京都にある文化博物館。
入り口には今か今かと開場を待つ長蛇の列がありました。
その行列の裏で次々と運ばれていたのはたくさんの花。
色鮮やかでしかもユニークな形の花はおよそ30種類。
その花を手に作業を進める男性が一人。
彼は会場を彩る裏方さんでもブーケを作るお花屋さんでもありません。
〜スポットライトの中に現れた先ほどの男性こそがこの舞台の主役。
モデルに渡した花束から花を切り出しては頭にさしていく。
一輪また一輪。
髪の毛をオアシス代わりにまるで花を生けていくように。
人々が長い列をなしてでも見ようとしていたのはこうして花で頭全体を彩っていく彼のパフォーマンス。
設計図はなしに即興で。
数十種類の花をめいっぱい使い花でヘアスタイルを埋め尽くす彼はフラワーアーティストでもヘアメイクアーティストでもありません。
その名もしかし花結い師とはいったい?まるで植物でヘアデザインしたかのようなしぜんでしなやかなフォルム。
花結いをするのは女性だけでなく男性も。
なかでも和を感じさせる作風が海外メディアの目に留まりブレイク。
自然と人とを融合させた日本人アーティストとして今国内外から注目を浴びているのです。
その活躍の場はブライダルの世界にも広がりいまや引っ張りだこ。
ただのヘアアクセサリーじゃない。
そんなTAKAYAさんの花結いに魅了された彼女は…。
更にあのブライダル界の第一人者も衣装を引き立てそれでいて決して負けることのない彼の花結いをこう評します。
そんなTAKAYAさんが新たに取り組もうとしていたのは…。
なんと花結いをした遺影を撮り個展を開くこと。
なぜ生きている人の遺影なのか。
その花結いの謎すべてひも解きます。
初夏を迎えたばかりの大阪。
舞台の上には華麗なウエディング姿のモデルたち。
この日ホテルで行われていたのは50周年を迎えた世界的に有名なブライダルファッションデザイナー桂由美さんのファッションショーのリハーサル。
TAKAYAさんはその大事なショーで桂さんの指名を受けモデルの花結いを任されました。
この日担当するのはドレスではなく着物。
桂さんならではの豪華でモダンな白無垢と引き振り袖です。
3人のモデルのために用意した花はおよそ40本。
TAKAYAさんは和装にあえて洋風の花バラを選びました。
まずは引き振り袖。
その着物に使われている一色をセレクトしたまでは納得。
しかし驚くのはその使い方。
なんと長い茎は切らずにそのまま。
しかも主役のバラは下向き。
まるで花束を逆さまにしたようなデザインです。
前もって彼が設計図を描くことはありません。
そこでこのデザインの意図を少しだけ聞いてみると…。
一方白無垢に合わせて選んだのは丸い形の菊と真っ白なあじさい。
しかしそれだけではありません。
なんと真っ白い枝も。
花から枝が伸び頭には収まりきらない。
普通の白無垢からは考えられないデザイン。
これはどうして?彼が意図することそれは本番が始まってからようやく見えてきました。
まるでドレスのように軽やかな白無垢。
かつては女性が自分を抑え従順さを示す意味もあった角隠し。
その角をあえて出すことで現代女性が持つ意思の強さとかわいらしさをTAKAYAさんの花結いが雄弁に物語ります。
引き振り袖はカクテルドレスのときのブーケと真逆。
花をわざと下に向け和装ならではのしとやかさ茎が持つ芯の強さを表現したかのようです。
花と着物伝統と現代。
そして見るものと作るものを結ぶ。
それが花結い師という仕事。
京都八坂神社のほど近く。
TAKAYAさんが拠点とするアトリエがここにあります。
この日一緒に仕事をするモデルさんを待っていました。
今日はよろしくお願いします。
やってきたのはかわいい姉妹。
今日の仕事はイギリス王室御用達のペイント会社AnnieSloanから商品の魅力を花結いで表現してほしいとの依頼です。
淡い色に豊富なバリエーションを持つ企業。
それに合わせ用意したのはスカビオサやあじさいなどグラデーションのある花3種類以上。
早速花結いが始まりました。
子どもの顔のサイズに合わせ花びらの小さいものをチョイス。
この日もうひとつ用意していたのがなんとミニチュアの机とイス。
実は前日この会社のチョークペイントを使ってTAKAYAさん自ら色を塗って作ったものでした。
ということはもしかして花と一緒にこの机とイスを頭に置くということ?これにはモデルの女の子たちも…。
いけるか!?うわっ!あ〜。
どんな突飛な小道具もTAKAYAさんの手にかかればこのとおり。
まるで子どもたちがお花畑のなかお絵描きをしたような作品です。
頑丈頑丈。
そう言いながらもお花畑に無事イスと棚も置かれました。
光や画角ひとつでイメージが変わる。
だからブライダル以外の作品はいつも自ら撮影をします。
今回の作品が一般公開されるのは来年の1月。
花が縁で出会った子どもたち。
作品を見たときの2人の顔がTAKAYAさんのもうひとつの楽しみです。
花を生業にしながら彼は生け花もフラワーアレンジも習ったことはありません。
斬新な発想を持つTAKAYAさん。
感性の源は意外なところにありました。
ここは動物園でいちばんのお気に入りの場所。
お目当てはマンドリル。
確かにちょっと変わった色。
しかしなんでまたお尻なんでしょう?まるで子どものような色の見つけ方。
しかし少年時代の彼にそんな美しい色はありませんでした。
4人兄弟の末っ子。
人づきあいが苦手で小・中学校と引きこもりがち。
毎日がモノクロの世界でした。
15歳で社会に出た彼はアルバイトをしながら料理人を目指し24歳で念願の店を持ちます。
