(春日秀平)初めて見たよ君の涙。
(島田加奈子)変なの。
ハナも出ちゃってる…フフフ…。
ごめんなさい…。
ん?この前の事…私本当に…!いやいいんだ。
おかげで…決断が出来た。
先生!?もう「先生」なんてやめたほうがいいな。
そしたらなんて呼んだらいいんだろう?お好きにどうぞ。
じゃあ…先生!
(2人の笑い声)さて…帰って女房を説得するか。
大丈夫?どうせ冷え切ってんだ。
向こうも喜ぶだろう。
(エンジン音)
(春日)じゃあ。
(加奈子)おやすみなさい。
あぁ君君!忘れ物。
あぁいけない!安眠剤も入れといたからね。
安眠剤?眠れないって言ってたろう?今夜寝る前に飲みなさい。
ありがとう。
じゃあ。
実君!まだ遊んでんの?
(遠山実)うん。
(遠山ちず)お帰んなさい。
あぁおばちゃん!ただいまー。
お?なんかいい事あった?あ…ちょっとね。
(2人の笑い声)
(ちず)加奈子さん…。
(鳥のさえずり)加奈子さん?
(パトカーのサイレン)
(ちず)いた!あんた!待ちなさい。
あんたなんで昨日来なかったの?調べ直すってのは嘘なの?警察が嘘つくのか?
(伊丹憲一)あのねもう結論の出た事なんですよ。
ちょっとあんたよく聞きなさいよ。
あの子はねもうね自殺なんかする子じゃないの!はいはい。
「はいはい」ってあんた私はただの管理人じゃないんだよ。
あの子はね私の事を「東京のお母さん」って言ってたんだよ!?私だってねあの子の事はねもう娘のように思ってたの。
ね?その私が言ってんだよ。
だから間違いないんだよ。
とにかく俺に言っても無駄だから。
じゃあ誰に言えばいいんだよ?誰って…。
(亀山薫)コラァ!捜査一課の伊丹。
警察は市民の味方だろうが?そうだよねぇ?亀山君君の言うとおりだ。
俺は警察官として恥ずかしい!なんだ?管理人さんこの警視庁の良心特命係の亀山刑事なら必ず相談に乗ってくれるでしょう。
なぁ?亀山刑事。
相談にはこの亀山刑事が乗りますよ。
そうか!いいかい?あんたよく話を聞くんだよ。
う〜ん確かにそっけない遺書ではありますけど筆跡鑑定でもちゃんと本人が書いたもんだって判明してるみたいですしねぇ。
どう考えてもこれは…。
そんなわけないの!あの日の夜だってね…。
あぁおばちゃん!ただいまー。
お?なんかいい事あった?あ…ちょっとね。
(2人の笑い声)加奈子さんのあんなに幸せそうな顔見たのは初めてだったね。
自殺なんかするはずないよ。
あの子…殺されたんだよ。
誰に?だからそれを調べろって言ってんじゃないか!さぁおいでなさい!どどこへ…?現場百篇って言うだろう?はいこっちこっち!はいはいはい。
(実)お帰りー。
(ちず)ただいまー。
お?サッカーかいいなぁよし!来い来いシュートシュート!オーケー!もういっちょう!来い来い来い…。
仕事仕事!はいはいはい。
もっとちゃんと調べなさいよ!せっかく元のままにしてあるんだからさ。
でもね誰かが侵入した形跡は全くなかったそうですよ。
そりゃそうさ。
セキュリティーはしっかりしてんだよ!アハハ…いやつまりね加奈子さんは1人だった。
ね?誰かに無理矢理飲まされたわけじゃない自分の意思で飲んだんですよ。
「毒薬」と書かれた液体を。
これは世界中の誰が見ても…あぁ例えば俺の上司ね?この人どんなに細かい事も見逃さないすっごく頭のいい人。
まぁちょっと変な人なんすけどね…。
その人でもこれは自殺って言いますよ。
(杉下右京)どうでしょうねぇ?そうとも限りませんよ。
右京さん…。
誰?あんた。
亀山君の上司のちょっと変な人です。
