アガサ・クリスティー トミーとタペンス(5)アンコール「NかMか(2)」 2015.12.06


(カーター)わが国は今深刻な危機にある。
ギルバート・ワージングというイギリス人の科学者が消息を絶った。
内務省の極秘プロジェクトに関わってたんだ。
(トミー)プロジェクトとは?原子爆弾だ。
(タペンス)男が見てたの。
桟敷席のほうを。
(アルバート)青酸カリだ。
(銃声)
(悲鳴)
(ハリソンの叫び声)ああ!ああ!
(ハリソン)スパイがいる。
それは…エン…。
「N」って言ったの?それとも「M」?ギルバートを捜せ。
爆弾もな。
(アルバート)誰がNか分からない。
誰も信じるな。
部屋に忍び込んで調べてみる。
(カーン)そこから出てくるんだ。
そのかわいらしいおつむを吹き飛ばすぞ。
(おびえた声)
(テーマ音楽)
(カーン少佐)最後にもう一度聞くぞ。
あんたは何者だ?
(タペンス・ベレスフォード)ハァ…ハハッハーッ。
タペンス・ベレスフォード。
まあいいだろう。
ハハッハァ…。
俺の部屋で何をしてる?ハハッ…イギリス情報部の任務でスパイを捜してるの。
あんた1人か?座れ!全て話せ。
ある科学者が誘拐されたの。
彼が開発した原子爆弾の試作品と一緒に。
それで?ソビエト政府が糸を引いててこの宿にスパイがいるの。
コードネームは「N」。
そのスパイが俺だと?ハァ…。
もしそのとおりなら今すぐあんたを撃つ。
だが違う。
封筒の消印を見たわ。
ソ連の誰と連絡を取り合ってるの?俺も同じやつを捜してる。
Nは俺の敵でもある。
ハハッ…。
(トミー・ベレスフォード)スプロットさん何だかここ暑くありません?
(スプロット夫人)そろそろパーティーの支度をしなきゃね。
アァ…。
アアアッ…。
お願いがあるの。
ダンスのお相手してくださる?女が1人でいると妙な誤解をされるから。
誰かそばにいて守ってほしいの。
ああ。
それは光栄です。
言っておくけど私気にしないわ。
頭薄いの。
アッ…ああでは。
アァ…。
・でもどうしてNを?・
(カーン)耐えがたいほどの屈辱を受けたんだよ。
私は裏切られ破滅した。
ハハッ…。
その復讐をする。
大金をはたいた情報だ。
Nの正体が書いてある。
俺はこの6年間というもの復讐の事だけを考えて生きてきた。
だが待つのは終わりだ。
個人的な恨み?いや。
俺だけじゃない。
全てが絡んでる。
力を貸すわよ。
・助けは要らん。
・その手紙を見せて。
・あんたと同じだ。
ブレンケンソップさん。
俺は1人でやる。
でも今回は例外にしない?2人でNを刑務所に入れて死ぬまで償わせましょ。
フン。
続きを聞かせてくれ。
・その前に拳銃を置いてくれる?・お願いカーン少佐。
拳銃を置いてちょうだい。
タペンス!誰だ!?待って!知ってるやつか!そうだ。
違う。
そうよ。
ウソつきめ。
よせ。
撃つな。
こいつもMIファイブか?そうよ。
このために全てを懸けたんだ。
復讐がうまくいったらあとはNを好きにすればいい。
こいつはしまっておく。
ハハッ…。
さあもう出てってくれ。
絶対俺の邪魔するなよ。
ハハッ…。
出てけ!
(2人)アァ…。
大丈夫か?ケガは?まったくあんなふうに突然飛び込んでくるなんてどうかしてるわ。
君が撃たれるかと。
Nの名前を聞けたのに。
Nはカーン少佐の宿敵よ。
少佐は恨みを晴らしに来たの。
ハァ…それじゃあ…。
誤解だったの。
(ため息)でも宿敵って誰?まあ明らかにカール・デニムだろうな。
カール?どうして彼なの?あの気取り方は不自然だ。
