【最新レビュー】噂のBlackBerry Priv!Androidを搭載したハイエンド端末の実力に迫る!
日本国内では約3年ぶりに正規販売が行われているBlackBerryのスマートフォン。そんなBlackBerryが初となるAndroid OSを搭載したスマートフォン「BlackBerry Priv」を海外にて発売しました。日本国内においても、正規再販総代理店の認定を受ける株式会社FOXにて現在購入希望者の受付中です。
そんな日本国内においてはまだ発売前(かつ発売時期も未定)のBlackBerry Privを一足早く触れる機会を得たのでレビューしていきます。
目次:
端末スペックをおさらい
最初にBlackBerry Privの基礎仕様をスペックシートでおさらいしておきましょう。
サイズ | 高さ 147 x 幅 77.2 x 厚さ 9.4 mm(※キーボード展開時の高さ:184 mm) |
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重量 | 192 g |
ディスプレイ | 5.4インチ WQHD(2560×1440)540ppi |
OS | Android 5.1.1 Lollipop |
プロセッサ | Qualcomm Snapdragon 808 64bit Hexa-Core(1.8GHz Dual-Core + 1.44GHz Quad-Core) |
内部メモリ | RAM 3GB/ROM 32GB |
外部メモリ | microSDカード(最大に2TBまで) |
バッテリー | 3,410mAh |
カメラ | リアカメラ:1,800万画素/フロントカメラ:200万画素 |
ネットワーク | 【米国向けモデル】 4G(FD-LTE):Band1/2/3/4/5/7/12/17/20/29/30 3G(HSPA+):850/900/1700/1900/2100 MHz 2G(GSM):850/900/1800/1900 MHz 【カナダ、南米、アジア太平洋エリア向け】 4G(FD-LTE):Band1/2/3/4/5/7/8/12/13/17/20/25/28/29/30 4G(TD-LTE):Band38/40/41 3G(HSPA+):850/900/1700/1900/2100 MHz 2G(GSM):850/900/1800/1900 MHz 【欧州、中東、アフリカエリア向け】 4G(FD-LTE):Band1/2/3/4/7/8/13/17/20/28 4G(TD-LTE):Band41 3G(HSPA+):850/900/1700/1900/2100 MHz 2G(GSM):850/900/1800/1900 MHz |
Wi-Fi | 802.11 a/b/g/n/ac(2.4GHz/5GHz)、2×2 MIMO |
Bluetooth | Bluetooth 4.1 LE |
その他 | スライド式タッチ対応物理キーボード |
※その他、詳細はBlackBerry公式サイトの製品ページにて確認できます。
BlackBerry Priv(ブラックベリー・プリブ)は今年10月にカナダのモバイルブランド・BlackBerryが発表したスマートフォン。日本においても11月に入り、株式会社FOXが運営する通販サイトcaseplayにて取り扱いされることが発表されています(発売時期など詳細は未定)。
製品名に冠された ”Priv” は”Privacy(プライバシー)” などの単語からきていると言われており、同社が強みとして過去の端末にも搭載していた個人情報などを強固に保護するBlack Berry DTEKと呼ばれるアプリなどを搭載します。
また何より最大の特徴といえるのはBlackBerry製の端末に搭載されていた物理QWERTYキーボードを搭載しつつ、OSにBlackBerry史上初めてAndroid OSを採用したこと。BlackBerryはiOSやAndroidと比較すると専用アプリマーケットの規模が小さいといった弱点を抱えていました。今回AndroidをOSとに携えることで、この弱点を解消することがひとつの狙いといえるでしょう。
かつその真新しいコンセプトだけでなく、5.4インチ(解像度は2560×1440のWQHD)のディスプレイ、ヘキサコア(6コア)のプロセッサ、3GBのRAMを搭載するハイエンドモデルでもあります。バッテリー容量も3,410mAhと大きく、リアカメラも光学手ブレ補正機能付きで有効画素数が1,800万画素と文句ない仕様になっています。
