おはようございます。
週刊ニュース深読みです。
まずは?
こちらです。
小惑星探査機はやぶさ。
5年前に数々のトラブルを乗り越えて、地球に帰還しました。
記憶に新しいという方も多いかと思います。
映画にもなりましたからね。
その後継機がこちら、同じく小惑星を目指して飛行している、はやぶさ2なんですね。
このはやぶさ2が今週、地球に接近しました。
ニュースになりましたよね。
どういうことか、模型でちょっと説明しますと、はやぶさ2はですね、地球の重力を利用して、進路を変えたんですね。
これ、スイングバイといいます。
この進路を変えるときに、地球の近くを通ると。
この最も地球に接近する時間帯に合わせて、望遠鏡でその姿を捉えようと、列島各地で多くの人たちが観測に挑んだんです。
おととい、地球に最接近したはやぶさ2。
見える可能性があるのは、日没後、西の空に現れ、午後7時前に東の空へ抜けていくまでの間です。
こちらは川崎市の科学館です。
撮影に挑んだのは、職員と地元の天文ファン合わせて7人です。
3種類の望遠鏡で、はやぶさ2を追います。
軌道に合わせて望遠鏡の向きを頻繁に調節します。
去年12月に打ち上げられたはやぶさ2。
目指すのは、地球と火星の間にある小惑星Ryuguです。
Ryuguには、水や有機物を含んだ岩石があると考えられていて、持ち帰ることができれば、生命の起源に迫れる可能性があります。
今回挑んだのが、スイングバイという、小惑星の軌道に乗るために不可欠な作業です。
はやぶさ2が地球に接近することで、重力に引き寄せられ、加速します。
そして地球が太陽の周りを公転するスピードに乗って、さらに加速。
その勢いで目指す小惑星の軌道に近づける計画です。
重力を利用して、燃料を節約しながら加速することができるのです。
これは、スイングバイの際、地球に近づくはやぶさ2が撮影した画像です。
地球の陸地や雲などが、次第にはっきり見えてきます。
撮影されたのは、おととい午前9時から、最接近直前の午後6時前にかけてでした。
一方、そのころ、地上では。
川崎市の科学館です。
空にはどんよりと厚い雲が。
なかなかはやぶさ2を捉えることができません。
撮影を諦めかけた午後6時45分ごろでした。
あっ、来てる、映ってる、映ってる、映ってる。
すごい。
見えてる。
画面を左から右に通り過ぎる点。
はやぶさ2を捉えることができました。
望遠鏡の向きを変えながら、およそ10分間で数回、観測に成功しました。
ほかの地域でも。
日本公開天文台協会によりますと、全国の21の天文台や科学館などが撮影に成功したということです。
JAXA・宇宙航空研究開発機構によりますと、これまでに得られているデータからは、はやぶさ2が小惑星を目指す軌道に入ったと見られるということです。
ここからは科学文化部の新本デスクとお伝えしていきます。
速かったですね、ひゅーっと。
速かったですね。
普通、夜空を見ますと、われわれ、何億光年と先の天体を見てる、遠い所の天体を見ているわけですけれども、今回、はやぶさ2は、地球の上空僅か3000キロ、大体日本列島の北から南を、北海道から沖縄ぐらいの距離、非常に近い所を通っていった。
さらに、地球の重力で引き寄せられ、加速したので、ああいうふうに見たことのないような、しゅーっという軌跡を描いたということですね。
見てると、本当に小さい点じゃないですか。
あれをやはり皆さん、非常に喜んで見てると、これやっぱり、はやぶさに対する思いですかね。
そうですね。
やっぱりその点を見たいという思いより、はやぶさ、そしてはやぶさ2に対する思いであろうと。
将来のはやぶさは、皆さんご存じのとおり、小惑星行きましたけども、これ、やっぱり日本の宇宙技術にとって、一つの大きな新領域を開拓した、今まで日本の宇宙分野は、欧米やロシアがやってきたことの後追いをやってきたわけですけれども、はやぶさは欧米やロシアでできなかったことを成し遂げた。
月よりも遠い小惑星まで行って、そこの砂や石を採取して、これ、人類初めてのことを成し遂げた、そのはやぶさに対する思いの強さ。
これだけ盛り上がってるんじゃないかなと思いますね。
はやぶさ2は、今度何を?
初代のはやぶさは特に小惑星の所まで行ってみようということだったんですが、今回、はやぶさ2は、先ほどもありましたけれども、生命の起源に迫ろうという、大きな目標を掲げているんですね。
要は小惑星の表面にある砂、石を取ってくるだけではなくて。
それは前、はやぶさがやりましたよね。
はやぶさがやりました。
その少し奥深くにあるかもしれない、例えば水ですとか、あるいは有機物といった、そういった生命の起源につながるようなものがないかということを探しに行く、ということは表面だけではなくて、より深い所から岩石を取らなくちゃいけない。
先ほどありましたけれども。
これですね。
これがはやぶさ2がやろうとしていること。
これですね、重さ2キロの銅の塊を、秒速2キロでぶつけて、大きな穴を開けて、そこから少し奥にある岩石を取り出す。
そこに生命の起源がないだろうかと、こういう挑戦なんですね。
でも、初代のときはようやく帰ってきたじゃないですか、これ、うまくいくんですか?
おっしゃるとおりで、初代のはやぶさも、今回のようなスイングバイは成功し、小惑星にたどりつくところまではおおむね計画どおりでしたと。
ただ、着いてからが苦難の連続で、皆さんのご存じのとおりなんですけれども、はやぶさ2も、初代よりも難しいことに挑みますので、これまず、着いたあと、そこでどうなるか、これが非常に注目になる。
そしてちゃんと帰ってこれるかと。
ちゃんと帰ってこれるかですね。
いつ、帰ってくるんですか?
帰ってくるのは5年後、2020年、東京オリンピック・パラリンピックの年ですね。
無事に帰ってこれるかどうか、大注目だと思います。
ここまで新本デスクに聞きました。
次は?
次は、国連の地球温暖化会議COP21です。
フランスで開かれてるんでしたよね。
同時テロ事件を受けて、厳戒態勢が敷かれたパリ。
COP21の開幕に合わせ、およそ150の国と地域の首脳が、続々と集まりました。
事件の現場を訪れ、犠牲者を悼む姿も。
会議は、各国首脳の演説で幕を開けました。
地球温暖化対策の新たな枠組み作りに合意できるのか。
議論の行方を世界が注目しています。
地球温暖化対策を話し合う国連の会議・COP21なんですが、小野さん、この21っていう数字分かりますか?
21世紀じゃないんですか?
