ダーウィンが来た!「消える!化ける!草食ガゼルの秘策」 2015.12.03


獲物を追うチーターです。
地上最速のハンター。
かっこいいですねぇ。
でも今日はチーターではなくてこっち。
追われる側の草食動物が主人公です。
えっそっちなの?はい。
こちらのグラントガゼルです。
う〜んなんだか地味な動物ですなぁ。
地味って失礼ですねヒゲじい!確かに見た目はおとなしいんですがすごい技の持ち主なんですよ。
子どもはまるで魔法のような技で天敵の肉食動物から身を守るんです。
本当?一つ目の技がこちら。
なんと一瞬で姿を消してしまうことができるんです。
えっ一瞬で消えちゃうの?さらにもう一つの技がこちら。
全く別の種類の動物に化けることで敵から身を守るんです。
えっ化ける?はい。
今日はグラントガゼルの奇想天外な秘策に迫ります。
早く早く知りた〜い!
(テーマ音楽)今日の舞台はアフリカの東部タンザニアのセレンゲティ国立公園です。
世界自然遺産にも登録されている野生動物の楽園です。
早速見つけました。
グラントガゼルです。
体長は150センチほど。
体重はおよそ60キロ。
ちょうどニホンジカと同じぐらいの大きさです。
見た目もシカによく似ていますがウシの仲間なんです。
目の周りの黒い縁取り。
茶色の体。
そして真っ白なお尻が特徴です。
オスは立派な角を持っています。
大きくなると80センチにもなります。
メスの角はオスに比べてずっと小ぶりです。
グラントガゼルはふだんオス・メスが交ざった10頭ほどの群れで暮らします。
食事中の群れ。
グラントガゼルは草だけではなく木の葉も大好き。
硬い木の葉でもトゲの生えた葉っぱでも平気で食べてしまいます。
植物から必要な水分を得ることができるためほとんど水を飲まなくても生きていけるんだそうです。
さらにグラントガゼルには驚くような能力があります。
それは天敵を発見する能力。
おや?1頭のオスが群れから離れていきます。
しきりに茂みのほうを気にしていますね。
近くにいるほかの草食動物たちは食事に夢中。
何も気にしていません。
でもこのオスだけは何かの異変を感じ取ったようです。
グラントガゼルが気にしていた茂みにはなんとライオンが休んでいました。
すぐれた嗅覚と視力を持つグラントガゼルならではのスゴ技です。
急いで群れに戻るオス。
仲間と一緒にその場を離れます。
グラントガゼルはいち早く敵に気付いて逃げることで危険なサバンナを生き抜いています。
乾季の真っただ中です。
草原の一角にグラントガゼルの群れを見つけました。
すぐそばには別の群れ。
いくつもの群れが集まってきているようです。
数はどんどん増え続け100頭を超える大群になりました。
この時期グラントガゼルがこんなに大きな群れを作るのには理由があります。
こちらのメス。
おなかが大きく膨らんでいますよね。
こっちのメスもほら。
群れを作っているのは主に出産を間近に控えたメス。
この場所で一斉に出産し一緒に子どもを育てるんです。
巨大な群れの観察を始めて数日後。
群れから離れた場所に1頭のメスを見つけました。
その脇には小さな赤ちゃん。
おっぱいを飲む赤ちゃんのおなかにはへその緒が揺れています。
けさ産まれたばかりのようです。
こちらのメスも赤ちゃんを連れています。
足元がおぼつかない様子の赤ちゃん。
あっ座り込んでしまいました。
まだ長い距離を歩くことはできないようです。
するとお母さん赤ちゃんを置いたまま群れに戻っていきます。
そしてのんびり草を食べ始めました。
ちょっと待った!おっ来ましたねヒゲじい。
いや産まれたばかりの赤ちゃんを独りぼっちにしたりして危ないんじゃないですか?それなら心配ご無用。
どうして?赤ちゃんはじっとしていれば周囲の風景に溶け込んで目立ちません。
だから天敵に見つかることはまずないんですよ。
でも近くに天敵が来たらさすがに見つかっちゃうでしょ?う〜ん。
じゃあヒゲじいクイズです。
この中にグラントガゼルの赤ちゃんがいるんですがどこにいるか分かりますか?それは…ああれ?どこ?どこにいる?正解はここです!え〜っ!本当に目の前にいてもわからないもんですなぁ。
でしょう。
座るだけで一瞬で姿を消してしまう。