外観を写真でチェック
続いて端末の外観を写真で見ていきましょう。
パッケージ同梱物はBlackBerry Priv本体のほか、充電アダプター、USBケーブル、ヘッドセット、説明書類。
キーボードを収納した状態の外観は一般的な他のスマートフォンと大きく変わらない佇まいです。
筐体は大部分が金属製となっており、見た目、質感ともにしっかりとしたつくりになっています。
スライド式の物理QWERTYキーボードを展開すると、外観から受ける印象は大きく変わります。
キーピッチは特に窮屈さは感じません。数字を入力する際にAltキーを押しながら、といったように一部操作に慣れは必要ですが、キーの配列に慣れてしまうとその操作もスムーズに行なえます。またキーボードはBlackBerry Passportのようにタッチ操作に対応。中央部を上下にスワイプすると画面をスクロールさせることなども可能です。
続いてリアパネル。
中央上部に目立つ大きなレンズはドイツの老舗レンズメーカー Schneider Kreuznach(シュナイダー・クロイツナッハ)の認定を受けたもの。レンズフレームには1,800万画素の表記と併せてその名前が刻印されています。
リアパネルは高級なラバーのような指ざわりで、手に持った際にも滑らずしっかりと掴むことが可能。また中央のBlackBerryのロゴマークは金属製となっています。
スライド式キーボードを展開するとディスプレイ背面には金属のパネルが出現。このあたりも仕上げに粗さは見られず、質感を損なうことはありません。
サイズは5.4インチと現行の主流サイズとほぼ一致。パット見のデザインは角ばった ”四角” という印象ですが、実際にはディスプレイ両端がカーブを描いたエッジスクリーンとなっており、手で掴んでもかなり収まりがよくなっています。
スライド式キーボードを搭載したことにより厚みと重量感はそれなりに感じますが、本体の質感も高いので、逆にこのどっしりさは安っぽさを感じさせない良い印象に繋がるでしょう。
気になる中身と使い勝手を徹底解剖
続いて気になる中身、そして使い勝手の部分を見ていきましょう。
設定画面など基本的なUIに大きなカスタマイズはなし
まず端末の電源を入れた直後に表示されるブートアニメーション。”BlackBerry” と ”Android” の文字が共存する、これまで決して見ることがなかった組み合わせになっています。
ホーム画面は3枚。基本的なUIは純粋なAndroidと大きく変わりませんが、ホームアプリはBlackBerryオリジナルのものとなっています。また、いくつかBlackBerry Privならではの機能(ショートカット)が見受けられます。
通知エリア、クイックアクセスパネルもベースデザインは素のAndroid 5.1のものを踏襲。ただし通知件数を表すアイコンはBlackBerry独自のものに。
アプリドロワーでプリインストールアプリを確認すると、BBM(BlackBerry Messenger)やBBM Meetings、BlackBerry DTEKなどといったBlackBerry製アプリがいくつか見られます。
またアプリドロワーを横にスワイプするとウィジェット、そしてBlackBerry Privならではのショートカット機能の呼び出し画面へと切り替わります。
設定画面もベースデザインは素のAndroid同様。項目を確認すると ”スワイプのショートカット”や”進化した対話”といったものが独自項目として追加されています。
ちなみに今回レビューに用いている端末は株式会社FOXよりお借りしているもの(=おそらく日本国内で販売されるモデル)ですが、ドコモ系MVNOのSIMカードを挿したところ、予め10個のAPN情報がプリインストールされていることも確認できました。
RAM容量は3GBですが、初期状態での空き容量は約900MBほど。全体の容量を考えると、システムで専有している容量がやや多い印象。
一方ROMは32GBの容量に対して空きが約24GB。こちらはmicroSDカードを利用することで別途最大2TBまで拡張が可能にもなっており、容量不足に悩まされる可能性はまずないのではないでしょうか。