ではないんです。
こちらなんですね。
これ、開かれた回数なんです。
最初のCOPというのは、1995年にドイツのベルリンで開かれました。
そのあと、毎年開催されていて、今回のパリが21回目。
だからCOP21。
もう20年もやってるんですか。
そうなんです。
というか、もう20年もやってるのに、まとまらないんですね。
1997年には、3回目のCOPが、京都で開かれました。
このとき初めて作られた国際的な枠組みというのが、聞いたことがある方も多いと思います。
こちら、京都議定書なんです。
ちょっとこちらを見てください。
京都議定書は、先進国全体の温室効果ガスの排出量の削減目標を定めました。
このときはまとまったんでしたよね。
しかし、2001年、当時、世界最大の排出国だったアメリカが離脱。
また議定書で削減が義務づけられていない発展途上国の排出量が急増して、先進国を上回るようになったんです。
このため、アメリカや途上国を含めた、世界全体で取り組む新たな枠組みの必要性が高まっているんです。
ただ、これまでの会議では、先ほどもありました、途上国にも削減を求めたい先進国と、先進国により大きな負担を求める途上国の対立などで、合意には至っていないというのが現状なんです。
すべての国が参加する温暖化対策。
今回は合意できるんでしょうか。
開幕に先駆けて、温室効果ガスの排出量世界1位の中国と、2位のアメリカが首脳会談を行いました。
両首脳は協力して、新たな枠組みの合意を目指すことを確認。
削減の鍵を握る両国が、協力を前面に打ち出しました。
世界各国が直面する地球温暖化。
こちらはそのシミュレーションです。
時間とともに、地球全体が高温状態を示す赤色に変わっていきます。
国連の機関は、このまま何も対策を取らなかった場合、世界の平均気温は今世紀末には、産業革命前と比べ、最大で5.4度上昇すると予想しています。
温暖化によって何が起きるのか。
環境問題担当の解説委員は。
温暖化というのは、気象が極端になる現象なんです。
海や陸が暖まると、水分が蒸発しますよね。
この出来た水蒸気というのは、やがて雨や雪になって降ってきます。
ここでもし温暖化が起こると、蒸発する水蒸気の量がぐんと増えます。
陸で蒸発する場所では、水分がこれまでより激しく奪われますから、干ばつが起きたりするんですね。
海のほうで、暖かい海で大量の水蒸気が蒸発すると、この水蒸気は大気の流れを加速するエネルギー源になるんですね。
その結果、大気の運動が激しくなって、暴風雨、最近はハリケーンだとか、最近はスーパー台風なんて言い方をしますけども、大雨を降らせる。
これが洪水や土砂崩れといった災害を起こすこともあるんです。
つまり、温暖化というのは、ただ温度が上がるだけではなくて、温度が上がることによって、さまざまな気象の変化をもたらすものなんです。
海水の膨張などによる海面上昇の影響も深刻です。
南太平洋の島国の中には、海に沈むおそれがあると指摘されている所も。
こうした壊滅的なリスクを避けるため、進められている、すべての国が参加する枠組み作り。
世界の平均気温の上昇を、産業革命前と比べ、2度未満に抑えるという目標に向け、これまでに180か国以上が、温室効果ガスの削減目標を、国連に提出しています。
例えばアメリカは、2025年に、2005年と比べて26%から28%削減。
日本は2030年までに2013年と比べて26%削減。
そして途上国も目標を提出しています。
最大の排出国、中国は、GDP・国内総生産当たりの二酸化炭素の排出量を、2030年までに2005年と比べて60%から65%削減するとしています。
みんな努力しているように見えますね。
ただ、こうした削減目標を各国が達成したとしても、気温の上昇を2度未満に抑えるという目標は、実現できないとする試算結果がまとまっているんです。
もう手遅れっていうことですか?
どうして目標達成は難しいんでしょうか。
大体累積で2兆9000億トンぐらいの量だというふうにいわれています。
ところがこれは、すべてこれから出せるということではなくて、産業革命から現在までの間に、そのうちの3分の2ぐらいはすでに排出済みなんですね。
つまりコップがあったらそのうちの3分の2はもう、塞がっていると。
これから使える残りの空きは3分の1ぐらい。
大体2011年の時点で、残り1兆トンぐらいしかないんですけれども、この1兆トンというのは、今の世界全体の排出ペースで増えていくと、20年ぐらいであふれてしまうというわけなんです。
つまり努力が足りないんですね。
では、どうしたらいいんでしょうか。
ここからは、現地でCOP21の取材に当たっている橋本記者に聞きます。
橋本さん、月曜日に開幕した会議ですが、交渉の状況、今、どうなってますか?
交渉の最大の焦点ともいえる、温室効果ガスの削減目標を巡って、一つの進展が見られました。
新たな枠組みを作るにあたって、今回、180を超える国が初めて削減目標を自主的に作って、国連に提出しています。
これを今回だけでなく、今後も定期的に提出することや、5年に1度世界全体でどれだけ削減できているかを、検証することの2点を義務づけることで、おおむね一致しました。
これは前向きな動きではありますが、もともと大きな対立がなかったポイントだということも、また事実です。
温暖化対策に最も効果がある目標の達成の義務づけ、つまり、目標は必ず達成をしなければならないという縛りをかけることについては、経済に与える影響への懸念などから、日本やアメリカ、それに中国を含むほとんどの国が反対をしています。
草案に盛り込むのは難しい状況です。
そうですか。
このあと、交渉はどんなふうに進んでいくんでしょうか。
来週から始まる閣僚級の会合に向けて、今週は実務者レベルで、争点を整理する作業を行っています。
ただ、削減目標を巡っても、先進国と発展途上国で実行のプロセスをどこまで差をつけるのかや、先進国が途上国への資金支援を、どこまで行うのかなどについて、多くの争点で対立は残されたままです。
実務者レベルの交渉は、多くの対立点を先送りして、日本時間の今夜、終わる見通しです。
来週から始まる政治レベルでの交渉は、紛糾する見通しです。
橋本記者でした。
ここまで、COP21についてお伝えしました。
次も地球規模の環境問題ですね。
こちら、大気汚染物質のPM2.5です。
今週、中国の北京では、この冬最悪の大気汚染に見舞われました。
PM2.5の値というのは、日本では外出を控えるように呼びかける基準というのがあるんですが、その基準の9倍から10倍。
海を越えて、日本への影響も心配されてるんです。
大気汚染でかすむ天安門。
車の多くは、昼間でもヘッドライトを点灯しています。
今週の月曜日と火曜日、北京では高い濃度のPM2.5を観測し、市民生活にも影響が出ました。
外出する人もいるんですね。
現地の記者は。
粒子の大きさが2.5マイクロメートル以下のPM2.5。
肺の奥深くまで入り込み、ぜんそくなどの病気を引き起こすおそれがあると指摘されています。
特に冬は、家庭向けの暖房を供給する大規模なボイラーが稼働して、石炭が大量に使われることが、濃度が上がる原因の一つとされています。
北京在住の日本人には、日本大使館からこんな呼びかけも出ていたといいます。
ところが2日後には、北京は抜けるような青空。
あれ?汚染物質、どこ行っちゃったんですか?
