(電車の走行音)うわぁ!!
(足音)〜《片山由美:京都薪能は奈良の興福寺で行なわれている春日神事能に倣って昭和25年から京都市と京都能楽会の共催で始められたのです。
初夏を彩る幽玄な行事といわれているのですが…》〜
(乃梨子)あ〜あ。
のりちゃん!ごめんごめんどないやさっぱり訳わからへんなぁ。
そやから勉強しとき言うたやんか。
〜なぁあっちの2人見てるほうがよっぽどおもろないか?まぁなぁ。
〜
(若旦那)肺活量!
(ホステス)ウフフフ!〜あ〜!つまんない!あれ?ちょっと待って!ちょ…のりちゃん行く行く早く行こ!〜うん!あ〜!トリュフうまい!トリュフの大爆笑ハハハ!!ウフフ。
赤ワインはお好きかな?好き。
アカダンナは?大好き!
(若旦那)乾杯!〜あららら…。
あ〜ん。
うまっ!アハややわぁ!その写真あの怖〜い奥さんに見せはるんですか?まぁ仕事やしねぇ。
大変なことになりますよ。
え?
(シャッター音)あの奥さん旦那が浮気してたら殺してやる言うてはったやないですか。
そうしたらこの写真ちょっと刺激強すぎるかなぁ?ちょっとねぇ…。
そやけどなぁしゃあないな。
あぁ由美さんもう遅い。
なんでえ?えぇ!?
(奥さん)ちょっと!!あお前!
(奥さん)またこんなところで!とにかく家に帰るのよ!はいはい。
奥様!ちょっと落ち着いてください!ここはウチが…
(奥さん)あんたたちはクビ!奥様待ってください!!殺されるよりましや!待ってください奥様奥様〜!
(店員)すみませんっお会計!お会計!お願いいたします。
えぇ!?え持ってるやろか…。
(徳子)…もしかして由美さん?あぁそうですけど。
私!は?…のりちゃん!山下徳子!はい。
いや〜久しぶりやわぁ!嬉しい!ホント由美ちゃんだ!どのぐらいになるのかなぁ?私が小学校5年のときに東京に引っ越して以来だから…30年ぶりですね。
30年?そんなに?いや〜え今京都?はい15年前に戻ってきました。
はぁ〜。
由美さん!あぁびっくりした!ちょっとおいて行かんといてくださいよ!ごめん忘れてた。
忘れてたって…。
そやかて30年ぶりの再会やったんやもん。
なウチが小さい頃によう遊んだ山下徳子さん。
あこちら仕事の同僚の岡島乃梨子さん。
同じ名前やねぇ!同じ名前やけど字ぃもキャラもエライ違いやな。
あそやんなのりちゃんは徳川の徳に子供で徳子。
へぇはじめまして岡島乃梨子です。
十条徳子です。
そうか苗字変わったんや。
はい15年になります。
あ〜あ私は片山由美。
(笑い声)ねぇ十条ってもしかしてあの平安貴族の流れをくむ名門の十条家?はい…。
えすご〜い由美さんすご〜いお友だち!のりちゃん幸せになったんやなぁ。
このおまじないのおかげかも。
えこれ?
(泣き声)のりちゃんどうしたん?…ううんなんでもない。
誰かにいじめられたん?誰?私がやっつけてあげる。
いじめられてないっ。
のりちゃんウソつかんでもええねんで?ウソ…ついてへん!そうじゃあこれ。
のりちゃんがどんな辛いことがあっても絶対負けない強い子になるおまじない。
ほんま?うんのりちゃんはもうこれで強い子になったんだから何があっても絶対に負けたらあかんで。
うん負けへん!ウチが小さい頃に母がよくしてくれたおまじない。
…両親を事故で亡くして引き取られた先の親戚にも邪魔者扱いされた私に由美さんはいつも優しい言葉をかけてくれましたよねぇ。
いやなぁウチはおせっかいやし!ううん今でも感謝してます。
いや…あそうや!お茶飲みに行かへん?ごめんなさい今日は早く帰らなきゃいけないので…。
いやえらい長いこと引き止めてしもうて。
いいえあのこれに私のケータイの番号書いてありますからまたゆっくり会いたいですね。
電話する。
なウチも一緒に混ぜてください。
はいもちろん!それじゃあお先に。
うん気ぃつけて。
うん。
じゃまた。
(徳子)また。
きれいにならはって。
同じのりこでもえらい違いや。
何を言うてんの?ウチほんまついてへんさかいなぁ。
えぇ?なぁさっきのお勘定あっちの分もウチ払わされてん。
いやぁのりちゃんそれアンタの自腹やで。
えぇ!?ウソや。
もうっ!
(笑い声)〜
(美千代)徳子さん。
あ…お義母様。
ただいま戻りました。
(美千代)遅かったのね。
申し訳ございません。
和彦さんまだなのよ。
何か聞いてますか?いいえ…。
夫の行動も把握できないようじゃ困りますね。
…申し訳ございません。
あそれね気をつけて運んでくださいよ。
次のお茶会の支度がありますからあとで手伝ってくださいね。
はい。
おはようございます!
(芳子)そんなことはどうでもいいんです!とにかくこの淫乱女の化けの皮を剥いでちょうだい!
(坂巻)まあ奥様落ち着いてください!
(芳子)落ち着いてますよ私は!落ち着いてますけどねこの淫乱女の顔みると虫唾が走るのよ!誰?
(栄子)歴史研究家としても有名な京南大学教授石川修治氏の奥様。
(栄子)ご主人が東京の出版社の記者と浮気してるかもしれないんですって。
あなた着付けできる?
(坂巻/乃梨子)ええ!一応…。
一応じゃ困るのよ。
私の着物教室の生徒として私と一緒にパーティーに出席するんですから。
へっ?
(芳子)この女がね生意気にも能狂言の本を出版するのよ。
その上更に生意気なことにはその取材に協力したウチの主人たちを招待してパーティーもやるんですって。
ですからそのパーティーに私と一緒に出席してこの女に接近してほしいの。
あっ着付けやったら由美さんです!そうですよね?由美さん!なんでウチに振るかな…。
(乃梨子)そう言うたら由美さん能にも詳しいんですよ!あなたお名前は?えっ…あの片山由美です。
片山由美さん。
はい!よろしくね。
よろしくって言われてもあのウチ着物苦手ですし結婚式以来着たことないし!あっ!着物やったらのりちゃんのほうがぎょうさん持ってますから!え〜!?そんな由美さん!由美さんのほうが!そりゃ由美さんのほうがいいって。
あなたのほうがマシだわ!マシ!?着物もお貸しします。
着付けもきちんとお教えします!ですから私と一緒に来てください。
いや…ちょっと!?頼むよ!あっ奥様!お鞄をお鞄!由美さん頼むよ!頑張れよ!いってらっしゃい!今の流行りの結び方っていうの聞いてきたのにわからへん…。
ちょっと待って…。
あっちょっと!動かんといて!イタタタ…。
ちょっと待って…えっ!?ん〜もういいか!こんなんでわからへんやろ!なっ!これでこうしたら…。
なっ!もうええわ!ありがとう!はぁ〜しんど…。
(片山俊介)あのな男の俺がなんでこんなことしなきゃいけないんだ!?そやかて明日のパーティーで石川流の着付けで着物を着てそしてお能の勉強して行かなあかんのよ!能だ着付けだってね君は2つのこと同時にできるほど器用じゃないと思うけど?わかってるって。
あっけどな能って結構不倫の話とか三角関係の話が多いのよ!この時代にウチの事務所があったらウハウハ儲かんねんな!アハハハ!何バカなこと言ってんだよ!けど俊さんは偉いな!いっぺんにいろんなことができて!料理と刑事を2つ両方こなせるなんてのはなかなかいいひんな!あのな…。
ん?俺は好んでこなしてるわけじゃないんだよ。
あっそうやったん?いやおいしそうやな!はぁ〜苦しい。
はよ脱ぎたいなぁ…。
あっお待ちしておりました!いいこと?はい。
あなたは能が大好きな私の着物教室の優秀な生徒ですからね!はい。
わかってますね?はい。
ではまいります。
ストップ!はい!?なにこれは!?この結び方は!いいからちょっといらっしゃい!あ〜!!おっおっ!
