いまの日本は紛れもない「景気後退期」
11月16日に7-9月期のGDP統計が発表されたが、その数字を元にした政府の景気分析が議論を呼んでいる。
7-9月期のGDPは2四半期連続のマイナス成長。前期比で0.2%減、年率換算で0.8%減だった。だが、政府の見解は「景気は緩やかな回復基調にある」というものである。
伝統的なマクロ経済学では、2四半期連続のマイナス成長を「リセッション(景気後退)」と定義する。これに従えば、いまの日本は紛れもない景気後退期に入っていることになる。欧米のメディアを見ても、はっきりと「日本は景気後退」と言い切っている。
にもかかわらず、政府が頑なに「景気は良くなっている」と言い続けているのはなぜか。「本当の景気」はどのように分析すればいいのか。
政府が根拠としているのは、前期比ではなく前年同期比だ。3ヵ月前ではなく、1年前と比較すれば、4-6月期1.0%増、7-9月期1.0%増であることから、彼らは「回復基調」と分析している。
だが、前年同期比プラスといっても、消費増税によって大きく落ち込んだときと比較してややマシというレベルである。この状況を「回復基調」というのは、はっきり言って大きな間違いだ。
「景気」を分析する際には、GDPの「増減」に加え、GDPの「水準」も重要になってくる。水準とは、言い換えれば、いま日本がどれだけ「豊か」か、ということだ。
そして、この水準と、潜在的に日本経済がもっている水準(これを潜在GDPという)が、どれだけ近いかがポイントになってくる。
現実のGDPが潜在GDPに近い水準である場合、現存する資本や労働が最大限に活用されている状態である。このため、雇用環境は極めて良くなる。つまり、「景気が良い」と言えるのだ。
では、現在の日本では、実際のGDPと潜在GDPの差はどれほどあるのか。
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