20世紀を終えようとしている今、人間は一体どこへ向かって進んでいるのか、誰もが心に不安を持つ時代である。テクノロジーは人間を宇宙まで運ぶ時代をもたらし、自然科学は私たちが誰であるのかをたしかに解き明かしつつある。それなのに、科学の知はなぜか私たちと世界のつながりを語ってくれない。それどころか自己から切り離され、対象化され、精神的な豊かさからどんどん遠ざかってゆく。私たちは、人間の存在を宇宙の中で位置づけるため、神話の力を必要としているのかもしれない。」
星野道夫「アークティック・オデッセイ 遙かなる極北の記憶」
迷いに迷っていた19年前、星野さんの訃報がはいり、その後どうやって生きていったらいいかをどん底の中で考えていたときに、ある意味一つの解を与えてくれたこの言葉。
今の日本社会、憂えることが多すぎる。原発、戦争法案、オリンピック、教育現場・・ さまざま目につく、社会がどんどんバカになっていく様子。一部、目立つ人がそうなのか、全体がそうなのか・・・その根っこはなんなのか、何がそうさせているのか、自分なりに考えておきたいと思いながら、なかなか簡単なことでもない。
よりどころのなさ。手段の目的化によって、誰のため、何のためという目的を見失う状態。論理性の欠如。こういったことが何かしら関係していることは確実にあるように思う。
そんな中で、とりあえず自分のできること。「サイエンスをベースにした宇宙観を世界のよりどころにしませんか?」ということなんだろうな、と思う。もちろん一度に世界、という大きなものを相手にするのではなく、相手は、生身の一人一人。できることは、そこに共感と感動をつくること。求めてもらうものにつながっていくこと・・。
一緒に番組やりましょう、とお誘いしたその人の人生に大きくかかわるような出来事になったりする。館で番組を見た人が、私のサイトを見つけ、そこから自分の創作活動への考え方が変わるような勇気をもらったという方がいる。私のコラムを読んで、諏訪の優秀な高校生たちが、山梨県立科学館のプラネタリウムを見に来てくれる。(残念ながら私不在・・)いろいろ思い悩む中で、ふと「病院プラネ」のことを見つけて、「手伝いたい」と思い突然メールをしてきてくれた人は、数回ご一緒したことが、その人のアクションにつながった。
そして、一つひとつのイベントで出会っていく人たち。そういう人たちと確かなものを築いていくしか、自分にできることはない。
しかし、7月も波乱ばんじょー
と書いている間にも、どんどん夏の超もりだくさんな出来事が加わってきている最中。
〇病院がプラネタリウム国立甲府病院でやったときの様子が、山梨放送「ててて!TV」に。
プラネに入る前に、ディレクターさんが、5歳の男の子と保育士さんに対して「何か嬉しいときなどはどんな反応がありますか?」と聞いたのに対し、「足をばたつかせるとか」などおっしゃってくださっていた。その子の様子が、プラネの中でどんなふうに変化するか、カメラがしっかりと追って、だんだんと嬉しくなっていく様子が映像を通してわかる。
重心棟でのプラネは、最初は、映像はしょせん映像でしかなくて、もっと触れられるものじゃないと彼らには効果はないんじゃないかなあ、と思っていたのだけど、回数を重ねるごとに、彼らはどんどん、よい方向へ反応してくれることがわかる。そんな場面をうまく撮ってもらったなあ、と思う。
https://youtu.be/EkuJGgPcHN0
去年もお邪魔した大阪市立大学附属病院と、今年はじめての大阪大学附属病院。どちらも子ども達もスタッフも、いろんな準備をして心待ちしてくれている。阪大のほうは、チャイルド・ライフ・スペシャリストの方がいて、プラネタリウムのチケットまで作って(ちゃんと半券までついてる!)みんな、それをにぎりしめてくる。投影しながらも、たくさん質問してくる中学生男の子、セーラームーンが大好きで、「火星」という前に「mars!」、土星という前に「saturn!」、でてもないのに「Uranus!」ずっと映像とお話に関連したことをしゃべり続けて、終わった瞬間に、「しゃべりつかれたわ」という小学生の女の子、「You raise me up」を、「まとさん」(チャイルドライフスペシャリストの名前)と呼んで、大好きという中1の子のために、まとさんが曲をリクエストしてくださり、その曲で、地球に帰るシーン、その子が一生懸命動画を撮っていて、でも、その動画が消えちゃったというので、みなさんが出たあとに、再度、音楽をかけながら、UNIVIEWを動かす。「めっちゃ元気になった。やばい」といいながら、涙。お母さんも、まとさんも私も。当日、調子悪くて起きられず、プラネも無理かも、といっていた子が、すごい元気になって帰っていったので、看護師さんがびっくりした模様。
後日、その子ためにつくった動画をつくっておくる。
最後は、ドクターたちが集まって、みんな寝転びながら、大盛り上がり。「超感動」「プラネタリウムの概念が変わった」といいながら、晴れ晴れと出ていった。
7月末には、蔵王での難病ネットさん主催のキャンプ。 当事者25名ぐらいにその家族、スタッフ、ボランティア、総勢150名以上の大きな行事。とにかく、普段なかなかできないことを好きなだけやろうっていうのを、主催している側がとにかく楽しんでやっている様子。みなさん、思いおもいに、楽しみ、実行委員の方も、おやじの会も、ボランティアも、みなさん素敵な人たちばかり。
全体のプログラムがゆるやかに進む中で、ずっとプラネをおいて、そこにくる人たちが集まったところで、どんどん見てもらう。そうこうするうちに、初日8回、翌日の午後2時ぐらいまでで6回、計14回の投影!
