(銃声)
(銃声)
(パトカーのサイレン)
(真田英俊)入ります。
検視官見立ては?
(矢代有作)胸部に銃創が2か所。
射殺だ。
死亡推定時刻は午前0時前後。
(梶原稔)至近距離から撃たれたんだなあ…。
2発のうち1発はな貫通してる。
(友枝凛子)男!?ん…?明石…。
おい明石孝俊じゃないか!今世間騒がしてる。
(倉元吾郎)ええ。
元厚生労働省薬品局長の明石孝俊です。
(御子柴衛)社会的地位の高い人間ほど普段から男性的な部分をより多く求められる反動から女装趣味者が多いというデータがありますが…。
(桐島孝作)彼は違いますね。
お化粧もしてませんし靴が男物です。
この辺は防犯カメラが木の枝に邪魔されて死角になってる。
(御子柴)だからここを選んだんでしょう。
犯人は臆病で猜疑心が強い性格です。
目撃されて慌てて逃げてるところが映ってるかも。
カメラの映像はもう回収したよ。
マルガイは危険な副作用のあるガン治療用の新薬を薬品会社からリベートをもらって認可した容疑で東京地検から追求されてたな。
ええ結局不起訴になりましたが健康上の理由という事で辞任しています。
(吉村和彦)2週間前に京都市内のホテルに潜伏している事がバレて取材攻勢に遭っていたようです。
でもどうしてこんな格好をしてるんだろう?随分急いで部屋を出たようだな…。
(倉元)はい。
昨日明石さん宛てに荷物が届いたんですね。
はい私がお届けしました。
女装のための一式をこの箱に入れて届けたんですね。
ほら髪の毛。
ウイッグのでしょう。
その時の明石さんの様子は?かなりイライラしたご様子でした。
(明石孝俊)私がここにいるとどうして連中にバレた?君たち従業員が教えたとしか考えられんだろう!
(客室係)決してそのような事は…!もういい!帰れ!その辺に手紙ありませんかね?手紙?箱の中に空の封筒。
ガイシャは中身を持ってませんでした。
桐島さん。
「明日の深夜0時京極公園駐車場で車を用意して待っています」女装してホテルを抜け出す事も指示してあるな…。
差出人は…小野寺太郎。
(島田千恵)明石の元部下で今は厚生労働省から京都市内の財団法人に天下りしてる人物です。
島田検事…。
お久しぶりね真田刑事。
あ…ご無沙汰してます。
東京地検の島田検事です。
2年前までは京都地検にいらっしゃいました。
なぜあなたがここに?明石孝俊を追っていました。
一度起訴出来なかったからといってうやむやにはしたくないんです。
そちらの土井垣刑事部長に話は通してあります。
今回の捜査に関する証拠や情報はすべて私も共有させていただきます。
よろしいですね?あ…わかりました。
(倉元)小野寺さんは明石元局長の部下だったそうですね。
はい。
昨日の夜はどちらにいらっしゃいましたか?家にいました。
家族に確認してください。
これなんですが…差出人があなたになってます。
これはあなたが?こんなもの私は出していません。
なんで私が今さらあの人を助けなきゃいけないんですか。
私までさんざん疑われて迷惑したんです。
どうぞお引き取りください。
(千恵)随分あっさり引き下がるのね。
あなたたちがそういう手ぬるい捜査をするからそのツケが私たちに回ってくるんじゃないかしら。
(倉元)あのなあ…!確か東京地検が明石を起訴出来なかったのは明石の部下の自殺で不正疑惑が幕引きになったからでしたよね?ええ。
神林悟という若い局員がすべてはデータの入力ミスした自分の責任だという遺書を残して自殺しました。
私は明石がデータ改ざんを命じ神林に責任を押し付けて自殺に追い込んだものとみていました。
しかし明石があんな形で殺されたのであればさらに裏で糸を引いてる誰かがいるのかもしれません。
小野寺があの手紙でおびき出して殺した可能性だってゼロとは言い切れないわ。
いやそれはゼロです。
証拠は?表情…反応…行動…目。
いずれからも嘘をついている兆候は見られませんでした。
どこが証拠なの?単なる推測でしょう。
いいえ。
心理学的確信です。
(携帯電話)ああクラさん。
現場の防犯カメラが逃げてく男をとらえてた。
今顔認証システムにかけてる。
(桜井慎吾)一致しました。
(御子柴)木下哲宏32歳。
自称経営コンサルタント。
3年前に起きたホステス失踪事件に関連し殺人容疑で逮捕送検されたが裁判では証拠不十分なため無罪になっていますね。
今のところ行方は一課もつかめてないそうよ。
(六条舞)じゃあ私はここ!ほら〜!これで私の勝ちは決定ですね。
あ〜!ちょっと待て!今のちょっと待ってくれる?
