安保法:3月29日施行へ 部隊行動基準見直し
毎日新聞 2015年12月05日 07時20分(最終更新 12月05日 10時47分)
政府は4日、安全保障関連法を来年3月29日に施行する方針を固めた。施行後は自衛隊による集団的自衛権の行使や他国軍に対する後方支援の拡大などが実際に可能となる。防衛省は施行に向け、武器使用方法などを定める部隊行動基準の見直しを進めている。安保関連法は今年9月30日に公布されており、公布から半年以内に施行すると規定されている。施行日は年明けに閣議決定する予定。来年3月31日の期限直前に設定されることになる。
政府は施行を前に、平時や集団的自衛権行使の際にも米軍に弾薬などの物品提供ができるよう、日米物品役務相互提供協定(ACSA)の早期改定を目指し、米側と協議している。改定は安保関連法で新たに可能になった日米協力を実施するために必要で、来年1月4日召集の次期通常国会での承認を目指す。
施行で新たに可能となる自衛隊の任務は、集団的自衛権行使や、後方支援の活動範囲や支援メニューの拡大に加え、国連平和維持活動(PKO)などでの治安維持任務、離れた場所で武装勢力に襲われた他国軍を救助する「駆け付け警護」など多岐にわたる。
ただ、政府は来夏の参院選前に世論の反発が再び高まることを警戒し、新たな任務を想定した訓練をまだ実施していない。訓練を通じた自衛隊員の習熟には数カ月かかるとされ、南スーダンでのPKOに現在参加している陸上自衛隊部隊への駆け付け警護の任務の付与も来秋まで先送りする見通しだ。【村尾哲】