きっと芝居だ。
とっても感じのいい子よ。
フン。
あなたこそスプロット夫人が本当にあなたの会社に興味があると思ってるの?あの人とは馬が合うんでね。
いい気にならないでトミー。
何かたくらんでるのよ。
(ため息)手紙の中身は?Nに関する情報よ。
人に調べさせたんですって。
もう一度やつの部屋に行こう。
金庫をこじ開ける?いえ。
尾行したほうが早い。
Nに導いてくれるわ。
フーン。
君パーティーのドレス持ってる?あるわ。
あなたは?
(ため息)
(カメラマン)笑ってください。
チケット制よ。
49年のケンブリッジのチェス大会もそうだった。
だけど僕は堂々と入ったよ。
いいから任せとけ。
こんばんは。
(警備員)入場券を拝見。
ああこれは困ったな。
そんな物すっかり忘れてた。
戦場で負った古傷で勘弁してくれないか?邪魔なのでそっちに寄っててもらえますか?
(女)はい。
(警備員)結構です。
ごゆっくり。
どうも。
傷を見せてるんです。
(警備員)ありがとうございます。
どうぞ。
古傷?あきれた。
北アフリカ戦線第8軍団。
ガザラの戦いに?そうとも。
所属部隊は?第5歩兵連隊D中隊。
丘の後ろで足止めされてたんだろ?前線から離れててなぜ負傷した?車にひかれた。
敵の?サンドイッチ屋の。
・メドウズ少佐!将校たちがスピーチをお待ちですよ。
情けない。
シャキッとしろ。
軍曹。
(カメラマン)メドウズ少佐?
(フラッシュの音)どうも。
(会場に流れる音楽)その格好それが君のドレス?集中してトミー。
ウーン。
(会場に流れる音楽)
(退役軍人)そのおかげで勲章もらえたんだからね。
彼には感謝してるよ。
(会場に流れる音楽)プレナさん。
(会場に流れる音楽)
(ミントン)メドウズさん!話の途中でしたな。
何の?心理学ですよ。
興味ありそうだ。
いやあ僕は…。
セラピーを考えたことは?
(ミントン夫人)あなたみたいに戦場で実際に戦った人はトラウマがあるはずよ。
またの機会にでも。
(会場に流れる音楽)
(マネージャー)トレイが空っぽだぞ。
トレイは空っぽにしておくな。
アァ…すみません。
全部配ったので…。
いいウエートレスのトレイは常にいっぱいだ。
お客様に配るグラスか洗い場に運ぶグラスでな。
君はいいウエートレス?悪いウエートレス?いいウエートレスです。
(会場に流れる音楽)
(カール・デニム)俺を避けてたな?避けるどころか捜してたんだ。
行こう。
(会場に流れる音楽)踊る約束したでしょ?アァホント?ウーンお願い。
軍人だらけで野獣に追われる子ジカになった気分。
(会場に流れる音楽)メドウズさんはどちらのご出身?コルチェスター。
そう。
リッチモンドから遠いわ。
はい?ほらカツラの会社のある場所。
あああれ。
全国一ですから。
ああ。
(ヘイドック海軍中佐)この美しい女性をさらってもかまわんかね?メドウズ君。
はい。
もちろん。
すまんね。
失礼。
(会場に流れる音楽)5番テーブルに氷だ。
アッ…。
臨時雇いはこれだから困るよ。
アッ!これ5番テーブルに。
(会場に流れる音楽)手がかりは?まだよ!ヴェロニカに見つかっちゃった。
そっちは?気楽荘の連中に邪魔されて。
スプロット夫人とのダンスは断われないわけ?タペンス。
全て演技なんだ。
独身気分に浸り過ぎないで。
まずいぞ。
来て。
Nに死なれちゃ困る。
(参加者の話し声)行きましょ。
ハァ…。
アァ…。
ウン。
ウン。
ウッウッ。
フッ…。
アァ…アッ。
アッ…ウン。