(舞)待ったはナシです!いけず…。
角を取るのが必勝法のひとつ。
そしてもうひとつの必勝法は…。
桐島さん…遊んでないで仕事してください。
してますよ。
どこが?おっそろそろだ。
「そして先ほど警察関係者から新たな情報が入りました」「明石元局長が殺害された現場から犯人逮捕につながる重要な手掛かりとなる足跡が発見されたとの事です」ありましたっけ?そんな足跡。
ううん。
え…?桐島さん何やってるんですか!ズル…。
ああ…!木下哲宏さんですね?
(木下哲宏)来るな!確保!ご苦労さまでした。
班長どうしてあの駐車場に?木下が現れると一課に匿名のタレコミがあったんだ。
御子柴君の分析どおりホシは臆病で猜疑心の強い人物でしたね。
だから足跡が見つかったとわかり不安になり再び犯行現場に足を運ばざるを得なくなってしまったんでしょう。
これを心理学では「防衛的露出行動」といいます。
もしかしてあのタレコミは…!マスコミに偽の情報をリークしたのは桐島さんあなたですか!?だってまともに話したら班長怒ったでしょう?あたりまえでしょう!もしかして今も?怒ってますよ!しかし私はあくまで木下が来るかもしれないという状況を作っただけです。
来るか来ないかは彼次第。
可能性は半々。
まあラッキーだったって事ですね。
桐島…!「お前が所持してた拳銃と明石さんが撃たれた拳銃の線条痕が一致した。
お前がやったんだな?」
(木下)「あの男は私腹を肥やすために多くの一般市民の生命を危険にさらした」「私はあの男に制裁を加えたんです」銃はどこで手に入れた?
(木下)「ネットの裏サイトですよ」
(倉元)「遺体をどうするつもりだった?」
(木下)「明石をもっと人目のつく場所に置いてさらし者にしてやろうと思ったんですよ」机もないの?変わった取調室ね。
足元を見るためなんです。
人間足元が一番無防備でいろんな反応が出るんです。
「偽の手紙で明石さんを駐車場に呼び出したのもお前か?」「あ…はい」「あのウイッグとコートを送ったのも?」「そうです」なるほど…。
ちょっとよろしいでしょうか?…あどうも。
あなたが明石さんを撃つという計画を立てたところから実行に移すまでを順番に説明してもらえませんか。
5日前に明石が京都にいる事を知って計画を立てました。
翌日ネットで拳銃を手に入れて次の日に女装用のウイッグとコートを買ってその次の日に手紙と一緒に明石に送ってあの駐車場におびき出したんです。
じゃあ今度は今の話を逆の順序で説明してください。
手紙を出したのはいつですか?だから前日ですよ。
じゃあウイッグとコートを手に入れたのは?その前の日。
拳銃を手に入れたのは?4日前。
明石さんが京都にいるとわかったのはいつでしたか?1週間…。
え…いつでもいいだろ!俺がやったんだから!俺正義のために明石を制裁したんだよ!実際に起きた事であれば起きた順序でも逆の順序でも人はスラスラと話す事が出来ます。
しかしとっさに作り話をしてしまった場合一方向にしか考える事が出来ません。
だから話を逆にして聞くとどうしても破綻が生じてしまいます。
このようにして嘘を見破る尋問方法はリバースオーダークエスチョンテクニックといってFBIでも用いられています。
「明石さんが京都にいるとわかったのはいつでしたか?」「1週間…」ストップ。
嘘をついているので自信がないんですね。
それをごまかすために強い行動に出ます。
「いつでもいいだろ!俺がやったんだから!」「俺正義のために明石を制裁したんだよ!」はいストップ。
