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東芝:富士通とVAIO パソコン事業統合検討

毎日新聞 2015年12月04日 09時57分(最終更新 12月04日 12時22分)

2014年の国内パソコンシェア
2014年の国内パソコンシェア
東芝本社=東京都港区で、本社ヘリから竹内紀臣撮影
東芝本社=東京都港区で、本社ヘリから竹内紀臣撮影

 ◇競争力強化へ 国内市場シェア30%超えてトップに

 不正会計問題を機に業績不振に陥った東芝が、富士通、ソニーから独立したVAIO(バイオ)の2社とパソコン事業を統合する検討に入ったことが4日、分かった。実現すれば国内のパソコン市場でシェア(占有率)が3割を超え、国内首位となる。東芝のパソコン事業は赤字が続いており、他社との統合を進めることで競争力を高め、経営体質の改善につなげたい考えだ。

 東芝は今後、富士通などとの交渉を本格化させ、年内にも基本合意し、早期にパソコン事業の統合を実現したい考えだ。統合によって、パソコンの開発、生産、販売体制を効率化し、コスト削減などで赤字体質からの脱却を図る意向とみられる。

 東芝は1985年に世界初のノートパソコンを発売。一時、ノートパソコンで世界トップのシェアを誇った。現在も「ダイナブック」のブランドを展開している。しかし、スマートフォンやタブレット端末など新たな機器の台頭で厳しい競争を強いられ、収益が悪化している。

 一方、富士通は「FMV」ブランドでパソコン事業を展開しているが、苦戦しており、今年度内をめどにパソコン事業を分社化し、事業の立て直しを図る方針を決めていた。VAIOはソニーのパソコン事業を引き継いだ新会社で昨年7月に発足。投資ファンドの日本産業パートナーズが筆頭株主になり、再建を進めている。

 調査会社IDCジャパンが今年2月に発表した推計によると、パソコンの国内市場(2014年)のシェアは首位のNECレノボジャパングループが26.3%だったのに対し、富士通が18.8%、東芝が12.2%で、VAIOは小規模にとどまっている。

 東芝関係者は毎日新聞の取材に対し、統合検討の事実を認めた上で「各社のブランドをどうするかも固まっておらず、いつ合意できるか分からない」と指摘。また、VAIOの関係者は統合に慎重な見方を示しており、東芝・富士通だけの統合になったり、統合自体が白紙になったりする可能性もある。

 東芝の不正会計問題ではパソコン事業でも利益水増しが発覚し、09年3月期以降の約7年間で、税引き前利益ベースで578億円の下方修正を迫られた。東芝は15年9月中間連結決算で営業損益が904億円の赤字に転落。業績不振を受けて、10月には半導体の一部事業を売却するなどリストラ策を発表し、パソコンや白物家電などの赤字部門でもリストラ策の検討を進めている。【片平知宏、岡大介】

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