(銃声)
(2人)ハッ!ハッ…。
アアッ…。
ハッ…ハァ…。
分からないわ。
ハーッ…。
どうしてこんな事を?自殺?違う。
拳銃を左手に持ってる。
部屋にいた時は右手で握ってた。
N…。
ああ…。
ハァ…。
ハァ…。
アァ…。
ハァ…。
どうだった?誰も居なかった。
影も形もない。
ハァ…。
Nにしてやられた。
フーン。

(荒い息遣い)フッ…。
ハァ…。
中に戻るべき?みんなを尋問して怪しい人を探す?あの封書のほうが先決だ。
Nはどうせ怪しいそぶりなんか見せないさ。
ああでも…。
早く宿に戻ってカーンの金庫を開けよう。
ハッ…。
行こう。
封書を手に入れるんだ。

(柱時計の時報)
(足音)・待って。
・少佐の部屋へ。
ハァ…。
ああ先を越された。

(物音)アッ…タペンス気をつけろ!フーッ。
・待って!カール。
デニムさん。
ここで何してる?答えてくれ。

(スプロット夫人)誰?ああよかった。
帰ってたのね。
1人じゃ怖くて。
どうした?少佐が死んだの。
なに?どうして?拳銃自殺。
いつからここに居たの?タクシーに乗ってまっすぐ帰ってきたの。
少佐の遺体が痛ましくて耐えられなくて。
大丈夫?ブランデーでも飲む?ええ。
ええ。
それがいいわ。
部屋に持ってくわ。
スプロットさん。
風に当たってくる。
ハァ…。
どうして早く戻った?やりたいことがあって。
遺体の発見者は?知らないよ。
彼が自殺とは。
他殺って噂もある。
ホントに?本当さ。
徹底的に捜査されるだろうな。
交友関係が。
敵の存在も。
町を出たりすると印象悪いぞ。
どういう意味だ?アアッ…。
パーティーで少佐と話してたろ?出かけてくる。
何かあったんだな?なぜ彼と言い争ってた?ほっといてくれ。
(バイクのエンジン音)怖かった。
私が最初に発見したの。
飲めば落ち着くわ。
ああありがとう。
ハァ…。
自殺だったと思う?もちろん。
拳銃を持ってた。
ほかの可能性もあるでしょ?事故ってこと?拳銃で頭をかいてて暴発とか?いいえ。
他殺。
すごい想像力。
毎晩彼の悩みを聞いてたの。
言ったのよ。
自殺するのは卑怯だって。
でも無駄だったみたいね。
夕方はそんなこと言ってなかったけど。
何の話をしたの?アッ…大した事じゃ…。
彼はポーカーのあと部屋に行ったわ。
一緒だったの?アッ…。
あなたがそういうタイプとはね。
いえ。
部屋には行ってないけど…。
隠すことない。
女だって楽しむ権利はある。
ウン…時々ふと寂しくなるの。
気の毒な少佐。
ハァ…。

(ヘイドック)あの愚か者めが。
酒が欲しい。
風呂で気を落ち着かせろ。
それより早く寝たいわ。

(シーラ・プレナ)デニムさんはどこ?さあね。

(アルバート・ペンバートン)こっちこっち!アァ…トミー。
カーターが来てる。
行くぞ。
デートはどうだった?行けなかった。
すっぽかしたと思われてる。
それは残念だ。
それどころじゃない。
封書を盗んだのはデニムだ。
カバンを持ってた。
いいえ違うわ。
スプロット夫人は誰より早く戻ってきて部屋にいた。
簡単に金庫に近づけたはずです。
デニムがNで間違いない。
少佐との関係を聞いたら答えずに慌てて出てったんだ。
スプロットは自殺だって言い張ってたわ!毎晩悩みを聞いてあげてたなんてそんなのウソに決まってる!君のスプロット夫人への態度には悪意があるな。
あなたこそカールを分かってない!
(カーター)もういいかげんにしろ!ああ…。
Nから要求があった。
私の運転手が今日の午後フロントガラスにこれが挟んであったのを見つけたんだ。
(アルバート)「10万ポンドと収監中のソ連の政治犯30人を渡さなければ爆弾を爆発させる」。
囚人のリストもある。
要するにNはフリーになったってことだ。
金を要求してる。
これで更に危険度が増す。
一匹オオカミは何をしでかすか予測できない。
じゃあ爆弾のことは本気かもしれないのね?そうだ。
そいつは従来の原子爆弾の数百倍の威力がある。
ギルバートのノートによると3段階で反応する熱核兵器で核分裂のあと水素の同位体が核融合を起こすことで強大なエネルギーを放出する。
ただ地上で爆発すれば被害は比較的小規模で済むようだね。
どの程度?ノーリッチでは窓ガラスが割れたり突発的な火事が起きる程度。
ノーリッチまでは40kmもあるのよ。
ハァ…。

