」OP映像において、松野一松の口からハト、松野カラ松の耳から魚が出ていく描写がある。
・数多くのアニメ作品を手がけた押井守監督は、「犬・鳥・魚」という動物のモチーフを好んで多用している。

ことを紹介し、いくつかの持論を展開した。詳しくは上の記事をご参照のこと。

この記事を公開したところ、記事では取り扱っていなかった「犬」の要素について以下のようなコメントが届いた。

「松野十四松=犬」説

松野一松の口からハト、松野カラ松の耳から魚が出ていく描写について【おそ松さんOP映像】 - だれも知らない

十四松に勝手に犬のイメージがあるのだけれど、パチンコ警察からだろうか

2015/11/20 22:26

id:likethedream13

おそ松さん、犬と聞いて思いついたのが
OP映像ではなく本編ですが、3話のパチンコ警察で十四松が「犬」の格好をしていたことです。
もし、犬・鳥・魚のモチーフであれば関係あるのではないか?と思いコメントさせていただきました。

松野一松の口からハト、松野カラ松の耳から魚が出ていく描写について【おそ松さんOP映像】 - だれも知らない コメント欄より

この指摘を受けて「おそ松さん」OP映像を振り返ってみると、松野十四松が黄色のバランスボールで遊んでいるシーンが次第に気になってくる。松野一松からハト、松野カラ松から魚が出てくる場面でも松野十四松は黄色のバランスボールにしがみついている。なんとなく、ボール遊びをしている犬に見えなくもない……?
そして指摘があったように第3話の「パチンコ警察」というショートコントにおいて、松野十四松は6人の兄弟のうち唯一犬となって登場している。
ついでに「おそ松さん」旧1話「ふっかつ!おそ松くん」において、イケメン化した松野カラ松が「猫のような見た目ではあるがわんわんと鳴く小動物」を車から救い出しているシーンがあったことも思い出していただきたい。つまり、松野カラ松は旧1話で「犬」を助け出している。これをふまえて「おそ松さん」第7話のこちらのシーンを見ていただきたい。

松野十四松に「犬」のモチーフが仮託されていると考えると、これは松野カラ松による二度目の「犬助け」だ。

松野カラ松の「犬助け」

ではここまで確認したところで、押井守さんの用いる「犬・鳥・魚」のモチーフに関する小原篤さんの論考を以下に引用する。

 〈鳥〉=言語、精神、神、天使、少女、子ども 

 〈犬〉=仲間・主人を求める者、さすらう者、男

 〈魚〉=本能、夢、無意識、性欲、身体、衝動、暴力、女、母、妻

 この分類を基に押井作品を見直すと、〈鳥〉と〈魚〉が結びついて危機に陥った世界に〈犬〉が現れ〈鳥〉と〈魚〉を分離(除去)して平安を取り戻そうとする、という基本構造が浮かび上がってきます。

朝日新聞デジタル:「犬・鳥・魚」講座その2 ヒロインは不吉だ - 小原篤のアニマゲ丼 - 映画・音楽・芸能 より

この記事のタイトルを「松野十四松の特異性が松野カラ松と松野一松の関係性を紐解く可能性について」という長ったらしいタイトルにしたのはこの部分との照らし合わせによるものだ。「おそ松さん」第2話において松野カラ松と松野一松だけがビールでなく焼酎(水?)を飲んでいるなど、他の兄弟とは異なる共通点をこの二人が有していることは既に示されており、その意味では「おそ松さん」の世界でも「鳥」と「魚」の結びつきがみられる。ちなみに私の彼氏にこの話をしたところ「確かにそうかも。俺にはカラ松のナルシストぶりは自信のなさを裏返したものにしか見えないんだよね。だからそういう意味で一松とカラ松はよく似ていると思う」という感想をもらったのでこれも紹介しておく。

さて、松野カラ松に仮託されている「魚」のモチーフには「本能、無意識」などの意味がある。松野カラ松は第2話では体を張って車から子犬を助け、第7話では自分に刺さった矢を抜くより先に松野十四松に突き刺さっている矢を抜き取ろうと奮闘していた。つまり松野カラ松は本能的に自分よりも犬を助ける人物であるということがわかる。そして彼がそこまでして助けようとする「犬」には「仲間を求める者」という意味があることから、松野カラ松は「仲間を求める者」を自分の身よりも大切にする人物であるといえる。

