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真冬でも暖房を使わない「地下鉄」があった! 

東洋経済オンライン 12月4日(金)6時0分配信

 12月に入り、首都圏でも冷え込む日が増えてきた。電車の中でも、特に早朝や深夜の空いた車内では暖房がありがたく感じられる時期だ。だが、冬でも通勤ラッシュの時間帯には、車内が暑いと感じる人も多いだろう。特に外気が直接吹き込まない地下鉄は、外を走る鉄道と比べて車内の温度が高く、この季節でも送風などが入っていることが多い。

都営地下鉄大江戸線は冬でも暖房を使わない

 実は、地下鉄には真冬でも暖房を使わない路線がある。「使わない」だけではなく、暖房装置そのものがない車両も存在するのだ。

■ 銀座線に「暖房なし車両」がある

 暖房のない車両が走っている地下鉄は、渋谷と浅草を結ぶ東京の地下鉄の代表格、東京メトロ銀座線だ。同線には車体が銀色の「01系」と、黄色い新型車両「1000系」の2種類の電車が走っているが、01系のうち初期に製造された一部の車両は暖房装置を搭載していない。冷房のない車両も今では全国的に珍しくなってきたが、暖房のない車両はさらに珍しいといえる。

 01系が登場したのは、一般家庭でもすでにエアコンの存在が一般的になっていた1983年。鉄道車両の暖房は蒸気機関車が主役だった時代からあり、技術的な問題で搭載しなかったわけではない。現在、東京メトロの車両はすべて冷房付きとなっているため、暖房「だけ」がないことになる。なぜ暖房を装備しなかったのだろうか。

 東京メトロによると、その理由は「ほとんどがトンネル区間であり、冬場でも外気レベルの低温になることがない路線であったため」。銀座線は渋谷駅付近の一部区間を除けば全て地下を走る路線で、一日を通じて利用客が多いこともあり、冬でも車内には送風などが入っていることが多い。使う機会の少ない暖房を取り付けなかったのは合理的な判断といえそうだ。

 だが、その後の車両は暖房付きに変わった。理由は「出庫時に車両内が寒いため、お客様が乗る際に暖かくなるように」(東京メトロ)だ。上野と渋谷には地上に車両を留置する場所があるため、いったん車庫入りすると、出発するころには車内の温度が下がっている。そこで、01系でも製造時期の後半に造られた車両からは暖房を搭載するようになったという。新型の1000系も暖房付きだ。

 01系は新型の1000系に役目を譲って引退が進んでおり、現在残っている暖房なしの車両は7編成のみ。東京メトロは2016年度までに銀座線の全車両を1000系に置き換える計画で、暖房なし車にもそろそろお目にかかることができなくなりそうだ。

■ 大江戸線は暖房が入らない設定

 だが、銀座線01系がすべて引退しても、東京を走る「暖房なしの電車」が消えるわけではない。暖房装置はあるものの、基本的に使わないという地下鉄も存在している。

 都営地下鉄大江戸線では、冬でも車内の暖房を使っていない。車両には暖房装置自体は設置されているが「スイッチをしても入らない設定になっている」(東京都交通局)という。

 大江戸線が暖房を使わない理由は、銀座線とほぼ共通している。東京都交通局によると、全線が地下を走り、トンネルや車両が他の地下鉄各線と比べて小さい同線は熱がこもりやすく、外の気温が低いときでも暖かいためだ。

 都営地下鉄の冬期の車内温度は20度を基準としており、浅草線・三田線・新宿線は暖房も使うが、大江戸線の空調は冬も送風が多いようだ。

 夏も大江戸線は冷房の設定温度が低く、他の路線が25度なのに対して23度。弱冷房車も他線は28度だが、大江戸線は26度となっている。車両が小さく、車内が暑くなりやすいためだ。

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最終更新:12月4日(金)10時15分

東洋経済オンライン

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