一面を覆っていた汚染物質は、どこへ行ったんでしょうか。
まさか。
そうなんです。
PM2.5の動きを予測したシミュレーションです。
あっ、あー。
PM2.5があった、北京にあった濃度が高い可能性を示す赤い部分なんですが、一部が日本に近づくことを示していました。
そのPM2.5が今週、高いと予測されたのがこちら、沖縄なんです。
沖縄県ではこれまで、一回も注意喚起に至る濃度を観測したことはありません。
NHK、高井と申します。
きょうはよろしくお願いします。
この日は那覇市役所の担当者が、朝から1時間ごとに更新される、観測装置からの数値を確認していました。
けさ7時は18ですけど、8時に27、9時に33。
ちょっとずつすごい上がってますね。
そうですね。
1段上、前の日の同じ時間と比べると、確かに高い数値を観測していました。
市役所の福祉施設などを担当する部署に、メールで事前の連絡も。
この日は、注意喚起する濃度に達しませんでしたが、いつまた対応が必要になるか分からない状況は続きます。
なぜ今回、予測されたほど濃度が上がらなかったのか。
専門家は。
しかし、中国大陸からのPM2.5に対しては、引き続き、注意が必要だといいます。
続いてこちらのニュースです。
奈良・東大寺の大仏にある巻き貝のように巻いた髪、螺髪。
これまで伝えられていた数の半分ほどと見られることが分かりました。
直径と高さがおよそ20センチの螺髪。
平安時代の記録では、創建当時、966個作られたと記され、江戸時代に作り直されたあとも、966個と説明されることが多かったということです。
ただ、頭の後ろは隠れていて、正確な数は確認できていませんでした。
このため、東京大学のグループがレーザー光線を使って分析したところ、全部で492個で、このうち9個が現在は外れていると見られることが分かったということです。
ゲゲゲの鬼太郎などで知られる、漫画家の水木しげるさん。
月曜日、都内の病院で亡くなりました。
93歳でした。
おい、鬼太郎。
幼いころ、お年寄りから聞いた、お化けや妖怪の話から、イメージを膨らませた漫画が大ヒットし、人気を集めました。
みずからの戦争体験を元にした、総員玉砕せよ!などでは、戦争の愚かさや人の幸せとは何かを問いかけました。
平成22年には、妻の武良布枝さんが書いた自伝がドラマ化され、夫婦の生き方に多くの共感の声が寄せられました。
続いて、深読みのコーナー。
あの日から自由に観光を楽しむことすら難しくなってしまったのでしょうか?パリの同時テロから3週間。
出国される方々どういう思いなんでしょう?花の都・パリ。
多くの観光客でにぎわうパリが、今…。
あの凱旋門も…あのエッフェル塔も…フランスは全土で非常事態が続いています。
この季節、かき入れ時を迎えるパリのこちらのホテルも…。
世界に衝撃を与えたパリ同時テロ事件。
街は、人々の暮らしはどう変わったのか?事件の背景を探るとともにテロに対し市民ができることは何か?深読みします。
きょうもメール、ツイートでのご参加、お待ちしています。
早速声、ご紹介します。
神奈川県30代の女性。
そうですよね。
実は私も、年末年始でパリに行こうとしていました。
ああ、そうなんですか。
泣く泣くキャンセルした一人です。
もうこれから、安心して海外旅行なんか行けない時代になってしまうのか。
きょうはそのあたりを、まず中山アナウンサーに聞いてみましょう。
おはようございます。
私に聞かれてもですね、正直、お答えできるか分かんないんですよね。
行くべきか行かないべきかっていうのは。
でも、そう考えてしまうこと自体が、どうなのかというのを、きょう、皆さんに感じていただくために、このプレゼンテーションを見ていただきます。
日本の企業も、海外に進出している企業の多くは、出張などの制限をさまざましているというニュースがけさあった、その大元となったのが、この過激派組織IS・イスラミックステートが犯行声明を出した、パリでのテロ。
パリ、こちら、緑色の部分、濃い緑色の部分のパリを中心にですね、その近郊を含めてバツの印の所で、130人もの命が奪われた。
この犯行、容疑者たちは、この10人と今、見られていて、いわれております。
これ、見るとですね、まだ逃走中の容疑者がいます。
捜査は今も続いている状況。
この容疑者たちがですね、起こしたテロは、新たなテロの幕開けとも今、いわれています。
何が新しいのかという点をきょうは心強い、こちらの方にも来てもらっております。
実はパリのテロ直後に、現地に入って取材をしていた熊谷ディレクターです。
よろしくお願いします。
おはようございます。
熊谷ディレクターはですね、この容疑者たちに関して、まず取材に入ったんですよ。
私はですね、こちらの逃走中のサラ容疑者について取材をするために、彼の家族、それから彼の友人に話を聞いてきました。
皆、口をそろえて言うのが、あんな普通の若者がなぜ?ということだったんですね。
実際、このお写真も見ても分かるようにですね、彼はイスラムの象徴であるひげも生えていません。
本当だ。
そういえばそうですね。
さらに彼はお酒も飲みますし。
えっ、お酒も飲む?
お酒も飲むんですね。
かなり普通だと…。
今、彼女もいたって言いかけました?
そうですね。
さらに彼女もいたんです。
本当に普通の青年。
彼は実際、家族と一緒に住んでいたんですが、家族の誰も、彼がISとつながっているということに、気付きもしなかったんです。
彼が、テロの数週間前に会ったという知人は、いまだに彼がテロリストのわけがないと、彼はそんなことをしてるわけがない、信じられないということを言っているんです。
でもなんか、日常の言動の中に多少はなんか、ISの気持ちも分かるよねと言ったりしたとか、そういうこともなく?
全くないんです。
そんなに大きな事件を起こすのに、分からないものですか?
そうですね。
結局少しでも何か変化というのを見つけようと思って、いろんな方に話を聞いたんですが、どこからもそういう話が出てこないと。
ただ明らかに、このテロを実行しているということなんですね。
ものすごい普通の人だったということですよね。
そうですね。
まさに家族にも気付かれない、親しい仲間にも気付かれない。
そうした普通の若者がある日突然、テロリストになると。
とても恐ろしい現実だなと思いましたね。
外から入り込んできたんじゃなくて、そこに住んでる人が、ある日突然、テロリストになってたということですよね?