(芳子)さあ入って!あっなんでですか?帯締めよ!帯締め…えっ?ウチの流儀と結び方が違うじゃないの!あっ2個や。
いいからやり直し!やり直し…はい。
どう?すっきりしたでしょ?ええおかげさまで。
(芳子)これがウチの流儀。
ハハハ…。
さっ行きましょう。
はい…。
あっねぇちょっとちょっと。
ちょ…ちょっと!はい。
あの紫のドレスを着た女が主人を垂らし込んでいる淫乱女の中山千津子よ。
あぁ。
(芳子)ご覧なさい!まるでホステスでしょ?けどまだ関係があるって確証したわけやないですよね?それを調べるのがあなたの仕事じゃないの!そうでしたすみません!ねぇちょっと!はい?あの女に近づいてきた鼻の下を伸ばしてるキザな男がいるでしょ。
あぁいますね!あのむっつりスケベ風の…。
誰ですか?私の主人よ。
あっ!?失礼しました。
すみません…。
いいえ。
(芳子)あの淫乱女が垂らし込んでるのは主人だけじゃないのよ。
他にもあと2人。
あと2人いるんですか?そうなのよ。
えっ?あのね…。
はい?あそこにあそこに…。
(芳子)あれが1人目。
歴史の謎シリーズを書いてる作家の和田三郎。
あっウチ聞いたことありますよ!
(芳子)えっ…。
あの人も関係あるんですか?それを調べるのが!?はい!ウチの仕事でした!すみません!それからねあの隅っこに座ってる女がいるでしょ。
はぁ。
(芳子)あれが和田三郎の奥さんの和田明美。
能の宗家の末娘なんだけど旦那に浮気されて惨めなもんね…。
宗家の末娘なんてすごいですね!何がすごい!?あっ…。
何がすごいのよ!あっはいすみません…。
家柄なんて関係ないでしょ!そうですねはい!あのあと1人は…。
あと1人?はい。
あと1人はねあそこ。
(芳子)あそこに立ってる十条和彦。
平安貴族の末裔か何だか知らないけどだたの世間知らずのお坊ちゃんよ!十条?うん。
十条…。
(芳子)宮廷研究家なんて言われてるけど鞠…鞠蹴ってるだけよ!あ…。
(芳子)外国からのお客様に蹴鞠を披露してるの。
羨ましいわね。
そんなんで生活できちゃうんだから…。
(和彦)1つ言わせてもらってもいいかな?ほら見てここ。
汚れてるよね。
こういうのってまずいよね。
(コンパニオン)申し訳ございません。
あっちょっと!ほらほら!はいはい?ほらあそこ!入ってきた2人がいるでしょ。
の…のりちゃん!?
(芳子)あれがね十条和彦の母親の十条美千代と嫁の十条徳子よ。
あれどうしたの?いえ…どうもしません。
十条美千代っていうのはね家柄をひけらかすとっても嫌な女よ!私と張り合って着物教室やってるんだけど家柄しか取り柄のない女に何が教えられるのかしらね?あの…十条和彦も中山千津子と関係あるんですか?あっ…あっ!そうでした!それはウチの仕事でしたはいすみません…調べます!
(千津子)ちょっと失礼。
本日はお忙しいなかありがとうございます。
こちらこそ。
お招きいただきましてありがとうございます。
どうぞごゆっくりなさっていってくださいね。
(千津子)奥様。
今日はありがとうございます。
いいえ。
でもずいぶん前に来てる私たちより美千代さんに先にご挨拶なさるなんてどういうことかしら?あら〜。
気がつかなくてごめんなさい。
まぁあちらは由緒ある平安貴族の末裔ですものね。
フフッでは…。
はぁ…。
(徳子)由美さん!どうしたんですか?いやウチな石川先生の着物教室でお世話になってるんやけど今日はお供。
そうだったんですか。
でもこんなにすぐに会えるなんて嬉しい!
(美千代)徳子さん。
席を外しては失礼ですよ。
(徳子)すみませんすぐに戻ります。
ごめんなさい。
厳しそうなお姑さんやな。
じゃあね。
退屈してるんじゃないか?いいえそんなことありません。
お母様も君も無理に来てくれなくてよかったのに。
じゃあね。
はぁ…のりちゃん大変やなぁ。
(能楽)ネクストアナザーテンプル。
(国賓)ワオ!ワンダフル!サンキュー。
あの和服姿の方の奥様が由美さんの幼なじみってことですか?そう。
幸せとは言うてはったけどお姑さんとはうまいこといってへんみたいやし旦那さんは浮気してはるみたいやし。
あっちょっと持って。
はいはい。
はいはいはい。
もしもし?あっもしもしのりちゃん?あっ由美さん?どうしました?あぁあのな今京都駅なんやけど中山千津子さんどうも東京に帰るらしいの。
…で一緒に東京に行ってみるから。
石川教授目離さんといてよ。
(乃梨子)はいはいほな気ぃつけて。
ほなね。
〜
(警備員)何かご用ですか?えっいやあの…ずいぶん大きいビルやなと思って。
大きいですか?はぁ。
8階建てですよ。
あぁ!ウチのことバカにしてるでしょねぇ?いや失礼しました。
ひと月前に物騒な事件があったもんですから。
物騒な事件?えぇこの出版社で出入りしてるジャーナリストが近くの駐車場で殺されましてね。
殺された!?犯人見つかったんですか?