(ノック)アァ…。
運転手だ。
私はロンドンに戻る。
カーン少佐の過去を洗ってみよう。
6年前何があったのか?唯一の手がかりだ。
彼の過去が全ての鍵かもしれん。
代わりの人間がいればお前を降ろすんだがあいにくいない。
捜査を続けてくれ。
ウン…アァ…。
用心しろ。
ハァ…。
意見が違ったままじゃまずいわ。
どうにかしなくちゃ。
だったら君がまず「ごめんなさい」って言うんだね。
ごめんなさい。
ハッ…。
私たちちゃんと協力し合わない?じゃデニムを捕まえるか?悪いけどスプロットは譲れない。
まあいい。
勝つのは僕だから。
ウフッ。
私が勝つわ。
デニムだ。
スプロット。
デニムだ。
ウーン。
寝坊ですか?ウフン。
今日のためにぐっすり眠っといたの。
(シーラ)ダリアを見ると元気が出るわ。
ウフン。
終わった?アッどうも。
ああメドウズさんちょうどよかった。
隣いいかな?アアッ…。
フーッ。
大変でしたなゆうべは。
ええ。
よく眠れました?フーッ。
ええまあね。
フン。
何か夢は見ましたか?えっ?悲惨な体験から受けた苦痛を無理に隠そうとしちゃいけない。
私は君たちの役に立ちたいんだよ。
料金は極めて良心的だ。
ウン。
少佐のことをよく知ってたかい?いやそれほど…。
ちょっと失礼。
どうも。
こんな格好で失礼。
空腹のままでお風呂に入りたくなかったの。
ああ僕はちっとも…。
すてきです。
フフッ。
失礼。
アァ…。
アァ?アアッ。
ああ失礼。
ハハハッ。
ウン…。
ウン…。
(ドアを閉める音)気分はいかが?スプロットさん。
いいわけないでしょ。
ウン。
海辺でも散歩するといいんじゃないかしら。
ゆっくりお風呂につかりたいわ。
じゃあショッピングは?私をここから追い出したい理由でもあるみたいね。
別に。
ウフフッ。
デニムさん!ちょっと話せない?朝飯が先だ。
部屋代の件よ。
ゆうべはなぜ出かけたの?部屋代なら払う。
お金の問題じゃないわ。
隠し事ばかりねカール。
何だって?
(ミントン)朝食の途中で何だ?・
(カール)うるさい!エリザベス!エリザベス!
(泣き声)双眼鏡はどうした?何です?裸眼じゃカラフトムシクイは見えんぞ。
ウン。
見に行くんだろ?今日?そうだよ。
忘れたか?いいえ。
ただ…あんな事があったから中止かと。
むしろ気分転換したいと思ってるんだ。
誰を探してる?すまん。
邪魔してしまったかな?いえちょっと雲行きを見てたんです。
観察できそうだ。
よ〜しよし!ほ〜ら乗れ。
ウン。
いや結構。
朝から飲む習慣がないんで。
こっち側にはムシクイはいなそうだな。
まだ来て20分だぞ。
アァ…移動しましょ。
アァ…。
鳥が驚くだろう。
まあもう少し先へ行ってみましょう。
何かいそうな気がする。

(水の流れる音)
(足音)
(スプロット夫人)ヴェロニカあなた?・
(ヴェロニカ)はい。
タオルくれる?・はいスプロットさん。
(ノック)・
(スプロット夫人)ありがとう。
(ドアを開ける音)ああ!
(ドアを閉める音)アァ…。
あのバカめ。
自殺しちまうとはな。

(ヘイドック)私も落ち込んだ時期はあったよ。
フン。
彼も悩んでたんでしょうかね?敵がいたとか。
敵?とんでもない。
少佐はみんなと仲が良かった。
ただカール・デニムに対しては違った。
我慢することも多かったよ。
アッ…下へ戻りましょう。
浜のほうへ。
アァ…先に行ってくれ。
フン。
ウーン。
M?「Mへ。
最後のあいびきの時は我を忘れたわ。
私に触れるその手…唇の感触…」。
何てこと。
続けて。
アァ…。
もっと面白くなるわ。
何とか言って。
私の部屋からパールのセットがなくなって…。
パール?私が盗んだっていうの?あなた少佐の部屋から出てきたでしょ。
パーティーのあと。
それで推理したの。
泥棒だと?アッ…。
アッ…。
(蓋を閉める音)想像力が豊かなのね。
小説が書き上がったらぜひ読まなくちゃ。
ええ。
夫が言ってた。
「空き缶を見ても本が書ける」って。
ウフッ。
フーッ…。
少佐の部屋にいたわ。
そう。
その手紙を取り戻しに。
枕の下から。
じゃ「M」は…。
少佐のこと。
「major」のMよ。
人妻でしょ?別居中。
離婚するわ。
アァ…ただの習慣よ。
結婚と同じ。
だから自殺だって分かるの。
よく知ってたから。
私に執着してた。
あなたは経験ないでしょうね。
執着。
ハァ…。
もう行って。
全部聞きたいなら別だけど。