聞いてたんだ。
お孫さんに鍵を開けてもらいました。
な…なんでここに?個人的興味です。
気になる点がいくつかあったものですからねぇ。
でも…やっぱりこれは自殺…ですよね?つり橋のような危険な場所にいると恐怖からくる緊張や興奮を恋愛感情と錯覚しやすいというのがこのつり橋理論だ。
女性諸君男子学生からつり橋に誘われたらせいぜい気を付けたまえよ。
(学生の笑い声)
(チャイム)では今日はこの辺で。
んー難しいなぁ…。
正解不正解はないんですからパッと思いついた事を言えばいいんですよ。
んー…。
難しく考えず。
あそうか。
毛ガニ!ウフフ…。
あ笑った。
人の想像力笑った!いえいえ失礼…。
じゃあじゃあ右京さんなんに見えるっていうんですか?そうですねぇ…ヒマラヤの谷底にひっそりと咲く1輪のエーデルワイスといったところでしょうか。
なんすかそれ!?前にもやった事あるでしょう?やってませんよ。
嘘ばっかり!おやおや。
(春日)お2人ともユニークな発想力をお持ちのようだ。
あ…春日教授でいらっしゃいますか?ええ。
警視庁特命係の杉下と申します。
亀山です。
ここで待つように言われたものですから。
どうぞおかけください。
あはい。
島田加奈子君の件ですね。
えぇちょっとお伺いしたい事がありまして。
教授の助手をしていらしたそうですね?僕が彼女を殺したんです。
もっと早く気付いてやるべきでした…。
講師になったばかりで色々と悩んでもいただろうしサインを出していただろうし。
なのに彼女は優秀だから大丈夫だと思ってしまって。
ほんとに…悔やんでも悔やみきれません。
いや…でもそれは…教授のせいじゃないっすよ。
いや僕は単に彼女の上司というだけではない。
心理学者なんですよ。
そういう意味でも失格ですよ。
いやぁ…。
捜査は終了したと聞きましたが。
あぁそうなんすけどね「あの子は自殺なんかする子じゃない!」な〜んて言い張ってる人がいまして…。
僕もそう考えたいですねぇ。
でもそういう考え方はナンセンスですね。
ナンセンス?人間というのは誰しもいくつかの顔を持っていて相手や状況によって使い分ける。
無意識的にね。
まぁ安易な特性論や類型論で他者を完全に理解するなんてのは不可能ですね。
どんなに親しい間柄でも。
じゃあ教授も自殺という事で納得されてるわけですね?まぁ…常識的かつ理論的に考えてもそういう事になりますかね…。
さぁどうぞどうぞ。
どうも。
いただきます。
彼女はねぇ非常に真面目で几帳面で責任感が強く潔癖と言ってもいい。
いわゆる優等生タイプですね。
そういう子に限ってちょっとした失敗に自分自身を追い詰め絶望し自殺を企ててしまうんですね。
彼女もそうだったんでしょう。
はぁ〜!明快な分析ですね。
ねぇ?右京さん。
違いますね。
え?全然違います。
どう違うんですか?まず…香りが違います。
は?そしてみずみずしい甘みと深いコク…。
これこそマスカットフレーバーです!わかるのかい!?これがわからないようでは紅茶好きとは言えません!いや嬉しいなぁ!紅茶の話っすか…。
最高級のダージリンですよ。
全然違うだろう?あっと…あぁ…。
僕はねぇほとんど紅茶中毒でね朝は濃いダージリン夜はアッサムにミルクたっぷり!欠かすと眠れない。
そうそうそう!百年の知己に出会ったみたいだよ。
もう1杯どうだね?恐れ入ります。
俺もいいすか?君も?あ…いいです。
しかし…ひっかかります。
ん?発作的な自殺でテトロドトキシンが用意出来ますかね。
うん…まぁ以前から持ってたんじゃないんですかね?こういう時のために。
