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子どもの貧困「社会的損失4兆円」
12月3日 17時07分

子どもの貧困「社会的損失4兆円」
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貧困状態にある子どもに教育などの支援を行わなかった場合、個人の所得が減る一方で、国の財政負担が増えることから、経済や国の財政に与えるマイナスの影響=「社会的損失」は、15歳の子どもの場合、4兆円に上ることが日本財団の推計で初めて明らかになりました。
これは貧困状態にある子どもの割合が国の推計で6人に1人と増え続けるなか、子どもの貧困が社会全体に与える影響を明らかにしようと日本財団が行いました。対象は現在15歳の子どものうち、生活保護世帯やひとり親家庭のおよそ18万人で、現状のまま進学や就職をした場合と、学習支援などを行って高校や大学への進学率を貧困でない世帯と同じくらいにした場合とで、就職や所得がどのように変化するかを予測しました。
その結果、現状のままの場合、将来、正社員として就職する人が9000人減るほか、無職になる人が4000人増えることになり、生涯で得られる所得は学習支援を行った場合と比べて2兆9000億円、少なくなるとしています。その一方、国の財政的負担は税収や保険料などが減ることで1兆1000億円、増えるとしています。こうした状況から、日本財団は経済や国家財政に与えるマイナスの影響=「社会的損失」は所得の減少と国の財政負担の増加で、合わせて4兆円に上ると推計しています。
子どもの貧困について社会全体に与える影響が具体的に数値で示されたのは初めてだということで、日本財団は「子どもの貧困は経済にも大きな影響を及ぼす問題としてきちんと対策をとることが重要だ」と指摘しています。

「貧困の連鎖断ち切るためさらに研究必要」

今回の推計について、教育経済学が専門の慶應義塾大学の中室牧子准教授は「これまで子どもの貧困は個人の問題と捉えられがちだったが、社会や経済全体に影響があることが示され、私たち一人一人の問題として考えるきっかけを作ってくれたことは非常に重要だ」と話しています。さらに「努力すれば何とかなる社会であることは非常に大事で、不幸にも親が子どもの教育に十分投資できないときには社会が補うべきだ」としたうえで、「貧困の連鎖を断ち切るためにどの年代の子どもに学習支援を行うことが効果的なのかや、中退する子どもはどういった問題を抱えているのかなど、分からないことも多く、今後、研究していく必要がある」と話しています。

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