色を吟味し素材を組み立てる。
そんな盛り付けの楽しさに夢中になった彼はやがて料理以外の盛り付けを考えるようになったのです。
初めて人に花を結ったのをきっかけに次々と湧き出るイメージ。
花と人更に自分の心が結ばれる気がしました。
そして30歳のとき料理人をやめ花結い師へ。
しかし門を叩いたウエディング業界では…。
それでも美容雑誌やウェブサイトに売り込みを続けついには海外メディアの目にも留まるようになったのです。
花結い師になって今年で10年。
TAKAYAさんはあることに取り組もうとしていました。
花結い師になって10年。
実はずっと考えていたことがありました。
自身を筆頭に花結いをした50人分の遺影を集めた前代未聞の個展です。
死を考えることは自分の人生を見つめなおすこと。
生きているうちの遺影だからこそ人生の新しいスタートのきっかけになると考えたのです。
そこで作品に協力してくれる人を募集。
その中の1人の女性がやってきました。
今回の作品作りは花も衣装も本人に好きなものを選んでもらいます。
カトリック教徒の彼女が選んだのは聖母マリア様の花百合。
しかしなぜ遺影を撮影しようと思ったのでしょうか?家族が次々亡くなってたときにその分までちゃんと生きないといけないなとそういうふうに思ってしまって。
その言葉から受ける彼女自身のイメージをどう花で表現するかが彼の腕の見せどころです。
経験した困難が授けた彼女の強さ。
そこに希望のつぼみを添えて。
そうでしょ。
この女性は元気な今のうちから自分のお葬式プランを考えていました。
はっきり言って。
朗らかさに隠された人を思いやる優しい心。
やわらかなバラのグラデーションで。
こんにちは。
どうぞ。
なんと次に遺影の撮影に来たのは数少ない男性の一人。
実は清水さん今年2月がんを宣告されました。
二度の大きな手術を受け現在も療養中です。
清水さんが選んだ花は生命力を感じるという真っ赤なバラ。
花言葉は愛そして情熱。
彼の病に立ち向かおうとするその気持をこのバラでどう代弁させるのか?クッ!って。
決して多くは語りません。
余分な言葉より花がどれほど人の言葉に語りかけるかをTAKAYAさんは知っているからです。
笑いましょう。
若々しく。
清水さんが見せたとっておきの笑顔。
「また新しい遺影を更新しに来ます」。
清水さんはそう言ってスタジオをあとにしました。
いよいよ遺影展まで2週間。
TAKAYAさんは個展の最後に披露する花結いの花を探しに愛知へとやってきました。
最も信頼するTAKAYAさんがよく使うダリアを育てています。
なかには市場にあまり出回らない直径40センチにもなる希少なものもあるといいます。
しかし今回の彼の目的は…。
TAKAYAさんが欲しいとねだったのはなんとダリアの球根。
TAKAYAさんこの球根を使っていったいどんな花結いを考えているのでしょうか?11月12日遺影展当日。
会場は京都の古刹建仁寺。
美しい庭を望むその本堂には50人分の遺影がズラリと並びます。
生きること死ぬこと。
その2つを同時に考えてほしいとお寺での開催をTAKAYAさんは決めました。
いつかは消えるからこそ命は美しい。
その遺影に写っていたのはそんな花のように輝く笑顔です。
遺影展の締めくくりはTAKAYAさんの花結いで。
芽が出て花が咲く。
やがて枯れる運命にあっても花は上を向いている。
人の人生も同じこと。
そしてその生きた証しは大地の下の新たな生命として受け継がれる。
球根の花結いにはそんな意味が込められていました。
過去と未来喜びと悲しみ。
そして人と人の心をはかなくも力強い花で結んでいく。
そんなあなたを応援します。
2015/12/05(土) 22:30〜23:00
テレビ大阪1
クロスロード【TAKAYA/花結い師】[字]
自らを「花結い師」と称し、人の頭を生け花のように、生花や植物、野菜などを挿して飾りつける、海外メディアからも注目の日本人アーティスト・TAKAYAに密着。
詳細情報
出演者
【ナビゲーター】
原田泰造
番組内容
TAKAYAはヘアメイクアーティストでもなければ、フラワーアレンジメントも作らない。彼が作るのは、人の頭から植物が湧き出たような独創的なヘッドドレス。
花結い師として活動するようになって10年。彼はこの秋、花結いをした50人の遺影を自ら撮影し、個展を開くという。一体なぜ、遺影を作ろうと思ったのか?
新たな世界を切り拓こうとするTAKAYAを追った。
番組概要
様々な分野で活躍する、毎回一人(一組)の“挑戦し続ける人”を紹介。彼らが新たなる挑戦に取り組む今の姿を追う。挑戦のきっかけになったもの、大切な人との出会い、成功、挫折、それを乗り越える発想のヒントは何からつかんだのか?そして、彼らのゴールとは?新たにどこへ向かおうとしているのか…。そんなクロスロード(人生の重大な岐路)に着目し、チャレンジし続ける人を応援する“応援ドキュメンタリー”。
音楽
【エンディングテーマ】
「youth」竹原ピストル
(JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント)
ホームページ
http://www.tv-tokyo.co.jp/official/crossroad/
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – その他
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