今はネットかなんかで簡単に手に入りますから。
しかし僕にはどうしても素直に自殺とは思えないんですよ。
何か気になる点でも?ここだけの話ですが加奈子さんは不倫をしていたのではないかと。
不倫?まさか…!彼女は不倫なんかする子じゃないですよ。
おもしろいですね!自殺なんかするような子じゃないという意見にはナンセンスとおっしゃったのに。
それはそうですが…。
それでなんでまた不倫なんですか?加奈子さんの部屋にノートがありました。
いわゆる家計簿です。
毎日の支出を事細かに記してありましてそれこそガム1個に至るまで。
彼女らしいですね。
それによると加奈子さんは毎日決まったスーパーで食材を買い自炊をしていたようです。
で?ところが毎週火曜日と金曜日だけはほとんど買い物をしていません。
食事はどうしていたのでしょう?さぁ?まさかダイエットってわけでもないでしょうから外食だろうと。
しかもご自分では支払っていませんからどなたかにご馳走になっていたという事になります。
つまり…。
火曜と金曜がデートの日だった。
ところが交際していた男性の面影がないんですねこれが。
えぇ誰も知らない。
家族同然に仲良くしていたマンションの管理人さんでさえ…。
恋人?知らないねぇ…。
あの子男を部屋に連れ込んだ事ないしね。
つまり周囲に隠して交際していた。
それもかなり用心深く。
えぇ。
不倫と考えるのが妥当じゃありませんか?なるほどねぇ…彼女が亡くなったのは…。
火曜なんです。
いや大した洞察力だ。
教授にお訊きしたいのはお相手に心当たりはないかという事なんです。
いやプライベートには関知しないんでね。
しかしそうだとしてそれが自殺の否定にはならんでしょう。
むしろ不倫を悩んでの自殺と考えるほうが自然なんじゃないんですか?本人の遺書もあったんでしょう?その遺書がまたひっかかってまして…。
いや遺書が不完全なのはよくある事ですよ。
精神的に錯乱状態にあったとしたら当然じゃないですか。
なるほど…。
(チャイム)悪いが講義の時間なんでね。
出来る限り協力させてもらいますよ。
ちょっとよろしいですか?素敵な名刺入れですねぇ…。
妻のプレゼントなんですよ。
奥様を愛してらっしゃるんですね。
どうも。
失礼します!彼ですね。
え?不倫相手ですか?いやそうかなぁ…?彼ですよ。
えぇ?なんでです…。
いっつも理由を言わねぇんだもんな…。
ちょっと右京さん!田辺君ですね?お昼一緒にいい?島田加奈子さんの事はショックだったでしょうねぇ。
(田辺健太郎)大学院で僕の研究ずっと手伝ってくれてたから…。
これにお心当たりはありますか?
(田辺)これは…?加奈子さんが冷蔵庫に貼っていたものです。
はい…僕加奈子さんにCD貸してました。
あげたつもりだったからいいけど…。
この観察学習がモデリングだ。
つまり模倣だね。
幼稚園に行ってるようなこんな小さな女の子がよくオバサンみたいな事言ったりするだろう?「昔はよかった…」なんて。
(学生の笑い声)これは母親のモデリングをしてるわけだねぇ。
このモデリングというのは子供に限った事ではない大人もやってるわけだが…その話は次回にしよう。
で残りの時間は特別講義としよう。
犯罪心理学について考えてみようか。
みんなも興味があるだろう。
人はなぜ罪を犯すのか。
で今日は特別にゲスト講師をお招きしている。
警視庁特命係杉下警部だ。
(拍手)さぁ!どうぞ!
(指笛)亀山君…。
もう決めちゃってくださいよ。
そうですか?はい。
(拍手)はいどうぞ!はいどうぞ〜!