(ヘイドック)何か見えるかい?メドウズ?メドウズ!ハァ…ハァ…。
アハハハッ。
ウン。
メドウズ?ウッヘヘヘッ。
ウッ…。
メドウズ!無線機だ。
こりゃ驚いたな。
ハァ…フン。
(ドアを開ける音)ハッ…。
すみません。
(ドアを閉める音)ハァ…。
(ドアを開ける音)ハァ…タペンス。
手がかりだ。
こっちもよ。
手紙が燃やされてた。
きっとスプロット夫人がみんなが寝てる間に燃やしたのよ。
でも彼女の話はきっと真実だ。
少佐の部屋に入ったって認めたわ。
それにはまともな理由があったじゃないか。
おお!とてもまともなんて言えないわ。
恋人同士で愛の言葉を交わして何が悪い。
あれこそわいせつそのものよ。
だってもし私があんな手紙書いたらどう思う?僕は…。
トミー!さあこっちだ。
アァ…。
ウン…。
なくなってる!ここに無線機があったんだ。
それとあそこにボートが。
僕がいるのを見て片づけたんだ。
確かに彼だった?ああ。
カールが乗ってた。
でもボートを持ってるだけじゃ爆弾を盗んだ証拠にはならない。
タペンス。
たまには僕を信じろ。
ごめんトミー。
でも…あなた割と思い込みが激しいから。
例えば?例えばうちのリンゴを近所の人が盗んでるって思い込んだ時とか。
やけにアップルパイを焼いてる匂いがしたからだ。
もういいわ。
考えましょ。
ここに無線機とボートがあったのね。
(ため息)あなたの言うとおりならカールはもう逃げてる。
トミー?トミー?何?これ。
まだ信じないか?探検しよう。
戻ったほうがいいわ。
怖がるなよ。
そうじゃない。
じゃあ奥へ行ってみよう。
アァ…。
カールがいるかもしれない。
ハッ…。
アァ…。
ウッ…。
ウッフッ…。
(コウモリのような飛ぶ音)やだ!何?なあタペンス。
共産主義者や殺し屋やスパイより暗闇が怖いのか?暗闇なんて怖くないわよ。
私が先に行く。
階段よ。
どこに続いてるの?妙な予感がする。
タペンス。

(時計の時報)見覚えない?さあ。

(ミントン)エリザベス!・
(ミントン夫人)1人にして。
しっかりしないと疑いを持たれるぞ。
疑い?私たちのせいよ。
あんないい人を死なせてしまうなんて。
彼が自ら起こした事だ。
私手を引く。
駄目だ!それは許さん。
妻だろう。
それらしくしろ。
ホテル・ドゥ・パリにお茶を飲みに行くぞ。
ハァ…。