(警備員)それがまだなんですよ。
つかまってない…。
はぁ東京って物騒ですね。
(坂巻)この1週間石川修治氏に不振な行動はなかったということだね?はい少なくとも中山千津子さんと密会してる気配はありませんでした。
中山千津子さん東京に戻ったきりなんですよね?うん当分京都に来る予定はないみたい。
彼女の東京での暮らしぶりはどうやったんです?男の影とか。
公に交際してる相手はいなかったな。
じゃあやっぱり誰かと不倫してるんだ。
ということは石川教授が怪しないとしたら中山千津子さんの不倫の相手は十条和彦さん?えっ!?幼なじみの徳子さん大変ですね。
のりちゃん何言うてんの?まだ作家の和田三郎先生だっているやんか。
アンタこの間橋の上でのりちゃんに会うたやろ?由美さん。
アンタもう知り合いやでそんなこと言うの?後回しや後回し…。
落ち着いて落ち着いて。
はい。
落ち着いて。
〜
(店員)こちらいかがですか?〜のりちゃん?
(徳子)あっ由美さん。
どうしたの?近くまで用事があって来たから寄ってみたの。
たまに遅くなってもかまへんのでしょ?あっお姑さんに叱られちゃうかな?あぁごめん余計なお世話やったね。
けどな嫁姑の関係っていろいろ大変やからね。
由美さんご主人は大丈夫なんですか?ウチは平気平気。
いつ帰ってくるかわからへん不規則な仕事やから。
あぁ刑事なんや。
そうなんですか…。
いやそんな怖い人想像しんといて。
料理のできる優しい人なんや。
由美さん幸せなんですね。
う〜んそやねアハハハッ。
のりちゃん何か悩み事があんのやったらいつでもウチに相談してな。
えっ!?悩み事なんかありません。
あぁありがとう。
そうか?のりちゃん昔からどんな辛いことがあっても全部自分で抱えてしまう性格やから。
せっかく30年ぶりにあったんやから今度はちゃんとウチに話してな。
はい。
でもホントに悩み事なんかありませんよ。
今は幸せですから。
そうか。
ほなのりちゃんがもっともっと幸せになりますように。
由美さんも。
おおきに。
あっ乾杯!乾杯!乾杯!ねぇホントにこっちであってんの?おかしいなたしかこのへんのはずなんだけどな。
ったくもうホントに方向オンチなんだから。
あの人に聞いてみようか。
すみませんあの清閑寺ってお寺探してるんですけど。
あの…。
キャーッ!
(パトカーのサイレン)〜
(亀田)ご苦労さまです。
殺しか?はい。
胸を刃物で刺されてます。
(所)ご苦労さまです。
身元は?わかりません。
(島崎)身元がわかるようなもの何もないんですよ。
財布もないしハンドバッグも見当たりません。
これがポケットに入ってました。
能?
(所)1か月以上先の公演のチラシですからどっかで配っていたのをポケットに入れただけかもしれませんね。
凶器は?それも見つかってません。
(島崎)ガイシャの死亡推定時刻は午後2時から4時までの間。
昼間でも訪れる人がほとんどいない場所なので目撃者を見つけだすのは困難かと思われます。
物盗りの犯行ですかね?まずは全力で身元の割り出しだ。
(一同)はい!はぁ〜!あぁ俊さん徹夜か。
・
(レポーター)午後4時頃京都市東山区にある・清閑寺近くの林の中で…。
清閑寺?なんか書いてあったな。
清閑寺清閑寺…。
(扉が開く音)おかえりなさい俊さん。
事件解決した?これやろ。
いや消さんでも…。
着替えに戻っただけだ。
はいはいご飯は?いらない。
なぁ殺された人の身元わかった?なんで俺が君に話さなきゃいけないの?せやなせやけどなんとなく不倫がらみかなと思ってん。
はいはい。
だって清閑寺のそばなんやろ?あ?だから?あっ聞きたい?話したいんでしょ?あんな清閑寺といえば小督局と高倉天皇のお墓があるの。
この2人は不倫の間柄。
せやから不倫がらみの事件かなと思って…。
また変なこと言うてると思ったんでしょ。
いいですよいいですよ。
おいちょっちょっ…。
お前やけに詳しいな。
今なお能の勉強してんねや。
お能の演目の中には小督局をテーマにしたものがあるの。
これはい。
能か…。
どうした?ん?いや殺された女性が能のチラシ持ってたんだ。
若い女性だから能には無縁だと思ってたんだが。
若い女性が能のチラシだなんて珍しい…。
なぁその女性って髪の毛が長くて茶色くて目がパチッとした美人ちゃん?なんで知ってんだ?えっ?どうなんだ?中山千津子さんに間違いない!はいわかりました。
ガイシャの身元わかったんですか?あぁ…。
東京の出版社の記者らしい。
へぇ〜じゃあこれ以上所持品探さなくてもいいってことですね。
それとこれとは別だろう。
でも…。
・
(鑑識員)所さん!ちょっと来てください。
あっ!ほら見ろ!はい今行きます。
それそれですよ!中山千津子のハンドバッグ!
(咳払い)あっ奥さん…。
はい…。
中に入っていた免許証などから中山千津子さんのものとすでに判明しておりますので…。
あっそうでした…。
失礼いたしました。
財布の中には小銭しかなかったんだよな?はい。
ほな金盗りの犯行ですか?亀田隣の部屋で
(咳払い)お待ち願え。
え〜!まぁまぁ課長奥さんにもいろいろお聞きしなきゃなりませんから。
そうですか。
それじゃ聞かれたことだけお答えください。
はい。
やっぱり金が目当てってことになりますかね?現場からバッグごと持ち去って財布から金だけ抜いて捨てたんじゃないんですかね?財布はどこにあった?ハンドバッグの中ですけど。
それおかしいだろう。
物盗りなら財布から金を取ったら財布そのまま捨てればいい。
それをわざわざハンドバッグに戻したということは物盗りの犯行に見せかけるための偽装工作…。
さすが俊さん!
(咳払い)廊下でお待ち願えますか?はいすみません。
あああのもうひとつだけ。
なんでしょう?あの赤い手帳ハンドバッグにありませんでした?いやありませんでしたね。
おかしいな彼女いつも赤い手帳…こんな感じの持ってたんですけどね…。
(所)犯人がハンドバッグからその手帳を取り出したのかもしれませんね。
うん知られたら困ることが書いてあったのかもしれん。
じゃあ犯人がハンドバッグを持ち去ったのは金じゃなくてその手帳が目的だったってことですね。
あ〜。
いやいや…いいんですそんなほめてもらえなくったってね。
ウチもこの手帳に着目したのはさすがやと思うんやけどさ…。
奥さん中山千津子の何を調べていたんですか?えっ?不倫調査ですね?いやそんなことは言えませんけどあの守秘義務というのがありますから。
奥さん。
人が1人死んでるんですよ。
アハハ…そうでしたね。
・
(レポーター)京都市東山区にある清閑寺近くの林の中で・昨日女性の遺体が見つかった事件に関する続報です。
・女性は東京都品川区五反田在住の・雑誌記者中山千津子さん33歳と判明しました。
解剖の結果死因は胸を刺されたことによる失血死で午後2時から4時の間に殺害されたものとみられています。
・現場は郊外のほとんど人が立ち入らない場所ということもあり目撃者は見つかっておりません。
・なお今日の捜索で現場から離れた林の中で…。
(修治)おい!芳子!ちょっと来てくれ!えっ?どうしたんです?ほら見てくれ!・中山さんを殺害したあと所持品を捨てたものとみて…。
中山くんが殺された!あら〜。
大変ねぇ…。
・殺害される直前にも出版パーティーを開催していました。
・京都中央署では殺人事件…。
大学教授石川修治。
小説家和田三郎。
宮廷研究家十条和彦。
中山千津子はこの3人のうちの誰かと不倫関係にあったということだね。
いやまだそのことは調べてる最中なんやけど…。
けどそのこととこの殺人事件が関係してるかどうかわかりませんよね?関係あるだろう!なんで?殺害現場だよ。
殺害現場は清閑寺の近くだ。
清閑寺は不倫に関係あるって言ったのは君じゃないか。
ほら小督局と…。
高倉天皇えぇそうです。
奥さん!はい。
奥さんから見てこの3人のなかで最も疑わしいのは誰ですか?そのことについてはまだお答えできません。
絞り込めてねえだけだろ!そんな言い方しなくたって…。
とにかくその3人あたってみよう!
