須藤大輔
2015年12月6日01時33分
文部科学省は4日、iPS細胞による再生医療の実現に向けた研究ロードマップ(行程表)の改訂版を発表した。心不全治療のための心筋は2年後、糖尿病治療のための膵臓(すいぞう)の細胞は4年後など、iPS細胞をもとにつくる計19の細胞や器官について、人を対象に研究で使い始める目標時期を明記した。
行程表の改訂は2013年2月以来2回目。今回は、人を対象にした臨床研究や治験をまとめて「臨床応用」と定義。研究者の見通しをもとにその開始目標を設定した。研究の進展を受け、がん治療用の免疫細胞や毛髪をつくる頭部の毛包(もうほう)、歯など新たに5細胞・器官を追加した。
iPS細胞からの網膜の細胞を目の難病患者に移植する研究が昨年始まったのに続き、早ければ来年度からパーキンソン病の治療に使う神経細胞や血小板、角膜について臨床応用を始めるとした。一方、赤血球や腎臓などは、技術的な困難さからこれまでの目標よりも数年遅くなった。臨床応用の開始まで7~10年以上かかる見込みという。
研究段階を経て実用化する時期のめどは示さなかった。研究の結果に加えて、製薬会社などの参加が不可欠になるためという。iPS細胞研究に年80億円ほどを投じている文科省は「研究の進み具合を把握しながら、再生医療研究を引き続き支援していきたい」とする。(須藤大輔)
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