これこそが赤ちゃんが身を守る技なんです。
は〜見事なもんですな。
草の中に隠れた赤ちゃんの周りにお母さんがいなければ何もいないただの平原だと思って天敵もやってきません。
だからグラントガゼルのお母さんたちは赤ちゃんだけを残してあえて離れているんです。
なるほどそういうことだったんですか。
それにねヒゲじい思い出して下さい。
グラントガゼルは天敵を見つけるのがとても早い動物でしたよね。
あ〜そうでしたそうでした。
こんなふうに大人たちが群れでいればあらゆる方向を警戒できるので近づく天敵を見逃す心配もほとんどありません。
なるほどね〜。
そして天敵に気付いた時には…鳴き声で赤ちゃんに動かないように伝えます。
まだ十分に歩くことのできない赤ちゃんを安全に育てるためあえて独りぼっちにする。
これがグラントガゼルの作戦なんですよ。
う〜んそういうことだったんですか。
一頭で隠れる赤ちゃん。
一頭で過ごすのは寂しいでしょうけど敵に見つからないよう「一頭」懸命隠れて下さいね。
…なんて。
し〜っ。
ある朝。
群れに何者かが近づいてきました。
肉食のジャッカルです。
獲物のネズミを探して近くにやってきたようです。
体の小さなジャッカルは大人のグラントガゼルを襲いません。
しかし赤ちゃんにとっては怖い敵。
大人たちは警戒します。
ネズミ探しに夢中のジャッカル。
幸い近くに赤ちゃんがいることには気付いていないようです。
その時1頭のメスがジャッカルに近づいていきました。
ジャッカルの目の前をゆっくり横切り気を引こうとするメス。
どうやら近くに赤ちゃんがいるようです。
それでも進路を変えないジャッカル。
するとお母さんが走りだしました。
ものすごいけんまくでジャッカルを追いかけます。
ジャッカルのように小さな相手ならこうして追い払うこともあるんです。
お母さんの気迫勝ちです。
ジャッカルが去ってしばらくしたころ。
群れから1頭のお母さんが出てきました。
鳴き声を出すお母さん。
これが赤ちゃんへの合図です。
赤ちゃんが立ち上がりました。
おっぱいを与える時だけはこうして立たせるんです。
私たちの観察ではお母さんは5〜6時間おきに赤ちゃんにお乳を与えていました。
その時です。
ライオンが現れました。
ゆっくりとグラントガゼルの群れに近づいてきます。
気付いたお母さん。
すぐに赤ちゃんを座らせます。
まさに一瞬の早業で姿を消した赤ちゃん。
お母さんは何食わぬ顔で赤ちゃんから離れていきます。
さらにライオンが近づいてきました。
警戒する大人たち。
グラントガゼルの大人はライオンの動きを警戒しますが逃げません。
安全な距離を保ってさえいれば襲われないことを知っているんです。
幸いライオンの群れは赤ちゃんには気付かず通り過ぎていきました。
作戦成功です。
ところが別の日。
予期せぬ事件が起こりました。
群れの近くにやってきたライオン。
あろうことか休憩を始めてしまったんです。
おや?ライオンの近くに1頭のメスがいます。
どうやら赤ちゃんがすぐそばに隠れているようです。
心配そうに様子を見守るお母さん。
なんと赤ちゃんが立ち上がってしまいました。
「動いちゃダメ」。
(鳴き声)お母さんは鳴き声で伝えます。
さらにお母さんはライオンの目の前で跳ね回り始めました。
自分をおとりにしてライオンの気を引こうとしているんです。
その間に身を隠す赤ちゃん。
よかった。
ライオンは気付いていないようです。
ところがまた赤ちゃんが動いてしまいました。
今度はライオンたちは見過ごしませんでした。
逃げる赤ちゃん。
しかし捕まってしまいました。
ちょちょっと待った。
赤ちゃんなんで動いちゃったの?動いちゃダメでしょう。
確かにそうなんですが実はこの時ライオンは9時間以上も群れの近くにいたんです。
え〜っ9時間も!はい。
この時期赤ちゃんへの授乳は5〜6時間に1回でしたよね。
あ〜はいはい。
でも赤ちゃんの居場所がばれてしまうのでお母さんは授乳に行けませんでした。
赤ちゃんはおなかがすいてしかたがなかったのか動いてしまったようなんです。
そうだったのか。
ひたすら隠れるだけのこの作戦にはこうした弱点もあるんですよ。
う〜ん。