そうですね。
なんでそういうテロリストが出てきたのかっていうあたりなんですけれども、実は、その理由に大きく言えるのが、この容疑者たちの生い立ちが一ついえるんです。
フランス人とかベルギー人って書いてありますけども、この容疑者たちの親世代というのは、アフリカなどから来た移民だったんですね。
この移民の人たちで、暮らしているのも、ヨーロッパ、今いろんな所にある移民街だったんです。
移民街の中でも、イスラム教徒というのは非常に増えてて、イスラム教徒の人たちって、ヨーロッパ全体でいうと、もう急激に増えてて、2000万人を超えているといわれているんです。
この中にいるイスラム教徒の若者たちの表情って、こういった形でいわれてます。
みんな怒ってますよね。
この怒っている理由があるんですよ。
こちらなんです。
根深くあるんだそうです。
この実態も熊谷ディレクター、見てきました。
実際私が行ったのは、こちら、フランスの隣、ベルギーの首都ブリュッセルにあるモレンベークという地区です。
この地区はまさに、今紹介のあった移民街で、ここに住んでいる半数近くが移民の人。
しかもイスラム教徒が多い地域なんです。
ここの若者たちは、皆この差別と偏見というのを、かなり感じていました。
実際、私がお会いした、アルジェリアから移民としてやって来た30代の男性なんですが、この男性、2年半にわたって仕事に就けないでいます。
どうやって暮らしているんですか?
今、失業保険のようなものがあって、それで月10万円ほど、なんとかありまして、それで一応、家賃とたぶん、それ、食費でほとんどなくなってしまうということで、本当に自分で使えるお金は、恐らく3000円ぐらいしかないと。
だからもしかぜとかひいても、病院に行くことすらできないということで、かなり貧困状態なんですけど、その彼が、仕事に就けないというのは、決して彼がそういう活動をしてなかったりとか、怠けてるというわけではなくて、彼は日本で言うハローワークのような所に、毎日毎日通ってます。
そこで求人情報を調べて、企業に対して履歴書を送ってます。
しかし、面接に行かないですべて落ちています。
履歴書の時点で落ちてしまうんです。
その理由がですね、彼自身がアルジェリアからの移民であること、またイスラムの名前であること、それとイスラム教徒の名前ですね。
それからさらに、こうした移民街に住んでいること、こうしたことが理由で、面接にもたどりつけず、履歴書の時点で落とされてしまうんです。
ーそういう若者がたくさんいたんですね。
そうですね、実際、彼だけではなくて、この地域というのは、4割以上、およそ5割近く、2人に1人の若者が、実際仕事に就けていないという状況で、かなりの若者が、この仕事に対して、就職に対しての差別、偏見を感じていると言っていますね。
今回の容疑者の誰かの出身の場所でもあったんですか?
この首謀者といわれるアバウード、それから私が取材してたサラ容疑者、さらに彼のお兄さんですね。
ブラヒム、この3人が少なくとも、このモレンベークという地域、こちらですね、モレンベークというこの地域に住んでいたということが分かってます。
こうしたことを見ても、彼らに実は居場所がなかったというふうにも見ることができて、ヨーロッパなのに、同じヨーロッパなのに、自分たち、違う生活を強いられている、つまり、ここにはこういったある意味、高い壁があるともいえるんです。
この差別や偏見があって、不満もどんどん高まる若者たちのここにつけ込んでいるのが、これなんですよ、IS。
ISはこういったことを掲げています。
イスラムの国を共に作ろうじゃないか。
この若者たちに、こんな映像を用意して、インターネットで流しているんです。
君たちの居場所はここだよ。
ISにあるよ。
これ家族の幸せそうな映像なんですけれども、これ、私、映像いろいろ見ました。
いろんな種類、いろんな言語で用意されているんですね。
この映像、そんなに長くない、数分間のものなんですけど、見てみると、映画の予告のような、インパクトある。
うまいんですよね。
本当、上手な巧みな作りをしていてですね、まさにここに行ってみたい。
ここに行けば幸せがあるんじゃないかと思わされてしまうぐらいの、本当に見事な作りをしているんですよ。
ISはさらに、ああいった若者に対して、ツイッターなどを使って、直接、悩み相談も今、行っている。
怖いのは、そこで使っているのは、若者ってこれですよ。
スマートフォン。
となると、周りの人から分からない、気付かれないうちに、この人は、自分の居場所はここじゃない、ヨーロッパは敵である、ISこそ自分の居場所だという形で、戦闘員になっている人たちがいる。
ヨーロッパからイラク、シリアなどに渡って、過激派組織などのこの戦闘員になった人の数というのは、今や5000人近くまで来ているというふうにいわれているんです。
ISは、さらにこの若者たちを取り込むために、ここも利用している。
これ、一般の人たちとは、ある意味壁がある、刑務所なんです。
ここに若者が窃盗などを働いて、軽犯罪ですが、入れられることがあります。
ここにいる人、これがなんと、ISの戦闘員。
一度、ヨーロッパからシリアに渡って、またヨーロッパに戻って、ISなど、通信をしていた記録があるということで、逮捕されて刑務所に入ることがある。
この実例があったんですけど、この人が若者に対して、こういう呼びかけをしました。
君の居場所はここじゃない、ヨーロッパは敵だよ、これを日々日々、ずっと繰り返し言い続ける。
そうすると若者は軽犯罪ですから、すぐに外に出ることになるんですよ。
でも服装はね、こう、一種普通ですが、心の中はですよ、自分の居場所はここじゃない、ISこそ自分の居場所だ、敵はヨーロッパだと思って、水面下でネットワークを作って、武装して、そして起こしたというのが、今回のテロだった。
今回、こういった若者はこのようにいわれています。
ホーム・グロウン・テロリスト。
イラク、シリアなどで育ったんじゃなくて、自分の国で育ってテロリストになった人。
熊谷ディレクターはこの過激派組織ISの戦闘員になった息子を持つ親にも、取材をしてきています。
私が取材したのは、こちらの女性です。
息子が3年前にISの戦闘員になりました。
実際、この彼女の息子は、移民2世で、小さいころからかなりの差別を受けていて、実際、仕事にも就けないでいました。
そういう不満を日々、この母親にもぶつけていたそうです。
そうした息子が、ある日突然、シリアに行って、そのあと、全く情報が入らなかった。
そうした中で、あるサイトにですね、動画サイトで、彼女は息子の姿を見ます。
それがこちらです。
ISの戦闘員になった息子の姿を、動画サイトで初めて見ました。
母親は、どうしてうちの子がと、かなり涙を流したそうです。
その母親が私に話してくれたことばで、とても印象的なことばがあるんです。
それは、この息子の表情。
実はですね、これ、ちょっと分かりづらいかもしれませんが、すごい笑顔なんです。
笑顔なんです。
それで母親は、23年間、息子と一緒に住んでいましたが、一度もこうした笑顔を見たことがなかった。
お母さん、これはつらい。
悲しい。
私は23年間、息子に幸せっていうのを提供できなかった、与えられなかったということを悔やんでいました。
実際、この居場所がない若者にとって、本当にISの戦闘員というのは決して幸せな環境ではなくて、彼と一緒に行った友人も、戦闘中に死んでます。
彼も背中を撃たれたりしたそうです。
