中国では、旺盛な投資が経済成長の牽引(けんいん)役となってきたが、成長鈍化に伴って生産能力の過剰さが問題になっている。労働者の賃金上昇もあって、生産拠点の国外流出が加速しているのが実情だ。
経営が行き詰まっているのは珠江デルタの企業だけではない。11月中旬には、年産1000億トンの巨大鉄鋼メーカー、唐山松汀鋼鉄公司が、資金難を理由に生産停止を発表。四川省に本社を置く銑鉄メーカー、四川聖達集団は、社債の期限前償還に応じられない可能性があると明らかにした。
また、国有企業の雲南煤化工集団とグループ企業は、10月末時点で13億1000万元(約252億円)の延滞債務を抱えていると公表した。
米経済メディアのブルームバーグは「警戒すべき中国の5つの社債」と題した記事を報じた。それによると、化学メーカーの翔鷺石化、鶏肉加工会社の福建聖農発展、スズ精練世界最大手の雲南錫業集団、ソーセージメーカーの南京雨潤食品、そして国有企業傘下の石炭会社、中煤集団山西華●(=日の下に立)能源という有名企業5社が年末から来年前半にかけて迎える社債の返済期限で支払いができるのか警戒されているという。
従来は国有企業はもちろん、民間企業でもデフォルト寸前で支援が入ることが多かったが、ここにきてデフォルトが増えている。
前出の西濱氏は「国有企業改革の流れという面もある。金融システムにリスクを与えないような企業を選んで、自浄作用をアピールする狙いもうかがえる」と分析する。
中国国家統計局と中国物流購買連合会が公表した11月の景況感を示す製造業購買担当者指数(PMI)は49・6と前月から悪化、好不況の判断の節目である50を4カ月連続で割り込んだ。