なおBlackBerry PrivがOSにAndroidを採用したことで非常に大きな恩恵を受けられる部分のひとつが文字入力の変換精度でしょう。プリインストールされている文字入力アプリはGoogle日本語入力となっており、これまでBlackBerry OSを搭載した機種ではどうしても貧弱さが感じられた日本語の変換精度が大幅に向上しています。
最後に性能の目安としてベンチマークスコアの測定結果を紹介しておきます。今回はAnTuTu Benchmark、Geekbench 3、3DMarkの3アプリで測定を行ないました。
ベンチマークスコア(数値)はあくまで参考として、実際にベンチマーク測定時に表示される3Dグラフィックなどの動きを見ている限りでは気になるカクつきなどは特になし。ゲームなどやや動きの激しい使い方でも十分使うことが可能といえるでしょう。
ただ基本的な操作に関しては、まれにタッチ感度などにストレスを感じることも。動作は基本的にスムーズなだけに、、ちょっとしたことが余計に目立ってしまった印象でした。
Privならではの機能「BlackBerry Hub」と「BlackBerry DTEK」
続いて現状ではAndroidスマホの中ではBlackBerry Privならではとなっている機能「BlackBerry Hub」と「BlackBerry DTEK」について。
BlackBerry HubはBlackBerry機においては定番となった機能で、電話やメッセージ、メール、SNS、カレンダーなどをひとつのアプリで横断的に管理できるものです。
イメージとしては通話の履歴やメール、SNSなどの通知が1つのメールボックスに羅列されるイメージで表示・確認・管理できるといったところ。
これまでBlackBerry機を使ったことがない(各アプリで個別に通知を確認・管理することになれている)人からすれば慣れるまで時間がかかること、そして好き嫌いは大きく分かれる可能性ももちろん含みます。
ですがSNSなどの通知を予めきちんとコントロール(必要ない通知はオフに設定)しておけば、この画面だけでしっかり情報をチェックできるという機能でもあり、ぜひ一度使ってみてほしい機能といえます。なお「やはり合わない」といった場合は当然従来通り各機能ごとに別個のアプリで管理することも可能です。
またBlackBerry Privではこの機能をディスプレイ左右のエッジスクリーン部に常駐させることも可能です。これにより、表示されているタブを必要なときに画面中央に向かってスワイプするだけで簡単にHubの機能を利用できます。
またこのタブの配置や高さは調整が可能。もちろん使わない場合は削除(無効化)することもできます。
次に「BlackBerry DTEK」。このアプリはユーザーのプライバシー保護を目的として搭載されている機能。実際には端末の設定を監視・管理し、その内容によってどういった点にどういった危険性があるのかを教えてくれます。
こちらが管理画面。画面上部に表示されているセキュリティステータスは、現状の端末設定を総合的に見た場合のセキュリティレベルの高さを示しています。一方下にある各項目では、☓マークや!マークを付けて通知することで、セキュリティ管理の観点から推奨されないもの、確認すべきものを分かりやすく伝えてくれます。
実際に☓マークが付いている項目をタップしてみると「なぜ推奨しないのか」を詳しく理由付きで解説してくれます。また解説の下にある【設定を変更】をタップすると、設定画面に遷移してくれる親切さも。
印象として、このBlackBerry DTEK自体がプライバシー情報などの管理を強めてくれるというよりは、状況と推奨しない理由をユーザーに通知して判断の参考にしてもらう、というガイドのような機能となっています。初心者にほど積極的に使って欲しい機能といえるでしょう。
物理キーボードと賢い予測変換で文字入力はストレスレスに
今作ではBlackBerry機の特徴である物理QWERTYキーボードと、BlackBerryの弱点のひとつであった日本語予測変換の弱さをAndroidの豊富でかつ賢いアプリでカバーする構成となっています。この構成はズバリ大当たりといったところ。特にこれまでBlackBerry機を使ったことがある人は「予測変換が変わるだけでここまでストレスが無くなるのか」ということを大きく感じることになるでしょう。