それぐらい過酷な場所であるにもかかわらず、その場所が彼にとっての居場所になってしまった。
自分が生きてるって実感できる場所になってしまうということを分かったときにですね、とても根深い問題だなというふうに感じました。
そういったことを感じる、今回のテロなんですけれども、フランスでは3週間、ここまでの間にこんなことが起きているんです。
市民たちの間で、こんな事件。
イスラム教の女性に対して、20代の男性、市民が、カッターで首を切りつける、モスクを壊す、襲撃するなんていう事件も実際に起きている。
こんな声も上がっているんです。
テロリストになるかもしれない移民の受け入れは、もうやめるべきじゃないの。
国はこういう方針なんです。
夏以降、増えてました、深読みでも取り上げましたけども、難民や移民、ヨーロッパ各地、受け入れをしていたんですけれども、フランスなどでこういう声が上がってるんです。
もう難民、移民、受け入れ制限するべきだよね。
もうこの壁をということが出来ている。
でもこうしてですよ、ヨーロッパ各地に壁がどんどん出来上がることで、居場所のない人たちが、どんどん不満が膨らんでいくわけです。
こういう状況こそ、ISにとっては好都合。
不満を持つ人々を狙って、ISが手を伸ばし続けているというのが、今の現状なんです。
前回、難民の問題ありましたよね。
ヨーロッパは本当に崇高な理念を掲げて、なんでも受け入れますと言っておきながら、ああいうふうに、移民街で閉じ込めて差別をするという、この仕組みが本当はいけなかったんじゃないかって。
でも今、それを言ってもしょうがなくて、またああやって、もう移民、今まで受け入れてたけど、もう入れませんと、ますますこじらせてますよね。
それがISのねらいですよね。
ねらい?
だから、社会を分断してしまおうと。
難民を受け入れないという状況ですよね。
難民はテロの犠牲者、被害者なんですよね。
逃げてきた人たちで、ISからすると敵なんですよ。
その敵を、さらに受け入れないようにしてしまおうと、これもISがまさに。
その難民の中に、ISの人がまぎれ込んでいるよという宣伝もうまいですね。
まあ、実際にいるのかもしれないですけども。
今回の容疑者の中に、ギリシャで難民申請をしてたっていう人が入ってましたよね。
やっぱりね、彼らはヨーロッパから行ったときに、パスポートを、もう持たなくなるわけですよね。
ですから、今度ヨーロッパに戻ってくるときは、難民にふんして、まぎれて帰ってくるという。
分かんないんですよね、それね。
その難民にふんしたこと自体も、もしかしたら、難民の人たちをさらに苦境に追いやるためにやったかもしれない。
それでパスポートをわざと落としたという、現場に落としたっていう説もありますよね。
そうなってくると、よけい孤立するから、なりやすいっていうのは、もともとがねらってることであって、フランスの国としては、差別とか偏見をまずなくすところから始めるのが妥当だと思うんですけども、何年も前から始まっていることやから、どうにか改善のこととかは、なんも取ってなかったんですかね?
そうでしょうね。
その移民の人たちに対して、不満がたまらないようになんかしてきたとか、そういうことはなかったんでしょうか。
イスラム系の移民社会には浪岡さんがお詳しいです。
そうですね。
80年代ぐらいから、彼らに対する差別というのはすごく問題化されていて、そういった中で、差別をなくしていこうというような取り組みはずっとありました。
しかしながら、まず彼らの多くがやっぱり学校を早期に退学してしまう。
そういった中で、失業、しかも長期的な失業を経験する。
さらにですね、その上で、ムスリムとして見なされる中で、差別されていくっていうことを、多くの人たちが経験するんですね。
今、移民というふうにお話しましたけど、彼らの2世や3世というのは、フランス国籍を要するに持っていますから、移民というか、外国人ではなくてですね。
まさに彼らが移民と呼ばれて、彼らがその居住区が移民街と呼ばれることは一般的なんですけれども、そのこと自体がまさに差別の根深さを物語っているというところがあると思うんですね。
皆さん、やはりそこには?
思いどおりの展開ということですよね。
そうですね。
恐怖の植えつけとイスラム教と欧米との間にあつれきを作ること、これはISにとって、安上がりな活動だからなあと。
これに気付くところまでは、なんか、来れた気がするんですけど。
実際具体的に何ができるか。
もうあの壁を全部取っ払っちゃえばそれが一番いいことなんですけれども、それは、心の中にもあるから。
ISっていうのは、ようは、イスラム教徒というのは、世界中で抑圧されてるんだということを言っているわけですね。
差別されているんだというふうに言っている。
ISは、自分たちがイスラム教徒のための国を作れば、そこにイスラム教徒が集まれば、理想的な幸せな生活が送れるんだと。
そのために、武器を持って戦えという、武器を持って戦うことによって、イスラム教徒の国を作って、幸せに暮らせるという大きな物語を作っているわけですよね。
その物語に対して、そのとおりだというふうに思って、引き寄せられてしまう若者がいる。
今のフランスの状況のご説明ありましたけれどもそういった彼らのほうに、ISが言っている物語に説得力を持たせてしまうような状況が今ある。
そこをこれからどう改善できるかということだというふうに思うんですよね。
だってフランスで生まれ育った2世、3世の人たちは、フランスのテレビ番組や、国際的な映画もたくさん見ながら、触れて育っているわけですよね。
このIS、いいよみたいな映像を見たら、まあ、うまい話にはね、なんかあるだろうって思うような感覚って、持ってそうな気がするんですけど。
最初説明あったんですが、このソーシャルメディアですよね。
いわゆる、これが一番、影響力が強いといわれているんですね。
それから、みんなきょうだい、親戚が言っているということで、勧誘されるケースも多いわけですね。
それから若い人って、どの国にいて、どんな暮らししてても、自分の居場所をなんか探し求めていて、そこに大きな物語、歴史につながるような物語、壮大なものを見せられたら、ふらっと行ってしまう気持ちも分からなくはない。
それと先ほどにありましたけど、この…とかですよね、そういう所で、もうまさに洗脳されてしまうわけですよ。
だから、貧しいだけの不満ではないし、その差別を受けてる、偏見を受けてる、それから社会の格差が大きいと。
貧しい人だけじゃないんですね。
実際に行っている人たちで、例えばイギリスの場合なんかは、非常に高学歴の人も行っているというんですね。
ですので、やっぱり自分が生まれてきて、2世、3世の場合って、同じ国民なのに、どうして私はこれが差別されてるんだろうと、決してお金がある人でも、そういう意識っていうのは強いわけですよね。
それで自分がじゃあ、活躍できる場所、自分が必要とされている場所はどこだろうといったときに、こうしたソーシャルメディア、ここだよと。
それからこういった刑務所だとかモスク、イスラム教の礼拝所ありますよね、ああいう所で、あそこに行くんだ、あそこに行くんだって言われると、やはりどんな人でも行ってしまうということもあるかもしれないですね。
なんかイスラム教徒の方とかが、そういうようなストレスを感じて、例えば、イスラム教が、なんか主となってる国に行こうという感覚にはならないんですか?そこを。
そっちにはなんないんですかね?
