(眞鍋)マジカル・ヒストリー倶楽部にようこそ!歴史を知れば旅はもっと楽しくなります。
世界を旅して歴史を学んでいきましょう。
さあ今回文太君に与えたミッションは…どんなプランを立ててくれたんでしょう?
(永松)はい。
少し前にアメリカの独立とフランス革命について学びましたよね?あっそうだったね。
王様みたいな絶対的な権力が支配するのではなくて憲法が出来て国民も権利を持つようになってきたよね。
そうです。
さすがです。
その流れが15世紀からスペインやポルトガルの植民地になっていたラテンアメリカにもやって来るんです。
へぇ〜。
そこからどうなっていくんだろ。
楽しみ。
はい。
それでは早速私が作ったマジカル・ヒストリー・ツアーに出かけましょう。
まずは今回の見どころです。
いざ3つのビューポイント!訪れるのはラテンアメリカ。
時代は…まずはメキシコの世界遺産サンミゲル・デ・アジェンデ。
メキシコの独立運動の中で重要な役割を果たした街です。
そしてメキシコシティ。
中央広場には巨大な国旗があります。
そこにはどんな思いが込められていたのでしょうか?植民地からの国家建設がラテンアメリカではどのように行われたのか。
それを知る旅へさあ出かけましょう!アメリカがイギリスから独立したのと似たような事が起こったって事かな?確かに似たようなところもあるんですがそこにはラテンアメリカならではの事情がありました。
へぇ〜。
ふ〜ん。
どんな展開があったのか今回はメキシコを例にツアーを作ってみました。
それではファースト・ビューポイント!いざテイクオフ!テイクオフ!マジカル・ヒストリー・ツアー。
まず最初はメキシコの世界遺産の街…スペインの植民地時代につくられた街並みがそのまま残っています。
街から北へ14キロの所にある…かつてこの教会からあるものが持ち出されメキシコ独立運動のシンボルとなりました。
それは一体何だったのでしょうか?時代を遡って…。
マジカル・ジャンプ!19世紀メキシコをはじめとしてラテンアメリカには植民地支配から生まれた細かな階級制度が続いていました。
これはスペインがメキシコの人たちを混血の種類で階級に区分けした絵です。
階級は20以上にもわたって細かく分けられていました。
一番上がスペイン本国で生まれたスペイン人ペニンスラール。
その次がメキシコで生まれたスペイン人クリオーリョ。
その下にはスペイン人と先住民の混血メスティーソ。
そして最下層には先住民や黒人奴隷がいました。
少数の裕福な階層と貧困にあえぐ多くの人々がいたのです。
そんな階級社会に不満を持ったクリオーリョがいました。
イグナシオ・アジェンデです。
彼は優秀な軍人でしたがペニンスラールではないため大佐以上にはなれませんでした。
折しもスペイン本国はナポレオンの侵攻により大混乱にありました。
スペインに対する反乱を成功させるには絶好のチャンスだったのです。
しかしアジェンデは下層階級を束ねる事ができませんでした。
そこで先住民たちからも信望のあったミゲル・イダルゴ神父を反乱に引き入れます。
1810年9月。
イダルゴ神父はアトトニルコ教会に立ち寄ります。
そしてメキシコ人にとって守護聖人であるグアダルーペの聖母の旗を手に取りました。
これを独立軍のシンボルとして掲げたのです。
彼らは首都メキシコシティに向けて進軍を開始しました。
そして途中の街グアナファトでスペイン軍と戦い勝利を収めます。
ところがスペイン人に過酷な支配を受け続けてきた人々は暴走。
本国から来たスペイン人のみならずクリオーリョたちまでも見境なく虐殺し始めてしまいます。
この出来事から味方であったクリオーリョたちの多くが独立運動から離脱。
反乱は失敗に終わりアジェンデとイダルゴは捕らえられ処刑されました。
う〜ん。
独立まであと一歩…っていうところまでいったのにね。
はい。
やっぱり長年積もり積もったものが爆発して結果うまくいかなかったんだね。
そうなんですよ。
で独立運動そのあとはどうなったの?はい。
2人の遺志は次の世代に引き継がれます。
アジェンデとイダルゴの反乱から11年後スペイン本国で起きた自由主義革命が追い風となってメキシコは独立を勝ち取るんです。
ほう。
よかった。
はい。
しかし独立戦争はクリオーリョなどの少数のエリートたちが中心となって起こした戦いでした。
そのため独立後の政治に多くの国民の意思は反映されなかったんです。
