日米両政府は4日、沖縄県内にある米軍基地の一部を前倒しして返還すると発表した。対象は普天間基地(宜野湾市)の4ヘクタールと牧港補給地区(浦添市)の3ヘクタールで、従来の計画より5~8年早く、2017年度中の返還を目指す。返還後はいずれも道路の整備に充て住民の利便性を高める。来年の宜野湾市長選や参院選をにらみ、負担軽減をアピールする狙いがある。
菅義偉官房長官とケネディ駐日米大使が4日、首相官邸で会談して合意、共同で合意文書を発表した。
合意文書は、普天間基地の名護市辺野古への移転が「唯一の解決策」であることを確認。そのうえで普天間基地の東側沿いの土地4ヘクタール分について17年度中の返還を目指すとした。
今年3月に返還された西普天間住宅地区と国道58号線を結ぶ高架式道路を設置する工事を17年度に始められるよう、キャンプ瑞慶覧(宜野湾市など)内の一部を共同使用することでも合意。牧港補給地区については、国道58号線を拡幅し、交通渋滞を緩和するため、国道に隣接する3ヘクタール分を返還することも明記した。
政府は13年4月に、嘉手納以南の施設・区域それぞれの返還時期を定めていた。普天間基地の一部は当初予定より5年、牧港補給地区の一部は8年それぞれ前倒しで返還されることになる。政府は「日米合意は普天間基地の移設を前提としていない」と説明した。
今回返還などの対象になった地域は宜野湾市など地元自治体がかねて要望していた。沖縄の負担軽減に取り組む姿勢を強調する狙いがある。
ケネディ、菅義偉