(望月幸平)あ〜…やっほい〜っ!
2012年10月我が東京駅は5年間の改修工事を終えて新たな時代を迎えました
外観は開業当時そのままの赤レンガ駅舎を復元し地下には新しいエリアGRANSTAがオープン
ステーションホテルも営業を再開しました
東京駅はもはや一つの街なのです
発着する列車は新幹線在来線を合わせて1日4000本
従業員数は1000名
その片隅に我々の勤務する東京駅遺失物係通称お忘れ物預り所があります
(北口)いいなぁSL…。
今度僕も連れてってくださいよ。
いいだろう。
大井川鐵道の旅!
(嶋田満江)お世話になった方が静岡のケアハウスに入っていてねご挨拶しにいくって言ったら…。
(村尾由希子)大井川鐵道!?SL!?僕も行きます!…だもんね。
(北口)あっ!これC11形227号機ですね。
昭和17年誕生!人間で言ったら71歳。
(嶋田福男)はあ〜偉いよねぇ。
それで現役なんだからさ。
私もねその歳くらいまでは現役でいたいよね。
色んな意味で現役ね…。
(満江)なんだと…?この口がまだそういう事言うわけ!?いやいや…君のためだよ。
少しでもさ元気でいたいと思って…ね。
頑張ってるんだよ。
そう?うん…。
フフ…。
(正岡和也)すいません!あっ…どうなさいました?
(正岡)財布を落とした。
ああ財布ですか…。
どちらで落とされたかお心当たりは?中央…中央改札であの…切符出そうとした時だと思うんだ。
ではお手数ですがこちらにお名前の方お願い致します。
財布に何か特徴などございますか?いや普通の黒い革の財布だ。
中に私名義のクレジットカードが入ってる。
どうせ出てこないんだろうけどね…。
そんな事ありません!拾得物を届け出られる人の方が多いんですよ。
金が入っててもか?もちろんです。
正岡様…ですね。
(満江)じゃあ明日ね。
あっはい。
もう行っちゃうの?話はこれからだよ?仕事しなさいよ!なんでよ…。
あっ…。
あっあの…なな…何か?
(レイジ)これ落ちてたから届けに来た。
ああっ!これこれこれ!え?正岡様が紛失された財布ですか?ああっ!ちょっとちょっと…ちょっとすいません。
何?ちょっとあの…。
えっとですね…。
あっ正岡…。
間違いありませんね。
いやあありがとうございました。
中これ確かめさせてもらえるかな?ほら…ちゃんと金足りてるかどうか。
おいおっさん…俺がくすねたとでも言うのかよ!?くすねたなんて言ってないだろう!本当に。
中調べさせてほしいって言ってるだけじゃねえか!それが疑ってんじゃねえかよ!ちょっとちょっとお客様!冷静に!冷静になってください。
確かめさせてもらうよ。
どうだよ?あっいや…。
こっちでいいな。
おいお礼だ。
ほら。
いらねえよそんなもん…。
謝れよ!助かったよ。
ありがとう。
あっあの…ありがとうございました。
あの…。
この…これ…。
ありがとうございました!ありがとうございました!わあ…きれいねぇ茶畑。
いやあそうだよねぇ。
吹く風までが緑色に見えるなぁ…。
ねえ。
あれ?今の言い方さ詩人みたいじゃなかった?あの「風の色が見える」って…。
アハハハ…。
老眼が進んだだけじゃないの?何?それ…。
ちょっとちょっと…。
村尾君村尾君。
こっちこっち…。
何?それじゃあさ老眼が進んだら色が見えるっての?見えるんじゃないの?まああなたの場合は全てピンクに見えるんでしょうけど。
アハハハ!うま〜い!うまくないよ!
(車内アナウンス)「次は家山家山」ああ次だよ。
ああ…。
降りよう。
降りよう。
よいしょ。
これな。
はい。
あっあの…。
お忘れ物です。
あれ。
(柴田美奈子)あっ!ありがとうございます。
(汽笛)いやあ私たちね東京駅のお忘れ物預り所ってとこに勤務してるものですから。
ああ…。
(殿山末雄)おいヒマダ!ああ殿山さん!ごぶさたしてますどうも。
殿山さん。
なんだい?なんで美奈子ちゃんがお前たちと一緒なんだ?え?あの…知り合いなんですか?
(美奈子)殿山さんを訪ねていらっしゃったなんて本当に奇遇ですねぇ。
訪ねてきたのは私たちでね。
結婚式の時のね主賓なんだよね。
ああ…。
乾杯の音頭をとって頂いたんだ。
で彼らはねただの付き添い。
おまけ。
いやあSLにつられて一緒に来ました。
おお!SLが好きなのか。
鉄道全般が好きなんです。
だけどやっぱりSLは別格ですからね…。
別格か。
(汽笛)わ〜っ!いやあなんだか懐かしい気がするな…。
ケアハウスのイメージ変わっちゃうね。
ハハハハ…。
(村川吾郎)じゃあ加東さんここ座りましょうか。
(村川)加東さん?
(加東秀治)今日はいいや…。
運動訓練は毎日続ける事が重要なんです。
少しずつでも…。
ああっ!大丈夫ですか!?大丈夫ですか?眼鏡…。
折りたたみですね…。
はい。
すいません。
もしかして僕たちがいたから気になって…。
いえ…。
偏屈な人なんだよ。
気にする事はないや。
なぁ?ええ。
気にしないでください。
殿山さんのお客さんですか?ああ。
このお二人は俺のお客さんでなこの若いお二人はSLのお客さんだ。
先日ご提案した金額じゃ納得して頂けませんか?
(森崎静代)お金の問題じゃありません。
ここを終の棲家だと思ってる方々がいます。
このハウスを売却するつもりはありません。
ハハハ!いやいやいや…。
金の問題じゃないって言う人間に限ってねフフフ…。
金に弱いもんですよ。
ハハハハハ!ハハッ…。
いやいや…これ園長先生の事じゃありませんよ。
失礼な事を…。
お帰りください!経営状態調べさせてもらいましたよ。
もう決算の内容がねぇ…よくありませんねぇ。
しかも…園長は個人資産をこれ全てこのケアハウス家山につぎ込んでらっしゃる。
これはね危険な事ですよ。
お帰りください!あんな素敵なケアハウスに殿山さんがいらして本当に安心しましたよ。
(静代)ありがとうございます。
入居者の方みんな明るかったわ。
うちではみんな役割があるんです。
(静代)ずっと働いていらした方はそれぞれに得意分野を持ってるんです。
それを生かして働いてもらってます。
(静代)康子さんは元看護師さんだから入居者の健康管理を手伝ってもらったり板前さんだった方には調理を手伝ってもらったりしてます。
人間は誰かに必要とされてると思う事が一番ですからねぇ。
(汽笛)どうしました?加東さん。
ああ…誰かいた。
え?誰か外からのぞいてた。
えっどこです?消えた…。
うわっうわっ!うわっうわっ!やめてよもう!助役たちも誘えばよかったかな?いやいや2人にしといた方がいいって。
それで仲良くしてくれれば一番なんだけど。
殿山さんも心配してたなぁ…。
もう別居して何年になるんだろうなぁ…。
あれで1年…。
どうしたの?え?何?あっ!あ…あ…行って行って…。
待って…待って…。
どうかされましたか?あれ?この人…。
あっ!幸平さん幸平さん!ん?あっ!し…死んでる!早く警察に連絡して…。
警察に連絡して!ああ…ああ…!
