米乱射:テロと断定…FBI「過激思想に共鳴」
毎日新聞 2015年12月05日 11時41分(最終更新 12月05日 13時57分)
【サンバーナディーノ(米カリフォルニア州)長野宏美】当地の福祉施設で2日発生した銃乱射事件で、米連邦捜査局(FBI)の幹部は4日、記者会見で「テロ事件として捜査している」と述べ、初めて公式にテロ事件と断定した。過激派組織の関与は確認されておらず、ソーシャルメディアなどを通じて独自に過激思想に染まって犯行に及んだという見方を強めている。
FBIロサンゼルス支部幹部のデビット・ボーディッチ氏は複数の証拠に基づき、「テロ事件として捜査する十分な理由がある」と語った。詳細は明らかにしなかったが、サイード・ファルーク容疑者(28)がイスラム過激派メンバーと連絡を取っていたことや自宅から大量の爆弾や弾薬が見つかったことなどを背景として指摘した。
FBIは、妻のタシュフィーン・マリク容疑者(29)が過激派組織「イスラム国」(IS)のバグダディ指導者に忠誠を誓うメッセージを別名でフェイスブックに書き込んでいたことも把握。自宅周辺のゴミ箱で破壊されて見つかった2台の携帯電話の通信記録を分析し、組織とのつながりや思想的な背景を調べる。
ロサンゼルス・タイムズ紙は当局筋の話として、ファルーク容疑者が国際テロ組織「アルカイダ」系「ヌスラ戦線」やソマリアを拠点にするイスラム過激派「アルシャバブ」と接点があったと伝えた。米メディアは、両容疑者がアルカイダ系のオンライン雑誌を参考に爆弾を作っていた可能性があると報じている。
FBIのジェームズ・コミー長官は同日の記者会見で「思想的に過激化した兆候があり、テロ組織に感化された可能性がある」と述べる一方で、「テロ組織の一員だったことを示す証拠はない」と強調。ISなどからの直接的な指示による犯行という見方は否定した。
一方、事件当日や事件の2週間前に同僚と口論になっていたことも明らかになっている。AP通信は複数の動機が合わさった可能性が考えられるという捜査当局者の話を伝えている。
◇テロ◇
国によって細かな定義は異なるが、一般的には、一定の政治目的を実現させるために暴力を行使することを指す。国連は「政府や国際機関の行動を強制または自制させることを目的に非戦闘員を威嚇、死傷させる行為」と位置づけている。