(泣き声)「彼」ってカーン少佐の事?ああ。
朝食の時ミントンにカーンの事聞かれたけどまさか…。
変わった人たちだけどスパイとは…。
全く気にしてなかったから見逃したんだ。
協力し合うべきだったね。
奥さんは関わりたくなさそうだわ。
亭主がNかな?彼女は隠れみの?ウン。
ハァ…。
1人の時を狙って問い詰めましょ。
アルバートを呼ぼう。
そのほうがいいわ。
ミントン夫妻はホテル・ドゥ・パリでお茶を飲む。
そのとき亭主を誘い出し奥さんを1人にしよう。
(アルバート)ああ弱い者を狙えだ。
こっちは100%確信を持てなきゃ動けない。
よし。
じゃ行ってくるよ。
行くぞ。
失礼します。
フロントにお電話が入っております。
お急ぎの。
ここに居ろ。
誰とも口をきくな。
ハーッ。
アッ…。
こんにちは。
ああブレンケンソップさん今主人とお茶を…。
ええ。
お邪魔はしないわ。
けさ奥様がとても動揺してらしたので気になって。
お話ししません?女性同士で。
アアッ…ええ。
ミントンさん?はいはい。
今こちらに向かってます。
ええ。
今代わりますんで。
ああお電話です。
ありがとう。
もしもし?もしもし?切れてる。
もう本当に?交換手につなぎましょう。
どうも。
(男)ごちそうさん。
カーン少佐の事がショックだったのね?みんな同じよ。
自殺するなんて…よっぽどの事よね。
何が原因だと思う?ハァ…今は話せないの。
誰がかもね。
自殺に第三者が関わってない事はほとんどないわ。
そうじゃない?ハァ…。
(ミントン)もしもし?もしもし?もしもし!やっぱり切れてる。
あれ?おかしいな。
もう一度やってみよう。
(ミントン)もう結構だ。
おお!こちらでしたか。
ワインを。
頼んでない。
(2人)アーッ!気をつけろ!ああ!何してるんだ。
手が滑って。
秘密を守るのは難しいわ。
(ため息)カーン少佐は私たちが…。
お二人で?アァ…。
実行したのは主人で私が協力したんです。
なるほど。
少佐は最後に私たちを信頼してるって言ったのよ。
何てこと。
ハァ…。
人の心って読めないものね。
フンまったくよ。
思えば自殺の兆候がたくさんあったわ。
自殺?僕はドライクリーニングの資格を持ってますから。
ホント。
ヘヘヘヘッ。
さあ眼鏡も拭きましょう。
いや必要ない。
ご心配なさらず。
しゃれた上着ですね。
もういい!返せ!アァ…。
主人の患者は戦争のせいで心に傷を負った軍人さんたちです。
資格を持ってないのに主人は金脈だと言って…。
それ以上しゃべるな!ほっといてくれ。
全部打ち明けたわ。
ウソはもうやめましょ。
エリザベス。
資格がないのよ。
詐欺か?失敬だな。
必要な知識は全て本で読んだ。
ハァ…。
学位が何だと言うんだね?待って!少佐から何か変わった話を聞いてません?過去の事で。
何なんだ?君たち。
知りたい事を教えてくれないとす〜ぐ通報しちゃうおせっかい焼き。
ハァ…催眠療法を施すと少佐はある名前を繰り返してた。
何て名前?フン…アニール・ハッサン。
・ああトミー。
カーン少佐はハズレだな。
恐らく偽名だろう。
・過去があまりにもきれいすぎる。
アニール・ハッサンを調べてください。
・分かった。
(電話が切れる音)
(受話器を置く音)ああビターを1杯頼む。
(バーテンダー)かしこまりました。
分かったぞ。
これが例のアニール・ハッサンだ。
ハァ…。
カーン少佐。
「ハッサン」はカーンが戦後秘密情報部にいた時のコードネームだ。
優秀な男で46年にはベルリンに居た。
ベルリン…。
どんな任務です?アメリカ側との情報の橋渡し役をしていたんだ。
ある文書が盗まれるまでな。
Nに?そのようだ。
少佐は責任を取らされ免職処分。
名声は地に落ちた。
きっとNの仕業です。
可能性は高い。
Nはドイツに居た。
気楽荘の宿泊客の中にいるかい?昔ドイツに居た人?ミントンに気を取られてたから。
ああ。
はいお待たせ。
でもまだ本命はカール・デニムだ。
カールじゃない。
だって少佐の封書が盗まれたとき宿に居たんだぞ。
それにあの洞窟は彼の隠れがだ。
怪しいのはスプロットよ。
違うね。
君には悪いけど。
おじさんもう一度デニムを調べてみます。
フーン。
証拠がなくては行動に出ることはできん。
Nに気付かれたらおしまいだ。
部屋を探って証拠をつかみます。
彼の注意をそらせれば…。
ウン…。
ウッアッ…。
鍵を。
早く!ウッウン。
アッ。
ハァ…。
ああ!アハハッ!大丈夫?どうかした?おお…。
あなたのオートバイだったのね。
よかったら乗せてもらえない?ウフッ。
ああ今はちょっとタイミング悪いかな。
ハッ…どこ行ってたの?ウン。
海に出てた。
泳いで?ボートで。
気分転換に。
そう。
その話したい?ウフッ。
いや。
そのダリア誰に?彼女に。
あっそう。
なあブレンケンソップさん。
俺恋人がいるんだ。
悪いけど。
気が合うと思ってたのに…。
ハァ…。
ケンカしたから仲直りを…。
ねえ待って。
その前に気を静めたほうがいいと思うわ。

