吉田啓
2015年12月5日13時53分
富士宮やきそば、厚木シロコロ・ホルモン、甲府鳥もつ煮……。数々のご当地グルメのブームを引き起こし、地域おこしにつなげてきたイベント「B―1グランプリ」が今年、初開催から10年目の節目を迎えた。毎回数十万人を集め、数十億円規模の経済効果を生み出す催しに成長した一方で、「当初の理念と違ってきた」「参加が負担」と主催組織を退会する団体が目立つ。B―1グランプリに何が起きているのか。
八甲田山のふもとに広がる、奥入瀬渓流や十和田湖など豊かな自然に恵まれた青森県十和田市で10月3、4日、第10回B―1グランプリは開催された。
人口約6万4千人のまちに、2日間で計約33万4千人(主催者発表)が訪れた。北海道から長崎県まで、ご当地グルメでまちおこしをはかる62団体が集結。自慢の料理を提供するブースを並べた。ギョーザをかたどったゆるキャラやキャベツのマスクなど工夫を凝らした姿でわがまちのPRに声をからした。
閉会式では壇上に全参加者が上り、肩を組んでテーマソングを唱和した。だが、そこには第1回から欠かさず参加を続けてきた「小倉焼うどん研究所」(北九州市)のメンバーの姿はなかった。
■脱退の団体「事務局の運営に違和感」
「事務局の運営に違和感を覚えるようになった」。小倉焼うどん研究所の代表の竹中康二さん(47)は理由を語る。事務局とはグランプリを主催し、出場団体を束ねる愛Bリーグ(ご当地グルメでまちおこし団体連絡協議会)を指す。
グランプリは2006年に始まった。八戸せんべい汁研究所(青森県八戸市)が、各地でご当地グルメを用いたまちおこしに取り組んでいた団体に、「一堂に会するイベントを開いて全国にPRしていこう」と呼びかけたのがきっかけだ。
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朝日新聞社会部
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