コーヒーショップをやっています
こんにちは。川野優馬です。
僕は去年、大学4年の夏に吉祥寺にLIGHT UP COFFEEという名前でコーヒーショップをオープンしました。
店舗で豆の仕入れから焙煎までを行い、豆・ドリンクの販売を行っています。
飲み比べもできます。
先月は伊勢丹でも出店させていただくことができました!
WEBメディアにもいくつか取り上げていただいているので、よかったら見てみてください。
コーヒーの仕事はとっても面白く、コーヒーを通して世界の見方が変わりました。
今回はそんなコーヒーの魅力と、コーヒー屋をはじめたきっかけについてお話ししたいと思います。
ラテアートとの出会い
なぜコーヒーショップをやろうと思ったのか?
大学1年の頃なんとなくカフェでアルバイトを始めたのがはじまりでした。
ただ仕事をするのもつまらないので、YouTubeで見よう見まねでラテアートを始めてみました。
注ぎだけで模様ができることはとっても不思議で、練習するうちにどんどんのめり込んで行きました。
一緒にLIGHT UP COFFEEを立ち上げた相原民人ともそこで出会い、他の仲間と一緒にラテアートの練習をするようになりました。
こんな模様を自由自在にコントロールするのがとっても気持ちよくて、お客さんが喜んでくれている以上に自己満足に陥っていました。
気づいたら練習しすぎて全国大会で優勝していました。
コーヒー巡りにはまる
ラテアートが見たいがためにいろんなコーヒーショップを巡りました。
その中で気づいたのは、美味しいカフェラテと美味しくないカフェラテがあること。
それはラテアートの美しさとは関係ない部分でした。
だんだん味が気になってきて、「美味しい」と言われるコーヒーショップも巡ってみました。
そんな4年前に衝撃を受けたコーヒーショップが、ONIBUS COFFEEとFUGLEN TOKYOです。
ノルウェーのコーヒーにビビる
ONIBUS COFFEEは東京のロースター(焙煎から行うコーヒーショップ)です。今は渋谷道玄坂にABOUT LIFE COFFEE BREWERSという2店舗目のお店も出しています。
当時のONIBUSのエスプレッソは、ナチュラル精製と呼ばれる、コーヒーの果実ごと乾燥させるプロセスで作られたコーヒー豆を使っていて、フルーティでとにかく甘いコーヒーを出していました。
僕はONIBUS COFFEEの圧倒的に甘いカフェラテが大好きで、一気に味に興味が湧きました。
もう1つのきっかけはFUGLEN TOKYO。ノルウェー オスロからきたコーヒーショップです。
当時はTIM WENDELBOEという焙煎・バリスタ世界チャンピオンのコーヒー豆を使っていました。
本当にコーヒーかと疑うほどジューシーで果実味にあふれ、苦味は皆無。フレーバーティのように飲み易い衝撃のコーヒーでした。
この2店舗に出会い、自分もこんな美味しいコーヒーをつくりたいと思うようになりました。
焙煎をはじめる
美味しいコーヒー「豆」からつくりたかったので、焙煎をやろうと思いました。
銀行に行って、焙煎機が買いたいですと言って、焙煎機を買いました。
リビングの壁に穴を開けて、食卓の横に業務用焙煎機が設置されました。
ロースターの誕生です!