こんなんで赤ちゃんを守りきれるんですかね?心配はごもっともなんですがこうして隠れるだけの生活は間もなくおしまい。
生後10日を過ぎるとまた別の方法で身を守るんです。
それは全く別の種類の動物に化ける作戦です。
えっ?別の種類の動物に化けるってどどういうこと?それはですね…。
うん!第2章で詳しくお伝えします。
だ〜はは!もう早く教えて!群れから離れた所に子どもを隠すグラントガゼル。
こんなふうに意外な場所に子どもを隠す動物はほかにもいます。
最初は南米世界遺産イグアスの滝です。
激しい滝の流れに猛スピードで突っ込む鳥がいます。
オオムジアマツバメです。
滝の奥の岩場で子育てをしているんです。
ヒナがいました。
産卵から巣立ちまで3か月。
1羽のヒナを両親で育てます。
滝の周りの森にはヒナを狙うたくさんの敵がすんでいます。
敵から守るため滝を利用して子どもを隠していたんですね。
お次は東南アジアタイ。
こちら観賞魚としても人気のベタです。
メスが産み落とした卵をすかさずオスがくわえます。
そして卵を吐き出し水面の泡にくっつけました。
空気の泡は卵とほぼ同じ大きさ。
泡の間に卵を隠せば敵から見つかりにくいというわけです。
やがて…産まれました!産まれたばかりの子どもは上手に泳げません。
オスは落ちた子どもを口の中に入れてまた泡に戻します。
泡は卵だけではなく子どもの隠し場所にもなるんです。
最後は奄美大島の森。
国の特別天然記念物アマミノクロウサギです。
授乳中の親子。
子どもはお乳を飲み終わると巣穴に戻ります。
するとお母さんなんと巣穴の入り口を埋め始めました。
子どもの天敵は猛毒を持つハブ。
ハブが巣穴に入らないよう入り口を塞いでいるんです。
巣穴は1.5メートルもあるので子どもが窒息することはありません。
それにしても子どもを土に埋めちゃうなんて驚きです。
それぞれちょっと変わった子どもを隠す方法。
皆わが子を守るために必死なんですね。
再びアフリカタンザニアのセレンゲティ国立公園です。
グラントガゼルの赤ちゃんが産まれて10日が過ぎました。
1頭のお母さんが群れから離れ隠れている子どものほうに歩いて来ます。
子どもは立ち上がるとお母さんのところへ駆け寄ります。
足取りが随分しっかりしてきましたね。
1頭で草むらに隠れる時期はもうおしまい。
お母さんと一緒に群れの中へ入っていきます。
ほかの子どもたちも集まってきました。
群れの一員となった子どもたち。
これからは親と一緒に草原を移動しながら暮らします。
しかしこの時期子どもを狙う天敵が次から次へと姿を現します。
まずやってきたのはハイエナです。
獲物を見つけるとしつこく付け回すやっかいな相手です。
狙いは群れに加わったばかりの子どもです。
2頭の子どもに近づいていきます。
逃げる子ども。
走りながら高く跳ねています。
これは「プロンキング」と呼ばれる行動。
敵の前で跳びはねて「自分は元気だから追ってもむだだよ」とアピールしているんです。
ハイエナをからかうかのように跳びはねる子どもたち。
ハイエナは追うのを諦めました。
子どもは2頭とも無事でした。
子どもたちずいぶんたくましくなりましたね。
このころの子どもはハイエナやライオンなど比較的足の遅い肉食動物にはそう簡単には捕まりません。
しかしまだ最大の敵が残っています。
チーターです。
チーターは地上最速のハンター。
最高時速は100キロを超えます。
一気に加速して瞬時に間合いを詰めます。
狙った獲物は逃しません。
チーターは体の大きなグラントガゼルの大人を襲うことはめったにありません。
狙うのは体の小さな子どもです。
しかし子どもたちにはチーターの攻撃を避けるためのとっておきの秘策があるんです。
グラントガゼルがやってきたのは別のガゼルの群れ。
トムソンガゼルです。
トムソンガゼルはグラントガゼルより一回り小さくおなかに黒い線があるのが特徴です。
こちらはメス。
頭に小さな角があります。
そしてこちらの大きな角を持っているのがオスです。
グラントガゼルとトムソンガゼルは一緒に食事を始めました。
突然ですがここでクイズです。
この中にグラントガゼルの子どもが1頭だけいるんですがわかりますか?正解はここ。