終わったあとに、「この子(難病の子)のこんな楽しそうな顔、はじめてみました」って言ってもらったり、真剣に見入る子、「ちゃんと勉強してきたんだよ」っていう子、1回目はものすごーく落ち着かなかった自閉症の子、2回目は自らはいってきてとっても静かにみながら、一人で反芻していた子・・。 別の自閉症のお母さんも、なんだか息子さんの様子にも、ご自身でも、すごく感激していかれた。
初日夜は、快晴にめぐまれ、今月2回目の満月、ISS,土星、アルビレオ、全部ばっちり!! すごい贅沢な時間だった。
〇山梨大学「女性キャリア講義」例年やらせてもらっている講義。毎回、講師が違って、いろんな分野の理系の女性がどんな仕事をしているのか、シリーズできくことができる。 こんな講義、うらやましい。
〇秋山村での星まつり科学館の星の語り部の活動や私たちの活動にいつも誠心誠意かかわってくださる永井さん。彼の以前の赴任地である秋山村は、すでに彼の情熱によって、「星の村」になろうとしている。
子どもたちに「ここに帰ってきたい」と思ってもらえるふるさとづくり。 子どものときに、友達と夜の時間に
学校にあつまってワイワイと、一緒に星を見る。その体験は、きっと体にしみついていることだろう。
暑い体育館での1時間講演であるにも関わらず、とても反応よく、楽しくやらせてもらった。
空は良く晴れて、月も金星も土星もアルビレオもばっちり。中には流れ星をみた人も!
〇メディアなどJWAVEの、クリス智子さんによる「Atelier Nova」 に5分だけですが、電話インタビュー出演させてもらいました。こちらに記録が。
http://www.j-wave.co.jp/original/atelier/marble/425.html
赤旗のエッセイは、7月には「ベガ」。 8月は「星野道夫さんのこと」。
それから、杉田このみさんという、若き映画監督。 ベガをつくっているころに、彼女は、卒業制作の一貫として、「日月」という映画をつくっていた。 戦争遺跡を舞台に繰り広げられる物語。
彼女が、地元松山の出版社から本を出すという。 彼女自身が制作をする上で、影響をうけた人々にインタビューをするという形式の本。 その一人に私を選んでくれた。
アルリ舎でまる1日かけて、いろんな話をして、それを彼女ががんばってまとめてくれた。これまで、「3時間自己紹介」と呼ばれる、自分の来し方のことについて、これだけ文章にしてもらったのははじめて。
いつ出版かなあ。 いろんな意味で、自己紹介がわりの本になりそうで、とても楽しみ。
〇これからのお知らせ(と思ったら、アップ前にすでに終了したものも・・・汗)★プラネタリウム番組「戦場に輝くベガ-約束の星を見上げて」8月13日 NHKおはよう日本(全国)にてオンエア
http://www.nhk.or.jp/ohayou/marugoto/2015/08/0813.html
8月中毎日 広島市こども文化科学館、所沢航空発祥記念館
8月中土日 東大和市立郷土博物館
8月14-16日 南相馬市博物館 星空解説つき(移動プラネタリウムで)
8月15日 駿台天文講座 高橋智子さん講演「兵用天文学の展開」とともに
8月29‐30日 帆船「みらいへ」 1泊2日の星空船の旅
http://miraie.org/pdf/20150829.pdf
他にもまた調整中のものがあるようです。
★星の語り部夕涼み投影「天の川の向こうへ~いのちのリレーをみつめて」8月中の土日 17:10~17:30
山梨県立科学館スペースシアター
これに関わってくれたことで、自分の内側にあった宝石を、一気に表現にかえた
小野さん(絵)、サガノさん(歌)。
その二人の輝き方が素晴らしいです。 こうやって出会った人がまた新しい
ものを一緒に生み出そうと、動き始めている。 そういうことのために、語り部の
ような活動はある、といっても過言ではない。
★バンドー神戸青少年科学館 プラネタリウム番組「星空へのリクエスト―おなじ空の下で」ラジオと星の親和性は、「想像力」というキーワードによって成立する。