イスラム教徒っていうふうに、さっきから出るんですけれども、何をもっていうかと。
大体ですね、イスラム教徒に見なされていても、フランスの2世、3世の多くは、半分以上は礼拝とかもしていませんし、それからアラビア語などの能力もそんなに高くなくて、コーランを例えばアラビア語で読むこともなかなかできない。
なんとなくイスラムの流れの中で、親交を深める中で、ISに出発するというイメージを持たれる方もいらっしゃるかと思うんですが、実際には、さっきの解説でもあったように、家族も気付かない、周りも知らない、それどころかお酒を飲んだり、女の子と遊んでいたりとかするような子が、急激にISに出発してしまう。
それは、一つは、急激にすごい短期間のうちに変わってしまう。
すなわちずっとイスラムの信仰をやってたのではない人たちが、そういうふうになっているということがいえるわけですし、また友達とかの関係で言えば、その中でそんなにイスラムに詳しい人、いるわけじゃないわけです。
みんななんとなく、さっきおっしゃったような、ソーシャルメディアとかの割と簡単なメッセージを使いながら、自分なりのイスラムを解釈して行くというところがあるんですね。
これがやっぱり、そういう彼らなりのイスラム解釈の中で、出発するということになっているんだと思うんですね。
どちらかというと、国へとか、そういうようなことの不満のほうが先っていうことですね。
どう考えても。
不満が先ですし、今、お話があったように、やはり主流派は、事件を起こした人も、貧しい…で育った、貧困とか差別とかを受けている人。
特にこういった差別を受けるときに、ムスリムとして差別を受けることが多いんですね。
つまりヨーロッパは非常に人権とかリベラルの価値が強いところですけど、イスラムというのは、なんとなく女性蔑視であるとか、そういったイメージが一般にあるので、別に暴力的ではないイスラムも含めて、いっしょくたに治安とか自由とか人権のために排除する傾向が一般的にはあるんですね。
もう一点、やっぱり中産階層の人たちも行ってるんですが、その中には白人もいるんです。
こうした人たちは、やっぱりちょっと理由は別というふうに考えるべきで、やはり個人的な例えば恋愛とか結婚とか、もしくは就職とか、そういった自分がしょうらい迷ったり、うちの学生なんかも、よくそういうふうに迷ってる人たち、いっぱいいるんですけれども、そういった迷いの中で、明確なビジョンとか、こういうふうにやったらいいんだよとか、こんなふうにしてあなたの生活は意味があるんだよっていうことを示してくれると、フランスとかヨーロッパにおける生活とかよりも、はるかに魅力的なものがあるように見えるんです。
いくつか日本に関してのお便りも来ています。
少数派を差別するというのは日本でもあると思う。
日本国内でも差別意識のある人たちが集まってテロを起こす可能性はある。
反面教師として考えるべきだ、こういうご指摘も来ています。
日本でテロが起こる可能性というのは、どう見てらっしゃいますか?
確かにISは、日本をテロの標的だというふうに、何度も名指しをしています。
確かに日本は、いわゆるISに対する有志国連合の一つには入っているんですね。
六十いくつの国ありますけど。
ただそうはいっても、実際、ISに空爆をしている欧米の諸国と比べると、標的としての優先順位としては、決して高くはないんだろうというふうに思うんですね。
しかしながら、実は、これから日本では、大規模な国際的なイベントがめじろ押しです。
らいねんの5月にはサミット・主要国首脳会議がありますよね。
2019年にはラグビーのワールドカップがあります。
2020年には東京オリンピック・パラリンピックですね。
こうしたイベントには、世界中のまさにISが標的だとしている欧米の首脳が、たくさん集まってきますし、何より、世界中からメディアが集まってきますね。
社会での関心が非常に高くなっている。
そうしたときに、もしテロを実行すれば、彼らの持っている考え方とか主張だとか、恐怖を瞬く間に世界中にまき散らすことができますから、そうしたイベントを開催する日本というのは、テロリストにとっては、もうかっこうのテロの部隊になると、これは確かですよね。
そうするとその間の日本は、今の日本とは別物になってしまう。
テロの危険が高まる日本になってしまうという危機感が必要だろうと思いますね。
そしてまた卑近な質問に戻して申し訳ないんですが、もう安心して、海外旅行にいける時代は、来ないと思ったほうがいいんでしょうか。
これまでのようには、もういかないと思いますね。
今までは例えば中東で、観光地が襲われることもありましたし、それからアフリカだとか、危険な場所というのは、大体言われてましたよね。
だからそういう所は行かないと。
だけれども今、今回、パリで起きましたし、それから9・11、2001年のアメリカの同時多発テロもそうですし、ニューヨークが狙われた。
それからヨーロッパだと、2005年にロンドンで地下鉄だとか狙われましたよね。
今、ISは、これまではシリアやイラクで、自分たちの勢力範囲を広げてきたんですけど、これがフランスのように、海外でオペレーションを始めたと。
そうなってきますと、これから先というのは、世界で、いろんな外国人が集まる所を狙うということが、かなり起きる可能性、高いですね。
じゃあ、どこ行っても?
