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 ロードバイクにまたがり、街を駆ける女性をよく見かけるようになった。人気漫画の影響などを背景に愛好者は増えており、女性向けの自転車やウェアなどの商戦も活気づく。裾野はまだまだ広がる気配だ。

 長崎県西海市で9月21日に開かれた自転車レース「ツール・ド・ちゃんぽん」に、福岡市の会社員山崎氣花(きはる)さん(29)の姿があった。爽やかなライトブルーの車体。白地のジャージーの上着に、灰色のスカートが風に揺れる。

 きっかけは昨年6月、友達に勧められて見たアニメ「弱虫ペダル」。小柄で気の弱いアニメ好きの少年が自転車競技と出会い、成長する姿を描いた漫画が原作。自分との戦いに勝ち、どんどん速くなる登場人物の「熱さ」にひかれ、9月にはロードバイクを購入。一こぎで普通の自転車の3倍進むような爽快さにはまった。大会出場も4回を数える。上り坂の苦しさや、そこでギアをあげる登場人物のすごさなど、漫画が描く場面もわかるようになり、楽しみが増した。

 この日は仲間3人も一緒だった。弱虫ペダルが好きでロードバイクを「軽率に」買った人たちでつくる「軽率会」のメンバーだ。200人を超える会員のほとんどが女性だという。

 その1人、福岡県久留米市の看護師南薗浩美さん(32)はもともと運動嫌いで、日焼けしないよう外出もあまりしなかったという。だが、漫画をきっかけに乗り始め、きつい上り坂を諦めずにこぎ続け、峠を乗り越えたときの達成感に魅了された。「サイクルジャージーを着てロードバイクに乗っている時は前向きな性格に変われる」と話す。