(一同)はい!
(島田)…でいったいどうなんですか?昨日の夕方ですか?ええ。
本屋さんなどぶらぶらしてましたよ。
調べてもらえばわかります。
(亀田)中山千津子さんとはどういうおつきあいをなさっていたんですか?取材する側とされる側…ただそれだけですよ。
和彦さん。
お母様…何をなさるんです!?ふざけてないできちんとお話しをなさい。
いいかげんな態度をとっていると誤解を招きますよ。
はいお母様。
申し訳ありません。
私と中山千津子さんの間には何もありません。
本当です。
刑事さん母親というものはいくつになっても子供の嘘や不始末には気がつくものです。
私の見たかぎりでは和彦と中山千津子さんとの間には何もございません。
ご近所の手前もございますどうぞもう…お引き取りくださいまし。
〜
(三郎)それってアリバイを聞かれてるんですか?念のためにお聞きしているだけですから。
え〜…昨日はずっと書斎で原稿を書いていました。
な?
(明美)さぁ…私は知りませんわ。
アンタ勝手にようおでかけにならはりますもんね。
おい!誤解されるようなこと言うんじゃないよ!中山さんとの仲を誤解されるようなマネしてるアンタが悪いんと違いますか?ハハハ…おい!ちょっと…おい!ホントですよ。
私は彼女を殺していませんから。
しかしもしもあなたが中山千津子さんと特別な関係であった場合…あなたの奥様が彼女を殺害するということも考えられますよ。
まさか…アイツが!?ちょっと待ってくださいよ。
私は彼女と特別な関係じゃありませんからそんなこともありえませんよ。
帰ってください。
さっきニュースで知って驚いていたところです。
亡くなった中山千津子さんとはかなり親しくなさっていたそうですね。
えぇ。
仕事上ですがね。
昨日の夕方はどちらにいらっしゃいましたか?なぜそんなことを聞くんだ?私を疑ってるのか?いやあの…参考までに皆さんにお聞きしてることなんです。
(芳子)あなた。
昨日の夕方でしたら私と一緒に家にいたじゃありませんか。
なぜそういうふうにおっしゃらないんです?あぁ…そうだったな。
ねぇ…。
あ…そうですか。
どうぞ。
お茶でもどうぞ。
お茶なんて結構。
それでどうなんですか?所長さん。
(坂巻)はぁ…。
ただいま〜。
(坂巻)今一生懸命調査をしておりますのでもうしばらく…。
時間を頂ければ何とかなると…。
どないしたん?中山千津子さんが亡くなった以上調査は中止。
渡した前金も返せ…言うてきたんですよ〜。
え〜!?何考えてんですかねぇ。
あなた方からは何の報告も受けていません。
つまり調査をしてなかったってことですね?いえ!そんなことは…。
あの…。
調査はちゃんとしてましたけど…。
それじゃお聞きしますが中山千津子は誰とつきあってたの?え…。
主人?いえあのそれはまだ…。
はぁ…。
この探偵事務所はいいかげんな調査でお金だけは取るっていう噂が流れてもいいのかしら?わかりました。
栄子ちゃんお金を用意して!何も全額返すことないやないですか!また大赤字ですよ!しかたないでしょう。
この商売は信用第一なんだから。
君たちがもっとしっかり調査をしててくれればだよこんなことにはならなかったでしょうが!中山千津子さんが殺されたのが午後の2時から4時の間…。
ウチがのりちゃんに会ったのは午後3時過ぎ…。
そんな…!そんなありえへん!あののりちゃんにかぎってそんな恐ろしいこと!何わけわからへんこと言うてはりますの?君のせいで大赤字だというのに。
え!?ウチらはちゃんと調査…。
(3人)してました!中山千津子が勤める東京の清潮出版に出入りしていたこの光石明仁というジャーナリストなんですけどちょうど1か月前に何者かに殺されてます。
殺された?どこで?
(所)近くの地下駐車場です。
ただこの光石明仁と中山千津子は顔見知り程度で共通の人物から恨まれるような点は見当たりませんね。
光石はでっちあげのゴシップ専門だったようですし暴力団ともつきあいがあったようです。
向こうの捜査本部ではそっち関係のトラブルで殺されたとみているようですね。
ウチの事件とは無関係なんですかねぇ…。
(亀田)課長!鑑識からちょっと気になる報告がありました。
これ中山千津子のハンドバッグの中にあった東京の自宅のマンションの鍵なんですけど何者かが手袋をした手で触った痕跡があるらしんです。
どういうことだ?中山千津子の指紋がほとんど消えているんですよ。
彼女のあとに誰かが触ったってことです。
なるほどそういうことか…。
ハンドバッグが殺害現場から離れたとこに捨てられていたのはなぜかなと思ってたんだがその答えが見つかった。
ホシはハンドバッグを持ち去ると同時に赤い手帳を盗みこの鍵を使って中山千津子の東京の自宅に入ったのかもしれん。
(亀田)なんのために部屋へ?中山千津子の部屋から自分の痕跡を消すためか。
中山千津子の自宅は東京の五反田駅のすぐ近くですよね?千津子殺害後に新幹線で行けば6時過ぎには着きますね。
そして7時過ぎに五反田を出ればその日のうちに京都へ戻ってこられますよ。
そうすればその日の深夜か翌朝殺害現場の近くへやじ馬を装ってやってきてバッグを捨てることは可能だな。
はい。
それだ!東京に行こう!
(2人)はい!男の影見つかんないっすね。
亀田!はい。
これ蔓が巻いてた痕だよな?
(亀田)そうみたいですね。
誰かが無理やり剥ぎ取ったみたいだ。
(亀田)誰かって…中山千津子ですかね?剥ぎ取るくらいなら最初からこんなもの巻きつけたりしないだろ。
じゃ誰だろう?中山千津子を殺して部屋に侵入した人物ですかね?でもなんのために…?
