沖縄基地:普天間東側など一部、返還前倒し 日米合意
毎日新聞 2015年12月04日 20時59分(最終更新 12月04日 21時45分)
菅義偉官房長官は4日、米国のケネディ駐日大使と首相官邸で会談し、沖縄県の米軍嘉手納基地(嘉手納町など)より南の米軍施設・区域のうち、普天間飛行場(宜野湾市)東側など一部を前倒しして2017年度中に返還することなどで合意した。
合意したのは13年4月に決定した返還計画の一部。普天間飛行場東側沿いの土地約4ヘクタールと牧港補給地区(浦添市)の東側沿いの土地約3ヘクタールを17年度中に返還する。計画では普天間の返還時期は「22年度またはその後」、牧港は「24年度またはその後」とされ、隣接道路拡充のため、地元が早期返還を要望していた。
このほか、今年3月に返還されたキャンプ瑞慶覧の西普天間住宅地区に隣接するインダストリアル・コリドー南側部分を日米共同使用の対象とする。宜野湾市が同住宅地区と国道58号を結ぶ高架式道路の建設を計画しており、市などの立ち入り調査を可能にする。
合意では、普天間飛行場の名護市辺野古移設が「唯一の解決策」と改めて確認した。菅氏は共同記者発表で「沖縄の負担軽減のための話し合いが実を結んだ」と強調。ケネディ氏は「県民の日常生活にプラスの影響を与える」と述べた。
沖縄県の翁長雄志知事は県庁で記者団に「辺野古新基地を巡って裁判で争っている最中に発表したことは作為的で強い憤りを感じる」と述べた。宜野湾市の佐喜真淳市長は「粘り強く米軍と交渉してくれた政府の尽力に心より感謝する。市民の喜びもひとしおだ」とのコメントを出した。【村尾哲、高本耕太、佐藤敬一】