「星は人とともにある」というテーマを与えられてつくらせてもらった番組。
コミュニティFMによる「星空ポスト」というラジオ番組を、自作ラジオにはじめて音がはいった
少年が聞き、彼がラジオから宇宙に目覚めていく。 番組を支えているのは、星空ポストに
投稿される、人々の「星への思い」。
相変わらず、ベースになるものは、「人が星を見上げる意味」。
声の出演 神田亜紀、永田美絵、山川朋美
脚本・演出 高橋真理子
音楽 小林真人
映像 中村啓
制作 エクスプローラーズジャパン
声の出演に、FMFUJIで、記念すべき第10回ライトダウン甲府バレー(平原綾香さんと土井隆雄さんがきたとき)の特番DJをつとめてくださった神田亜紀さん、渋谷プラネの名解説者である永田美絵さん。
バラエティーに富みつつ心に響く音楽はやっぱり小林真人さん、今回は歌に、叶高さん!スゴイ。 ギターの榊原長紀さん。パーカッションの山本晶子さん。繊細かつ味わい深い映像は、中村啓さん。EJの豊川さん、前島さん。音響はSCの山本さん。 「人は星とともにある」というテーマを出してくださったのは和田さん。
それぞれ、想いをもち、いろんなものが重なり合ったり引出しあったりするプロセス、やっぱり面白い。
しばらく番組制作はいいかな、と思っていたのだけど、つくると楽しい。
9月4日から公開。
現在、この神戸のプラネタリウムでは、「きみが住む星」も、金曜日の夜、土日などに
上映しているので、1日2作! 見てもらえるともっともお得。
★心魂プラネタリウムミュージカル元劇団四季や宝塚の方々が集まり、病院にデリバリーパフォーマンスを繰り広げる心魂プロジェクトによる「心魂プラネタリウム・ミュージカル」。初のコラボレ、一般公演です。生きるエネルギーに満ち溢れる空間、感じにきてください。
https://www.facebook.com/events/1609716989278372/
〇子どもたち波乱バンジョーのひとつの要因は、娘の1週間の入院でもあった。
激しい腹痛と下痢による入院。2日たったあとにわかったのは、なんとO157。 幸い、学校でも家でも、院内でも感染はなく・・それがひとつの救いであった。
彼女自身は、終業式含む3日、学校にいけず、こちらは夏休み直前の最後のスパート仕事~と思っていた矢先。それでも、本番にぶつかることなく、周囲に迷惑もかけつつも、なんとか乗り切る。
O157によるベロ毒素がでて、その作用で、血小板の数値が半減、そのまま下がり続ければ、脳症の可能性もなくもない、と言われ、血の気のひく思いであったけれど、そんなにひどいことになることなく、快復。
退院のときも、完全治癒ではなく、まだしばらく検査も続いていて、1ヶ月たってもまだ・・若干の検査が残っているけれど、でも元気になってほんとによかった。
彼女の創作は、彼女自身と周囲を助ける。
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そして、ほんとは行くはずだった五島列島への5泊6日のキャンプ。それもさすがに体力おちているこのときに毎日、生魚盛りだくさんの海キャンプは無謀・・ということになり、断念。一方、兄のほうは、そのキャンプに小2から中3まで8年間連続でいっており、高校生になった今年も特別に、何度もお誘いをいただいていたのだけど・・高校の(夏休みなのに存在する)講座が連日あったり、テニスの練習もあったり・・で一度、あきらめだのだけれど。みなみがいけなくなって、ほんとに直前だったけど、でもまだどうぞとも言っていただき・・ 30分ぐらい本人考えて、「自分でもだんだんにやけてきた」といって、結論は行く、ということに。
こちらも、夏休みはいって最初の週に、なんでまた連日授業なの、という気持ちがたっぷりあったので、よかったんじゃないかな、と。
行ったら、大学生のキャンプカウンセラーと同じ扱にしていただいたとのことで、それがすごく嬉しかった模様。高校生は青春しなくちゃ。