(所)課長!中山千津子が殺害されたおとといの夜8時半過ぎにこの部屋に誰かが出入りしている物音を隣の住民が聞いてました。
やっぱりだ…鍵を手にした何者かがこの部屋に来たってことですね。
〜定家葛?はい。
なんでも「恋焦がれて死んだあとまでも恋人に絡みつく」っていわれてる植物だそうなんですよ。
何だそりゃ?いや僕もよくわかんないですけど藤原定家から取った名前だとか。
〜何か用か?いやあの…コーヒーでもどうかなぁと思って。
さっき飲んだでしょ。
あ…そうやったね。
俊さんにおいしいコーヒーを入れていただきました。
あのな…後ろをうろつかれると気が散るんだけど!ああウチも俊さんが何読んでんのかなと思ってちょっと気になってね!君が知る必要ないでしょう?あっ能の本や!ページがわかんなくなっちゃった。
ところがどっこい90ページ…あっ定家?へぇ式子内親王と藤原定家の恋の話やね!お前知ってんの!?知ってるよ勉強してたもん!親王の墓石に葛が深い情念として絡みつく話やわ。
定家葛っていうてねものすごい力でどこまでも絡みつくところから親王に対する執着に例えてつけた名前やて!ははぁ…そういうことか。
どういうこと?いや中山千津子の部屋にな…その定家葛が剥ぎ取られた痕があったんだよ。
剥ぎ取られていた?つまり彼女の不倫相手が何らかのトラブルで彼女を殺してしまった…。
それがバレるのを恐れて定家葛を剥ぎ取った。
証拠隠しさ。
ちょっと待って。
別に葛は剥ぎ取る必要ないん違うの?あ…?だって不倫相手が自分のことがバレないように剥ぎ取ってしまったらかえってバレるやん!ああそう言われてみりゃそうだ。
じゃ誰だよ?2人の愛を絶対許せないヤツ…例えば奥さんとかさぁ。
なんて?えっ?奥さん。
だって自分の夫の愛人の愛の証しなんて女として絶対許せないもん!じゃ中山千津子を殺した犯人は石川教授夫人か和田夫人か十条夫人ってことか?ええ?十条夫人?ああ…。
なぁ俊さん犯人は中山千津子を殺したあとにすぐに東京の部屋に行ったんやな?そうだよ。
あそうか!じゃあのりちゃんの犯行とは違うんだ!よかったぁ!のりちゃん?えっ?のりちゃん…十条徳子やん!おとといの晩な私彼女と一緒に飲んでたの。
だから彼女東京へは行けません。
ちょっと待て。
どういう関係なんだ?あれ?言うてへんかった?聞いてない!幼なじみやて!いや俊さんここんとこ私の話ちぃとも聞いてくれへんかったから!それは君が事件に首を突っ込もう…。
幼なじみなの放っとけへんの!早く言えよ!ああよかった!のりちゃん関係なかったんやな。
疑ったウチがアホやったわぁ!あお詫びに明日ご飯にでも誘おうっと!とかなんとかいってまた事件に首を突っ込むつもりじゃないだろうな!そんなことないってウチはちょっと彼女に悩み事ありそうやから心配やったから!捜査のほうは俊ちゃんにお願いいたします。
お気張り!ホントだな?ヒヒヒ…!
(芳子)もしもし私石川芳子よ。
あなたとゆっくり話がしたいわ。
(お手伝い)こちらでお待ちください。
はい。
(美千代)和彦のことを信じられないような人はこの家を出てってください。
(徳子)違います誤解です!
(美千代)なにが誤解なんです!あなた…和彦の書斎で何をしてたんです?ですからお掃除してただけです。
嘘おっしゃい!あなた和彦が中山千津子さんを殺したとでも思ってるの?だからこそこそと調べてた。
違う…?何を根拠にそんなこと…。
夫のことを信じられないような人はこの家には必要ないんです。
だいたいね…親のいないようなあなたが由緒ある十条家の嫁になることに最初から私は反対だったんです。
お母様もういいですよ。
あなた黙ってらっしゃい!…徳子さん千津子さんを殺したのまさかあなたじゃないでしょうね?お義母様…。
ちょっと待ってください!なんでそんなこと言わはるんですか?由美さんいいの!ええことないって!中山千津子さんが殺された晩は徳子さんウチとずっと一緒にいたんです!そやから…彼女を疑うのはおかしいです!何の権利があって他人の家庭の事情に口を挟むんですか?他人じゃありません。
幼なじみです。
そう…徳子さんあなた立派なお友だちをお持ちなのね。
お母様…。
大丈夫?なんであんなひどいことを…。
由美さん。
ん…?これは私たち家族の問題です。
口を挟まないでください。
ごめんなさい…。
亀田…。
(亀田)はい。
清閑寺行ってみるか。
この先の寺ですか?ガイシャはあそこで誰かと待ち合わせをしてたのかもしれない…。
あれ?何やこれ?あっちょっと待ってください!失礼…。
この賽銭箱前回に回収したのはいつですか?殺人事件があった前の日ですけど。
…ということはこれはそのあとに入れたってことだな。
(亀田)この扇子が何だっていうんですか?もしもし?ああ俺だ。
どうしたん俊さん?あのちょっと聞きたいことがあるんだがこっちの質問にだけ答えてくれ。
そっちからの質問は一切認めない。
たしか能に大原に関係したものあったよな?え?大原?ああ大原って書いて大原御幸って演目ならあるけど。
そうかありがとう!えっ?何か気になるなぁ!それがどうした?あのなぁそっちからの質問は認めない。
じゃあなありがとう!あっもしもし…?感じ悪ぅ!これ中山千津子のものかもしれないな。
えっ?どうしてわかるんですか?この絵柄が能に関係あるんだ。
〜この扇子から中山千津子の指紋検出されました!
(所)課長!はい!
(島崎)行ってきました。
中山千津子と思われる女性が事件当日の午後1時頃に河原町の扇子専門店で扇子を購入していました。
店員:こちらいかがですか?大原御幸にちなんだ扇子あります?中山千津子は殺害される直前に大原の扇子を指定し購入した。
そして買ったばかりのその扇子をなぜか賽銭箱に投げ入れた。
(島崎)でも何のために?何かのメッセージ伝えたかったんと違いますか?そうだろうなぁ…。
なんで君がいるの?ここに…。
いやあの廊下まで来たら亀田さんが飛び込んでいくのが見えたから…。
なんで君が廊下まで来てるんだ?えっ俊さんが質問に答えてくれへんかったから!帰りなさい。
あはい…。
あっなんかのメッセージやと思うよ!わかってる。
うんならええ。
ダイイングメッセージ!?そうや…。
中山千津子さんはなぁ事件の起きた日わざわざ大原の扇子を指定して買ってそれを賽銭箱に入れたんや!自分が殺される可能性を予期して犯人の手がかりになるメッセージを残した…。
う〜んでもそれなら最初から扇子に犯人の名前を書いとけばいいじゃないですか。
そやね!扇子やのうてメモを残してもええわけやし。
それはできひんて!賽銭箱には鍵がかかってるわけやし取り返すことできひんやろ!もし細かい事情を書いてそのあと何も起こらへんかったらなぁ!
