これはブルーレイ、DVD、CD計5枚構成の大作ですけども、DVD週販売上げ自己最高記録更新、オリコンの総合ミュージックDVD・BDランキング首位&DVD総合首位でバンド初の映像ランキング2冠達成と、ぶっちぎりの売れ方をしています。
が・・・そいつはともかく、なんで音楽アルバムを当コラムで採り上げるのか?
それは、このコンテンツが「音楽DVD」「音楽アルバム」とは言い切れない、もしかするとむしろ皆様の業界に属すかもというものになっているからです。
この中のDVDの1枚で、こっそり入っている「Start Up Disc」がくせ者で・・・何時間もかけてこの中の「亮君の超挑戦状」を解かない限り他のディスクが一切観られないという・・・そして、実はこの「Start Up Disc」にとんでもない予算を投じてるんですね。
僕の肌感では、おそらくフツーにゲーム会社に発注していたら億では収まらないでしょう。
僕がそういったことを知っているのはこのプロモーションをお手伝いしたからです。
マキシマムザ亮君がプロモーションのパートナーを探しているとき(彼はあらゆることを自分自身で考えます)僕の本を読んで感銘を受けたらしく、レコード会社を通じてご指名の依頼があったんですね。
ちなみに僕のマネージャーは最初電話を受けたときホルモン屋がプロモーションを依頼してきたと思ったそうですが。
スタッフから中身の説明を受けた当初、僕は(まあオマケみたいなものだろう)とやや侮ってたんですけど、実際に本人から中身を見せられたときは何というか吐き気を催しました。
ここまでやるかという感心をさらに通り越すと、人は吐き気を覚えるんですねえ。
それに、今実際に起こっていることですが、この「狂気の視聴システム」への怒りの声、物議の嵐が容易に想像できましたので。
これは・・・どうすりゃいいんだと。
彼はアイデアマンなので、プロモーションのアイデアも大量に考えていて、僕に対してはそれらに一本筋を通すというか、うまい整理を求めていたようです。
ただ僕が考えたのは、「果たして売るだけで良いのか」です。
いつもやらせていただいているゲームの広告は、DVDなどの板モノなら垂直立ち上がり的にバーンと売ればよし、スマホゲーなどオンラインモノならじわじわリーチを拡げて売りを伸ばしていく、など、いずれにしてもまあモノが売れればいいわけです。
売れれば続編やスピンアウトなどに広がっていく。
ゲーム業界的な俯瞰ではいわゆるナンバータイトルに頼っていて良いのかなどといった議論もありますが、ゲームの場合は売上げがブランディングにほぼ直結します。
しかし、アーチスト、ミュージシャンも同じなのか?もしこのコンテンツが売れたとしても、次にどうつながるのか。
ゲームなら世界設定が変わる、新キャラが登場する、ボリュームが増える、といったふうにつないでいけるでしょう。
でもアーチストの(とりわけホルモンのような)場合、次のコンテンツをどうすべきか全く見えない。
また、いちおう僕としてはプロフェッショナルの立場として、こういった問題DVDが出て来ることで今後のライブ動員にどう影響するか?そこまで考えないといけないはず。
で、僕がやろうと思ったのは、とにかく彼の「聴き役」になることでした。
あなたは何者になりたいのか?
あなたは世の中に何を伝えたいと思ってるのか?
その中から拾い上げた彼のメッセージが、
「エレキギターを使わないでロックをぶちかます」
ということで、この言葉はDVDのパッケージに張り付けてあります。
つまり、ロックというのはいろんな定義があるけども、必ずしもそれが音楽である必要はない。
何だってロックになり得る。
そんなメッセージをここまで身体を張って発したバンドは過去も未来も他に存在しない。取りあえずそのポジションを築こう。あえて言えば僕のブランディングストラテジーはそういうことになります。これもある種のゲーム広告なのでしょうね。でも、いろんな仕事があるものです・・・。
ゲームだってロックになれる。「Deka Vs Deka~デカ対デカ~」中の「Start Up Disc」は「ポートピア連続殺人事件」時代へのオマージュでもありますが、あの頃のゲームは世の中への反骨精神溢れるロックだったかもしれません。
我ながら僕の生き様はけっこうロックだと思ってます。本当なら今頃この世にはいませんでしたし。それでも、彼らの生き様はもうひれ伏すぐらいロックとしか言いようがない。何となくそのあたりの共鳴もあって電話がかかってきたのかもしれません。
今のゲームはロックでしょうか?もしロックなゲームからご依頼があれば、ロックなゲーム広告を仕上げてお見せしますが。
(ロックスター・ゲームスのお仕事くださいと言っているわけではありませんよ)