(拍手)杉下です。
皆さんそもそも人はなぜ罪を犯すのか?非常に難しい問題です。
ちなみに僕の経験をお話ししますと例えば自分の父親に似ているという理由で愛した男性を父親とは違うという理由で殺害した女性がいました。
あるいは長年ともに仕事をし尊敬してきた相手が自分の名前を覚えていなかったという理由で殺害した男性もいました。
つまり人は誰でも犯罪者になりうるわけです。
あなたも。
あなたも。
あなたも。
(学生の笑い声)かくいうこの僕も。
しかしこれだけは申し上げておきます。
どんなに綿密な計画を練り万全を期して実行し見事成功したかのように思えても必ずどこかにほころびがあるものなんです。
そしてそれ相応のもしくはそれ以上の罰を受けなければなりません。
捕まった犯罪者はこう嘆くでしょう。
「あぁ…なんと割に合わない事をやってしまったんだ」と。
いいですか?皆さん。
この世に完全犯罪などありえません。
(拍手)実にいい講義だったよ。
教授もお人が悪い。
いやほんと様になってましたよ。
ところで教授少しお時間をいただきたいのですが。
紅茶はもう出んよ。
(春日)何が気になるのかね。
田辺君にCDを返すために忘れないようにメモをしておいた。
しかし発作的に自殺を思い立ち遺書を残し返す前に実行してしまった。
そういう事じゃないのかね?僕もそう思っていました。
しかしそれだと少し説明のつかない事が出てきまして…。
手短にね。
問題はこの紙なんです。
これこちらの遺書のメモと同じ紙を使ってるんです。
亀山君。
はい!どちらもこの手帳を破いて使ったみたいなんです。
(春日)うちの大学の手帳だね。
彼女のかね?そうです。
ちょうど終わりの10枚が破かれています。
一番後ろから順番に使ったんでしょうねぇ。
そうみたいだね。
これが不可解なんです。
ご存じでしょうがこの手帳どううまく破いてもきれいに破けない。
このようにどうしても破いた跡が残ってしまうんですね。
製造元に注意しとこう。
あいえ…試しにこの遺書のメモ手帳の破り跡と一致するかどうか確かめてみたんです。
一致しなかったのかね?一致しました。
じゃあ問題ないじゃないか。
でも9枚目なんです。
ん?9枚目。
破られた10枚のうちの9枚目なんです。
亀山君。
はい。
10枚目9枚目…。
ね?そしてこちらの「田辺君にCDを返す」が10枚目。
ね?つまり書かれた順番は遺書が先で。
田辺君が後なんです。
そこでこんがらがってしまいました。
解釈するとどうなりますかね?亀山君。
はい。
加奈子さんは発作的に自殺を思い立ち遺書を書いて破く。
そこでふと…「あ…田辺君にCD返さなきゃ」と思いメモを書いて冷蔵庫に貼っておく。
そしてベッドに戻って毒を飲んで死ぬ。
めちゃくちゃですね。
いかがでしょう?不自然じゃありませんか?いずれにしてもこの遺書は加奈子さんが亡くなる直前最後に書き残したものではない可能性が極めて高いという事になります。
とするならばいつ?なんのために書いたのか教授のご意見を伺いたいわけです。
僕も万能じゃないんでね…。
僕より君の意見を聞きたいなぁ…。
ではこういうのはどうでしょうか?これが最後に書き残したものではないという事はそもそもこれが遺書ではないという可能性が出てきます。
教授による加奈子さんの性格分析を思い出してみました。
優等生タイプ真面目で潔癖…で思ったんです。
恋人との不倫関係に悩む加奈子さんはその相手に対し何か攻撃的な事を言ってしまったのではないでしょうか?
