1.妊娠・出産の費用って、実はすごく高額です。
幸せな新婚当初を過ぎ、次にやってくるのが出産というイベント。愛する人との結婚生活に我が子が加われば、大変なこともたくさん出てきますが、やりがいや喜びもまた増えることでしょう。しかし、何事にもお金はかかるものです。実は出産には、時には新車が一台買えてしまうような費用がかかることをご存知でしょうか?さらに、自然分娩ならばまだしも、帝王切開になると費用はさらにかさみます。そんな時に頼りになるのが民間の保険や公共の出産補助制度です。
入院や通院など出産にかかる費用の保障はもちろん、帝王切開の場合には、活用すれば出産費用を黒字にすることもできるのです。今回は、民間保険会社の保険や、公共の様々な制度を活用して、出産費用を抑える方法をお伝えします。
2.妊娠・出産にかかる費用はどれくらい?
■自然分娩にかかる費用
まずは自然分娩にかかる費用を見ていきましょう。自然分娩にかかる費用の内約は・検診費用:妊娠期間中の「妊婦健診」が平均10回以上で、費用が約10万円ほど
・マタニティ用品の費用:マタニティウェアなどの費用が約5万円ほど
・出産準備用品の費用:出産後の赤ちゃんのおむつや服など、出産準備用品が約10万円ほど
・出産費用:出産費用は病院や部屋のタイプなどによっても変わりますが、合計で約30万~70万円ほど。全室個室などの豪華な病院だと100万円を超えることもあります。
これらを合計すると、かかる費用は、約40〜80万円くらいになります。通常、自然分娩にかかる費用には国民健康保険がきかず、民間の医療保険からも給付金が出ません。
そのため、出産にかかる費用を抑えるためには公共の補助を活用する必要があります。この補助については後述しますので、先に帝王切開にかかる費用を説明していきます。
■帝王切開にかかる費用
帝王切開は自然分娩に比べて費用がかさむことが多いのですが、その理由は「手術費用の加算」と「入院日数の増加」です。帝王切開手術の費用は地域や医療機関に関わらず、22万1600円(32週未満の早産の場合などは24万5200円。平成24年診療報酬点数表より)です。自然分娩と違い健康保険を使えるため、この金額のうち3割が妊産婦の自己負担額となり、費用に加算されます。
自然分娩に比べて高額になる入院費ですが、これは入院日数が増えるため。
自然分娩の入院日が出産後で4〜5日となるのに比べ、帝王切開は平均で6〜15日になり、その分入院費がかさんでしまいます。この日数の違いは、最大で10日の開きが出てくるので、入院費が1日約1万円としても、帝王切開の場合は最大10日分で10万円の増加になります。
帝王切開は自然分娩とは違い、国民健康保険の補助対象となり、民間の医療保険からも給付金が出ますので、民間保険を活用できます。
■施設の特徴と費用の違い
出産費用の中で大きな割合を占める入院費は、出産する施設によってその値段が変わってきます。これは費用が高い順に、個人病院、総合病院、助産院などが選べます。以下に、それぞれの施設の特徴と、かかる費用をお伝えします。
・個人病院:一番費用が高くなりますが、入院中にエステが付いたり、カフェが充実しているなどのオプションが選べる医院もあります。また、個室を選ぶとさらに費用が高くなります。かかる費用の相場は約40~60万円です。
・総合病院:大部屋を選べるため、費用を抑えることもできますが、見舞いにきた人が長居しづらいというデメリットがあります。総合病院では個室も選べますが、その分費用も高くなってしまいます。かかる費用の相場は約35~45万円です。
・助産院(自宅出産):費用が安いところも多く、リラックスできると人気もありますが、帝王切開などのリスクのある出産には向かず、赤ちゃんに何かあったときに対応が遅れる危険が高い出産場所です。 かかる費用の相場は約25~40万円です。
出産の時には何が起こるか分かりません。時には母子の容態が急変し、帝王切開を選ぶ必要も出てきます。母子ともに安全に出産することを選ぶなら、急な容態の変化にも対応できる総合病院や個人病院の方が良いと言えるでしょう。
3.妊娠・出産と民間保険
■出産時に保険金をもらうには?
