奈良県大和郡山市で2003年、奈良県警の警察官が逃走車両に発砲し、助手席の男性が死亡した事件で、奈良地裁の付審判決定を経て殺人と特別公務員暴行陵虐致死の罪に問われた2警官の控訴審判決で、大阪高裁は1日、無罪とした一審・奈良地裁判決を支持し、検察官役の指定弁護士側の控訴を棄却した。
被告は萩原基文警部補(36)と東芳弘巡査部長(36)。
森岡安広裁判長は判決理由で、「発砲は運転手の腕を狙ったもので、助手席の男性の頭や首に当たることまでは認識できなかった」と述べ、未必の殺意は認められないとした一審判決は不合理ではないと判断した。
判決後、死亡した高壮日さん(当時28)の母親は「本人は無念だと思う。上告してほしい」と話した。指定弁護士は「上告する方向で検討する」と述べた。
両被告は奈良地検が06年1月、不起訴処分としたが、遺族の請求を受け奈良地裁が10年4月、付審判を決定。昨年2月、同地裁の裁判員裁判の判決は無罪を言い渡した。
判決によると、両被告は03年9月、大和郡山市の国道で逃走車両を停止させるため発砲。銃弾が助手席の高さんの頭などに当たり、死亡した。
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