そういうことですね。
さっき、ニュースで見ていて、被害のあったカフェで、普通に皆さんが、もう集まって談笑しているのを見て、ものすごく勇気づけられたんですよね。
もう日常を取り戻しているのが。
それで言うと、私たちももうお気楽に出かけていきたいっていう気持ちはあるんですけどね。
でもやっぱり…。
これからどんな気持ちでね、生きていけばいいか。
今、日常が取り戻せてるというふうなお話ありましたけど、その点はですね、ちょっと、フランスでテロが起きた直後、そして今、どうなっているのかというのを写真をご用意しましたので、皆さんに見ていただきたいと思います。
どんなふうにフランスの人たちが今いるのか。
こちらはまずテロ発生間もない頃のパリの様子、こちら、襲撃されたバーなんです。
名前はル・カリオンという所で、これもうパリ市民にとっても、とても人気な所だったらしいんですけど、金曜日の夜に、ここがまさにテロの襲撃に遭いまして、ここ、初めて襲撃を受けた場所というふうにいわれている所。
付近で15人の方が亡くなって、10人が重傷を負ったという所なんです。
またこちらは、市民どうしの口論。
この場所はですよ、犠牲者のための献花台があるような所で、突然始まったところのシーンが写真であるんです。
これ、写真にさせてもらいましたけど、イスラム教の女性が、VTRにもさっきあったんですけれども、イスラム教を侮辱されたということで、皆さんにいろいろ訴えてるんです。
私もイスラムの友人を犠牲者として出してるんですと、力強く訴えている。
またこちらです。
これも生々しいんですが、撮影されたのはテロの翌日。
ガラスが割れてます。
これ銃弾受けてます。
このテラス席などに多くの人がいたんですけれども、その人たちが狙われて、5人の方が亡くなって8人が重傷と。
こうしたパリっていうのもいろいろと壁も出来た。
でも日常を取り戻そうという動きも確かにありまして、このカフェ、こう今なってるんですね。
宮崎さんもおっしゃっていました、こちらのカフェ、きのう再開したんです。
これはもうたくさんの、テラス席に人がいるわけなんですよ。
このテラス席に人が戻ったわけなんですけれども、テロのあとに、こんな標語が、インターネット上で出されました。
これ、日本語にしますと、私はテラス席にいると。
この意味は、恐怖におびえて家に閉じこもるんじゃなくて、もうテロリストに、閉じこもってたら思うつぼになってしまう。
だから、恐れずにカフェのテラス席に戻ろうと、市民が立ち上げたことば。
このことばから多くの賛同が、人も集まってきた。
このお店の中、こうです。
新聞を読みながら、コーヒー飲んでらっしゃる方がいて、まさに日常が戻ってきている。
このオーナー、白いワイシャツを着た方なんですけど、この方にお話聞きました。
するとですね、この人はこういう思い。
悲しみにくれるだけじゃなくて、皆さんと再会して、一体となって前進したいと思っていました。
日常を守るためにわれわれは戦わなければならない、これこそが市民のできることであると言っているんです。
でもこちらですよ。
市民どうしの間のこうしたことはどうするかという点で、今、非常にね、世界的に賞賛を集めているメッセージがあります。
ご存じの方いらっしゃるかもしれません。
ネット上のフェイスブックに載っていることばなんですけれども、このことば、市民どうしの壁を取り払おうという意味合いが込められていて、書いたのはこちらの方です。
男性、アントワーヌ・レリスさんという34歳の方。
実は、私と同い年ですけども。
この赤ん坊がいたんですけど、1歳の男の子がいた。
これ、抱いているのが妻、奥様なんですけれども、エレーヌさん、エレーヌさんはコンサート会場であの日、テロの襲撃に遭い、亡くなった。
その3日後にですね、このメッセージを、テロリストに向けてレリスさん、書いたんです。
これ、日本語にしますと、要約するとこういったことが書いてある。
タイトルは、君たちに私の憎しみはあげない。
君たちに憎しみという贈り物はあげない。
君たちの望みどおりに、憎しみに怒りで応じることは、君たちと同じ無知に屈することになる。
このことばに共感する方が、世界で23万人以上で、その数どんどん増えていて、このレリスさんにどういった思いで書いたのかというのを、われわれ取材しました。
すると、こういったことばを寄せてくださったんですよ。
これを聞いてから、また皆さん、議論していただきたいと思います。
文章でいただいてるので、読ませていただきます。
あのメッセージは、妻を失った悲しみの気持ちが、相手への憎しみに変わるかもしれない自分の気持ちを制するために書いたものです。
それが息子にとっても見本となると思いました。
私たちにできることは、自分とほかの人がどこが違うかではなく、どこが似ているか、共通点を考えることです。
みんな違って当たり前なのですから。
日本の皆さんを含め、全世界からメッセージを頂きました。
きっと多くの人が私の考えに共感してくれたからでしょう。
ことばにできないそうした思いを共有して、文化を楽しむ生活を送ることが大切なのだと思います。
空爆で勝利を勝ち取ることはできません。
まず自分の心の中で、他者を知ること、考えることから、戦いが始まるのです。
影と戦い、光、知性、文化を選び取ってほしいと思います。
というメッセージです。
怒りや憎しみの乗り越え方というところですよね。
恐らく彼も、自分の愛する奥さんを失ったわけですから、憎しみの感情を持つということももう人間として、やっぱり自然だと思うんですよね。
問題なのは、その憎しみを誰に対してぶつけるのか。
あるいはその憎しみを超えて何をするかだということだと思うんですね。
例えば、その奥さんを殺害をしたテロリストたち、もちろん彼らは残忍なテロを実行したわけですから、もちろん憎むべき対象ではあります。
しかしながら一面で彼らはISに利用された被害者という側面もあるわけですね。
すると本当に憎むべきは彼らをテロリストにしてしまったISであり、そのISの持っている過激な考え方だというふうに思うんですよね。
そうすると、次にその憎しみを持って何をするか。
じゃあISに対して、今、彼がおっしゃったように、ただ空爆をしてね、戦って勝てるのか。
たぶんそんなことはないですね。
ですからそれをすれば、ISのほうには、ほら、ごらん、やっぱり彼らはわれわれを攻撃してるだろ、それをこうやってきてるんだよと、格好の口実を与えてしまうかもしれない。
すると、彼ら、ISの思うつぼってなんだろう、それはまた同じような事件がパリで起こることですよ。
やはりフランスに若者が、ISの過激な考え方に共感をして、テロリストになってしまうこと。
これが彼らの思うつぼなわけですから、そうならないためにどうするのか。
今、苦境の中であえいでいる若者たちを、どうやって社会で手を差し伸べて、彼ら、ISのほうにテロリストとして…するのかということ、それがまさに、テロをおっしゃっていたことなんだろうというふうに思いますね。
移民の皆さんの間では、どういうふうに受け止められているんですか?