(パトカーのサイレン)
(富山)じゃあ最初は奥さんが遺体を発見したわけですね?奥さん…?
(2人)いやいやいやいや!違うの?発見したのは私ですけど奥さんじゃなくて…。
あっ彼女さんね。
(2人)いやいやいやいや!同僚です。
同じ職場に勤務してます。
それで偶然遺体は知っている人だった…。
はい。
お疲れさまです。
第一発見者の方です。
(五十嵐貞夫)静岡県警の五十嵐といいます。
こちらの方の証言から身元が判明してます。
村川吾郎29歳。
ケアハウス家山という老人福祉施設で介護福祉士をしているそうです。
(静代)職員の村川吾郎君です…。
(殿山)信じられないなぁ村川君が殺されるなんて…。
誰か静代さんを慰める必要があるんじゃ…。
いやいや…それは変な意味じゃなくてさ。
力づけてあげたいと思うのはさ人間としての当然の気持ちだろう?ねえ。
おい。
え?美奈子ちゃんの事よろしく頼むよ。
東京には1人も知り合いがいないんだから。
任せてくださいよ。
なあ?どうしたの?頼みますよ満江さん。
いや…美奈子ちゃんの事もだけどこいつの事もね。
いやいやまあ…。
色々あったらしいけどあなたに惚れてる事だけは確かなんだから。
美奈子ちゃんの事は引き受けました。
こちらの方の事は…考えさせてもらいます。
五十嵐が出てきたか…。
(五十嵐)あっ…。
ごぶさたしています警部。
もう警部じゃねえよ。
とっくに退職してる。
捜査一課が出張ってきたって事は殺しと踏んでるのか?フフ…。
部外者には何も言えねえか。
申し訳ありません。
いや俺がそう教えたんだ。
では。
村川さんここに勤めて3年ですよね?はい。
その前は浜松の介護施設で働いていたと聞いてます。
身近で何かトラブルのような事はありましたか?トラブル?例えば園内での人間関係ですとか…。
そういうような事はなかったと思います。
彼の全部を知ってるわけではありませんけど。
問題があったとは思えなかった?はい。
村川さんの私物調べたいんですが…。
どうぞ。
あんこでかっ!うん!あっこれうまいっすね。
お茶も美味しいでしょ?はい。
静岡だからねぇ。
買い込んできた。
これからしばらく3時のお茶には困らないわね。
それにしても心配だよねぇ。
静代さん落ち込んでないかな…。
あっ美奈子さん!どうも。
あっ!美奈子さん!今東京に戻ってきたんです。
ああ…。
あの…これ園長先生が皆さんでって。
ああ…。
あっ…。
あっ…。
かぶっちゃいましたね…。
いや!いやいや!だだだだ…大丈夫ですよ。
すぐなくなりますよ。
静岡のお茶美味しいんだもん。
あっそれより!大変でしたね村川さんの事…。
ショックだったでしょう。
はい…。
殺人事件だったって聞いて園長先生も…。
殺人事件!?そうなの…。
それは心配だね…。
静代さんがさつらい思いをしてるなら力になるけどね…。
あの…携帯の番号とかさメールのアドレスわかるかな?誰のアドレスだって?いらっしゃい!ごめんなさいねお客様に作らせちゃって。
ああいえ…。
美味しいわよね静岡おでん。
最初は黒くて驚いたけど。
私は東京のおでんに驚きました。
生まれた時からこのおでんでしたから。
おでんは各地域それぞれ特色があるからね。
ん?どうしました?
(すすり泣き)やっぱりねこういう団らんっていいな…。
この歳になってね夜中に1人でコンビニのおでん買ってさ食べてるとさ…。
自分の人生って一体なんだったんだろうって思ってしまうわけだよ…。
自業自得!だって…!あっ…殿山さん言ってました。
披露宴でのお二人とっても幸せそうでお似合いだったって。
ありがとう美奈子ちゃん。
それが浮気よ。
いやしてないよ。
誤解だよ。
誤解なんだよ美奈子ちゃん。
ね。
僕酒に酔ってさそれで意識失ってねそれで気がついたらさスナックのママがこう…。
そんな言い訳が通用すると思ってるの!?でも望月さんって忘れ物の話になると夢中になるんですね。
いやあ…。
私が網棚にお菓子を忘れて降りようとした時もそうだった。
実は…僕自身が忘れ物なんです。
え?子供の時駅に…。
ここで待ってなさいってそう言われてホームに残されました。
必ず戻ってくるからって…そう言った母の言葉を信じてずーっとそのホームで待ってました。
お母さんは?いえ…。
どうしました?康子さん…。
康子さん?
(宮本康子)死のうと思ったの。
この子を道連れに。
でも死ぬなら1人でも死ねる。
この子にはどんな素晴らしい未来が待ってるかもしれない…。
そう思って…。
でもやっぱり私死ねなかった。
どうしても…。
死ぬのは思いとどまったけど迎えには行けなかったそうです。
一度はその子を捨ててしまった…。
自分にはもう母親の資格はないって…。
それはどこの駅ですか?そこまでは聞けませんでした。
あっ…。
会ってください。
会わなきゃダメですよ!美奈子さん…。
私は会えないから…実の母とは。
え?あっ…ありがとうございました。
あそこです。
ああ…。
じゃあこれ…。
すいません。
じゃあ。
あなたは…。
あっ…あれ?財布を落とし…。
あっお忘れ物預り所です。
ああ〜。
ケアハウス家山の事で話があってね。
困ります。
こんなところまで…。
園長が全く話聞いてくれないんだよ。
あなたから園長に取り次いでもらってくれないかな。
迷惑です。
帰ってください。
あんたにとっても悪い話じゃないよ。
せめて条件を…。
聞きたくありません!ほっほ…気が強いねぇ。
(笑い声)過去に色々あっただけの事はありますねぇ。
あなたの事は色々調べさせてもらいましたよ。
15年前の事件の事も。
まあ今度ゆっくり話しましょう。
ねえ。
邪魔の入らないところで。
(笑い声)今の人…。
熱海にあるシルバーキャッスルというケアハウスグループの人です。
ケアハウス家山を買収したいってもう何度も…。
買収!?
