火の粉散らして攻防 伊万里で「取り追う祭り」 [佐賀県]
伊万里市二里町大里地区の神原八幡宮境内で4日夜、伝統の火祭り神事「取り追う祭り」があった。火の粉が飛び交う中、地区の男衆約50人が守り手と攻め手に分かれ、もち米で作った833個のにぎり飯「御供(ごくう)さん」を奪い合った。
五穀豊穣(ごこくほうじょう)や無病息災を願い毎年12月の最初の「卯(う)の日」前夜に行われる国選択の「記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財」。南北朝時代、南朝方だった肥後の武将菊池武重が足利尊氏の軍勢に敗れてこの地に逃れ、再起を期して火中訓練を行ったのが始まりとも伝えられる。
守り手が長さ2~3メートルのたいまつから豪快に火花を散らす中、攻め手はサカキの葉で払いのけながら境内の舞台で御供さんを目指す。最後には奪い取った御供さんを見物人に配った。
この日は菊池武重の地元、熊本県菊池市の江頭実市長も見物。「菊池公を守っていただいていると聞き、ぜひ見たいと思っていたが、まるで戦国時代。菊池一族の戦いの精神を垣間見たようだ」と驚いていた。
=2015/12/06付 西日本新聞朝刊=