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【千葉】笑いと平和を愛す 山田洋次×井上ひさし展 2人の表現者に迫る
互いに敬意を寄せ、交流もあった2人の表現者を紹介する企画展「山田洋次×井上ひさし展」が、市川市鬼高の市文学ミュージアムで開かれている。笑いを表現手法として大切にし、時には戦争さえも描いた2人の歩みと関わりを約240点の資料でたどり、戦後70年を迎えた日本の平和について考える。来年2月14日まで。 (服部利崇) 一九六七年から約二十年間市川で暮らした作家井上ひさしさんと、東京の葛飾区柴又が舞台の映画「男はつらいよ」シリーズの山田洋次監督。江戸川を挟み交流のある市川市と葛飾区の文化交流事業として、ゆかりの二人を取り上げた。 二人の歩みを「笑い」と「平和」を切り口に紹介。山田監督は企画展へのメッセージで「喜劇は昨今の切迫した日本の状況にこそ必要(中略)。その意味で井上ひさしさんの作品は貴重」と評している。 井上さんは「男はつらいよ」が「落語の換骨奪胎」に成功したと称賛。例えば浦安が舞台の「男はつらいよ 望郷篇(へん)」では、落語の「近日息子」との関わりを指摘する。 笑いを作品と融合させた二人。井上さん関係の資料では、座付き作者を務めた「てんぷくトリオ」のコント集、笑いについて整理した自筆カードなど。山田監督関係では自身の創作落語集、書き込みのある「男はつらいよ」の台本などが展示されている。 平和関連では、山田監督が被爆地・長崎を描いた新作「母と暮せば」を手厚く紹介。松竹から借りた小道具類、イメージスケッチなどを並べた。井上さんも生前、広島がテーマの「父と暮せば」に続き、この題名で長崎を描くと公言。遺志を継いだ山田監督が「泉下の井上さんと語りあうような思い」で脚本を書いたという。 井上さんは、戦争と庶民の生活を描いた多くの作品を残した。物語の進行を表にした創作メモ、マーカーを引いた資料用の論文、原稿など創作過程の分かる自筆資料を展示。「きらめく星座」や「東京セブンローズ」では、市川・国府台と旧陸軍との関係も描いた。 企画した山田真理子学芸員(30)は「二人の作品や生涯を通じ、笑いと平和の関係を考えて」と話す。 午前十時〜午後七時半。土日祝日は午後六時まで。休館日は毎月曜日(一月十一日を除く)と年末年始(十二月二十八日〜一月四日)など。一般五百円、六十五歳以上四百円、高大生二百五十円、中学生以下無料。問い合わせは、同ミュージアム=電047(320)3334=へ。 PR情報
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