わかりますか?感情と私を突き飛ばす行動がずれてますよね。
それが証拠です。
こいつはホシじゃない!?いえ明石さんを撃ったのは間違いなく彼です。
しかし動機に関しては嘘をついています。
明石さんに手紙を出しておびき出したのも恐らく彼じゃないでしょう。
…どちらへ?あれこれ推理するのは結構ですが私の邪魔だけはしないでください。
いいですね?いろいろやりすぎて科警研から京都府警に飛ばされた特別捜査官さん。
私そんなに有名なんですか?なんか照れちゃいますね。
(千恵)ほめてません。
大体あなた方警察は…。
信用ならない。
体は正直です。
あなたの足が私を拒否してます。
いい加減な事言わないでください。
私は私の考えでやらせてもらいます。
あんなに怒んなくても。
ねえ?木下の部屋からの押収物で引っかかるものってのはこれだなあ。
全部木下宛てだ。
差出人は同じ女性。
ここ2週間の内にこんなにたくさん送られてきてる。
「あなたが私を捨てて三年です」「覚えていますか三年前の冬の事を」
(桜井)こういうしつこいのって逆効果なんですけどね。
(2人)一丁前の口利くな。
佐々本美佐?この名前ってどこかで…。
(御子柴)佐々本美佐当時26歳。
祇園のクラブホステスで3年前家族からの失踪届を所轄所が受理しています。
(御子柴)その後郊外のホテルで発見された血痕から検出されたDNAが佐々本美佐のものと一致。
所轄は彼女のキャッシュカードを使い口座から全額を引き出していた木下を逮捕。
木下は美佐を殺害したと認め遺体を川に捨てたと自供した。
遺体は見つからなかったが有力な状況証拠と自供があったため起訴され裁判となったが…。
私は殺していません!刑事さんに脅されて仕方なく認めたんです!だから死体だって出てこないでしょう!木下は所轄の捜査員が自白を強要したと主張。
それを裏付ける録音テープの存在も明らかになりました。
やり手の弁護士冤罪を恐れる裁判長彼にとっては好材料が揃って木下は無罪になった。
思い出した…!その事件を担当したのが島田検事だ!それで…。
彼女が取調室で木下を見た時表情から驚きと怒りのサインが出てました。
警察は手玉に取られた。
だから島田検事は警察を信用していない。
長い髪の毛…失踪時の服装は赤いコート。
実に興味深いと思いませんか?木下は明石を彼女だと思って撃ったんですかね?いずれにせよ佐々本美佐さんが関係してるのは間違いない。
まだ生きてる可能性もあるっていう事ですよね?明日実家に行ってくる。
広島だな?はい。
うん…!うんまい!これ歯が要りませんね。
舌の上でとろけちゃいます。
(諫早賢三郎)うん。
いやでも珍しいですね。
お義父さんが外で食事しようなんて。
しかもこんな高級なお店で。
うん。
この間のメーンの11レースの10番!はい。
ゲットした。
大万馬券だよ!う〜わ!うわうわうわ…!わしぐらいになるとな人間の心も馬の心も読めるんだ。
ハハハ…!参りました。
あれ…お義父さん…。
あのこれ10レースの10番ですけど…。
11レースだよ。
えっ…!?10番10番と思ってたから10レースを買ってしまった…!じゃこれは…。
大ハズレです。
アハハ…!自分に都合のいい思い込み典型的な認知バイアスですね。
アハハ…!そして典型的な悲しみの表情。
アハハ!すいませーんお肉もう1人前くださーい!美佐さんがこの手紙を木下哲宏に送っています。
消印は2週間前です。
(佐々本義男)もうええんです。
美佐は高校時代から家出を繰り返しておりました。
