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Classic 8-bit/16-bit Topics

Classic 8-bit/16-bit Topicsでは、海外での出来事を中心に、旧世代のコンピュータ/ゲーム機に関する雑多な話題を書き散らしています。ただしゲームミュージックやチップチューンなどに関してはVORCで専門に扱っていますので、ご興味がおありのかたはそちらもどうぞ。

2014/05/29 長年放置しておりまして、申し訳ございません。ここやVORCで書いていたような研究は現在、主に各種『ゲームサイド』誌に書き綴っております。よろしければご覧くださいませ。またそのほか最近の動向に関してはtwitter:@hallyvorcにてお知らせしております。いずれ更新を再開したいとは思っております。



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12.05.2015

「ゲーム音楽史」が登録商標になっていた

久しぶりの書き込みなのにまた書籍『ゲーム音楽史』関連の番外編です。恐縮ですが、これはちょっと看過できないと思ったので、ひらにご容赦を。

――先日Do.氏から「『ゲーム音楽史』が商標登録されているらしいよ」と教えてもらいました。

最初は「え、そんなことありえないだろう」と思ったのです。普通に考えれば、こんなのは普通名詞ですから。「ゲーム音楽史に残る○○」なんていう口上は、昔から誰でも言うし、どこででも耳にする言葉じゃないですか? そういう普通名詞は通常「出願しても登録にならない商標」と見做されます。そうでなくても書籍の題号は商標登録できないというのが一般的な解釈です。

そんなわけで、悪い冗談だろうと思いつつ商標を検索してみたわけですが……なんと、本当に「ゲーム音楽史」は商標登録されていました

(111)登録番号 第5740259号

(151)登録日 平成27年(2015)2月13日

(210)出願番号 商願2014−79493

(220)出願日 平成26年(2014)9月21日

先願権発生日 平成26年(2014)9月21日

(180)存続期間満了日 平成37年(2025)2月13日

商標(検索用) ゲーム音楽史

(541)標準文字商標 code=8351code=815Bcode=8380code=89B9code=8A79code=8E6A

(561)称呼(参考情報) ゲームオンガクシ

(531)図形等分類

(732)権利者

氏名又は名称 柴田 祐助

法区分 平成23年法

国際分類版表示 第10版

(500)区分数 1

(511)(512)【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】 【類似群コード】

16 印刷物

26A01

これが成立している以上、いまや「ゲーム音楽史」という名称を掲げる印刷物は、権利者の許諾を得なければ出せないことになります。いやいや、そんなのどう考えても一般名詞なんだから無効だろ……と言ってもいられません。最終的に判断するのは裁判所です。もし許諾を受けずに使うのであれば、少なくとも訴訟リスクは覚悟しないといけません。

それにしてもこの権利を主張する「柴田祐助」とは何者でしょうか? 

『ゲーム音楽史』の著者名とは違いますね。著者は岩崎祐之助氏です。しかし「祐」と「助」の字が共通することから、「柴田祐助」は著者の本名ではなかろうかと推察することができます。

で、著者紹介によると、岩崎氏は某大手ゲーム制作会社に勤務しているそうなので、「柴田祐助」+「ゲーム会社」で検索してみました。真っ先に出てくるのは「ゲームセミナー卒業生インタビュー - 任天堂」という記事です。ここに登場するするのは任天堂株式会社情報開発本部、柴田祐助氏。

いや、これだけなら偶然の一致かもしれませんね。ですが、もうひとつ物証が見つかりました。日経新聞(2014年8月24日)の書評欄に掲載された、岩崎氏の写真入り記事です。その写真を、柴田氏の別記事における写真と比較してみましょう。

……同一人物かどうかの判断は、ご覧の皆さんの判断にお任せします。


執筆内容についての問題点は以前に指摘しましたが、任天堂の社員でありながら個人として普通名詞を私物化しようとする姿勢には、本の内容以上に呆れざるをえません。 今回の商標登録がゲーム音楽の歴史研究にとって今後マイナスになることはあっても、プラスになることはないでしょう。そのことを何より危惧します。

ところで、一般名詞が過誤により商標登録されてしまった場合、どうすればいいのでしょうか? 登録から5年以内であれば、商標登録無効審判という制度を利用して、無効を主張することが可能です。しかしその手続きは意外と大変です。そして肝心なことに、その手続きは誰でもできるものではないんです。その登録商標に対して、利害関係を持つ者にしか手続きできないという決まりになっています。

簡単にいえば、出版社、ライター、あるいはゲーム音楽業界関係者にしかできないということです。たぶん僕自身も、何かしらアクションを起こすべきなんでしょうね。

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