【動画】絶滅危惧種、野生のシマフクロウの姿を公開=神村正史撮影
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 北海道の世界自然遺産・知床で、絶滅危惧種シマフクロウを来訪者に見せる試みが始まった。保護すべき生物をあえて見せることで、知床の自然への理解を深めてもらおうと、地元観光協会が動いた。環境省は「めったに人目に触れることのない希少種を見せて保護、啓発につなげようとしている非常に少ない事例。良い方向に進んでもらいたい」と見守っている。

 知床半島の羅臼町を流れるチトライ川。日没から間もなく、川沿いの民宿「鷲(わし)の宿」隣の小屋で、家族連れらが薄明かりに照らされた川面を眺めていた。知床羅臼町観光協会の佐藤紳司さんが説明した。

 「シマフクロウの主なエサはイワナの仲間のオショロコマです。その数から考えると、知床では一つの河川域に一つの家族しかすめないでしょう」

 その時、シマフクロウが流れに浮かぶ岩に降り立った。「来た!!」。小屋に歓声が上がる。フクロウは小屋には目もくれず、微動だにしない。何分経過しただろうか。突然、川の真ん中に設けられた給餌(きゅうじ)池へ飛び込み、ヤマメを捕まえた。