教師をしている私への反抗だったんでしょう。
あげくに木下のような男に引っかかって…。
どうせ今もどっかで好きにやっとるに違いありません。
あの子の事はもう諦めております。
あれは悲しみと後悔のサインです。
心のどこかでは娘さんはもう死んでいると思ってる。
でもそれを認めたくはない。
佐々本さんはさぞ木下の事を恨んでるでしょう。
行きましょう。
どこへ?班長が行きたいと思ってるところです。
チラシの大崎弁護士…。
ここだな…。
(チャイム)
(大崎摂子)「はい」すみません京都府警の真田という者です。
大崎弁護士にお話伺いたいんですが…。
(摂子)「どうぞ。
庭の方へ回ってくださいな」すみません。
あ…失礼します。
(摂子)ごめんなさいね。
リウマチで足腰が悪いもんだから。
いえこちらこそ突然ですみません。
ちょっと待ってくださいね。
あれ…?おお!このゲーム面白そうですね。
頭を使わないとぼけちゃうからね!ご一緒にいかが?お〜!ぜひ!やりましょうやりましょう!いえそれはまたの機会に。
それよりお話を。
(摂子)そうね。
今度またゲームをやりにきてちょうだい。
はい。
主人にご用があったみたいだけど半年前に亡くなったのよ。
あ…そうですか…。
実は大崎弁護士が行方不明になった佐々本美佐さんの捜索にご尽力されていたと伺いましたので…。
美佐ちゃんのお父さんの義男さんがうちの人の大学の後輩だったんです。
美佐ちゃんの事も小さい時からよく知ってました。
でもあんな結果になってしまってうちの人もすっかり気落ちして…。
その後美佐さんの消息に関する新しい情報は…?あるなら私が聞きたいわよ。
そうですよね。
捜索の時にうちの人がまとめた資料ならあるけど。
お借り出来ますか?お役に立つなら。
恐れ入ります。
あ…大丈夫ですか?はい。
部屋の中でも杖が要るのよ。
嫌になっちゃうわ。
すみません。
(摂子)ちょっと待ってくださいね。
はい。
大崎弁護士は無償で捜索活動をしてたんですね。
頭が下がります。
読んで字の如しだとしたら…。
うん?「私を捨てて三年」っていうあの言葉の意味なんですけどあれもしかしたら…。
(携帯電話)真田。
何!?ちょっと待て。
府警のホームページに不審な匿名の書き込みがあったそうですがまたあなたですか!?いえいえ私は何も。
どこだ?その場所は。
どうやらこの下のようです。
(捜査員)見つかりました。
歯の治療痕は一致する。
詳しい事は鑑定に回さないとわからんがこのホトケさん佐々本美佐本人に間違いないだろう。
うん…?なんだ?これ。
出たよ。
床板から指紋だ。
しかもまだ新しいな。
手紙にあった「私を捨てて三年」っていうのは3年前に殺して捨てたっていう意味だったんですよ。
班長ホームページへの書き込みは会員登録の要らないネットカフェからで人物を特定するのは難しいと。
誰が知らせてきたんだ…!木下指紋が一致したぞ。
3年前佐々本美佐さんを殺害したのもお前だな。
明石を撃った本当の理由を話してもらおうか。
美佐のふりをして俺を脅してきた奴だと思ったからだよ。
脅してきた?美佐が生き返るはずないと思った。
でもとどめささなかったからだんだん不安になって…。
(木下の声)死体を隠したあの小屋に覗きに行った。
(木下の声)それを誰かが写真に撮ってやがった。
(携帯電話)もしもし…。
(木下の声)そいつは一千万用意しないとすべてをバラすと何度も電話をしてきた。
あの駐車場が取引場所だったのか?ああ。
