北原みのり「五郎丸を、待っていた!」

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(更新 2015/12/ 4 11:30)

五郎丸選手のような男性を待ち望んでいた!(撮影/谷本結利)

五郎丸選手のような男性を待ち望んでいた!(撮影/谷本結利)

「ほんとなの? あまりに辛い現実だったから蜃気楼でも見たんじゃないの?」

 私は何度も念を押した。そして確認した。

「ねぇ、それ、五郎丸じゃなかった?」 

「五郎丸だったのかな……」

 話は変わるが……というか、これが本当は最初から言いたかったのだが、五郎丸さんは、凄い。

 先日、研ナオコさんのステージを見たのだけれど、研ナオコさんが「こんばんは、五郎丸です」と出てきて、驚いた。「週刊女性」恒例の「抱かれたい男」特集では、五郎丸が3位に入っていた。五郎丸のディナーショーは1万6千円のチケットが400枚、30分で売り切れたという。

 なぜこれほど五郎丸に、日本の女たちは熱狂しているのか。友人の話を聞きながら、ふと思った。もしかしたら、多くの女にとって五郎丸は、「ずっと待っていた人」だったのかもしれない。女をばかにする下品な男たちと対極にある清潔感、努力が作り上げたゴージャスな肉体、「キモサ」というものが一滴も感じられない高潔さ。

 ここ数回、この社会が持つミソジニーについて書いている。女として生きてるだけで、すり切れることが多い社会だ。そんな中、女が抱える重たいカバンを手に取り、「頑張りましょう」と声をかけられる男を、女たちがどれだけ待っているか。……と書きながら、私は五郎丸さんが、どんな人か全く知りません。ただ、五郎丸さんには、ダメな男たちを存在で威圧してくれそうな力があるのだと思う。そして「待ってたんです」と言いたくなるような、女の飢餓があるように思う。五郎丸さん、日本から出ていかないでほしいです……。

週刊朝日 2015年12月11日号


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