そっか。
じゃあやっぱり一部の人がつくった国になっちゃったんだね。
そうなんです。
そんな訳で独立後もメキシコはまとまりに欠けていました。
独立後のメキシコがどうなったのか見てみましょう。
それではセカンド・ビューポイント!いざテイクオフ!テイクオフ!マジカル・ヒストリー・ツアー。
続いてはアメリカはテキサス州…街を流れる運河のほとりにはスペインの植民地時代の建物が立ち並ぶテキサス州で最も人気のある観光地です。
中でも多くの観光客が訪れるのがここ…スペイン人が布教のために18世紀に建てました。
今ではアラモ砦と呼ばれています。
実はここで独立後のメキシコを揺るがす大きな出来事があったのです。
何が起こったのか見てみましょう。
マジカル・ジャンプ!1821年にメキシコが独立を遂げるとスペインに代わってその利権を獲得しようとさまざまな国が押し寄せてきました。
現在のテキサス州。
ここは当時メキシコの国土でした。
ここにアメリカから大量の入植者が入り込み彼らはメキシコから独立してテキサス共和国を造ろうとします。
テキサスの入植者たちはアラモ伝道所に立て籠もりここでメキシコ軍と衝突。
立て籠もった入植者たちは全滅。
大敗を喫しました。
しかしその後…後にアメリカに併合されテキサス州となりました。
ところが今度はこのテキサスの領域を巡ってメキシコとアメリカの間で戦争が始まりました。
メキシコはアメリカに敗れテキサスに加えて…メキシコ政府はアメリカとの国力の差を痛感します。
先住民出身の大統領ベニート・ホアレスはメキシコの近代化に乗り出しました。
しかし…そこへ目をつけたのがフランスでした。
1863年フランス軍はメキシコシティを占領するとハプスブルク王家のマクシミリアンをメキシコ皇帝として送り込んできたのです。
ところが3年後フランスは隣国プロイセンとの緊張が高まると…残された…混乱の時代が続いたんだね。
はい。
でもいろんな国から狙われるわ中はまとまらないわでまあしっかりとした国家になるっていうのはなかなか難しかったんだろうね。
そうですよね。
いやあのマクシミリアン。
はい。
ねえ大変な時に送り込まれちゃったね。
もう本当に大変でしたよね。
うん。
そもそも時代が王政から共和政へと移り変わっていった19世紀に新しい皇帝を送り込むというのがもう時代錯誤だったんですよ。
そっか。
ですがこの皇帝マクシミリアンはスペイン植民地時代に破壊されてしまった古代アステカの文化に再び光を当てたという功績も残しているんです。
へぇ〜。
次のビューポイントで見てみましょう。
それではサード・ビューポイント!いざテイクオフ!テイクオフ!マジカル・ヒストリー・ツアー。
最後はアメリカ大陸最大の都市…メキシコの首都です。
その中央広場にはメキシコの巨大な国旗がはためいています。
国旗の3つの色は独立や希望の緑。
純粋さの白。
統一の願いを表す赤。
そして真ん中にある国章はメキシコ人の自分たちらしさの表現です。
この国章にはどのような思いが込められていたのでしょうか。
独立直後のメキシコに…。
マジカル・ジャンプ!1821年にスペインからの独立を果たしたメキシコ。
しかし国内には支配者であった…私たちは一体何者なのか?メキシコ人の間には共通する一つのアイデンティティーがなかったのです。
そんな中で国をまとめていくのは難しい事でした。
こうした状況でメキシコ皇帝として送り込まれたのが…考古学や芸術に造詣の深かったマクシミリアン。
彼はメキシコ人に共通する文化的基盤としてスペイン征服前の高度な先住民文明に注目しました。
そして考古学者や歴史学者たちを集めかつてメキシコに花開いた古代文明を研究するメキシコ学を推進します。
スペインの植民地時代に葬り去られた太陽の石も再び脚光を浴びました。
マクシミリアンの死後政府は国民統合のシンボルとして古代アステカを用いる新アステカ主義を打ち出します。
国章もアステカの神話がモチーフになっています。
湖の上の島でサボテンに止まった鷲がくちばしで蛇を捕らえています。
アステカの都の誕生を物語る神話です。
こうしてメキシコ政府は古代アステカを用いた国民統合を進めました。
しかし新アステカ主義を進める一方…新アステカ主義の第一の目的は先住民の文化の尊重ではなく何よりも国民統合だったのです。