どうして明石さんが脅迫者だと思ったんですか?俺を脅してきた奴はしゃべり方が女のようだった。
けど一度だけ…。
一千万なんてムリだよ!「じゃあ本当にすべてをバラすわよ」「俺…私の言うとおりにする事です」
(木下の声)奴は「俺」って言った。
それで気づいた。
女のふりをした男だって。
なるほど…。
だから女装した明石さんを見た時あなたは迷わず脅迫者だと思って撃ったわけですね?しかも今度は確実に殺すために2発も。
とんだ人違いだったとはな…。
俺をはめたのは一体どこのどいつだよ!クソ!やはりあなたが殺してたのね。
あんた…。
2人殺した。
これで死刑は確定ね。
当然の報いよ。
木下はあくまで自称経営コンサルタントだ。
一千万なんて払えるはずがない。
それを何度も何度も要求されれば必ず自分に殺意を抱くだろうとホンボシは計算した。
木下の自宅近くで赤いコートにロングヘアの女性を目撃したという住人の証言を確認した。
それも1回じゃなく何回もだ。
明石の潜伏していたホテルの部屋に残っていた燃えかすは鑑定の結果脅迫状と判明しました。
それに何度も外線から無言電話がかかってたらしいっていう客室係の供述もあります。
誰なんだ…!完全に社会を敵に回していた彼は密室の中でじわじわと精神的に追い詰められていった。
そんな精神状態だからこそ明石さんは偽の手紙に簡単に騙され女装までしてホテルを抜け出したんです。
簡単なトリックに引っかかったのは木下も同じです。
ギリッギリの極限状態まで追い込まれた2人の心理をホンボシは巧みに操りあの夜あの駐車場で2人を遭遇させ自らの手を汚す事なく明石さんの殺害を実行したんです。
そればかりか木下まで破滅に追い込んだ。
木下が明石を撃つか撃たないか確率はフィフティー・フィフティー。
Xはその可能性に賭けたというわけです。
2人共操り人形にすぎなかったんだ。
その糸の先にいるホンボシは女のふりをした男で頭脳明晰な人物…。
新たな事実がわかりました。
明石元局長が認可した薬品が原因で入院してる被害者の中に佐々本義男の教え子がいました。
あの子の事はもう諦めております。
佐々本義男は明石にも木下にも恨みがある。
元教師という経歴はプロファイルにも当てはまりますね。
明日佐々本を任意で事情聴取します。
桜井。
明石と木下の携帯のデータを貸してくれる?佐々本義男との関係を調べたいの。
ああそれが明石のは島田検事が現物もデータも全部持ってっちゃいました。
ええっ!?何してらっしゃるんですか?あなたに言う必要はありません。
捜査一課は明石さんと木下この2人に恨みを持つ佐々本義男の取り調べを行うようですよ。
あなたもあの男が犯人だと思ってるの?どうでしょう?ただあの2人に敵意を持つ頭脳明晰な人物は他にもいますけどね。
誰?例えば…あなた。
犯人は女のふりをした男…そう聞いてますが。
よく言われるんですよ。
お前はひねくれ者だって。
ついみんなと逆の方向を見てしまう性分なんですね。
ホンボシは必ず捕まえます。
お手並み拝見ね。
どちらへ?
(千恵)言ったはずです。
あなたに言う必要はありません。
御子柴さん。
この「寺太郎」っていう人はなんなんですか?それ「小野寺太郎」。
え〜っ?だって「野」と「寺」の間があいてるじゃないですか。
「小野寺太郎」さんだと思いますよ。
思わないよ普通。
…わっ。
なるほど…。
何!?島田検事が?はい。
どういう事だ?わかりません。
でも彼女私たちに隠れて何かしてます。
皆さんホシはどうして明石さんに女装をさせたんでしたっけ?