松野十四松の特異性とは何か。

ではタイトルに書いた「松野十四松の特異性」とは何か。それが引用した箇所にある「〈鳥〉と〈魚〉を分離(除去)」するという彼(に仮託された犬モチーフ)の性質にある。

思い出していただきたい。第5話において、なかなか友達のできない(作らない)松野一松が「猫と話せるようになればいいなあと思って」デカパンに相談に行き、話を進めていったのは松野十四松である。猫と話せるようになれば、松野一松には「会話のできる友達」ができる。つまり松野十四松は、松野一松が誰かと会話ができるようになってほしいと願っているのだ。

ここで松野カラ松と松野一松の関係性に注目して「おそ松さん」を視聴していた方々はピンと来ることがあると思う。松野カラ松と松野一松が会話をしている場面は実はほとんどないということだ。掴みかかる、バズーカ砲を撃つといった手段を用いて何らかの意図を伝えようとしている場面はあっても、その間には会話がほとんど存在していない(第7話放送時点では)。

一方、松野一松と松野十四松との間ではたびたび会話の場面を見ることができる。このことから松野一松は松野カラ松に対しては会話で何かを伝える必要性を感じていない可能性が考えられる。さきほど示したように松野カラ松と松野一松の間で他の兄弟と異なる類似性が確認できるため、松野一松は「似ている」ということを理由にわざわざ会話をしようとしていないと考えることもできる。というのも松野一松はたびたび「猫と合体した姿」が描写されるなど、猫とよく似たところがある人物として描かれている。第7話でもスタバァの客の前で脱糞しようと力んでいる様子が描かれていたが、実は猫はストレスを感じたとき粗相をする生き物であるらしい。叱らないで!猫が突然トイレ以外で排泄する理由とは | イヌモネコモという記事では以下のような記述がある。

猫は単独行動をする動物であると言われていますが、それは単独で狩りをするという意味であって、孤独を好むという意味ではありません。それどころか、猫は他の猫たちとゆるやかな集団をつくる、社会性の高い動物であるということがわかっています。でないと人間とともに暮らすことなどできなかったでしょう。

トド松が慶大生と嘘をついてスタバァで働き、女性との合コンの約束を取り付けていたことは他の兄弟たちにとって大きな衝撃であった。というのも彼が兄弟の中でひとりだけ、他の兄弟を差し置いて自立しかけていたことを意味するからである。なんだかんだで全員でだらだらと日々を送っていたいので、誰か一人が抜け駆けしようとしたならそれを全力で阻止するのが彼らの性質だ。このAパートのすぐあとに今川焼きの分配について牽制しあう兄弟たちのエピソードが挿入されていることで、そのことが強調されている。6つ子の中でもっとも兄弟たちへの依存度が高い(と思われる)一松にとっては大きなストレスを感じる出来事であったことが示唆されている場面なのだ。一松が猫を可愛がっているシーンはたびたび見られるが、「おーよしよし」なんて喋りかけたりはしていない。自分と似ているから言葉が不要なのだ。

ちなみにこの場面での松野十四松はというと、「トッティ!」と上機嫌に叫ぶばかりで他の兄弟たちとは様子が違う。そう、松野十四松は兄弟の中で唯一兄弟の自立に対して寛容な態度を取ることができる人物だと推測される。松野一松に「会話のできる友達ができればいい」と彼が願っている様子からも同様のことが指摘できる。これが松野十四松の特異性である。他の兄弟がトド松によりトイレにぶち込まれたあともただ一人こぼれたコーヒーの後始末をしていた十四松の健気さが愛しいと思った視聴者は多かったことだろう(私がそう)。

そして松野十四松のこの願いが叶えられたとき、松野一松が松野カラ松や猫に対して行ってきたような「会話なしに自分の思うところを伝える」ことへの依存度が相対的に低下することになる。その意味で、松野十四松こそが松野一松と松野カラ松の関係性を紐解く重要な人物である可能性が指摘できるのである。

ちなみに十四松に刺さった矢をカラ松が抜こうとするシーンについて、大変興味深い指摘が既にされている。

十四松に「犬」のイメージが仮託されているという説でこのことを説明するなら、彼が「仲間を求める者」であるから。つまり誰よりも仲間を求める思いが強いのでより深くトド松の言葉が突き刺さったものと考えることが可能である。

 

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