(2人)そうかぁ!中山千津子さん大原の扇子を残すことで何が言いたかったんやろ?それや…そこなんや!能の大原御幸ってどういう演目なんですか?それも調べなあかんな…またお能の勉強かいな。
(3人)オ〜ノ〜!えっ…!?
(歌声)わぁすごいいい景色!すご〜い!ねぇねぇ写真撮ろうよ!いいねぇ!早く…!ちょっと待ってよ!人使い荒いんだから…。
はいいきますよ!はいチー…うわっ!ちょっとハラくんなによ!
(3人)うわ〜っ!〜はい刑事課…なに!?石川芳子の遺体に間違いないのか!?〜ご苦労さまです。
ご苦労さまです。
(所)これが履物と一緒にそこに置いてありました。
それ中山千津子の手帳じゃないですか!?らしいな…。
〜解剖の結果死亡推定時刻は昨日の午後4時から6時の間ということです。
夫の石川教授なんですがおとといの午後から学会で札幌のほうに行っています。
今こちらに向かってるそうです。
裏取ったのか?はい。
目撃情報なんですが昨日の午後5時過ぎにガイシャが着物を着て出かける姿が保険勧誘員に目撃されてました。
勧誘員:三芝生命の者ですが新しい保険のプランの…
(所)保険の勧誘に訪れたところちょうど出かけるところだと奥さんに断られたそうです。
(所)しばらく他の家を回って車に戻ったところ外出する奥さんを…。
着物の柄はあれに間違いないようです。
ガイシャの自宅から嵐山までどのくらいかかる?車で約1時間ですね。
タクシー会社も今あたってます。
石川芳子は午後5時過ぎに家を出てそこから車で約1時間かけて6時くらいに嵐山に着き橋から身を投げて死んだということですかね?誰かに突き落とされたっていう可能性もある。
そうですね。
自殺するタイプには見えませんでしたし。
いやでも石川芳子が中山千津子の手帳を持っていたということは中山千津子を殺したのは石川芳子っていう可能性もありますよね?犯行がバレそうになったから観念して自殺したんじゃないですか?まぁそういう線もないことはないが…。
手帳には何か手がかり残ってませんでしたか?いや気になることは何も書いてなかった。
はい刑事課…わかりました。
課長石川教授が到着したそうです。
芳子…。
〜石川教授これはあくまでも仮定としての話なんですが…。
奥さんはなんらかの理由で中山千津子さんを殺害し自らも自殺した。
そうみることもできるんですが…。
芳子が自殺するとは思えません。
それになぜ芳子が中山くんを殺す必要があるんですか?あなたと中山さんが特別な関係だとしたら動機としては十分ですよね。
何を言ってるんですか。
私と彼女はそういう関係じゃありません。
失礼しました。
石川さん…何か隠してらっしゃいますよね?話していただけませんか?〜芳子はとても金遣いが荒くていろんなところから借金をしていました。
もしかしたらそのトラブルで殺されたのかもしれません。
奥さんは…中山さんの手帳を持っておられました。
それはどうお考えになりますか?わかりません。
ただ…。
ただ?えぇ…中山くんが殺されたとき芳子は私と一緒に家にいたと言いましたが…。
昨日の夕方でしたら私と一緒に家にいたじゃありませんか。
なぜそういうふうにおっしゃらないんです?あぁ…そうだったな。
ねぇ…
(修治)実はあのとき家にいたのは私一人でした。
奥さんは外出されていた…ということですか?えぇ。
あのときは私のために嘘をついてくれたと思っていたんですが…。
えぇ!?石川芳子さん殺されたん!?自殺の可能性もあるけどね。
ちょっとなんでそんな大事なこともっと早くウチに…!言う必要あるか?あ…そうやね…。
なんか飲み物。
あ!はいはいあっビール。
じゃ1つだけ教えてやる。
え!?中山千津子の手帳は彼女が持っていた。
中山千津子も石川芳子さんが殺したってこと?なんで君が推理するの?いや…そこまで聞いたら誰かて推理するやん。
俺が君に聞きたいのは1つだけ。
石川芳子と十条家は仲悪かったのか?いや…そりゃたしかに芳子さんは十条家のこと毛嫌いしてはったけど…。
なぁ…もしかしてのりちゃんのこと疑ってる?十条徳子だけじゃなく姑の十条美千代だって動機はある。
え…動機って仲悪かっただけ…。
最後まで聞けって。
はい。
念のために2人のアリバイを調べてみたんだよ。
美千代:昨日でしたら5時半から9時過ぎまで着物教室をやっておりました。
もちろん徳子さんも一緒に。
間違いありませんか?ねぇ?徳子さん。
はい。
間違いありません嵐山から美千代さんたちの着物教室まではどんなに急いだって1時間はかかる。
5時に生きていた石川芳子を6時に嵐山で殺すことは不可能だ。
つまりのりちゃんは関係ないってことよね?はぁ…そや!関係あるわけないやんか。
と言いつつ君は何か引っかかってるだろ?へ?俺もそうなんだよ。
俊さん…?〜なんで嵐山なんだ…。
(扉の開く音)あ俊さん…なぁ中山千津子さんが持ってた能のチラシって演目なに?チラシ?…小督。
小督か…ふ〜ん。
まだ寝ぇへんの?そっちこそ寝たほうがいいぞ。
眠れへんもん。
何それ?ね?あ〜こんなもん見たら眠れなくなる!見して見して!見して〜な。
俊さん…これおかしい。
何が?帯締めの結び方。
帯締め?うん。
石川芳子さん着物教室やってて着物の着付けにはそりゃあ厳しいのよ。
帯締めよ!帯締め?え?ウチの流儀とこう結び方が違うじゃないの!
(芳子)これがウチの流儀彼女の結び方は独特の結び方でこんなオーソドックスな結び方と違うの。
え…ちょっと待て。
ということは他の誰かが着物を着せて帯を締めた可能性があるってことか?そういうことも考えられるなぁ。
なぁ俊さん午後5時に目撃された着物の女性ってほんまに石川芳子さんやった?出かけてくる。
あ…いってらっしゃい。
〜〜〜
(扉の開く音)亀田!あ…!課長どうしたんですか?お休みんとこ悪いがひと仕事頼むわ!はい。
由美さんどうしたんですか?今日はホンマのことが聞きたくて来たの。
えっ?