とりあえず焼いてみる
消費できる限界まで焙煎を続けました。
コーヒー生豆は専門商社から仕入れました。
ブラジルからエチオピアまであらゆる産地のコーヒーを、美味しかったコーヒーの記憶を頼りに、焙煎しました。
いろんな温度・時間を試しました。
それなりに美味しいけど、特に感動もない。
足りなかったのは「美味しいコーヒーの経験」でした。
ロンドン・ノルウェーで100杯のコーヒーを飲む
その夏、ローマ・パリ・ロンドン・オスロ・コペンハーゲン・ストックホルム・ヘルシンキ と、世界のコーヒーショップ巡りの旅に出ました。
そこまでするほど、すでにコーヒーの「味」の奥深さに取り憑かれていたんです。
事前にアポを取って有名なコーヒーショップのオーナーやバリスタにインタビューをし、焙煎や抽出を見せてもらい、一緒にカッピングと呼ばれるテイスティングも繰り返しました。
僕が焼いたコーヒー豆も持って行き意見ももらったり、エスプレッソからドリップまであらゆるコーヒーを飲みまくりました。
時に飲みすぎて、13杯飲んだ日にはコーヒー酔いをしてまっすぐ歩けなくなりました。
帰ってきていざ日本のコーヒーシーンを見たとき、まだまだ自分に変えられる余地がたくさんある、と確信しました。
美味しいコーヒーの基準
ロースターにとって一番大切なのは、何が美味しいコーヒーなのか、目指す味のゴールが明確かどうかです。
試せばいろんな焼き方は試せるけど、それがどう美味しいのか判断ができないと、いいものはつくれないのです。
ロンドンとノルウェーの経験のおかげで、自分である程度コーヒーの味を判断できるようになりました。
酸味・甘さ・香り、、判断するそれは、焙煎の結果ではなく、素材の味です。
野菜と同じで、農作物として持っている味を焙煎でうまく引き出せているか?
焙煎によって甘くはなるけど、しすぎると焦げて素材の味がわからなくなってしまいます。
コーヒーの社会性
コーヒーが面白いのは、味だけではありません。
コーヒー豆を農園から買うとき、15年前までほぼ「量」だけで評価して、その年の相場で価格を決めていました。
農園のボイコットや味への需要が増え、2000年以降ようやく、「質」を評価する制度ができました。
美味しければ美味しいほど高い値段で買われるコーヒーは、味がわかりやすいので、産地によって作り方によって全く味が変わってきます。
それも楽しむために、誰がどこでどうつくったか、そんな作り手の情報も明かされて取引がされます。
そんな、ていねいに作った産地の味を楽しむコーヒーは今スペシャルティコーヒーと呼ばれています。
今では日本に流通する95%が量で主に評価されたコーヒー、5%が作り手の情報がわかる「質」で評価したコーヒーと呼ばれています。
こんな分類は適切ではないかもしれません。
ただ僕は、こんなコーヒーを飲む人が増えれば増えるほど、生産者により正当なお金が渡り、生産者はもっと美味しく作ろうと努力し、美味しいコーヒーが生まれ、もっと美味しいコーヒーが楽しめる、、そんな社会的な循環がつくれるのではないかと思い、やりがいを感じました。
まずは「知ってもらいたい」の一心で、気づいたらお店が完成していました。
今年にはコーヒー農園にも行きました。
伝えたいこと
コーヒーはもともと果実です。
コーヒーチェリーと呼ばれる果実の種を洗って乾かしたものがコーヒー豆です。
もちろん農作物なので、その土地や品種によって味は全く違います。
野菜やお米とまったくおなじ。
そんなコーヒーに僕たちは毎日触れていますが、味の違いやどう作られているかなんてほとんどの人が知りません。
味のわかる男とか言うけど、誰が飲んでも明らかに違うと分かるほど、素材の味はちがうのです。
レモンやピーチ、いろんな果実にたとえてその味は表現されます。
そんな日常飲むモノの「素材」に注目してほしい。
購買行動はその人の意思表示です。
まずはなによりも、コーヒーは苦味じゃないってことを知ってほしい。
きっと飲食だけでなくほかのあらゆるモノコトへの興味が広がるはずです。
僕のお店は吉祥寺にありますが、渋谷のTECH LAB PAAKやFabCafe Tokyoでも僕のコーヒーは飲むことができます。
コーヒーを通して人と人とがつながるのもまた大きな魅力です。
僕はこれからも「美味しいコーヒー」と、「美味しいコーヒーがある空間」を作り続けたいと思っています。
https://www.facebook.com/LightUpCoffee/