(富山)被害者村川吾郎。
死亡推定時刻13日。
死因は脳挫傷。
所持品に財布はありましたが携帯電話はありませんでした。
ホシが携帯を持ち去ったと思われます。
(安部)村川の携帯電話の発信履歴がわかりました。
(安部)事件前の夜10時41分と50分。
同じ番号に2度発信しています。
この番号だな。
(安部)はい。
相手先は柴田美奈子。
村川と同じケアハウス家山に勤務する介護福祉士です。
柴田美奈子さんですね。
はい…。
(汽笛)
(静代)一緒にお茶にしましょう。
殿山さんたちが誘ってますよ。
(加東)はぁ〜ひねくれ者でね。
くだらない冗談に笑う事は出来ない。
愛想笑いをすると自分に腹が立つ。
知ってます。
そういう人間がいると不快な思いをさせる事になる。
あの人たちはそんな事思ったりしませんよ。
わかってる。
みんな気のいい人たちだ。
ええ。
わかってるから遠慮してる。
気のいい人たちは気のいい者同士がいい。
ハハッ…本当にひねくれ者なんだから。
(2人の笑い声)
(美濃部)園長。
警察からお電話です。
警察?
(美濃部)はい。
すぐ行くわ。
幸平大変だよ。
今さぁ静代さんから電話があってね美奈子ちゃんがさ警察に連行されたっていうんだよ。
連行!?うん。
(五十嵐)13日の夜10時41分と50分に亡くなった村川さんはあなたの携帯に電話してますよね?はい。
(携帯電話)はいもしもし?「村川です」何?今からちょっと会えないかな?こんな時間から無理よ。
話があるなら明日でいいでしょ。
(五十嵐)そのまま会わなかった。
はい。
時間も遅いし2人で会うのは…。
村川さんから誘われたのはそれが初めてでしたか?…いえ。
つまり村川吾郎はあなたに恋愛感情を抱いていた。
あなたは13日の午後10時半から12時半の間どこにいましたか?ケアハウス家山の私の部屋です。
それを証明してくれる人はいますか?ずっと1人でいましたから…。
いないという事ですね?…はい。
あなた補導歴がありますね。
15年前ですが…。
それが今度の事件と何か?関係者は調べなくてはなりません。
親に捨てられて3歳から施設で育てられました。
(美奈子の声)施設から高校に通ってたんですけど同じクラスの子に色々言われてケンカになって…。
先生も私だけが一方的に悪いように言って全部嫌になって…。
自分を壊してしまいたかった。
(五十嵐)それが加東さんか…。
あの時助けてもらわなければどうなってたかと思います。
それからケアハウス家山の森崎静代さんのところへ行った。
加東さんの紹介です。
そこで働きながら通信制の高校を出て介護福祉士の資格を取りました。
おはようございます。
ああ…幸平。
ちょっとこれ読んでみろよおい…。
なんですか?あれ?これケアハウス家山じゃないですか。
介護福祉士がな入居老人を虐待した疑惑があるって書いてあるんだよこれ。
過去に補導歴のあるな三十代女性介護福祉士だって書いてあんだよ。
美奈子ちゃんの事なんだよ。
そんな馬鹿な…。
嘘ですよ!こんな馬鹿な事信じる人間はいないわ。
そりゃあここの事を知ってる人間は信じないだろうさ。
けど世間は真に受けるかもしれないよ。
それが心配なんです。
警察に美奈子ちゃんの事聞かれたって人もいるし…。
でたらめだと言ってもさ日課とか間取りなんかは正確に合ってるじゃないか…。
これは内部事情に詳しい奴だ。
情報を漏らしたって事?そう疑ってる人たちもいます。
誰が週刊誌にこんなでたらめを流したのかって。
犯人捜し?加東さんだよ。
えっ?
(加東)俺が金儲けのために週刊誌にでたらめを話した…か。
(静代)馬鹿馬鹿しい話。
(加東)だがそれを信じる人間もいる。
そう思われるのも自分の責任ではある。
そんな事ないわ。
ここにいてもいいかな?何言ってるんです!そんな噂話なんかに…。
いや噂の事じゃなく…。
昨日病院でね…。
あと1年だと言われた。
加東さん…。
入院をすすめられたよ。
ここには看護師さんいないからね。
ええ…。
余命半年だとホスピス病棟に入れるらしい。
病院はどうも苦手でね。
あと半年…。
ここにいてもいいですか?もちろんです。
いたいだけいてください。
助かった。
(笑い声)
(携帯電話)もしもし?シルバーキャッスルの正岡です。
週刊誌読みましたよ。
(正岡)「大変な事になりましたね」どうして私の携帯番号を?色々と調べたと申し上げたでしょう。
どんなご用件でしょうか?お会いした上で…。
「お話ししたい事がありましてね」
(汽笛)ケアハウス家山を買収しようとしてる会社があるんですよ。
買収?シルバーキャッスルという大手のケアハウスグループです。
ああ…知ってるよ。
最高級を売りにしてんだよね。
プールとかさゴルフ場ついてるケアハウスだよ。
はぁ…。
隣の幼稚園児と触れ合う方がいいと思うけど。
あの正岡って人がそのグループの幹部なんです。
正岡…?お礼だ。
ほら。
あの男か…。
ほらあの時の態度さ嫌味だったよね。
お礼とか言ってさ5千円出しちゃってな。
そうだよあの男がねあの記事を書かしたんだよ。
そうね。
ケアハウス家山の評判を落として安く買いたたこうとしてるのよ。
それからさ村川っていう介護福祉士を殺したのもあいつだよ。
いえいえ…決めつけるのはどうかと思いますけど。
大丈夫かなぁ…静代さんさぁ…。
心配だなぁ…。
幸平お前さぁ代表で行ってきたらどうだよ?えっ?だってお前有休残ってないだろ。
はい。
俺残ってんだから。
目いっぱい使ってるからね。
そうそう。
だから助役さぁ僕の有休幸平と振り替え出来ないのかなぁ?出来ません。
まあでも確かに康子さんともちゃんと会っておいた方がいいですよね。
そうだよ…。
そうね会っておいた方がいい。
な…なんだよ?お前。
ああ…来てくれると思ってましたよ。
あれがうちの本社です。
その隣がシルバーキャッスルの1号館。
(正岡)天然温泉とプールゴルフ場を備えてます。
(静代)お年寄りに必要なのはそんな設備じゃありません。
(正岡)それでも売れるんだ。
きっちりした利益を上げないと福祉ビジネスは衰退しますよ。
週刊誌に載せた記事あなたが仕組んだのね?なんの事かわかりませんね。
誰か内通者でもいたんじゃありませんか?え?それよりももっと大切な話しましょう。
大切な話?
(正岡)村川君が殺された事件の真相です。
え?研修いいんですか?あっ今日はもう終わりました。
しかしさぁ本当に心配だなぁ。
きれいな園長先生が?そう静代さんの事が…。
いやいやそうじゃないよ。
あのさぁ殿山さんはじめみんなの事ですよね。
ええ。
明日ケアハウス家山に行ってきます。
あっ康子さんに?会っておいた方がいいでしょ。
私も一緒に行きます。
康子さんにも連絡しておきます。
そうね。
向こうにも心の準備があるものね。
僕にも心の準備あります。
本当のお母さんだといいわね。
はい。
じゃあいってきます。
いってらっしゃい。
加東さんを千頭まで送ってきます。
千頭へ?SLに乗るんだ。
加東さんがかい?いつも見てるけど乗った事がないんでね。
この世の名残だ。
そんな事言うもんじゃありませんよ。
そうですよ。
いやぁ近くで見ると迫力があるんだね。
本当ですね。
素晴らしいですね。
う〜ん。
いやぁすごい。
あっ…。
(静代)大丈夫ですか?
(港)大丈夫ですか?ああ大丈夫だ。
さあ…。
ありがとう。
いえ。
おけがは?大丈夫だ。
かわね路に乗るならご案内します。
うんありがとう。
気をつけて。
それじゃあ。
いってらっしゃい。
いってきます。
どうぞ。
ありがとう。
お気をつけて。
(汽笛)
(汽笛)ここからの景色すごくきれいですね。
時々美奈子ちゃんにここに連れてきてもらうのよ。
それで2人で走るSLを見るの。
そうですか…。
恨んでるでしょうねお母さんの事。
いえ…。
恨まれて当然の事をしたんだから。
あなたの話聞かせてくれない?
(望月の声)山の谷間の小さな駅でした。
「ここで待っていなさい」って母にそう言われて…。
その日一日待ったけど母は来なくて終列車が出て駅から追い出されて…。
次の日から毎日駅に通いました。
事情を知った駅員さんが黙って改札を通してくれた。
(望月の声)次の列車で必ず来る。
その次の列車こそ絶対来るって自分にそう言い聞かせて…。
(望月の声)だけどそのうち親切な駅員さんに言われるんです。
「坊や今の列車が終列車だよ」って。
だから今でも終列車が出て駅のホームの明かりが消えるのがちょっとつらくって…。
鉄道員なのに情けないです。
(汽笛)ごめんなさい…。
ごめんなさいね。
やっぱり康子さんが…。
ごめんなさい。
寒かったでしょあんな雪の中に残して…。
(康子の泣き声)雪?雪が…雪が降ってて寒い待合室に…。
ごめんね…。
あ…いや…。
あの…康子さん。
山に囲まれた小さな田舎の駅ですけど雪は降らない場所でした。
えっ…。
そう…そうなの?でもやっぱりごめんなさい。
私…謝りたいの。
私はあなたのお母さんと同じ事した…。
ううん…謝って許されるような事じゃないけどごめんね…。
恨んでないですよ。
恨んでなんかいないですって。
そうです。
きっと康子さんの本当の息子さんも幸平さんと同じ事言いますよ。
美奈子ちゃん…。
会いたいって思うけど恨んでなんかいません。
私も幸平さんと同じ気持ちです。
美奈子さん…。
私も忘れ物だったんです。
美奈…。
美奈子ちゃん…。
康子さん…。
(汽笛)おお…なんだ?忘れ物か?
(田代宏子)うぇーい。
ああ宏子さん。
これねまた忘れ物。
ああ…。
場所はどこですか?今清掃したねこだま666号の自由席。
3号車A席の窓のところ。
あっそうか。
窓際に置いてそれで降りる時に忘れちゃったんだな。
ああよくあるやつですね。
そうそうそう…。
確かにお預かりしました。
ほいじゃあよろしくです。
ご苦労さま。
お疲れさま〜。
(宏子)はいはいどうも。
元気だねあいつはいつも。
なんだい?それ。
(小森)うわっ!
(パトカーのサイレン)
(瀬尾)首の骨が折れています。
それが致命傷だと思われます。
(五十嵐)この展望台の上から…。
(富山)飛び降りたって事ですか?
(瀬尾)正確な事は司法解剖待ちですね。
(鈴木)警部第一発見者の方です。
新聞の集金をしている時に発見したそうです。
発見した時の正確な時間覚えてますか?6時28分です。
見つけてすぐ電話したんで携帯に発信時刻が残ってました。
それと…。
それと?30分前には死んでなかったと思います。
(小森の声)行きにこの先のお宅で集金しました。
そのお宅が6時に来てくれと言われたので…。
行きにはなかった。
はい。
(富山)つまり6時から6時28分までの間に転落死したって事ですね。
ああ。
(鑑識員)遺留品!
(富山)正岡のバッグですね。
うん…。
(五十嵐)これは…。
そう…。
本当の息子さんじゃなかったの。
でも何十年も心につかえてたものが押し出されたような気がしました。
僕もです。
ずっと言えなかった事が吐き出せたような気がしました。
お二人とも本物の親子みたいでした。
それでいいじゃない。
本当の親子だと思えばいいんじゃないですか?正岡がさ熱海で死んだよ。
えっ!?「最初に殺された介護福祉士の携帯電話を持ってた」っていうんだよね。
ちょっとさお茶淹れてよお茶。
ヒマダ!勤務中じゃないのか?新聞読んでお茶淹れろ?駅長だってそんな優雅な勤務はしてないの!ごめんなさい。
自分で淹れる…。
ごめんね。
あっそうだ。
君とそれから由希子ちゃんの分もね。
静岡の美味しいお茶ね。
はいはいはいはい…。
この記事私も読んだ。
気になるわよねぇ。
どういう事ですかね。
死んだ正岡が村川さんの携帯を持っていたなんて…。
普通に考えれば殺害現場から持ち去ったって事じゃない?じゃあ村川さんを殺したのは正岡!?いや僕もねそう思うんだよね。
それでさ逃げきれなくなって自殺したって…ねぇ?辻褄は合ってるわね。
うん。
そうそう幸平君から連絡があってお母さんじゃなかったって。
ああ…そうなんですか。
(富山)警部。
司法解剖の結果が出ました。
後頭部の裂傷は落下によるものではない…?
(富山)正岡は最初に後頭部を何かしらの凶器で殴られ意識を失ったところを展望台から突き落とされたという所見です。
同一犯だな。
村川殺害の罪を正岡に着せその正岡を自殺に見せかけて殺したんだ。
(美奈子)えっ!?あの…園長先生!心配しないで。
すぐ戻ってくるから。
(美奈子)えっ…あっ…。
どうして園長先生が…。
心配する事はない。
すぐ疑いは晴れる。
疑いって…!?今度の事件の…。
園長先生が連行された?はい。
すぐに疑いは晴れるだろうって加東さんは言ってくれてるんですが…。
正岡が熱海で殺された事件で疑われたの?そんな馬鹿な…!
(五十嵐)この写真を見てください。
(富山)熱海のサンビーチに設置された防犯カメラの映像です。
(五十嵐)あなたと正岡さんに間違いありませんね?はい。
正岡さんが熱海で殺害される前日です。
それが何か?正岡さんとはどのようなご用件で?買収の話でした。
ケアハウス家山を売却してシルバーキャッスルの傘下に入れっていう話でした。
そんな話を海のそばで?人に聞かれたくなかったんでしょう。
色々な条件を出されましたがケアハウス家山を手放すつもりはないと断りました。
(五十嵐)聞くところによるとシルバーキャッスルっていう会社はかなり強引な買収をする会社だそうですね。
よそでの事は知りませんけど。
悪い噂を流したり施設の人間を買収して寝返らせるような事をする。
村川吾郎のように…。
村川君は寝返ったりしないと思います。
週刊誌にケアハウス家山を中傷する告発をしたのは村川吾郎でした。
…え?知りませんでしたか?今初めて聞きました。
あなた昨日の午後6時から6時半の間どこにおられましたか?6時頃なら金谷で買い物をしていました。
金谷?はい。
入居者の加東さんを千頭駅まで送ったんです。
(静代の声)一度ぐらいSLに乗りたいっていうので千頭の駅まで一緒に行ってかわね路2号に乗せました。
それから千頭の街をぶらぶらして3時25分発の金谷行きに乗りました。
金谷に着いたのが4時半頃だったと思います。
なるほどさすがですね。
さすが?警察に呼ばれて刑事に話を聞かれると多くの人はちゃんと喋れないんですよ。
こう…必死に記憶をたどってしどろもどろになるんですよ。
でもあなたは違う。
まるで用意してきたかのようにきちっと喋れるんだ。
自分にはアリバイがあると…。
ではあなたが杖をついた老人をかわね路2号に乗せたんですね?はい。
その時にこの女性も一緒じゃなかった?いえ。
乗せたのは男の老人の方だけです。
この女性はホームで別れて改札の方に向かいました。
森崎静代がかわね路2号の出発直前に千頭駅にいた事は確認されました。
けれど午後3時25分発の普通列車に乗った事を証明する人間はいません。
つまり千頭駅で降りずに自分もかわね路2号に乗った可能性があるんだな。
(富山)正岡和也が熱海で殺害された時間は午後6時から6時28分までの約30分です。
ホシは少なくとも6時28分第一発見者の新聞配達員に姿を見られないためには6時25分までには犯行を終え姿を消した事になります。
千頭から熱海に列車で向かう一番早いコースはかわね路2号に乗る事です。
(富山)かわね路2号は午後4時10分に終点の新金谷に着きます。
そこで4時32分発の普通列車に乗り換えJRとの乗り換え駅である金谷に向かいます。
金谷着は4時37分。
金谷から熱海には5時1分発の東海道線に乗り静岡で新幹線のこだま668号に乗り換える。
その最短コースを使っても熱海到着時刻は6時31分です。
(五十嵐)その時間すでに正岡は死体になっていた。
(富山)森崎静代がかわね路2号の出発直前に千頭駅にいたならギリギリでアリバイは成立する事になります。
(五十嵐)綱渡りのアリバイだな。
え!?アリバイが成立しない?ああ。
一つだけ方法があるんだ。
アリバイトリックという事?かわね路2号で新金谷に行くところまでは時刻表と同じなんだ。
4時10分。
かわね路2号を新金谷で降りたあと次の普通列車までは22分の待ち合わせがあるんだ。
新金谷駅とJRの金谷駅までの距離は約2キロ。
車で移動した方が早いんだ。
そうすれば金谷発4時35分の東海道線浜松行きに乗れる。
掛川でこだま666号に乗り換えれば熱海着は5時57分か…。
1分停車で58分発。
犯行は可能になる。
園長先生はどう言ってるの?3時25分発の普通列車に乗ったって言ってるらしいんだ。
それなら完璧なアリバイなんだ。
新金谷着が4時32分。
金谷着が37分だから絶対に金谷発4時35分の東海道線には乗れない。
じゃあその3時25分発の普通列車に乗ったって事がわかればアリバイは証明出来るのね?そのとおり。
(汽笛)
(五十嵐)実はあなたは千頭で加東さんと別れるふりをして同じかわね路2号に乗り込んだ。
そして新金谷から車で金谷に向かった。
違いますか?いいえ私は千頭の街を歩いて3時25分発の列車で金谷へ行きました。
でもそれが証明されないとあなたの容疑は晴れないんですよ。
(携帯電話)もしもし。
美奈子さんよく聞いてください。
園長先生が千頭発3時25分発の普通列車に乗った事が確認出来ればアリバイは完璧なんです。
はい。
千頭発3時25分です。
(加東)この女性なんですが…。
4時ちょっと前に列車で金谷の方に行った人いないかしら?
(女性)私知りません。
すみませんあのこの方なんですけども4時頃…。
見かけた事ないですか?この人なんですけどね…。
ちょっとダメですよ加東さん。
いくらOBでも勝手に入っちゃ。
(五十嵐)加東警部。
もう警部じゃねえよ。
園長のアリバイを証言してくれる人を見つけてきた。
アリバイ?
(美奈子)はい。
お願いします。
岡田さん。
おい写真。
(美奈子)あっはい。
(加東)18日にこの写真の女性と同じ列車に乗ったんですよね?
(岡田チエ)はい。
(チエの声)4時の列車に乗ったら席を譲ってくれはったんです。
荷物あったしもう助かって…。
(加東)つまりは千頭を3時25分に出た列車だ。
この人に間違いありませんか?ええ。
ああ…ありがとう。
加東さん美奈子ちゃん。
俺たちだけの力じゃないよ。
はい。
お礼はみんなに言ってください。
みんな?うん。
(拍手)
(殿山)お帰り。
(男性)園長!
(康子)お帰りなさい。
みんなで同じ列車に乗ってた人を探したんです。
ケアハウスのみんなで。
ありがとう。
ありがとうございます。
そうですか!わかりました。
いや…安心した。
園長先生の疑いが晴れました。
ああ〜よかったあ。
これでもう安心なのね?はい。
千頭発3時25分の列車に乗った事が確認出来れば絶対のアリバイになります。
ああ〜!ああ〜!幸平さ喜びすぎだよ。
あのさこだま666号に乗り継げない限りはね6時に熱海には着けないわけだからね。
いやそんな事は当然さ私は幸平より前に気がついていたわけよ。
ねっいいか幸平。
静代ちゃんを助けるためにだね…。
静代ちゃん!?いやだからそうだよ静代ちゃんを助けるために私はさアリバイを計算したんだからね。
そこんとこをさしっかり伝えてよね静代ちゃんに…。
静代ちゃん!?そう「ちゃん」!ちゃんとね?あっ…ちゃんと伝えます。
そうだよ。
あれ?こだま666号?どうしました?うん…そういえば事件の日のこだま666号に忘れ物があったから。
今清掃したこだま666号の自由席3号車A席の窓のところ。
これ。
あっこれ…。
大丈夫ですか?眼鏡…。
これ…。
うん?これ加東さんのです。
まさかそれが?加東さんがこだま666号に乗ってたっていうの?いやそんな馬鹿な…。
大体ね老眼なんていうのはさ同じようなデザインなんだよね。
僕のだってほら。
ね?同じじゃない似てるじゃない。
ねぇ?
(満江)もしもこだま666号に加東さんが乗っていたらどういう事になるの?まさか加東さんが正岡を殺した犯人…?いや僕は反対だよ。
ねえあんな忘れ物をさ警察に届けてなんになるってのよ。
でも殺人事件の証拠かもしれない…。
それじゃあさ加東さんが犯人だって言うのかい?それは…。
誰だってそうは思いたくありません。
だけど現実に忘れ物が出てきた以上は…。
じゃあ幸平君も届けるべきだって言うの?じゃあね決とろうよ。
届けなくてもいいと思う人。
はい。
はい。
2票だよ。
ね?助役と…。
やったよ。
え…?ほらやっと心がひとつになったよ。
2票だよ。
こんな時に!じゃあ届けるっていう人は?いいよもう。
あの…こっちはね君たちの上司なんだよね。
助役とお忘れ物預り所の所長なんだよ。
同じ2票でも価値が違うんだよ。
大井神社のお守りもありました。
ケアハウス家山のすぐ近くの神社です。
幸平君…。
僕たちのする事が大切な人の罪を暴く事になるとしてもそれでも…それでも真実を闇に葬る事は出来ないでしょう。
はぁ…本当によかったのかなあ。
よかったのよ。
本当の事知りながら隠すなんて間違ってる。
そうだよね…。
(五十嵐)鑑識から報告が入った。
18日のこだま666号の自由席から発見された拾得物から加東秀治の指紋が採取された。
熱海で正岡和也を殺害したのは加東秀治だ。
(富山)千頭駅からかわね路2号に乗り込んだのも…。
加東のアリバイ工作だ。
新金谷から車を使うという例のトリックだ。
裏を取ってくれ。
(富山)先日こちらの男性乗せた事ありますか?
(佐伯)ああ杖ついたおじいさんね。
(佐伯の声)確かに乗せましたよ。
(加東)金谷まで。
急いでくれ。
35分発の東海道線に乗りたいんだ。
間に合うか?ええ。
金谷だったら近いし道もすいてるから大丈夫ですよ。
ああよかった。
参ったな…元警察官だ。
はい。
色々と怒鳴られた。
昔気質のデカでな。
警部は加東警部の…いや加東の事を…。
世話になった。
(五十嵐)逮捕状を請求する。
(ため息)
(汽笛)
(汽笛)
(汽笛)
(パトカーのサイレン)
(パトカーのサイレン)園長先生加東さんは?
(美濃部)園長警察の方が加東さんを…。
ここにはいません。
私が来た時にはもう…。
(加東の声)「ケアハウス家山園長森崎静代様」「最期にかけるご迷惑をお許しください」「七十余年の最期の時をこの場所で過ごせたことを感謝いたします」「私のような者にとって贅沢過ぎる日々でした」
(加東の声)「我が儘勝手な人生を送り家族を顧みなかった私にとってここが終の棲家でした」
(加東の声)「美奈子ちゃん職員の方々そして人生の最後の仲間である入居者の皆様に深く深く感謝いたします」「皆様のそばにいられる事が幸せでした」
(加東の声)「そのハウスを奪おうとする者が許せませんでした」「村川吾郎正岡和也の両名を手にかけたのは私です」「それがハウスを守るためのたった一つの道だと思いました」「ですが私のした事は園長の心に背き私が大切に思うケアハウス家山の皆様を傷つける結果となってしまいました」
(加東の声)「本当に申し訳ございません」「一命をもって大きな罪を謝罪したいと思います」寂しいもんだなあ。
こういうのはね人の数じゃないんですよ。
ええ。
加東さんの事を本当に思ってる人が手を合わせればいいんです。
ご家族の方はいらっしゃらなかったんですか?ああ。
子供が小さい時に別れてるらしいんだ。
仕事仕事でうちへ帰らなかったらしいや。
男の人はそうでしたよ。
特に刑事さんなんて仕事してるとね。
俺も同じだ。
子供が病気の時も列車の調子が気になっちまってな。
車輪の傷と子供の熱とどっちが大事だなんて言われて。
女房が死んだ時も操車場で列車の手入れをしてたんだ。
だから子供には恨まれちまってな。
ここに入って5年になるけど一度も面会に来てくれやしねえ。
あっ加東さんの顔見てやってくれるかい?