(亀田)それ…。
(鑑識員)襟に毛がついていました。
フフッさすが十条家ののりちゃんやなぁ。
きちっとした着物の着方してる。
なんかウチのとは違ったなぁ。
ウチは昔からの正統な流派ですから。
あっそやろ石川芳子さんの教室とは違うやろ?ええあちらは今風の着付けを教えてますよね。
そうやそうなんや。
ウチどれだけ石川芳子さんに叱られたことか。
けどなその石川芳子さんなぁ亡くなったときに帯締めの締め方のりちゃんアンタと同じ普通の締め方やったんよ。
それが不思議でな。
せやから石川芳子さんの着物を別の誰かが着せたのかなと思って…。
死亡推定時刻は午後4時から6時の間。
例えば誰かが芳子さんを芳子さんの自宅で殺したとしたらどう?徳子:うっ!あぁっ!!そして彼女の着物を着て一旦彼女の家を出て彼女のふりをしてわざと人目に触れる。
少し歩いたらすぐに彼女の家に戻り着物を着替える。
由美さんその話私を疑ってるんですよね?いやそうは…そうは言うてへん。
けどな芳子さんの家から十条家まで急げば15分程度で行ける。
5時に芳子さんの家のそばで目撃されて5時半に十条家の着物教室に入ることはできるということや。
確かにそうですよね。
そしてそのあと深夜にでも芳子さんの遺体に着物を着せて車で嵐山まで運んで橋の上から落とす。
そうですね。
芳子さんのハンドバッグに千津子さんの手帳を入れておけば千津子さん殺しの犯行も芳子さんの犯行に見せかけることができる。
中山千津子さんを殺したのも私だって疑ってるんですか?そうは思いたくないんや!けどなけど…発見された扇子がまるでのりちゃんアンタを示しているようで…。
扇子?うん。
大原御幸の扇子。
大原御幸…。
それは建礼門院のことやろ?建礼門院の名前は「徳子」。
読み方は違うけどのりちゃんアンタと同じ字や。
そうですね。
千津子さんが殺されたときに持っていた能のチラシも建礼門院に関わる小督の演目のチラシやった。
千津子さんはこの事件にあなたが関わっていることを示したかったんと違う?でも中山千津子さんが殺された日私由美さんと食事してたじゃないですか。
そうや確かにそうやった。
ウチはあの晩あんたとずっと一緒にいた。
けどけどな…あの晩のあなたはどこかおかしかった。
あの日だけやない。
のりちゃんあなた何か隠してる。
ウチなアンタのこと疑いたくない。
そやからそやから今日はホンマのこと聞かしてほしいんや!私帰ります。
のりちゃん!年配の女性のものであると思われますが。
年配?じゃあ石川芳子の体毛じゃないんですか?のりちゃん!なあ!私は何もしてません!由美さんの勘違いです!それを願ってる。
そうあってほしい。
(サイレン)
(サイレン)警察の者ですが十条美千代さんはいらっしゃいますか?いらっしゃると思いますけどどういったご用件でしょう?ご本人に直接伺いますんで。
少々お待ちください。
俊さんなんで?君こそ何やってるんだこんなところで!ええ…。
もしかして十条美千代さんを怪しいと睨んで…。
おい!十条美千代さん?なんで十条美千代さんなの?なあえっ?石川芳子の着衣から年配の女性の体毛が発見されたんだ。
それが十条美千代さんの?それ調べに来たんじゃないか!
(扉が開く音)十条和彦です。
母はどっかに出かけているようです。
どこに行かれたかご存じありませんか?聞いてません。
出かけたことも知りませんでしたから。
心当たりは?ありません。
逃亡の可能性もありますね。
手配だ。
おぉ…。
あっちょ…ちょっと待ってよ。
俊さん!ちょっとあ…俊さん!もう!どうなってんだ!?のりちゃん?もしもし?お義母様?
(美千代)徳子さんごめんなさいね。
お義母様今どこにいらっしゃるんですか?あなたは強く生きていくのよ。
私のことは忘れて。
いいわね?お義母様!?なぁお義母様何て?義母は死ぬつもりです。
えっ!?お義母様どこにいはるって?なぁどこにいはるって!?わかりません!のりちゃん落ち着いて。
お義母様がどこにいはるかよう考えてみて。
唐洸寺かもしれません。
唐洸寺?十条家の菩提寺です。
鐘も聞こえました。
のりちゃん行こ行こほらはよ行こほら!はい片山。
もしもし=Sさん!)Eb^+;{。
唐洸寺やて!わかった。
俺が向かうから君は動くなよ。
唐洸寺だ。
お義母様。
〜お義母様!やめてください!離して!お義母様!離して!死なせて!私は死ななきゃならないのよ。
この手で3人も…。
あの女さえ…あの女さえ現れなければ…。
中山千津子さんのことですね?はぁ…。
あの女は和彦を誘惑して十条家に入り込もうとしたんです。
そんなことも知らない和彦はあの女におぼれていった。
あなたその通帳どうなさるんですか?何に使おうが勝手じゃないか。
待ってください。
うるさい!あっ…。
今夜は帰らない
(美千代)徳子さんはそんな和彦の様子を知りながら私にも誰にも相談せずにじっと1人で耐えていたんです。
私は徳子さんのためにもあの2人を別れさせなければと思いました。
私和彦さんのこと愛しているんです。
和彦さんだって誰よりも私のこと愛してるって言ってくれているんです。
お義母様お嫁さんずいぶんできが悪いそうじゃないですか。
私とだったらお義母様と気が合うと思うんですけど。
行きましょう。
ちょっと待ちなさい。
徳子さんはあなたたちにバカにされるような人ではありません。
はぁ…そうですか。
でも私は別れませんよ。
もしも強引に引き裂こうとしたら2人の関係公にしますから。
写真だってあるんですよちょっと恥ずかしいけど。
お母様そういうわけですので僕たちのことは放っておいてくださいあの女は私の手に負えるような女ではなかった。
その上ハイエナのような男まで現れてその男は和彦とその女をネタに私を脅してきたんです。
私はすべてを自分1人で解決しようとしてその男の要求をのみました。
(美千代)でも要求はますますエスカレートして…。
ジャーナリストの光石明仁ですね?光石:こんなところまでわざわざお越しいただいてすみませんね。
今度はこっちが京都まで足運びますよ。
こっちもね由緒ある家柄のアンタと末永くおつきあいするために能の世界っていうのをちっとは勉強しようと思ったんだけどさっぱりわかんないね。
許してください。
あなたにお払いするお金ないんです。
はぁ?何言ってんの。
いいのかな?おたくのバカ息子のこと公にしちゃって。
このネタ雑誌社に売り込んだら飛びついてくるぜヘヘヘッ。
あっ!おい!うぅ離せ!離せよ!あっ!あぁ…そんなことまであったのにあの女は和彦から離れようとはしませんでした。
(美千代)私はもうどうしていいかわからなかった。
でも…。
徳子さんだけはもうこれ以上この事件に巻き込みたくなかった。
だから私は徳子さんにこの家を出て行ってもらうことに決めたんです。
それで…。
それで徳子さんにわざと冷たくしたんですか?はい…。
のりちゃん…。
アンタもそんなお義母さんの気持を理解してたんやね。
あの光石っていう男がお義母様に近づいてることを知ってました。
だからあの男が殺されたと知ったときもしかしてと…。
私はお義母様が主人と中山千津子さんのことを気に病んでることも気づいてました…。
私に心配かけまいとお一人で対処しようとしてることもわかってました。
だから私は…彼女と話をつけようと思い清閑寺で待ち合わせをしたんです。
(徳子)でも清閑寺に向かう途中で…。
美千代:徳子さん!お義母様!あなたはお戻りなさい。
でも…!いいから…
(美千代)殺すつもりなんかなかった…。
あら!どうしておかあ様が?和彦と別れてください。
はぁ…イヤよ。
私は十条家に入りたいの。
和彦は私にメロメロ。
定家葛って知ってるでしょ?あれをね私の部屋の観葉植物に巻き付けてるほどなの。
お願いです。
別れてください。
徳子さんこれ以上苦しめないで。
もしかして光石を殺したのもあなた?やっぱりね〜!光石私のことをいろいろと調べてたみたいだけどあなたを脅して殺された。
人殺し。
あなたのせいよ。
みんなあなたのせいよ。
私の身に何かあってごらんなさいよ。
アンタの嫁が疑われるのよ!こんなこともあろうと思って先に手を打っといたんだから賽銭箱の扇子のことですね。
えぇ…あの女は自分の身を守るために前もって入れてたんです。
あの出来の悪い嫁がどうなってもいいの!?あっ!?あっ…!そしてそのあと彼女のハンドバッグを奪って彼女の東京のマンションに行き和彦さんとの交際がわかるものを処分したんですね。
(美千代)定家葛は和彦が家から持ち出した物だってわかりました…。
私と徳子さんが2人で育てた葛を…。
和彦もあの女も何もかも許せなかった!そして急いで京都に戻りそのハンドバッグを犯行現場に捨てた。
それで終わるはずだったのに…。
芳子:私石川芳子よ
(美千代)石川芳子が脅してきたんです…。
私見ちゃったのよあなたを…。
京都駅で中山千津子を見かけて清閑寺あたりまで後をつけたんだけど見失ってしまったの。
そうしたらしばらくしてあなたがお稲荷さんの脇道から慌てて飛び出してきた。
びっくりしたわ。
(芳子)私の頼みごと聞いてくださる?
