「井ノ原くんがいなかったらV6は成り立っていなかった」と森田さんが話したことがあります。
V6は年長組の坂本さん、長野さん、井ノ原さんが20th Century(トニセン)、年少組の森田さん、三宅さん、岡田さんがComing Century(カミセン)と言う2つのグループに分かれています。
井ノ原さんはV6の中で年齢がちょうど真ん中で、デビュー当時は大人と子どもと言う年齢から上手くコミュニケーションを取ることができず、ギスギスしていたトニセンとカミセンの間を取り持っていました。と言うのも、井ノ原さんはトニセンに属してはいるものの、年齢を見ると実はカミセンの森田さんと一番年齢が近いのです。
本人も「年齢を考えると俺はカミセンなんだけど、何でトニセンなったんだろう(笑)」と不満があったことを後に語っていますが、坂本さん曰く「実年齢よりも精神年齢が大人だったからじゃない?(笑)」とのことでした。
ちなみに、トニセンで良かったと思うところは楽なところで、ボケても必ず突っ込んでくれて会話に繋げてくれるけど、カミセンといるとスルーされて傷を負ってしまうそうです。
井ノ原さんが完全にトニセンであればトニセンとカミセンの間を取り持つことも出来なかったと思いますが、トニセンだけど年齢は森田さんと一番近かったと言う点がプラスに働いたのだと思います。
昔はそう言う雰囲気が流れていたので、密室になる車内や楽屋で気まずい雰囲気にならないように、自分だけは無理をしてずっと喋っていたと後に語ったことがあります。
テレビ番組やライブのMCで場を回しているのも、V6の雰囲気や現場の雰囲気を率先して作っているのも井ノ原さんです。自分が話すだけではなくて、メンバーにバランス良く話を振り、それらを上手く繋げて番組やMCを盛り上げるまでが一連の流れです。会話に入れないメンバーがいると楽屋に戻って「こう言う話題だったら入れる?」と聞いてくれるのです。今年のライブでは、水を飲む時間も惜しんでひたすら喋り続け「喉乾いた・・・水を飲むタイミングが分からないんだよ!沈黙が怖い!MC止まらない!?」と言い、「大丈夫だよ!長野くんが繋いでくれるから!」とメンバーに言われハイスピードで水を飲みまたすぐに喋り始めていました。メンバーから「職業病だよ(笑)」と言われているように、昔みたいに無理をして話していると言うわけではなく、習慣として身に付いてしまっているのだと思います。今年、メインパーソナリティーを務めた24時間テレビでも、CMに入ると疲れを見せるメンバーの肩を揉んだり、小ネタを挟んで笑わせるなどして和やかな雰囲気を作り出していました。自分も疲れているはずなのに、自分よりも周りを優先しているのです。
メンバーとは20年以上一緒にいますが、少しでもメンバーの様子がいつもと違えば「どうしたの?」と声をかけるし、個人活動ばかりでグループ活動が年に片手で数えるくらいしかなかった時には、「元気?」とメンバーにメールを一斉送信したこともあったそうです。坂本さん、長野さん、三宅さんからは返信が来たそうですが、案の定、森田さんと岡田さんからは返信が来ず、仮に返信が来たとしても「お前達は返信しちゃ駄目だ!俺はお前達が返信しないことを知ってメールしてるわけで『元気だよ♪』って返信が来た日には俺も困るから(笑)お前達は俺が送っても返信しないで欲しい(笑)」と言ったことがあって、なんだかとてもほっこりしました。
今年発売したアルバムの特典映像の企画の中で、しんみりとした空気が漂う中で井ノ原さんが森田さんに「昔はよく一緒に海外旅行に行ってたよね」と森田さんとの思い出を話し出すと、森田さんは一瞬俯いて目が潤んでいたのです。「井ノ原くんは、良いお兄ちゃん。Jr.時代から、喧嘩の仲裁役をやってくれてた。朝の番組、僕はまだ寝てるから見てないんですが(笑)MCとして大成してて凄いと思うけど、僕はV6でいる時のふざけた井ノ原くんが好きです(笑)」と森田さんが話すように、真面目な坂本さんや長野さんといった森田さんより6〜7歳離れている間に、楽天家で盛り上げてくれる2歳年上の井ノ原さんの存在が森田さんにとってはとても大きい存在だったのではないかなと思いました。