(春日)攻撃的な?「私と奥さんとどっちを取るのよ」とか。
「奥さんと別れてくんなきゃ全部バラしてやるから!」とか。
彼女はそんな声じゃない。
しかしその手の事です。
そこで男は加奈子さんに対し殺意を抱いた。
一方加奈子さんはすぐに後悔しメモを書いて相手に渡した。
「ごめんなさい許して」。
男はそれを遺書として利用した。
もちろん僕の仮説にすぎませんがそう考えるといろんなモヤモヤしていたものがスッキリするように思えるのですがいかがでしょう?おもしろい…。
実におもしろい考察だ。
しかしそうなると…どうやって毒を飲ませたのかねぇ。
それが頭痛の種でして。
とにかくその不倫相手を何が何でも見つけ出しましょう。
そいつを突き止めれば全てが解明されますよ。
そのとおりです。
そうそうだね。
その調子で頑張ってくれたまえ。
頑張ります!進展がありましたらご報告に参ります。
楽しみにしてるよ。
失礼します。
ただいま。
(ドアが開く音)おかえりなさい。
…ただいま。
お客様。
おかえりなさい。
お邪魔してましたー。
つい長居をしてしまいました。
では我々はこれで。
あそうですか?まお構いもしませんで。
失礼します。
お騒がせしました。
どうもー。
失礼いたします。
何を訊かれたの?島田加奈子さんの事。
…なんて?色々よ。
それから火曜と金曜あなたの帰りが遅くないかって。
正直に答えたわよ。
火曜と金曜はゼミの勉強会で遅いって。
いけなかった?いけなくないよ。
だってほんとの事だもの。
根拠もないのにバカな勘ぐりをする連中がどこにでもいるもんだよ。
わかってるだろ?信じてもいいのよね?当たり前だよ。
(学生)春日教授の勉強会?知らないよな。
聞いた事ないね。
うん。
あそう。
どうもありがとう。
やっぱり誰も知らないっすね。
(春日)当然ですよ。
勉強会なんて存在しないんですからね。
とおっしゃいますと?嘘をついていたんですよ。
妻を言いくるめるために。
だからって不倫をしていたわけじゃないんですよ。
いわば自分自身の時間…読書をしたり思索にふけったり音楽を聴いたりたまにドライブに行く事もある。
僕にとっては絶対に欠かせない何よりも贅沢な時間なんです。
男にはそういう時間が必要でしょ?確かに。
何か訊きたい事があるなら僕に直接訊いてください。
大学というのはよからぬ噂が広まりやすいんでね。
軽率でした。
それに家に来るのはやめてください。
妻はデリケートなんでね。
申し訳ありませんでした。
すいません。
仕事熱心なのはわかるが少し非常識だね。
あっちなみに教授。
昨日は絶対に欠かせない贅沢な時間どうされたんでしょう?金曜日でしたが随分お帰りが早かったようで。
僕を疑っているのはわかるが…。
いやいや疑ってるわけじゃないですよ。
ただ純粋に…。
君。
私は心理学者だよ。
疑っております。
いいかね彼女は自分の意思で毒を飲んだんだ。
猛毒だと知った上でね。
これは…自殺というんじゃないのかね?もし教授が俺たちと同行してくださって署の方でじっくり話し合いをさせてもらえればそのへんのところも解明されるんじゃないかと…。
断るね。
君たちの茶番に付き合ってる暇はないんだよ。
杉下君推理ごっこはもうやめましょう。
僕を疑ってるんなら証拠を提示してください。
完全犯罪なんて成立しないんでしょう?どこかに必ずほころびがあるんでしょう?だったらそのほころびを提示してください。
そしたら警察でもどこでも行きましょう。
(宮部たまき)飲みたくもないのに飲ませる方法ですか?えぇ。
うちはそういう商売してませんから。
ごもっともですね。