(机を開ける音)ちょっと部屋に。
私何だか恥ずかしい。
勝手に勘違いしちゃって。
埋め合わせをさせて。
私…きれいなリボンを持ってるの。
きっとダリアが一層引き立つわ。
ウン。
ホント?ラウンジに置いてあるからあなた取ってきてくれる?彼女喜ぶわ。
ウフフッ。
そこ。
暖炉のそばにある。
ウフッ。
分かった。
お願い。
ウン!アッ…これ以上引き止められない。
見ろ。
アッ…。
君の友だちのだ。
カール・フォン・ディーネム。
ドイツ人?フッ…。
ハァ…。
・この旅券と拳銃が一緒にこの中に隠してあったんだ。
・じゃあカールは…。
・ああ。
ベルリンで発行されたドイツの旅券だ。
・ベルリン!?Nが居た所よ。
・そうだよ。
これ以上の証拠あるか?アッ!ハッ!ハッ!アァ…。
トミー!トミー待って。
フッ。
ウッ。
トミー!待ってよ!
(足音)
(荒い息遣い)トミー?どこに居るの?
(足音)
(荒い息遣い)
(荒い息遣い)ハァ…ハァ…ハァ…。
アッ…。
ウン!ああ!
(コウモリの飛ぶ音)アッアハッ!ハァ…。

(カール)アァ…。
ハァ…。

(カール)アァ…。
トミー?・
(カール)アァ…。

(引きずる音)トミー?ハハッ…。
ハァ…トミー?ハッ…ハハハッ。
ウン。
フッ…ウン。
どこなの?トミー。
ハハハハッハァ…。
ウフフッ…。
アァ…。
ハッ…ハァ…。
アァ…ハァハァ…。
ハァ…。
ハッ…。
ハッ…。
ウフフッウッ…。
ハァ…。
ハァ…ハァ…ハァ…。
ハーッ…ハッ…。
Nからまたメッセージだ。
早く見つけないと。
(カール)あんた何者だ?トミーはどこよ!?アッ…。
ハァ…まさか…。
(ヘイドック)メド〜ウズ!伏せろ!
(銃声)誰がNか分からないの。
話聞いてなかったの?数え切れないほどの人たちが犠牲になるんだぞ。
Nが先に鍵を見つけたらな。
絶対渡さないで。
お願い。
処刑場に向かう気分だ。
危ない!
(銃声)ウッ…。
アルバートこれを見ろ。
爆弾を作るのはバカでもできるが解除は天才にしかできないよ。
2015/12/06(日) 02:02〜02:57
NHK総合1・神戸
アガサ・クリスティー トミーとタペンス(5)アンコール「NかMか(2)」[二][字]

アガサ・クリスティー原作のおしどり夫婦が活躍する探偵ドラマ。日本初放送!スパイの正体を調べるため潜入捜査を始めたトミーとタペンス。次々と起こる事件に翻弄される。

詳細情報
番組内容
カーン少佐は、スパイのNに恨みがあり復讐(ふくしゅう)するつもりだとタペンスに打ち明ける。タペンスはNの正体を知ろうと、手紙を見せるよう頼む。トミーとタペンスは気楽荘の宿泊客全員が参加するパーティーに潜入し、カーンの動きを見張る。そのさなかに銃声が!宿泊客の経歴を知れば知るほど謎は深まるばかり。そんなとき、Nから驚くべき交換条件が提示される。
出演者
【出演】デビッド・ウォリアムズ…大塚明夫,ジェシカ・レイン…世戸さおり,ジェームズ・フリート…浦山迅,マシュー・スティア…佐久田脩,クリスティーナ・コール…藤本喜久子,エド・スピラーズ…小林親弘ほか
原作・脚本
【原作】アガサ・クリスティー,【脚本】クレア・ウィルソン
監督・演出
【演出】エドワード・ホール
制作
〜イギリス Endor Productions/Agatha Christie Productions制作〜

ジャンル :
ドラマ – 海外ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
英語
サンプリングレート : 48kHz

OriginalNetworkID:32080(0x7D50)
TransportStreamID:32080(0x7D50)
ServiceID:43008(0xA800)
EventID:19832(0x4D78)

カテゴリー: 未分類 | 投稿日: | 投稿者: