ららら♪クラシック「楽器特集“パイプオルガン” 荘厳な響きと二千年の歴史」 2015.12.03


「ららら♪クラシック」今回は楽器特集パイプオルガンです。
教会やコンサートホールで荘厳な響きを奏でる巨大な楽器パイプオルガン。
その歴史は古く紀元前3世紀ごろまで遡り古代ローマの円形闘技場でも鳴り響いていました。
それにしてもこの楽器よく見ると…なぜ何段も鍵盤があるのか?しかも足元にも鍵盤が!ここからは一体どんな音が出るのか?はたまた演奏台の左右にあるドアノブのようなものは何なのか?そしておびただしい数のパイプ!どうしてこんなに多くのパイプが必要なのか?答えは…オルガン二千年の歴史の中に!楽器特集始まりま〜す!いやあこれ懐かしいですね。
そうですね。
小学校の音楽の授業を思い出しますね。
「ららら♪クラシック」今日は楽器特集です。
オルガンはオルガンでも教会やコンサートホールに堂々と構えたパイプオルガンの魅力を紹介していきます。
早速今日のゲストをお迎えしましょう。
俳優の渡辺徹さんです。
(渡辺)どうもよろしく。
(一同)お願いします。
ようこそお越し下さいました。
今おっしゃってましたほんと懐かしいですね。
というか俺自身が幼稚園の時オルガン教室に通ってまして小学校の時はこのオルガンをねみんなの合唱の時に弾かされたりなんかしましたから。
じゃあ思い出の音色。
思い出の音色とともに俺は多才だという事を分かって頂ければ…。
すいませんでした気付きませんでした。
(笑い声)この足踏みオルガンを最初に紹介したのには実は訳がありまして足元にね注目して頂きたいんですがこれ何をしてるか。
もちろんご存じですよね?これはだから電気とかつながってませんから何かのこう動力というか生み出してるんだけどそれが何であるかは知らずに踏んでましたけど。
これ踏まないと何にも音は鳴らないんです。
足を踏む事で風を送って…。
非常に重いんですよね。
風!風だったんですか。
実はねオルガンというと風が鳴らしてる。
これをまず最初に是非押さえて頂きたい。
ポイントなわけですね。
鍵盤楽器ですからピアノなんかはたたいて音を出しますからオルガンもそれに近いのかなと思ってました。
風を送って鳴らす楽器他にもあるんです。
ちょっとこちらをご覧下さい。
おっなるほど。
アコーディオンですね。
いいですか?触ってみて。
何でも自分の話を無理やり絡めるわけじゃございませんけどうちの父親がアコーディオン奏者だったんですよ。
このアコーディオンでもって育ててもらったもんですけどうちでいつもこの音色が…。
ちょっと鳴らしてみますね。
蛇腹を動かして。
まるで弾けるような動きでしたけど…。
弾けないんですけどね。
風を送る事で鳴っている原理はオルガンと一緒という。
そうか。
言われてみればそういう事なんですね。
それでは早速パイプオルガンとはどんな楽器なのか。
まずは基本的な仕組みから見ていきましょう。
東京都文京区にある…ここに日本の教会では最大級のパイプオルガンがあります。
見えているパイプだけでなくその奥にもたくさんのパイプが並んでいます。
ちなみに演奏台はここにあります。
鍵盤は…音はパイプのこの部分切れ込みの入った歌口から出ます。
音の高さはパイプの長さで決まります。
長くなればより低い音。
短くなればより高い音が出ます。
このオルガンの一番低い音は足鍵盤で鳴らすこちらの音。
う〜んおよそ10メートルの木製のパイプが奏でています。
ほとんど地鳴りのような音ですね。
一方一番高い音はこちら。
1センチにも満たない金属のパイプが出す音です。
パイプを鳴らすには…現在は送風機でパイプに風を送っています。
う〜ん?では昔は?昔はなんと人間が手でふいごを操作しながら風を送っていたんです。
これは大変だ!では鍵盤は一体どんな役割を果たしているのでしょうか?鍵盤の役割を分かりやすく説明するために装置を作った人がいます。
オルガニストで東京藝術大学名誉教授の廣野嗣雄さんです。
風を起こすのはなんと…スイッチを入れて風を送ります。
風はホースを通ってこの箱まで届きますがこのままではパイプにまで届きません。
当然音は鳴りません。
そこで鍵盤を押すと…。
音が鳴りましたね。
鍵盤を押した事で空気を押さえていたこちらの弁が開いて風がパイプにまで届くようになったからです。
つまり…廣野先生よく分かりました!パイプオルガンの音が鳴る仕組み意外とシンプルだったんですね。
16世紀のオルガン演奏法に関する書物にはオルガンを人間の体に例えて次のように記されています。
そう言われるとこの巨大な風が鳴らす鍵盤楽器人間に近い存在に思えてきますよね。
せ〜の。

(衣良渡辺)おお〜!かわいいですねこれ。
これパイプオルガンの小型版みたいなやつで今私は後ろからこうやって空気一生懸命入れてましたけど。
風を送ると音が鳴るというまさに…。
なんか自分が演奏したみたいでうれしいですね。
こうやって押しただけなのに。
このオルガンを製作されたオルガンビルダーの松崎譲二さんにお越し頂いています。
どうぞ。
よろしくお願いいたします。
これは何というオルガンなんですか?これはですねオルガネットあるいはポルタティフというオルガンでヨーロッパの中世特にルネサンス期に131415世紀ごろに非常に流行した楽器なんです。
(渡辺)これはもうこれでちゃんとした楽器だって事ですね。
どんな時に使ってたと思われます?どんな時!?お楽しみ会!?小型サイズですからね。
いかがですか?松崎さん。
(松崎)それに近いです。
例えば宮廷で舞踏会の時にいろんなアンサンブルと一緒に演奏したりあるいは一般の方がお祭りの時にこれをどんどん演奏しながら酒飲んで踊って教会の中ではできない事を主にしたんだと思います。
実際の演奏法というのは?ほんとは1人でふいごを…。
(渡辺)1人で?
(松崎)膝の上にのっけて…。
アコーディオンみたいなんだ!そういう原理ですよね。
へえ〜面白い!面白い。
それでは続けてですねオルガンがいつごろ生まれてどのような発展を遂げてきたのかその歴史を振り返りましょう。
オルガンのルーツは紀元前3世紀ごろ北アフリカの都市アレキサンドリアにあります。
発明したのは意外な職業の人物だったようです。
これを…日本語では「水オルガン」というふうに一般に言われています。
クテシビオスが作った水オルガンはこのような形をしていたのではないかと考えられています。
水オルガンは後にローマ帝国にも伝わり円形闘技場で戦う剣闘士たちの傍らで鳴り響いていたようです。
オルガンがヨーロッパ全体に広まったのは8世紀の中頃。
しかし当時のオルガンは現存していないためどのようなものだったかはっきりとは分かっていません。
16世紀ルネサンスの時代に作られたオルガンは現在でも見る事ができます。
こちらのイタリアのオルガンは手鍵盤は1段パイプの数がおよそ600本。
現在からするとコンパクトなオルガンですね。
時代は進んで…北ドイツの港町ハンブルクにその当時を代表するオルガンがあります。
パイプの数は4,000本にまで増えました。
特徴の一つは低音の充実です。
長いパイプを足鍵盤で鳴らすオルガンが登場しそれに合わせて重厚なオルガン曲が数多く作曲されるようになりました。
そして19世紀ロマン派の時代のフランスでオルガンは更なる飛躍を遂げます。
パリのサン・シュルピス教会にあるこのオルガンはパイプの数がなんと…この時代は交響曲が数多く作られました。
そこでオルガン職人たちは1台で交響曲が演奏できるようなオルガンを作ろうと意気込みこのような巨大なオルガンが登場するようになったのです。
それから動かせないっていう事は…渡辺さんいかがでしたか?しかし紀元前から…。
ねえ。
キリスト教が公認される前のローマの時代じゃないですか。
円形競技場でライオンと人が戦っている時にこの楽器が鳴っていたと思ったりすると…。
そんな場面でも使われてたって意外でしたね。
それが後にキリスト教を支える楽器になったという。
すごい歴史ですよねオルガンって。
先ほどのかわいらしいポルタティフの音色とはまた全然違って大きさ巨大化というのがねオーケストラをオルガン1台で演奏できるように。
そういう事だったんですね。
しかし何段にもなってましたけど一番上手届くんですかね?でもあの情熱。
建物の一部のような…。
「建物」と言っても過言ではないですよね。
そこでこちらにですね松崎さんにもう一つ持ってきて頂いたものがあるんです。
(渡辺)あららなんかいろんな形のものが。
これがいろいろなパイプの見本という事なんですよね。
(松崎)トランペットのようである。
フルートのようであると。
そういうようなイメージで名前が付けられたんです。
これはですね…これじゃあ吹いてみて下さい。
形面白いですよね。
これ随分重たいわ。
重いです。
鉛が多いですから。
じゃあここでクイズです。
これは一体何の楽器の音でしょう?非常に柔らかい。
オーボエ?これはあれでしょう。
違う?これは楽器でいうと何?非常に柔らかい音がする基本的な音ですね。
そうですか。
じゃあこれという楽器でもない。
(笑い声)クイズ出した俺がバカみたい。
例えばこれなんかどうですか。
これはフルートっぽい音がします。
こういう形ですよ。
いきます。
ああなるほど。
また音色が変わりますね。
そんなふうにいろんな形を変えて音色を変えるわけね。
(松崎)トランペットとかね。
トランペットいってみましょうか。
(渡辺)これちょっといいですか?トランペット吹きたい。
トランペット吹くつもりで勇ましくお願いしますよ。
ちょっとなんか…ほんとに勇ましかったですか?今。
でもトランペットの音みたいに高い音。
小さすぎて音が高すぎるんでこういうの…大きなもの持ってきたんですがこれですね。
すいません。
いいやつだけ自分で吹くの…。
(笑い声)今のいい音ですよね。
いい音ですね。
(松崎)そういう事です。
ですから一つの鍵盤でどれでも鳴らす事ができるんですね。
あっそういう事ですか。
しかも鍵盤の数だけこのパイプは半音ずつずれたパイプは56本あるわけです。
これが56本これが56本これが56本…。
だからあんなに何千本とかっていうふうになっていくわけですか。
でもそうなると気になるのはその音を選ぶのにどうやって操る仕組みになってるのかが…。
それはですね…これがストップです。
ドアノブのようなものを引っ張ると音色が変わる仕組みです。
この教会のオルガニストで世界的に活躍する青田絹江さんにいくつか紹介して頂きましょう。
まずはフルートのストップを引っ張ります。
例えば…。
本当にかっこうみたいですね。
次は…確かに。
弦楽器の音が出るストップも。
う〜んこれまた違った印象の音ですね。
しかし引っ張るだけで音が変わるストップ。
一体どのような仕組みになっているのでしょうか?オルガンの内部には「風箱」という空気の通り道があります。
この上にパイプが並びます。
1つの箱は1つの音に対応しています。
ドの音の風箱だけでもいくつもの穴が開いていますね。
ここに音色の違うパイプが載ると…。
おお〜!音が変わりましたね。
でもこのままではみんな同時に鳴ってしまいます。
そこで登場するのがこの「スライダー」という板です。
スライダーを動かすとパイプへ通じる穴が開いたり閉じたりします。
ストップを引くとスライダーが動いて初めてパイプに空気が通り選んだ音色の音だけが出るというわけです。
ミックスした音を出す事もできます。
ストップの組み合わせしだいでは音色は無限大というわけです。
ストップと音色の密接な関わりお分かり頂けましたよね?う〜ん。
音色を選ぶというのがもう現代の作業だと思ってるんです。
つまり電子オルガンとかシンセサイザーとかだからこそできるんだと思ったらもう昔からできてた事なんですねパイプオルガンによって。
スイッチの役目をしてるっていうのは今のでよく分かりましたね。
オーケストラの代わりにパイプオルガンが存在する意味が分かりましたね。
1音でもみんないろんな楽器が重なってくる感じがあれでできるというのがやはりすごい楽器なんだなっていうのが。
重なっていくところかっこよかったですね。
でもそのころのオルガン職人の人オーケストラのシンフォニー聴きに行って燃えたでしょうね。
「よしこの曲を全部再現してやろう」って。
それをまた操る人も本当にすごいですよね。
演奏家も実際に演奏する楽器に触れて自分で音をつくれるっていうのは楽しいですよね。
それではいよいよ演奏をお聴き頂きたいと思います。
今日はですねイタリアドイツフランスと3か国の作曲家の名曲をお楽しみ頂こうと思います。
演奏して頂くのは先ほどストップの解説をして下さった青田絹江さん。
聴きどころについてもお聞きしています。
まず1曲目はイタリアのパスクィーニの作品でかっこうの鳴き声が何度も登場する…それと2曲目はバッハの皆様おなじみの…3曲目は19世紀後半から20世紀初頭にかけて活躍したフランスのルイ・ヴィエルヌの…それではそれぞれ抜粋で3曲続けてお聴き下さい。
ああいやいやいやいやすばらしいですね〜。
パイプオルガンという一つの楽器なのにもう曲によって全然変わるというのがすごいですね。
音がいっぱい重なるせいなのが何だろう一つのドラマを見ているようなそんな感じがしますよね。
またお国柄がよく出るっていうのかな。
本当に何分間かでヨーロッパ半分ぐらい回っちゃいましたもんね。
自分が音楽に包まれてる感じがしました。
大きなね。
だからほんと生で…。
今日これだけVTRでもビンビン伝わるものがあったじゃないですか。
これ生で聴いたら…。
是非ね。
ほんとですよね。
皆さんもこれを機会に生のオルガンの音に浸ってみてはいかがですか?2015/12/03(木) 10:25〜10:55
NHKEテレ1大阪
ららら♪クラシック「楽器特集“パイプオルガン” 荘厳な響きと二千年の歴史」[字][再]

楽器特集 今回はパイプオルガンを取り上げます。教会やコンサートホールで荘厳な響きを奏でる巨大な楽器。音が鳴る仕組みをはじめ二千年の歴史を辿って徹底解剖します。

詳細情報
番組内容
楽器特集 今回はパイプオルガンを取り上げます。オルガンが音を奏でるしくみは、同じ鍵盤楽器でもピアノとは大きく違うこと、鍵盤が何段もある理由、パイプが何千本も必要な理由、そして二千年以上に渡る歴史など、パイプオルガンを徹底解剖します。演奏は日本の教会でも最大級のパイプオルガンが設置されている東京カテドラル聖マリア大聖堂で行いました。イタリア、ドイツ、フランスの代表的なオルガン曲をご紹介します。
出演者
【ゲスト】渡辺徹,【出演】東京藝術大学名誉教授、オルガニスト…廣野嗣雄,【演奏】オルガン…青田絹江,【司会】石田衣良,加羽沢美濃,【語り】服部伴蔵門

ジャンル :
音楽 – クラシック・オペラ
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
劇場/公演 – ダンス・バレエ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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