靖国爆発テロ 韓国トンデモ報道 公営放送局で「日本の謀略説」展開
靖国神社(東京都千代田区)の公衆トイレで11月23日に発生した爆発テロ事件。捜査関係者によると、事件に関与したとみられる韓国人の男は、日本に爆発物の材料を携帯して入国した可能性があり、事件後すぐに韓国に渡航したという。警視庁公安部は韓国捜査当局との連携についても検討しているが、韓国国内では「日本の謀略説」を指摘する声もあり、捜査は一筋縄でいきそうにない。
捜査関係者によると、この韓国人の男は20〜30代で、11月中旬から下旬ごろ、羽田空港から日本に入国。事件後は、靖国神社から徒歩で滞在先の千代田区内のホテルに立ち寄り、その日のうちに韓国に渡航した。滞在期間が短く、爆発物の材料を複数携帯して入国した可能性が高いことから、警視庁公安部は、計画性が強い犯行とみている。
犯人は韓国籍の男−。この一報が伝わった韓国では3日、日本の報道を引用する形で一斉に報じた。
当初は冷静さがみられたが、公営放送局のKBSは深夜のニュースで「日本国内の右翼たちの間では韓国人や中国人のテロにしようとする動きがある」と日本の謀略説ともとれる内容を伝えた。
TV朝鮮は「日本メディアは今日(3日)、一斉に容疑者が韓国人であるかのような報道を行った」とし、「事実なら、外交上の影響が少なくないとみられる。とげとげしい日韓関係に悪影響となるもよう」と解説。日韓関係の溝をさらに深めかねないと危惧を示した。
現地のマスコミ関係者は「韓国での靖国神社は『反日のシンボル』で、日本非難なら犯罪でも許されるという風潮もなくはない。ただ、社会全体でというわけではないので、今回の事件について『厄介なことが起きた』『犯人が韓国人でなければいいのに』という意見も多い」と話す。
韓国人の男が容疑者として特定された場合、警視庁は、日韓犯罪人引き渡し条約に基づく身柄の引き渡しの要請を行うとみられる。だが、韓国司法当局が容疑者引き渡しの例外となる「政治犯」と認定すれば、条約上、無条件で引き渡しを拒否でき、事実上、男は罪に問われない。
靖国神社をめぐっては、神社の門に放火したとして日本が韓国に身柄引き渡した求めた朝鮮系中国人の男に対し、ソウル高裁が2013年、「政治犯」と認定し日本への引き渡しを拒否したケースがある。
11月初めの首脳会談を受けて改善に向かいつつあった日韓関係は新たな火種を抱えることになった。