歌手の井上陽水(68)が5日、東京国際フォーラムで全国ツアー最終公演を開いた。今年最後のコンサートに、ファン5000人が集まった。

 7月に発売したカバーアルバム「UNITED COVERS 2」を引っさげた全国ツアー。代表曲「コーヒー・ルンバ」で情熱的にスタートすると、「シルエット・ロマンス」(大橋純子、81年)、「有楽町で逢いましょう」(フランク永井、57年)、「あの素晴らしい愛をもう一度」(加藤和彦と北山修、71年)などのアルバム収録曲を披露した。アンコールでは、PUFFYに詞を提供した「渚にまつわるエトセトラ」や、「夢の中へ」などをフルパワーで歌った。

 同じフォーク界の重鎮、吉田拓郎(69)の「リンゴ」(72年)も歌ったが、歌唱前には爆笑トークを繰り広げた。「拓朗と陽水は仲が悪い」と世間で噂されていることを持ち出し、「そうかもしれないです。メールのやり取りとかしてるんですよ。でもまあ、ウマが合わないという感じですね、アハハ」とユニークに話して笑った。

 一方で、拓郎への敬意を表す場面も。「僕が駆け出しの頃、吉田拓郎は既に全国区。フォーク界のプリンスと呼ばれてた」と、自身がデビューしたフォーク全盛期を振り返った。「あの頃は、ジーパンにTシャツ、髪もヒゲも伸ばして、自然に帰ろう、体制反対とか、すごい時代でした。汚ければ汚いほど世間を捉えてる。私もその先頭にいましたけど、拓郎は早く気付いてオシャレ方向に行きましたね。僕は乗り遅れて。40年間の遅れは取り返しがつかない」と自虐的に話して、大きな笑いを誘った。