ほとんど区別がつきませんが見分けるポイントはお尻。
尻尾の上まで白いのがグラントガゼル。
茶色いのがトムソンガゼルなんです。
この群れの中にもグラントガゼルの子どもがいます。
ほら尻尾の上まで白いでしょ。
驚いたことにグラントガゼルは子どもの時だけおなかに黒い線があるんです。
大人にはないでしょ?子どもは模様を似せてすっかりトムソンガゼルになりきっているんです。
中でも似ているのがトムソンガゼルのメス。
色や模様角の大きさがそっくりです。
でもどうしてトムソンガゼルのメスにそっくりなんでしょうか。
それはチーターの狩りのしかたに秘密があります。
トムソンガゼルの群れでチーターに真っ先に狙われるのは体が小さく足の遅い子ども。
次に狙われやすいのはオス。
頭に大きな角があるので速く走れないからです。
そして最も狙われにくいのがメスなんです。
チーターの攻撃を避けるためグラントガゼルの子どもは最も狙われにくいトムソンガゼルのメスに成り済ましているんです。
天敵から身を守るために全く別の種類の動物に化けちゃうなんて恐れ入りました。
いや〜見事な化けっぷりですな。
でしょうヒゲじい。
でもちょっと待った!グラントガゼルはトムソンガゼルを利用しているだけってこと?ちょっとずうずうしいんじゃないですか?あ〜そう思うかもしれませんが実は一緒にいるとトムソンガゼルも大助かりなんですよ。
どういうこと?グラントガゼルは天敵を見つける能力が高く相手が遠くの草陰にいても素早く気付いていましたよね。
あ〜はいはい。
それにトムソンガゼルとは体の大きさが違う分目線の高さも違います。
天敵のチーターが草の中にいた場合体の小さなトムソンガゼルからは草に隠れて何も見えません。
しかし背の高いグラントガゼルからは丸見えです。
あ〜ははは確かにね。
敵を発見したグラントガゼルはいち早く危険を知らせてくれます。
だからトムソンガゼルはグラントガゼルがいてくれると大助かりなんですよ。
なるほど〜それは確かに助かりますなぁ。
2種類のガゼルは持ちつ持たれつ。
こうやってお互いを支え合って厳しいサバンナを生き抜いてきたんです。
なるほど。
タッグを組んでタッグさんの天敵に立ち向かうグラントガゼルとトムソンガゼル。
ほんとタッグましいですな。
…なんてね。
空を覆う雨雲。
間もなく雨季が始まります。
グラントガゼルだけの群れを見つけました。
トムソンガゼルの群れから離れ次の繁殖の時期までこの仲間と共に暮らします。
こちらの子どもは生後半年。
間もなくおなかの黒い線はなくなります。
たとえ天敵のチーターが現れてもこれからは自分の力で身を守らなくてはなりません。
アフリカサバンナに暮らすグラントガゼル。
一瞬で姿を消したり別の種類の動物に化けるという奇想天外な技。
かよわい子どもたちは驚きの秘策を使ってこの厳しい自然を生き抜いています。
2015/12/03(木) 16:20〜16:50
NHK総合1・神戸
ダーウィンが来た!「消える!化ける!草食ガゼルの秘策」[字][再]

アフリカのサバンナに暮らす草食動物グラントガゼル。一瞬で姿を消したり、他の動物に化けたり、まるで魔法のような方法で天敵から身を守る。奇想天外な生き残り策に迫る。

詳細情報
番組内容
タンザニアのセレンゲティ国立公園に暮らす草食動物、グラントガゼル。大人は天敵を発見する能力が非常に高く、鋭い視覚や嗅覚を頼りに、肉食動物などの接近をいち早く察知する。一方、子どもは驚くべき方法で敵から身を守る。一瞬で姿を消してライオンの攻撃を避けたり、まったく別の種類の動物に化けてチーターから逃れたり、まるで魔法のような技を繰り出すのだ。奇想天外!グラントガゼルの生き残りの秘策に迫る。歌:平原綾香
出演者
【語り】近田雄一,龍田直樹,豊嶋真千子

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
趣味/教育 – 旅・釣り・アウトドア

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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