自分たちが何者なのかっていうのはあまり日本人にはない感覚だけど確かにアイデンティティーがないと一つにまとまりにくそうだよね。
そうですね。
ところでメキシコ政府は…そうですよね。
その辺りは次のコーナーで先生に伺ってみましょう。
ここからは歴史の深いお話です。
アドバイザーの落合先生…。
(永松眞鍋)よろしくお願いします。
さあ先生先ほども見てきたようにメキシコでは…はい。
ですから一方ではスペインに負けちゃったんだけれど古代のアステカ文明我々の先祖たちはすばらしい文明を持っていたと。
高度であったと。
まあそこを強調しました。
なるほど。
もう一つはヨーロッパ流の近代化っていうのを進めなきゃいけません。
そうすると昔のスペインの古い体制はこれは覆さなきゃならないしそれから先住民が今やってる生活のしかたもこのままではいけないと。
なるほど。
ですから当時の政治家はこのままだと先住民たちが新しい時代の近代化を阻害してしまうんではないかというふうに考えた訳です。
なるほど。
一気に近代化するためには過去の古い習慣とかは邪魔になるかもしれないって思っちゃった訳ですね。
そうですね。
でも本当のところは国を近代化させるのと同時に自分たちの昔からの伝統っていうのも一緒にこうやってく。
両立させるってのはとっても大事なんですね。
とはいってもこれはなかなか難しい訳です。
で近代のこの時代においてはどの国も自分たちの伝統と近代化をどうやってこうミックスさせるかっていう事を大きな課題としてきたという事があります。
日本も実際近代に入ってから一気に西洋文化が入ってきたっていう時がありましたよね。
そうですね。
それに今もそうだと思うんですけどこのグローバル化の時代ですから眞鍋さんにしても永松さんにしてもパソコンは使うしそれからスマートフォンを使ってそれで世界といろいろつながってると思うんです。
でと同時に日常生活を見てみるとやっぱりすごく日本的な伝統を重んじてまあ習慣としてそれを生きてると思うんです。
例えばこうやって日本語でしゃべってますよね?それから日本食っていうんですかねそれを食べるとしたらやはりお箸を使うとか。
まあそれなりの作法に従って我々食べている訳ですね。
そっか。
近代化と過去の伝統っていうのは必ずしも相反するものではないっていう事ですね。
そうですよ。
むしろその2つをどうやって両立させるか。
でそういう意味で言いますと…確かにそうですね。
時代は変わっていっても…。
ねぇ。
私たちこうして洋服を着てますけどちゃんと日本の行事の時は着物も着るし…。
はい。
そうですね。
伝統を忘れた訳ではないですもんね。
いや先生面白いお話でした。
どうも…。
(2人)ありがとうございました。
ありがとうございました。
どう?やっぱり近代化してるけど「失われてないな」「自分が日本人だな」って思う瞬間何かある?そうですね。
電話しながらこうおじぎしたり「すみません」とか言っちゃう時とかはやっぱ日本人だなって思うかもしれないです。
おじぎは日本のね文化だもんね。
スペイン本国の支配に反発した…2015/12/04(金) 14:20〜14:40
NHKEテレ1大阪
NHK高校講座 世界史「ラテンアメリカ諸国の独立」[字]
歴史を知ると、旅はもっと楽しくなる! 世界各地の遺跡や観光地に隠された歴史の秘密を解き明かすマジカル・ヒストリー・ツアーに、みなさんも出かけましょう。
詳細情報
番組内容
今回訪ねるのは19世紀のラテンアメリカ。この時期中南米諸国は次々独立を果たしたが、メキシコを例にその背景をさぐる。メキシコ独立運動には植民地支配で生まれた細かな階級制度と、ナポレオンが大きな影響を与えた。そこにはどんな関連があったのか? また、独立後に進められた「新アステカ主義」に込められた国民の願いとは? メキシコ国旗のデザインなどを元にその秘密に迫る。【出演】眞鍋かをり、永松文太
出演者
【講師】一橋大学教授…落合一泰,【司会】眞鍋かをり,永松文太,【語り】山田みほ
ジャンル :
趣味/教育 – 中学生・高校生
バラエティ – その他
趣味/教育 – 大学生・受験
映像 : 480i(525i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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