出産時に民間保険の給付金がおりるのは帝王切開の場合がほとんどです。一部例外として自然分娩の入院費に給付金がおりる保険もありますが、数は多くありません。そして、実は帝王切開専用の保険というものはほとんどなく、生命保険に入院・治療特約を付帯させるか、医療保険を利用する方法が主な方法です。
それでは、生命保険と医療保険では、どちらに加入すれば良いのでしょうか?
■入るべきは生命保険?医療保険?
被保険者が死亡時に保障がおりるのが「生命保険」、被保険者の治療時に保障がおりるのが「医療保険」です。生命保険には通常入院費保障がついていないため、出産時に利用する場合には特約で入院・治療費の保障を付ける必要があります。医療保険の場合、比較的短期間で利用できる「定期保険」がありますので、加入期間を短くできてお得です。通常、ケガや病気はいつかかるか分からないものですが、妊娠・出産の場合、あらかじめ予定を立てておけるため、出産予定日にすこし余裕を持たせる形で期間を定めて加入すれば、計画的に保険を利用できるでしょう。
妊娠・出産を機に、子宮がんや子宮筋腫が心配などの理由で長期的に保障を受けたい場合、または、加入済みの生命保険や医療保険の見直しをしたい場合、終身保険などの長期で保障を受けられる保険に入り直すのもおすすめです。
どちらの保険も、帝王切開の場合だけでなく、様々な病気やケガの治療も保障してくれるため、子どもが欲しいとお考えの方は、保険の見直しをされてみてはいかがでしょうか?
■保険でもらえる費用とそうでない費用
生命保険の特約や、医療保険で保障されるのは、基本的に入院費です。手術費、通院費などが保障される保険もありますが、基本的には少々割高になっています。また、検診費や検診に向かう際の交通費などは保障されない保険がほとんどです。
手術費、通院費が保障されるかどうかは大きな違いとなるため、加入の際には注意して選びましょう。
■自然分娩を保障する民間保険
商品自体の数は少ないですが、フローラル共済の「なでしこくらぶ」や、まごころ少額短期保険株式会社の「新・マタニティライフ保険」など自然分娩の入院費を保障してくれる保険商品も販売されています。特にまごころ少額短期保険株式会社の「新・マタニティライフ保険」は子宮がんや他の病気などにも対応した医療保険のため、妊娠・出産時以外にも活用できるお得な保険です。
4.保険は妊娠前に入った方が最もお得
■妊娠後に保険に加入すると給付金が出ない?
出産時、保険に加入した方がお得なのは分かったけれど、加入のタイミングはいつにしたら良いのでしょうか?妊娠した後でも保険には加入できるのでしょうか?一般的に、母子手帳に初回診察記録をされた日から妊娠27週目までであれば、妊婦でもほとんどの医療保険に加入することが可能です。ただし、残念ながら妊娠中に保険に加入すると、ほとんどの医療保険で「特定部位の不担保」という条件が付きます。
この「特定部位の不担保」に含まれるのは以下のようなパターンです。
・帝王切開
・切迫早産
・切迫流産
・子宮頸管無力症
・吸引分娩
・早期破水
・子宮外妊娠
・前置胎盤
・妊娠中毒症
など要約すると、「特定部位の不担保」とは、「子宮を原因とする疾病には給付金が出ません」というものです。
妊娠前に保険に加入すると、この条件からは外されるため、出産に備えて保険に加入する際は、妊娠前の加入がおすすめです。妊娠後に慌てて加入しようと思っても保障を受けるのは難しくなりますので早め早めの加入がおすすめです。
■二回目の出産に備えるために
すでに妊娠してしまっても、妊娠から27週以内で、子どもが2人以上欲しい場合は民間保険への加入がおすすめです。妊娠後に保険に加入した場合、その出産時には保障が受けられないのが一般的ですが、次回の出産からは給付金がおります。
たとえば、一回目の出産が自然分娩で、二回目の出産が帝王切開の場合、2回目で給付金がおりるわけです。給付金がおりる場合、黒字になることもある民間保険。
出産後には養育費など色々な費用がかかるため、加入も検討していきましょう。
■帝王切開2回目は給付金が出ない?