(奥寺美和子)マインドコントロールってのは?マインドコントロール?心理学者なんでしょ?どうしても飲みたくなっちゃうように言いくるめちゃうのさ。
なるほどそうか。
毒を渡す時に「いいかねこれは猛毒と書いてあるけど嘘なんだ。
本当は体に良くてとっても甘〜いそれはそれは美味しい」…。
んなわけねぇだろバカ!ね右京さん。
冗談ですよ。
じゃたまきさんご馳走様でした。
はい美和子さんこれどうぞ。
あっありがとうございまーす。
何それ?美和子さん御用達花の里特製ニンジンジュースです。
毎晩飲んでるんだ。
いつからだよ?そんな習慣。
いつからでもよかろう。
夜飲むと何か効果があるんですか?いや別にそういうわけじゃないんですけど…。
ある人の影響なのよねー?ある人?うん今度社会部に来た女性記者。
仕事が出来ていい記事書くんだ。
なんか憧れちゃってさ。
毎晩ニンジンジュース飲んでるっていうから。
そんなとこ真似してもしょうがねぇだろうがよ。
いいの気休めでも。
わかるわ。
なんか近づける気がするのよね。
飲んでない?当然です。
毒薬の入った液体を飲むはずはありません。
あれはダミーですよ。
って事は毒は別の方法で飲ませた?それがわからなかったんです。
おそらくあの日教授は小瓶に入った毒薬と遺書に見立てたメモを同封して加奈子さんに渡したのでしょう。
安眠剤とでも偽って。
その時もうひとつ別なものも一緒に渡していたとしたらどうでしょう?そしてそれは加奈子さんが毎晩必ず口にするもの…。
必ず口にするものというと…。
モデリングは大人にもある…教授がそうおっしゃってましたね。
モデリング?尊敬する人物や憧れている人物に近づきたいと思う時その人物の癖や生活習慣を模倣する。
これもその一種でしょう。
つまり美和子さんにとってのニンジンジュース。
加奈子さんにとっては…。
あっ!朝は濃いダージリン夜はアッサムにミルクたっぷり!亀山君。
はい。
あっビンゴ!加奈子さんの生活ぶりには似つかわしくない高級茶葉ばかりですねぇ。
おそらく紅茶はなくなるたびに教授が買い与えていたのでしょう。
そいつに毒をしみ込ませておいて…。
そうです。
って事は…こん中に毒入り紅茶が残ってるかもしれませんよ!亀山君。
はい。
最後に飲んだのはこれでしょう。
なんにも入ってないっすよ。
洗ったんですよ。
洗った?テトロドトキシン自体は無味無臭ですが紅茶というのはね亀山君。
はい。
カビが生える事があるんですよ。
おそらくカビの生えた茶葉も一緒に混入させておいたのでしょう。
あーディスポーザーか…って事は下水に直行だな。
教授はここまで全部計算づくだったっていうんですか?もっとも教授に言わせれば単なる僕の推理ごっこでしょう。
しかし加奈子さんの性格と生活習慣を知り尽くしていればかなりの確率で成功すると思いますよ。
なんで嬉しそうなんですか?手ごわい相手ほどやりがいがありますからね。
んもう!
(伊丹)また余計な事やってる特命係の亀山コラァ。
なんだとコラァ!元々はお前から預かった仕事じゃねぇかよ。
(三浦信輔)成華大学の春日教授検事局のお偉方にお友達がいるようですよ。
圧力をかけてきましたか。
(芹沢慶二)思いっきり。
それで俺たちを引っ張り戻してこいって言われたわけだ。
ああ。
だが圧力ってやつは俺らも嫌いでね。
で証拠はあんのかよ?証拠は…。
全くありません。
話になりませんなぁ。
でも教授がやってんだよ。
間違いねぇ!任意で引っ張ってたたいてみましょうか?下手な攻め方をすれば足もとをすくわれますよ。
じゃどうすりゃいいってんですか!さてどうしましょうねぇ。
なんで嬉しそうなんだよ?やりがいがあるんだよ。
は?
