マクロ経済指標だけを見ると、韓国経済は回復傾向にある。7-9月期の経済成長率は1.3%で、5年3カ月ぶりの高さだ。10月以降のデパート・量販店の売上高は10%以上増え、自動車販売も20%以上上昇した。住宅分譲だけで50万世帯を超え、25年ぶりの最高値を記録した不動産市場の過熱も一助となった。しかし、これはまさに勘違いを招く統計だ。政府が補正予算を一度に緩めて年末まで自動車税を下げた上、「韓国版ブラックフライデー」などの割引キャンペーンによる景気浮揚策を総動員した結果なのだ。
景気浮揚策の効き目が消える来年初めに消費・成長の急激な落ち込みを回避するのは困難だ。海外の各研究機関は来年の韓国の成長率を2%台と低く見積もっている。物価上昇率は0%台とデフレ懸念も相変わらずだ。輸出は11カ月連続で減少した。2011年以来維持してきた「貿易規模1兆ドル(約123兆1500億円)クラブ」の地位も5年ぶりに返上しなければならない状況だ。企業の売上も昨年26兆ウォン(約2兆7500億円)減少し、初めて後退した。
問題は、経済が落ち込んでいるのに景気を引き上げる政策手段も底を突いていることだ。今の基準金利は1.5%と過去最低水準になっている。もはや政府が短期的な浮揚策で景気を支えるのは難しい。5年以上も3%前後の低成長が続き、所得は横ばいだ。教育費と住居費の負担ばかりが増え、家計の消費余力はいっそう縮小している。