(泣き声)美奈子さん…。
美奈子さん!どうして…。
どうして警察に届けたんですか!幸平さんがあの忘れ物を届けなければ加東さんはこんな事にならなかったのに!悪く思わないでね。
誰かに当たりたかっただけなのよ。
ごめんなさいね。
いえ…。
あ…康子さん。
何?加東さんはリハビリなさってたんですか?どうしてそれを?棺の中にクルミが2つありました。
あれこうやって手の中で動かすんですよね。
負けず嫌いでね。
人前ではやらないのよ。
右半身に麻痺があってね。
脳溢血の後遺症。
脳溢血?うん。
だから2人きりの時にはこれ厳しくやらせてたの。
熱海駅で事件当時の切符を回収して指紋照合した結果加東秀治の指紋が検出された。
(五十嵐)金谷から熱海までの切符で自動改札を出たのは6時1分だ。
その切符からは加東以外の指紋は採取されていない。
6時1分に熱海駅を出たら現場までは車で10分。
十分に犯行は可能だ。
決まりですね。
検察は被疑者死亡のまま加東秀治を殺人罪で書類送検する事を決定した。
本当に加東さんに出来たのかな…。
え?いつも杖をついていたし右半身には麻痺が残っていた。
あ…でも警察がちゃんと証拠を揃えたじゃない。
金谷から熱海までの切符があってそれに加東さんの指紋が付いてたんだから。
ちょっと寄りたいところがあるんだ。
(田中昇)先ほど東京駅の嶋田助役からお電話を頂きました。
4月18日の防犯カメラ映像ですね。
はいお忙しいところを本当に申し訳ありません。
こちらです。
警察がコピーしていきました。
マリンタワーの近くでの殺人事件ですよね。
はい。
私も事情聴取されました。
あの日は勤務してましたから。
6時1分です。
警察が何度も見たからこっちまで覚えてしまいました。
もう一度お願いします。
あっはい。
(汽笛)加東さんが犯人じゃないと?はい。
どういう事です?警察の捜査が間違ってたって言うんですか?加東さんには右半身に麻痺がありましたね。
あっちょっ…大丈夫ですか?展望台の上から正岡を突き落とす事は無理です。
そして最初の殺人も…。
最初の?村川吾郎君殺害事件です。
加東さんじゃないと?若い村川君と加東さんが…杖をついた加東さんが揉み合ったとは思えません。
全部…加東さんが書いた筋書きだったんです。
全ての事件は村川君殺害から始まっています。
加東さんは真犯人をかばって自殺したんです。
真犯人って…。
美奈子ちゃんがいないの!美奈子さんが!?いないって!?ずっと1人で部屋にこもってて心配で行ってみたら…。
携帯も電源切ってあるし…。
捜してください!早く!あの子を捜して!幸平さん!美奈子さん!美奈子さん!馬鹿なまねはやめるんだ!
(美奈子)幸平さん…!君が死んだら…みんなの気持ちが無駄になる!そうじゃないか?私…。
加東さんが書いた遺書は偽物だった。
2件の殺人を背負って自分の命と引き換えてまで守りたい人がいた。
そうだろう?それは君としか考えられないんだ。
実の娘のように思っていた美奈子さんのために加東さんは遺書を書いた。
違うかい?私にはそんな価値ないの。
私にはあんなにまでして守ってもらう価値なんか…!君がそんな事言っていいのか?加東さんは君を守るために死んだんだ!どういう事か教えてくれ。
美奈子さん。
あの夜…村川君に呼び出されて…。
(村川)園長もケアハウス家山ももうもたない。
どういう事?資金繰りが行き詰まってる。
園長は自宅まで抵当に入れてるけどパンクは時間の問題だ。
どうして村川君がそんな事を?
(村川)帳簿を見た。
コピーを渡してケアハウス家山がどうなってるか調べてもらった。
何言ってるの!勝手にそんなもの持ち出したりして!シルバーキャッスルが買ってくれる。
待遇だって今よりずっとマシになる。
裏切ってたのね園長先生の事。
正岡さん約束してくれたよ。
君は残してくれるって。
2人して新しいケアハウスを作っていける。
全部園長先生に話してくる。
(村川)ちょっ…ちょっと待てよ。
(美奈子)何よ…。
(村川)ちょっと待てって!
(美奈子)離してって!ちょっと!離して!村川君…。
(美奈子の声)だから怖くなってそこから逃げて…。
それで…。
(康子)私が見てしまったの。
私が帰ってくる美奈子ちゃんを見てしまったの…。
(康子)美奈子ちゃん。
康子さん…。
私…。
(泣き声)村川君を!?私警察に…。
あっ!ダメ!ダメ!
(殿山)あんた…。
まさか全部聞いたのか?
(加東)ああ。
頼む。
この事は誰にも…。
なっ?頼む!
(ため息)命を区切られた。
えっ?俺はあと1年だそうだ。
加東さん…。
年寄りのわがままを聞いてくれないか?自分の最期は美奈子ちゃんに看取ってもらいたいんだ。
美奈子ちゃんの事はみんな本当の娘のように思ってるんだ。
そうよ美奈ちゃん。
そのとおりだよ。
(殿山の声)美奈子ちゃんは自首すると言ったんだ。
それを俺たちが止めたんだ。
俺たちのわがままだ。
筋書きを書いたのは刑事だった加東さんなんですね?
