お天気お姉さん号泣で再注目? 山形マット死事件で露呈した"村八分"

2015年12月6日 23時59分
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先日、NHK山形のお天気お姉さんが号泣し、ニュースがまともに読めなくなってしまった放送事故がネットを中心に大きな話題となった。

NHKお天気お姉さんに対するいじめがあった?


ネットでは、早くから彼女に対するいじめがあったのではないかとの声が上がっている。それを証明するかのように、今回に限らず、解説と中継映像が合わなかったり、話し始めた途端に映像が切り替わるなどのアクシデントは起きていたとの報道もみられる。彼女の所属事務所もそのようなことがあったと把握しており、取材に対して「それが業務的なものか、意図的なものなのかは、現時点ではわかりません」とのコメントを残した。

また別の報道では、「このお天気お姉さんは山形の生活になじめていなかったのでは。最近、友達が多い東京によく来ていた」との関係者の声も紹介されている。
つまり、彼女は地元の人からしてみれば都会者の"よそ者"だったのだ。

"村八分"の陰湿さが露呈した事件


このような背景があるからか、ネットでは「山形県はマット県だから仕方ない」という揶揄がちらほらと見受けられる。この元ネタとなった事件こそ、1993年に起きた「山形マット死事件」だ。
この事件は、中学1年生の子が同じ中学の生徒に、マットの中に逆さに突っ込まれる形で死亡した痛ましいもの。

このいじめの一因となったのが、被害者家族が"よそ者"だったこと。被害者の家庭は裕福で、標準語を話し、地元出身ではなかった。そのため、その地域の人間からしてみれば、妬みの対象でしかなかったわけだ。

事件後も地元住人は残酷な仕打ち


事件があった後も、被害者家族に対する地元の人間からの仕打ちは酷かったそうだ。家の塀への「殺してやる」と落書きをはじめ、近隣の住民は「飼っていた虫をうっかり死なせたようなものだ」、「あそこの育て方なら当然」、「いじめられるには理由がある」などの中傷を繰り返していた。
この事件を取材していた記者たちも「まだ取材しているのか」、「そっとしておいてくれ」と追い返されたり、「いまさら騒ぎたてるな」と抗議を受けたことを明らかにしている。

山形のみならず、地方にはいまだにこのようなよそ者を排除する村八分的カルチャーが根深くあることを指摘する声がある。お天気お姉さんが本当にいじめられていたか否かの真相は闇の中だが、今後はより一層、"よそ者"に対して暖かい目を向けられることを期待したい。
「事件(新潮文庫)」

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