入院・治療費の埋め合わせだけでなく、時には黒字になることもある生命保険・医療保険ですが、帝王切開をした以降は、保障は受けづらくなります。これは、生命保険の場合も医療保険の場合も、過去5年以内に手術を受けた場合、保険への加入が難しくなるからです。帝王切開はもちろん手術に含まれますし、保険に加入した後でも、一度帝王切開手術後の保障を受けていると、その後5年間は子宮を原因とする疾病は保障の対象外となってしまいます。
もちろん、5年が経過すれば再び保障は受けられますので、継続した加入をおすすめします。
5.妊娠後でも入れる保険
前項で「保険への加入は出産前が良い」と書きましたが、妊娠後に保障を受けたいという方も多いはず。妊娠後に保障が受けられる保険商品はないのでしょうか?そのような保険は数は少ないですが、いくつかの保険会社ではそのようなニーズに応える保険商品を用意しています。これは、数年前に保険業法が改正され、少額短期保険会社という保険会社が誕生し、比較的小さな額の保障と、短期間の保障であることで、大きな保険会社では、なかなか商品化しずらい特徴のある保険商品を販売できるようになったためです。
たとえば、エイ・ワン少額短期保険が扱う医療保険「EVERYONE」(エブリワン)は、妊娠中の妊婦さんでも加入できる医療保険で、手術費や入院費に対して給付金がおります。
また、ABC少額短期保険の「おかあさん保険」では、妊娠後19週目まで保険に加入でき、こちらも手術費や入院費に対して保障を受けることができます。
このような保険は数も少なく、保障内容もあまり手厚くはありませんが、妊娠後に保障を受けたい場合には有効な手段です。
6.保険以外で出産費用を抑える方法
民間保険以外にも、行政からの補助を受けることで、出産費用を抑えることができます。この項目では、妊娠・出産の時に知っておくとお得ないくつかの制度をお伝えします
■健康保険の適用で3割負担に
国民健康保険では、帝王切開の費用が負担される制度があります。保険が適応される項目は手術料、投薬料、診察料、入院料などで、これらは医療行為とされているため、3割が自己負担となります。一方、分娩費や差額ベッド代などは全額自己負担となります。■健康保険からの出産育児一時金
妊娠4ヵ月(85日)以上で出産したとき、1児につき42万円が健康保険より「出産育児一時金」として支給されます。双子の場合は2人分支給されます。これは、自然分娩、帝王切開だけでなく、早産、流産、死産、人工妊娠中絶のいずれについても支給対象となります。ただし、妊娠22週未満での出産や、産科医療補償制度に未加入の医療機関等における出産の場合は、「39万円」の支給となります。
■健康保険から給与の3分の2の補助となる出産手当金をもらう
産前42日、産後56日の産休中の給与は基本的に支給されないため、給与の補助として健康保険から出産手当金が支給されます。出産手当金は上限がありますが、標準報酬日額の2/3を、仕事を休んだ日数分、給付金が受けとれます。
■健康保険で高額療養費制度を申請する
帝王切開には健康保険が適用されるため、高額療養費の給付対象になります。高額療養費とは、健康保険が適用される3割負担で算出された治療費が、自己負担限度額を超えた場合に支給される医療費です。自己負担限度額は年齢や所得に応じて決定されるため、詳しくは国民健康保険のwebサイトなどで調べてみてください。■高額医療費控除を活用する
医療費控除とは、1年間で一世帯の医療費の支払いが10万円以上になった場合、確定申告で税務署に申請するとお金が戻ってくるものです。妊娠の確定診断を受けてからの定期検診代や、通院のための交通費、分娩や入院の費用などは全て医療費控除の対象となるため、領収書は保管しておきましょう。7.最後に
妊娠・出産には多くの費用が必要となりますが、きちんと補助制度や民間保険を理解したうえで望めば、負担する費用は少なくなります。その中でも帝王切開の際に利用できる民間保険は有効に活用していきたいところです。
出産の後も、養育費や学費など、子どもを育てるのにはお金がお金がかかるものです。様々な制度や保険を利用して、節約できるところは節約していきましょう。
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