(ちず)あんたたち!私の孫がとんでもない事言い出したよ。
実おいで。
さ言ってごらん。
加奈子さんの恋人を知ってんだろ?うん。
えっ加奈子さんの恋人知ってんの?うん。
この子よくマンションの前で遊んでんだけどね加奈子さんを車で送り迎えする男を何度も見た事があんだと。
ね?うん。
えっうんと…お兄さん?オジサン?オジサン。
オジサン。
苦みばしった感じの?苦みばしったなんかわかるかよこのバカ!あそうか。
その人を見ればわかるかな?わかる。
右京さん天の助けですよ!いや田辺君なかなかいいレポートだよ。
メールだけでこれだけのアンケートを取ったっていうのは賞賛に値するよ。
しかし君は文章が下手だね。
(一同笑い)
(ノック)少しよろしいでしょうか?
(春日)君今ゼミの最中なんだよ。
これが最後です。
もう二度と現れません。
なんだね?ここではいささか…。
ここでいいから。
そうですか?では…。
亀山君。
失礼します。
実君この中に君が見た加奈子さんの恋人はいますか?その人を指差してくれますか?へ?え…実君間違いないの?うん。
だってオジサンって言ったじゃない。
このオジサン。
オジサン!?俺まだ25だよ?どうします?しょうがねぇだろ。
悪いけど君ちょっと一緒に来てくれるかな?はい。
ちょちょっと!
(パトカーのサイレン)まさか田辺君とはねぇ。
君の想像していた犯人像とはちょっと違っていたようだね。
では。
もう会う事もないだろう。
杉下君さようなら。
「僕が殺すわけないだろ!」「あーわかった!落ち着け落ち着けほらな」
(伊丹)「CD返してもらえないから殺したんじゃねぇのか?」「は!?」
(芹沢)「そりゃないっしょ先輩」
(伊丹)「いやわからんぞ〜最近の若い奴は」マジで言ってんのか?
(伊丹)「冗談だよ冗談」車で送り迎えしてたっていうのは?…好きだったからだよ。
加奈子さんが好きだった。
だから何度も送り迎えしたよ!でも相手にしてもらえなかったけどそれでもよかった…。
(ため息)
(ため息)
(学生たち)さようなら。
教授。
お帰りですか春日教授。
田辺君が何かしゃべったのかい?いやいやその事でちょっとお願いがありまして。
彼相当ナーバスになってて何訊いてもらち明かないんすよ。
これから現場検証に付き合わせるんですけどねなんせ言動が理解不能で。
でね専門家に協力してもらった方がいいんじゃないかって事になりまして…。
えー…お願い出来ませんかね?こちらです。
どうぞ。
(春日)ここが加奈子君の部屋か。
ええ。
で僕をここへ連れてきたほんとの理由は?は?現場検証というのは僕をここへ連れてくるための口実だ。
専門的にはロー・ボール・テクニックという説得技法のひとつだよ。
ふー…参りましたね。
じゃあ…ぶっちゃけますか。
教授正直田辺君が殺したと思いますか?さぁどうだろうね。
ありえないですよね。
でも人は誰でも多面性を…。
彼はもう釈放されましたよ。
俺はあくまで犯人はあんただと信じてますよ。
(笑い声)笑い事じゃねんだよ!あれを見ろ!あんたをここに連れてきたのはこれを見て欲しかったからだ!加奈子さんはここで死んだ!彼女がもがき苦しんだ跡だよ。
どんな思いで死んでったんだろうなよく見ろ!あんたは人を殺したんだよ!自分を愛してくれた人を信じてくれた人を殺したんだよ。
いいか!あんたにも心ってもんがあんだろ。
人は罪を犯してそうそう平気でいられるもんじゃない。
良心の呵責彼女への罪悪感いつかバレるんじゃないかという恐怖!そういう重荷をこれから先の人生ずっと背負ってく事になるんだよ。
ずっとだ!あんたも苦しむんだよ!その苦しみから逃れられるかもしれない唯一の方法が…罪を償う事だ。
…自首してください。