(芳子)細かい話はもういいわ!とりあえず3,000万円!
(美千代)そんな大金用意できません。
平安貴族の末裔でしょ!?
(美千代)石川芳子はお金を要求してきました。
みんなで寄ってたかって私を苦しめてきたのよ…。
お願いです!
(芳子)あぁ!?うっ…
(美千代)そのあと私は彼女の着物を着て表を歩くことで自分のアリバイを作りました。
そして夜中に嵐山に死体を捨てに行きました。
(徳子)違う!お義母様…お一人に罪を着せるわけにはいきません。
徳子さん…。
いいんです!お義母様は自首しようとしたんです。
それを私が止めました。
のりちゃん…?あの日私はお義母様の様子がおかしかったんで心配して後をつけたんです。
お義母様!お義母様!?私はこれから警察に行きます。
あなたは十条家のことなんか忘れて生きていくのよ。
そんな…。
私は…お義母様のこと忘れることできません!!お義母様…。
(チャイム)はい。
(勧誘員)ごめんください。
三芝生命の者ですが…。
ごめんなさい。
私もこれからすぐ出かけなきゃいけないので…。
〜すぐにこれに着替えてください。
え…。
いいから私の言うとおりにしてください!お義母様は…私が必ず守ります。
これまで…ずっと守ってきてもらったんですから。
早く!
(徳子)彼女の着物を着たお義母様に表を少し歩いてもらいすぐに裏口から戻ってもらいました。
そして…そのあとすぐに2人で着物教室に戻ったんやね?…夜中になってからまた2人で彼女の家に行き着物を着せ替えました。
(徳子)焦ってたせいで帯締めをいつもどおり結んでしまった…。
〜
(美千代)徳子さんごめんなさいあなたの手まで汚してしまった…。
(徳子)幼いときに母を亡くした私にとってお義母様は本当の母親だったんです。
…お義母様嫁いだばかりの頃ここに連れてきてくれましたよね?徳子さんこの十条家に嫁いできた以上これから先もっともっと辛いことがあると思いますよ。
でもそのあなたの辛い気持を私はわかっているということを心に留めといてくださいね。
…はい!
(美千代)私も親のない身で十条家に嫁いだんです。
格式のある家に嫁ぐことがどれほど大変なことか。
私は徳子さんに私のような辛い目にだけはあわしたくなかった。
それで厳しくしつけたんです。
でも徳子さんはそんな私を慕ってくれました…。
いつも優しい心で私に接してくれて…。
あの優しい笑顔にどれだけ救われたことか…。
のりちゃんのためにも罪を償ってやり直してください。
あなたが死んでしまったらのりちゃんまた独りぼっちになってしまうんですよ!?〜お義母様…。
〜
(徳子)お義母様!〜
(乃梨子)ほな旦那は母親が愛人を殺したかもしれへんって思いながらなんもせぇへんかったってことですか?根っからの気の弱いお坊ちゃんみたいやね。
徳子さんも罪に問われるでしょうけどどうするんですか?この先。
離婚するって。
じゃあ十条家との縁を切るってことか?いやそうではないみたいですよ。
どういうことです?え?十条家からは離れても十条美千代さんの娘ではあり続けるんやって。
へぇすごい…さすがですねぇ!あ由美さんのこれのおかげですね。
あっこれかいな。
なんですかこれって?おまじない!きれいになりますようにって!由美ちゃんそれ何のまね?事務所がう〜んと儲かりますように!ボーナスドカーンと出ますように!2人がはよ一緒になれますように。
(笑い声)え!?そやったん!?…なぁ俊さん。
なぁ俊さん。
俊さんなんか怒ってんの?怒ってないよ。
ならええけどなんか変やな。
今度のことでは君にずいぶんお世話になったからお食事でも招待しようかなって思って。
本当!?わぁ嬉しい!皮肉なんだけど。
…そうなんだ。
君はねぇ何度言ったらわかるんだ!事件に首つっこむなつってんのに!あら何言うてんの!何言うてんの事件のほうがウチに近づいてくんやんか!事件も解決したしさななさぁもう過ぎたことは忘れよ忘れよな!〜2015/12/04(金) 13:00〜15:00
テレビ大阪1
山村美紗サスペンス「不倫調査員片山由美8京都・着付け教室美人妻殺人事件」[字][解]
犯人の目的とは?お馴染み“不倫調査員・由美”が「能」の知識を駆使し、事件解明に迫る!
詳細情報
番組内容
着物教室を経営する石川芳子は、大学教授の夫と出版社に勤める記者・中山千津子との不倫関係を疑い坂巻探偵事務所に調査を依頼。千津子は石川の他にも、二人の男性と関係している疑いがあった。調査が進む中、京都の竹林で千津子の刺殺体が発見される。彼女のバッグから見つかった自宅の鍵には、手袋をした手で触った痕跡が残されていた。
出演者
片山由美…池上季実子
片山俊介…神田正輝
岡島乃梨子…山村紅葉
横田栄子…大塚ちか
坂巻平太郎…丹古母鬼馬二 ほか
原作脚本
【原作】山村美紗『京都清閑寺殺人事件』より
【脚本】深沢正樹
監督・演出
【監督】瀬川昌治
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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2/0モード(ステレオ)
解説放送あり
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