(殿山)加東さんは初めから全部自分が背負うつもりだったんだ。
だから現場に行ってわざわざ携帯を取ってきたんだ。
じゃあ最初は村川殺しの罪だけ背負って…。
そのつもりだった。
けど計画が狂ったんだ。
村川を抱き込んだあいつが園長を脅したからだ。
正岡和也ですね?ああ。
正岡は事件の夜村川が美奈子ちゃんを呼び出している事を知っていたんだ。
それで園長を呼び出して脅した。
ケアハウス家山を売却しろと。
ああ。
身内の介護士が人殺しなんてバレたら一大事でしょう。
(殿山の声)園長は信じられなかった。
だから俺たちに相談したんだ。
でもまさか本当に美奈子ちゃんが村川君を?そんな事はない。
あの子は人殺しなんてするはずがない!そんな事があるわけないじゃないか。
(殿山の声)その時俺たちの気持ちは決まった。
だからあとの事は康子さんも園長も知らんのだ。
俺と加東さんと2人で決めた事だ。
正岡を殺して村川殺しの罪を着せる。
ああ。
それだけじゃない。
それだけじゃないって?いずれ警察は村川殺しが正岡じゃない事に気づく。
そこまで見越して加東さんは遺書を書いておいた。
最後は全ての罪を自分の命と引き換えるために。
そんな…。
ただ一つだけ問題があった。
加東さんの右手には麻痺が残ってる。
正岡を展望台から突き落とす事は出来ない。
正岡を突き落としたのは…。
殿山さんですね?嬉しかったよ。
俺も美奈子ちゃんの役に立てるって。
だから俺にやらせてくれって加東さんに言ったんだ。
(殿山の声)加東さんの計画どおりに俺は動いた。
加東さんの指紋が付いた切符を受け取って巾着袋をこだまに置いた。
自分の指紋が付かないように俺の指と手のひらには接着剤を塗った。
そうすれば手袋をしてるのと同じだと加東さんが教えてくれたんだ。
(由希子の声)あの忘れ物まで計算していたなんて…。
(望月の声)僕たちは加東さんの筋書きの上で踊らされていたんですね。
(殿山の声)そして園長の名をかたってあいつを呼び出した。
一度崩しやすいアリバイを作った上でわざと証拠を残す。
そうすればそれを崩した警察はもう一つ裏があるとは思わない。
そして加東さんの筋書きどおり警察は美奈子さんにたどり着く事なく捜査本部を解散した。
美奈子さんが事件に関わっている事だけは絶対に知られてはいけなかったんですね。
(殿山)ああ。
じゃのにどうしてあんたはわかったんだい?防犯カメラに映ってました。
右手で切符を入れる様子です。
加東さんの右手は麻痺してるはずなのにカメラに映った加東さんはなんの苦もなく右手で切符を入れていました。
そうか。
ハハッ…。
向こうで会ったら加東さんに叱られるな。
ごめんなさい!全部私のために…。
いや違うんだよ美奈ちゃん。
自分のためなんだよ。
俺も加東さんも自分たちがそうしたいからやったんだよ。
本当の気持ちなんだよ。
俺たちの本当の気持ちなんだ。
加東さん笑ってたなぁ。
最後に笑ってた。
死んじゃダメだよ。
村川殺しを正岡に着せて自殺に見せかけるだけでいいじゃねえか。
警察を甘く見ない方がいい。
正岡が自殺でない事はすぐに気づく。
人を殺すってのはそういう事なんだよ。
そうなんだ…。
嬉しいんだ。
限られた命を美奈子ちゃんやこのハウスのために使えるんなら嬉しいんだよ。
ハハハ…。
自分の命をかけて守りたい誰かを人生の終わりでやっと見つけられた。
ありがとうございました。
殿山さん…美奈子ちゃんのためにそんな事までして本当にありがとうございました。
康子さんやめなよ…。
康子さんもういいでしょう。
本当の事を話しても。
本当の事?気づきました。
康子さんがたった一つだけ嘘をついてる事に。
康子さんは駅に男の子を置き去りにしたと言ってました。
でも本当は…康子さんが置き去りにしたのは…女の子だったんじゃないですか?美奈…。
美奈子ちゃん…。
あっ康子さん…。
でも何十年も心につかえてたものが押し出されたような気がしました。
あの時の言葉は美奈子さんに対する気持ちだったんですね母の…。
だから美奈子さんの姿が消えた時…。
康子さんはあそこまで取り乱した。
捜してください!早く!あの子を捜して!それじゃあ…。
康子さん…。
母親だなんて言えるはずないでしょう。
あんな事しておいて…。
(康子の声)だけど歳をとってせめて近くにいたくてあなたを捜してこのハウスに来たの。
ごめんなさい。
ごめんなさいね…。
でも本当の事言えなかった。
本当の事を言えないのはつらかったろうな。
けどな康子さん俺も加東さんも美奈子ちゃんの事を本当の娘だと思ってるんだ。
血は繋がっていなくても本当の家族だと思ってるんだぞ。
美奈子ちゃんもケアハウスのみんなも。
(汽笛)
(汽笛)あああいつはいいなあ。
歳をとってもみんなから必要とされて…。
俺たちは時代の忘れ物なのかもしれねえ。
本当の家族にもいつの間にか忘れられてしまった。
そんな事ありません。
殿山さんも康子さんも必要な人なんです。
僕にとっても美奈子さんにとっても。
それが人と人との愛…絆なんです。
忘れ物なんかじゃない。
人は絶対に忘れられる事はありません。
(パトカーのサイレン)
(汽笛)園長先生と康子さん美奈子さんの事ずっと待ってるって。
殿山さんの事も。
2人だけじゃないよ。
ケアハウスのみんなが待ってるんだ。
あ〜私もこのSLみたいになりたいなあ。
歳をとってからも誰かに必要とされて私も誰かを大切にして。
いいなあその言葉。
好きだなあ…。
ねえねえねえ好きだったでしょ?美奈子さんの事。
うん好きだったな…。
いや…好きっていうのは人間としてだよ?人として。
ほうなるほどね〜。
なんかその言い方気になるなあ。
ふ〜ん。
(列車が揺れる音)うわっ!
そして東京駅お忘れ物預り所にも日常が戻りました
(松子)忘れ物!えっ?あ…この前の!松子です。
今度は牛肉!三ツ星デパートの袋に入ってるのよ。
牛肉800グラム。
えっ牛肉ですか?グラム900円よ。
消費税込みだと945円。
それが800グラムだといくら?えっと…7560円?そう!高いでしょ?パパが課長代理補佐になったお祝いなの!ウフフ!どういう役職?その課長代理…何それ?偉いんです!あんた捜してよ。
ぼーっとしてないで。
すぐに捜して!すき焼きするんだから!ほう…。
課長代理補佐…。
わかんないよ。
そういうのあるの?わかんないです。
そうだ!事件も解決した事だし私たちも今夜すき焼きにしましょうか!あ〜いいですね!待ってました!いいなあ!いいよいいよ!あなたは呼んでないけど?いやどうして?私もお肉買いに行こう!3人分の!なんでよ!僕も入れてよすき焼きに。
ねえ!
(松子)この人全然ダメ!捜す気ないんだもん。
ありますよ!牛肉800グラムよ?もうパパはあの牛肉じゃないとダメなの!7560円ね!そうです。
もう1回捜して!あっちかな?課長代理補佐バンザーイ!課長代理補佐バンザーイ!課長代理補佐バンザーイ!
多額の借金を抱えながらも夫が必死の思いで開いた1軒の店
2015/12/03(木) 14:00〜15:51
ABCテレビ1
東京駅お忘れ物預り所[再][字]
大井川鉄道SL“かわね路”2分間の空白!!余命と引き換えた殺人ダイヤトリック!?こだまが運んだ犯人の忘れ物!!
詳細情報
◇番組内容
高嶋政伸主演の人気シリーズ第6弾!!ケアハウスの入居者を巻き込んだ連続殺人が発生!東京駅遺失物係の幸平が、大井川鉄道SL列車に仕掛けられたダイヤトリックを暴く!
◇出演者
高嶋政伸、櫻井淳子、高橋ひとみ、北村総一朗、宮本真希、赤座美代子、松原智恵子、山本學、寺田農、片桐竜次
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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日本語
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