最近、阿部サダヲが好きで、ふと気づけばグループ魂の曲を聞いている。『君にジュースを買ってあげる』とか。
あんあんあん♪あんああんあん♪
そういえばこの紅白、リアルタイムで見てたんだよな。当時12歳で、ケロロ軍曹のアニメは毎週欠かさず観ていた。懐かしい。この曲もまったくギブアンドテイクしてねえじゃねえか!!!ってツッコみやすいから好きだった。
ウィキペディアで見たけど、阿部サダヲは友達のお母さんに「あなたは30歳になったらいい役者になるわよ」と言われたから役者をやってみることにしたらしい。きっかけなんて意外とそんなものだよなあ。
話はズレるけど、ウィキペディアの情報力って本当にすごいと、改めて思っていた。やはり真偽は定かではないかもしれない不安は残るが、手軽に情報を得るには素晴らしいシステムだよね。
それで、阿部サダヲが主演している『なくもんか』を観た。2009年の作品だ。
『あまちゃん』とか『タイガー&ドラゴン』の脚本家の宮藤官九郎さんが脚本した映画で、期待していた。
結論から言うと、期待は下回った。
グループ魂もクドカンと阿部サダヲのタッグだったけど、『泣くもんか』もクドカンと阿部サダヲだから、外れないだろと勝手に思っていた部分があった。
善人商店街でハムカツ屋を営む阿部サダヲこと山ちゃんは、「好きでやってるんで」と言って商店街の住人は当然として、誰に対しても笑顔で優しく接している。お人好しここに極まれりといった人なのだけど、実は週末になると毒舌オカマバーで働いてストレスを発散しているのは人間味があってよかった。常に善人でいられないよね。
商店街の人達も、普段は「山ちゃん山ちゃん、いつもありがとうね」と言って地域の老人の介護を任せ、他人の家のお金の管理もさせておきながら、その家に空き巣が入った時は山ちゃんが犯人だと一斉に手のひらを返すところは、しょせん他人は他人だという世の中の冷たさというか、渡る世間は鬼ばかりというか、報われねえなあという気持ちにさせられた。
その他で言うと、生き別れの弟が芸人として大成功していたり、先代から受け継いだ秘伝の40年もののソースが実は給食のソースよりまずかったり、放浪していた父親が突然金の無心に訪れたり、嫁の前の旦那が環境省の大臣だったり、とにかく情報量が多い!
コメディなのか人情話なのか分からない。映画自体は134分なんだけど、詰め込みすぎてて、喜劇と悲劇と、ドタバタとシリアスと、あっちこっちに意識を向けることになるから、何が言いたいんだろうと考えながら見る映画ではなかったのだなあと思った。
タイトルも、なくもんかといいつつ、山ちゃんはイイ話を聞くとすぐに泣く。
ただ、どんなに不運な目にあっても、人に裏切られても、笑われても、「好きでやってんだよ」というスタンスの主人公は大好きだ。