また中でもポイントとして大きいのは、物理キーボードも使えるし、一般的なスマホ同様、広いディスプレイ上でのソフトウェアによる文字入力も当たり前に使えるということ。キーボードをスライド式にしたことで、場面によってこれらの使い分けが可能。かついずれもストレス無く使えるため、文字入力に関しては使う環境や状態に合わせてかなり快適にできるといえます。
一方気になった点としては、まずキーボードの上下余白が狭いということ。タッチに対応したものの、キーボード上下の余白が狭く、かつ段が設けられているため、タッチ操作(上下のスワイプ)にはやや窮屈さが感じられました。
またどうしても入力欄にカーソルを合わせる際にディスプレイにタッチが必要なことが多いため、物理キーボードをメインに使い人でも、多少のディスプレイ⇔キーボード間での移動は発生してしまいます。これらについては各アプリ側での対応も必要となることから、今後の課題のといえるでしょう。
なお文字入力時に気になることとしてチェックしておきたいのが重心。キーボードを展開するとどうしても端末が長くなることから重心が気になるところですが、しっかりと両手で持って文字入力をする分には、筆者個人としてはほとんど気になることはありませんでした。
前述したディスプレイとキーボードの境に設けられた段は窮屈さを感じさせる一方、キーボードを展開する際には指先だけで押し上げる感覚がわかるため、非常によく考えて設計されているといえます。
カメラも高性能。日常使いにおいて十分満足できる性能
最後に有効画素数1,800万画素のリアカメラについて。こちらは実際の撮影例を紹介しながら感じた点をまとめておきます。
オートモードで撮影した場合、まずしっかりとした明るさがある場所ではかなりきれいな写真が撮影可能です。HDRも明るいところと暗いところが上手に合成されており、普段使いのカメラとしては十分満足できる出来といえます。
一方光量が少なくなると、どうしてもやや写真が粗くなってしまう印象も。
食べ物に関しても基本的には脂のツヤなどがしっかりと記録できており、”飯テロカメラ”としても十分活躍してくれそう。
カメラを使っていてひとつ気になったのはオートフォーカスのスピードが ”やや” 遅いということ。最近のスマートフォンは高速のオートフォーカスに対応するものも多く、そういった他機種と比べれば、やや不満を覚える可能性はあるかと思います。
ただし全体的な印象として、カメラは非常によく出来ているといえます。どうしても文字入力性能に注目が集まりがちですが、スマホとして多くの人が求めるカメラ性能も十分満足できるものとなっています。
なおディスプレイに関しても併せて触れておくと、5.4インチとそこまで大ぶりではないサイズながらもWQHD(2K)という高解像度に対応することで、表示はかなりキレイです。
インターネットや文字入力時など、画面表示として端が若干エッジ部分にかかる程度ですが、視認性に関してストレスを感じることはなく、むしろ写真や動画を閲覧・視聴する際にはSamsungのGalaxy S6 edgeなどと同様に若干の奥行きによる立体(的に見える)効果も期待できます。
一方このエッジ(上以外の方向からでも見える)を上手に活用し、プリインストール機能でバッテリーの充電量を表示するような機能も搭載。
前述のエッジ部分に表示したタブ(Hub機能)を引き出す際も、このエッジによって指あたりがよく、少なくともただの真似ではない(機能としての価値をしっかり考えて設計された)デザインとなっています。
まとめ:文字入力を快適にこなしたい人は買って間違い無しのハイエンド
BlackBerryというと物理キーボードによる文字入力の快適さ、そしてセキュリティやプライバシーの管理機能がその特徴です。そんな中、今回紹介したBlackBerry Privではセキュリティやプライバシーの管理こそ最終的には(ガイドにしたがって)ユーザー自身がしっかりとした対処を行なうことが求められますが、文字入力は圧倒的に快適になっています。
日本国内での販売価格はまだ未定、また従来のスマートフォンと比べても収納式のキーボードを搭載したことで厚い、重量がある、といった点はハードルに感じるかもしれません。しかしそれらを踏まえても、それ以外の機能で多くの魅力を十分に感じられる1台といえるでしょう。
特にスマホに高性能は求めつつ、従来の文字入力からさらに快適さを追求したい、という人にこそ、ハードとソフトのハイブリッドな入力方法が快適であるBlackBerry Privはぜひ一度試してみることをオススメします。