繊細で色々なことを考え過ぎて落ち込みやすい三宅さんには、井ノ原さんを初め「本当に健は面白い。芸能界に健みたいな人いないでしょ?あいつはもう『三宅健』って言うジャンルだから(笑)他を見てると『えっ!?そちらには三宅健いないんですか!?』って思うよね(笑)」と三宅さんを褒め続けた結果、今の伸び伸びとした三宅さんがいます。井ノ原さんが騒ぎ始めると三宅さんも必ず一緒に騒ぎ出します。この2人の存在はV6と言うグループの雰囲気を表すに当たってとても大きな存在であり、この2人がいるから「V6って楽しいグループだね」って言われていると言っても過言ではないと思います。
余談ですが、三宅さんは言い間違いや聞き間違いが多く、井ノ原さんが森田さんに「剛がアーミーシャツ着てるの珍しいね」と楽屋で話している時に三宅さんの携帯が鳴っていたらしく「健、携帯鳴ったよー」と言うと「えっ!?剛、兵隊になったの!?」と三宅さんが真面目な顔して言っていたと言う話が、私が聞いた中で一番面白かった聞き間違いです。
岡田さんが今年アカデミー賞を受賞した時にはお祝いメールとお酒を送ったそうです。「『この場所に立てる岡田を誇りに思います』と言うメールとお酒をもらいました。20年一緒に頑張って来た仲間で、初めて『誇りに思う』って言われて嬉しかったです」と話す岡田さんは本当にとても嬉しそうな表情でした。何十年一緒にいても相手のことを思いやる優しさを今もずっと持ち続けている人です。V6には恥ずかしいから言葉には出来ないと言う人がたくさんいる中で、井ノ原さんのように言葉にして伝えてくれる人が1人でもいるだけで、こうやって誰かの支えになっているのではないかと思います。
V6が10周年を迎えた後、今後のV6の活動について「このままではV6は終わってしまうのではないか」と不安を感じた井ノ原さんが5人に話を切り出した結果、誰が言い返したのかは分からないけれど「ごちゃごちゃうるせえんだよ!」と言い合いになったそうです。こうやって、正面からグループの存続に向けて行動に移すのもやっぱり井ノ原さんで、森田さんが言うように、井ノ原さんなくして今のV6はないんだろうなと痛感しました。
V6のリーダーを務めている坂本さんは昔、「俺にはリーダーって言う立場重過ぎて出来ないから、井ノ原代わりにやってくれないか?」と他のメンバーには強気でいたけど井ノ原さんにだけは弱音を吐いて頼み込んだことがあります。井ノ原さんが承諾することはありませんでしたが、5歳も年下の井ノ原さんに弱音を吐いたり頼み込んだりするなんて、本当に昔から人としてしっかりしていたんだろうなと思いました。
井ノ原さんが「V6 LIVE TOUR 2013 Oh!My!Goodness!」でこんなことを言ったことがありました。
森田:健とは14歳からずっと一緒にいるんだけど、こいつは俺の何なのかな?俺が死んだらどう思うんだろう?
岡田:死ぬ時は5人のことを思い出すんだろうなって。
井ノ原:お前が先に死んじゃいそうじゃん!
坂本:年齢的に一番最初に死ぬのは俺だから安心しろ。
長野:5人で岡田のことを天国から呼んでいそうだよね。
井ノ原:天国でMUSIC FOR THE PEOPLE踊ろうぜ!って。
三宅:雲の上だからふかふかしてそうだな。
本人達にとっては何気ないただの会話に過ぎなかったと思いますが、涙なしにはとてもじゃないけど見ることができませんでした。「歌おうぜ!」ではなくて「踊ろうぜ!」なのがV6らしくて良いなと思ったし、この一連の流れの会話は全員が参加して何らかの言葉を発しているんですよね。そして、彼らの中では「死ぬまでV6、死んでもV6」が前提なのです。
私は一生V6のファンでいるつもりでしたが、彼らが死んでもV6なのであれば、私も一生ではなく永遠にV6のファンでいようと心に誓いました。