(御子柴)今さら何言ってるんです。
木下に自分を脅しているのが女のふりをした男とわからせるためでしょう。
ですよね?もしかしたらホシは木下がその事に気づく事も計算していたんじゃないでしょうか。
まさか…!さらに裏をかいたって事ですか?そのとおり。
つまりホシは女性です。
木下に電話をかけて「俺」と言ったのもわざと間違える事によって木下にホシは男だと思い込ませるためだったんですよ。
じゃあ頭のいい女性となると…。
島田検事は3年前には木下哲宏…。
やはりあなたが殺したのね。
そして今は明石孝俊。
一度起訴出来なかったからといってうやむやにはしたくないんです。
どちらの事件も担当していながら罪を問えなかった…。
動機となりえます。
なるほど。
彼女のように正義感が強すぎるタイプは正義という名の下に及んでしまった自分の違法行為も正当化してしまいがちです。
だからといってそれは証拠にはならん。
データを持ち出したのも何かを隠すためだとしたら?とにかく彼女には確認する必要があるな。
(ドアが開く音)噂をすれば敏腕検事さん。
ナイスタイミングです。
ホンボシがわかりました。
こんにちは。
(摂子)あらあなた…。
約束しましたからね。
ゲームしようって。
これ持ってきました。
ああいいわねえ。
うちの人も好きだったのよそれ。
どうぞ。
そりゃよかった。
お邪魔します。
それではレディーファーストでどうぞ。
では…。
(摂子)どうぞ。
あっ…!ああ〜強いですねえ…。
このゲームは覚えるの1分極めるの一生っていうんですよ。
まあそうなの?頭脳と度胸が試されるんです。
あなたはどちらも素晴らしい!おだてても手は緩めませんよ。
ああ…。
ところでプロバビリティーの犯罪っていう言葉聞いた事ありますか?プロバ…ビリティー?可能性の犯罪という意味です。
例えば殺したいほど憎たらしい相手がいたとします。
その相手が偶然にも目の前で事故に遭いました。
すぐそばには設備も整った最高の病院と設備も評判の悪い最悪の病院があります。
なんだか面白そうなお話ね。
あえて最悪のほうの病院を紹介したらなんとその人は死んでしまいました。
さてこの場合法律的には犯罪になるでしょうか?答えは…なりません。
なぜなら確実に死ぬという保証はないからです。
このように殺したい人を直接殺すのではなくなんらかの仕掛けによって死ぬ確率を高め結果的に死に至らしめる事を可能性の犯罪…プロバビリティーの犯罪といいます。
まあ怖いわぁ。
この事件はまさにこれでした。
事件って?大崎摂子さん。
木下哲宏を操り明石孝俊さんを殺害させたホンボシは…あなたです。
一体どういう事?あなたは行方不明の佐々本美佐さんのふりをして木下に何通もの手紙を出したり失踪当時の美佐さんと同じ赤いコートで現れ木下を美佐さんの遺体がある場所へ行かせたりしました。
そうやって脅迫者の存在を知らしめどんどん木下を心理的に追い詰めていったんです。
と同時に明石さんも脅迫状や無言電話で精神的に追い込みあの駐車場に呼び出した。
少しずつ木下が明石さんを殺す確率を上げていったんです。
どうして私がそんな事しなくちゃならないの?息子さんの復讐をするためです。
あなたこの前ゲームしてましたよね?あなたのプレーヤーは「RINGO」という青年でした。
明石さんの元部下で亡くなった神林悟さんは子供の頃のあだ名が神林の「林」と悟の「悟」で「リンゴ」でした。
悟さんはあなたが大崎弁護士と再婚する前に生んだ息子さん。
そうですね?だとしてもこの足で私がどうやって…?簡単です。
歩いたんです。
えっ…!?この家の畳が教えてくれました。
杖を使ったら当然畳に傷がつきます。
部屋の中でも杖が要るのよ。
嫌になっちゃうわ。
ほらこの間あなたが杖を使った時の傷がこれと…これと…これです。
しかしこれらの傷以外畳には一切傷がついていません。
あなたが普段から杖を使っていない証拠です。
あの子は…悟はとてもいい子でした。
(神林悟)母さん気持ちいい?