春日教授!素晴らしい…なんて感動的な演説なんだ。
君にも教壇に立ってもらうんだったな。
でも亀山君今の演説…真犯人に聞かせてやりたまえ。
ごめんくださーい。
はーいお茶淹れてきましたよ。
せっかくだがもう用が済んだんでね。
おやこの香りは日本茶かと思いきや紅茶だね。
緑茶を切らしちまってね。
はーいどうぞはい。
あこれはありがたい。
いただくよ。
うん!これは上物だ。
あそう?フフフ。
その紅茶誰がくれたと思う?え?加奈子さんがくれたんだよ。
加奈子さんが?あの日の夜にね…。
実おつかい行こ。
お茶切らしちゃってね。
あっ分けてあげる。
ほんと?すっごい高いお茶だから味わって飲んでね。
でもあたしゃ紅茶が苦手でねぇ。
飲まずにほうっておいたんだけど。
あらこれカビじゃないかな?あらあら…。
どうかしましたか?きゅ救急車を呼べ…。
救急車を呼べ!救急車を呼んでくれ!大げさだねぇ。
カビなんてどうって事ないよ。
一体どうしたんですか教授。
救急車救急車!落ち着いてくださいよー。
救急車…救急車を呼んでくれ!あっもしもし!救急車を至急救急車を至急呼んでくれ!毒だ毒を飲んだんだ!救急車救急車を呼んで…。
(電話が切れる音)救急…。
毒など入っていませんよ。
管理人さんカビなんか入ってませんよ。
あたしの勘違い?そもそもこの紅茶先ほど僕が差し上げたものじゃありませんか。
あっそうだっけ?なんで加奈子さんが分けたものなんて勘違いしたんですか?年だねこりゃ。
(2人の笑い声)それにしても一体なぜ紅茶に毒が入っているとお思いになられたのでしょうね?教授。
そのへんのところ署の方でじっくり説明して欲しいんですけどね。
ご同行願えますね?やったね杉下君…。
スマートなやり方とはいえませんが。
卑劣極まりない。
おっしゃるとおり。
ですが先ほどの亀山君の言葉も心に届かないあなたには存外ふさわしいやり方だと思いますよ。
ひとつ聞かせてくれ。
なんでしょう?最初に僕に会った時から目をつけていたようだが。
はい。
教授が加奈子さんの不倫相手だと確信がありました。
僕がそんな女ったらしに見えるかね?名刺入れですよ教授。
名刺入れ?これかね?細かい事が気になるタチでしてね。
スーツもカバンもしわひとつないのにこれ。
なんの跡だろうと思いましてね。
この立派な結婚指輪加奈子さんは嫌がったでしょうね。
だから彼女と会う時はいつもここにしまっていた。
…さすがだね杉下君。
恐れ入ります。
(パトカーのサイレン)いやぁよく2人ともやりました。
管理人さんこそ名演技でしたよ。
ウフフ私元女優志望。
どうりで。
アハハ!さてお茶でも飲みなおしますか。
美味しい紅茶でも。
僕も。
よし行こ!管理人さんも紅茶好きになりましたか?いやぁあたしゃ元々紅茶好きだよ。
あらそれはそれはお見それいたしました。
2015/12/03(木) 16:00〜16:58
ABCテレビ1
[新]相棒season4[再][字]
「殺人講義」
詳細情報
◇番組内容
“警視庁一の変人”だが天才的頭脳で鋭い推理をみせる杉下右京(水谷豊)と“おひとよしな熱血刑事”亀山薫(寺脇康文)の名コンビがあらゆる難事件に挑む!
◇出演者
水谷豊、寺脇康文、鈴木砂羽、高樹沙耶(益戸育江)、石橋蓮司、川原和久、大谷亮介、山中たかシ(崇史) ほか
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
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日本語
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