まず事件が起こって、それからの反応を見ていると、一方ではやはり、彼らは定住していて、繰り返しますが、国籍を持っている国民なんですね。
だから彼らはずっとそこで生活していくということを、基本的に前提とします。
だから、自分たちの生活が脅かされたことに対する怒りというのは極めて強いわけですね。
他方で、やはりこれが治安とか、安全保障の強化の中で、やっぱりイスラム全般が、ムスリム系といわれる人たち全般が、いっしょくたに潜在的に暴力的なんじゃないかと思われるような、そういったことによる差別、これまでも受けてきたわけなんですが、その差別をさらに強化するんじゃないかというようなことをたぶん心配していて、それはまさにイスラムとそれ以外の人たちという対立軸を世界的に広げようとするISの戦略でもあるわけなんですね。
逆にチャンスともいえませんか?
チャンス?
ここで一気に、なんか。
認め合ったりね。
気付いたら、一気に変わりそうな状況が。
だから、あの壁をなんとかするっていうことですよね。
模型の。
その憎しみの連鎖を断ち切るというところで、歴史を見ると、南アフリカで、かつて、白人が黒人を抑圧してましたよね。
1990年代にアパルトヘイトという人種隔離政策が終わって、黒人が今度は国を支配していった。
そのときに何をしたかということですね。
きのうまでの敵どうしが、一緒に国を作りましょうということを始めたわけです。
まず何をしたかっていうと、真実和解委員会というのを作って、加害者と被害者が一緒に出てきて、すべてを語るわけです。
私は何をしました、なぜやりましたっていうことを言う。
それから被害に遭った側もすべて言う。
お互いに、すべてぶつけ合うんですね。
まずうみを出すということ。
それでお互いを知るということだったんです。
それから当時のマンデラ大統領なんですけども、彼は国を率いるにあたってどうしたかというとですね、もう憎しみはもうやめようと、相手を許すということを始めたわけですよ。
それで何をしたかというと、白人に対して、手を差し伸べたんですね。
新しい国を作ろうと。
で、お互いにそこから対話が始まって、お互いに憎しみを、やっぱり、和らげて、解消していこうと。
もちろん長い年月かかりますけれども、そういった対話と、相手を許すっていうことが、南アフリカでは実現されたんですね。
今のお話、全くおっしゃるとおりなんですが、アパルトヘイトだと白人と黒人で、そういった上下関係が明確にあるわけですよね。
ただ、フランス、ヨーロッパにおいては、そういった関係はなくて、確かに今回、暴力行為を行ったのは、ムスリム系の移民出身者ではあるんですが、それはフランスだけで500万人ぐらいいわれるという中の、もう本当に極めて僅かな人たち。
そういったフランスとかと分断しようとするようなイデオロギーを持っている人たちも、大体1500人前後といわれたりしますが、500万人中1500人、しかもその中の実行犯とか、そういう人はさらに僅かな人たちなんですね。
それを考えたときに、実際には、そもそも住んでいる人たちの間では、直接的な人間関係の中での、そういった抑圧とかは、やっぱりすごく少ないほうだと思うし、それから今回、さっき反イスラム的な差別とかがあったって出ましたが、事実なんですが、今回、統計で見ると大体43件ぐらいがあるんですね。
シャルリ・エブド事件が1月にありましたが、その当時は143件とか出てるんですよ。
ということはどういうことかというと、1月のときに比べて、圧倒的に少ないというのも事実なんです。
ということはどういうことかというと、要するに、やはり日常生活っていうのを維持していく。
これが憎しみに結び付かないような傾向がやはりフランスの一般の人たちの中で、政策では敵対的なところありますが、あるというふうに私は期待を持っています。
確かに、こういう壁やなんかによって、孤独感を深めている人たちや、日本もすごいじゃありませんか、介護難民に就職難民に、中年フリーターに、若者の貧困層。
確かに心配になる声はたくさん来てますね。
雇用なんか急にオープンにするって、そこの人ら限定にしたら、それはそれでまた不満も出てくるやろうし。
日本でも外国人に対する差別がある、文化、見た目が違うことをどう許すか、忘れることができるのか。
臭いものにふたをするより、自分たちの差別心を変えていくべきでしょう。
難民だけじゃなく、純粋な自国民からもテロリストが出かねないという声も来てるんですが、ですから、私たちも含めて、できること、壁を取っ払ってできることって、今すぐできることってなんですか?
恐らくまさにISのいっている物語の中に、みずからの境遇とそれを重ね合わせるような、そういった条件をどうやってなくしていくか。
恐らく、個人個人、さまざまな問題を抱えていて、その問題に社会がどう支援をしていけるか。
彼らを社会の中に、居場所を見つけてあげて、その中に受け入れていくということが、地域でできるかどうかということだと思うんですよね。
地域だとお祭りだとか、いろんなイベントありますよね。
若者をとにかく引き込むということですね。
悩み相談ですよと言って、ISが黒い手を差し伸べているかもしれないときに。
ISに限らずね、いろんなテロ組織って考えられますよね。
これは実は、イギリスで今、若者が過激化しないように取り組んでいる例があるんですが、地域のさまざまな機関が連携をして、過激化しそうな若者を見つけると、みんなで手を携えて、彼にどんな手を差し伸べたらいいかということを協議をして、手を差し伸べていく。
こういう取り組みをしている。
若者にとっては、うざいですよね。
結局ね、一番、なんか、ストレスというか、若気のときには、全部、なんか、あんまり話したくないですね。
でもなんか、そんなこの子が、そんなに追い詰められているかもと思って見るかどうかっていうことでも、ずいぶん違うんですね。
みんなが勉強して、見守っていくということだと思いますね。
2015/12/05(土) 08:15〜09:29
NHK総合1・神戸
週刊 ニュース深読み「市民は何ができるのか? パリ同時テロから考える」[字]
世界中をしんかんさせたパリの同時テロ事件。なぜ若者はISの過激な思想に取り込まれるのか? 私たち市民はテロとどう向き合えばいいのか? 何ができるのか?深読みする
詳細情報
番組内容
世界中をしんかんさせたパリの同時テロ事件。犯行声明を出した過激派組織IS、実行犯はフランス国籍を持つ20〜30代の若者だった。過激思想に染まった若者の自爆テロが各地で頻発、世界中の大都市が標的になりえる今、テロは“新たなステージ”に入ったと言われている。なぜ若者はISの過激な思想に取り込まれるのか? 私たち市民はテロとどう向き合えばいいのか? 何ができるのか? パリ同時テロから3週間、深読みする。
出演者
【ゲスト】宮崎美子,田村亮,【解説】日本大学教授…河本志朗,明治学院大学准教授…浪岡新太郎,NHK解説委員…二村伸,【キャスター】小野文惠,高井正智,【気象キャスター】南利幸,【リポーター】中山準之助
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