(摂子の声)子供の頃に別れたっきりだったのにわざわざ訪ねてきてくれました。
「お母さん」ってよんでくれたわ。
でもある日あの子から電話があったの。
上司に言われた仕事の事で悩んでいると…。
そしてあの子は自分で命を絶った。
(摂子の声)データの書き換えなんて上司の明石に言われて仕方なくやったに違いありません。
あの男が悟を自殺に追い込んだのよ…!明石さんが京都に潜伏しているとわかった時からあなたの復讐は始まったんですね。
神様がくれたチャンスだと思ったわ。
明石は自分の手を汚さずにあの子の命を奪った。
だから私も…。
「目には目を」っていうわけですか。
あなたは木下と明石さんを操り自分の手を汚さずに息子さんと美佐さんの復讐をしようとしました。
一世一代の賭けです。
そしてあなたはその賭けに勝った。
うちの人もよく言ってたわ。
現実もゲームと同じだって。
白じゃなくて黒が勝つ事もあるって。
私はどんな罪になるのかしら?もちろん殺人罪には問われません。
でもあなたはとんでもない間違いを犯してます。
息子さんは明石さんに追い込まれて自殺したんじゃありません。
殺されたんです。
しかも明石さん以外の人間にです。
(石を返す音)嘘よ!本当です。
たった今明石の部下の小野寺太郎が神林悟さん殺しの容疑で逮捕されました。
(千恵)小野寺がデータ改ざんを悟さんに強要して自殺に見せかけて殺したんです。
今回の捜査で小野寺と薬品会社のつながりが判明し小野寺が自白しました。
あなたの復讐は間違いでした。
美佐さんの遺体がある場所を我々に教えてくれたのはあなたですね?美佐さんがお父さんの待つ家に帰れるように…。
前半を取らせて後半を取る。
これが必勝法です。
本当の事を話していただけますね?私の負け…ね。
ちょっと失礼。
お薬飲むの忘れてたわ。
これですか?これただの薬じゃありませんよね?あなたさっきこの薬をとても強い決意の表情で見ていました。
息子さんとご主人のもとへ行くつもりなんですね?そんな事は許しません。
あなたが今すべき事は死ぬ事なんかじゃないはずです。
生きる事です。
生きて供養し続ける事です。
あなたが奪ってしまった命とご主人や息子さんのために。
またゲームやりましょう。
持って会いに伺います。
単独行動をされていたのは我々警察が動き回ると気づかれてしまう恐れがあると思っての事だったんですね。
お見それしました。
まほめて欲しければ普段から私たち検察が困らないようにしっかり捜査する事ね。
素直になりましょうよ。
唇の端が水平にひかれわずかに口角が上を向いています。
これは私に対する好意の感情の表れです。
本当に口の減らない人ね。
それが仕事ですから。
美佐さんの遺骨は広島の自宅に戻ったそうです。
コートのポケットに入っていた紙は広島までの新幹線の切符だったんですって。
そうか…彼女も帰りたかったんだな。
うん…。
それにしてもあの検事隠し事なんてする必要ないのに。
警察と検察の違いはあっても目指すところは同じなんだから。
確かに。
あら!お二人がそれをおっしゃいますか。
隠し事をしていらっしゃるお二人が。
以前お付き合いされてたでしょ?本当ですか?マジで!?ほら誰も知らなかった。
いや…。
(舞)あ!なだめ行動!ポケットに手!顔隠した!何言ってんの…。
(咳払い)逃げた。
誰でも1つや2つ隠し事を持ってる。
それが人間ってやつなんだよ。
ナマピー。
2015/12/03(木) 09:55〜10:53
ABCテレビ1
[終]ホンボシ〜心理特捜事件簿[再][字]
VS地検の女!収賄疑惑のある元厚生労働省の官僚が射殺された…!死体はなぜか女装していた…!?東京地検の女性検事が桐島たちのもとにやって来るが、その目的とは…!?
詳細情報
◇番組内容
収賄疑惑のある元厚生労働省の官僚が射殺された…!死体はなぜか女装していた…!?東京地検の女性検事が特捜支援班のもとにやって来るが、その目的とは…!?防犯カメラの映像から射殺犯が逮捕されるが、桐島捜査官(船越英一郎)は彼が何かを隠していると言う…!?
◇出演者
船越英一郎、大塚寧々、桐山漣、安田美沙子、菅田俊、佐戸井けん太、古宮基成、白石隼也、石橋蓮司、高嶋政宏
《ゲスト》
高橋ひとみ、加藤虎ノ介、春田純一
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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日本語
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