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ミステリーをちゃんと読もう

ストーリーが思い出せない、犯人すら出てこない…そんな私のための読書備忘録

 
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番組モニターと戦争と平和

生活
昨日書いた番組モニターについての記事、十五分番組で二千字の感想ばかりが目立ってハードルが上がってしまった。
 
実際には各テレビ局によってかなり差があり、多数のアンケートを埋めていけば良いだけのかなり楽な局もあったことを追記しておく。

そんなに難しくないですよ!


確かに苦難もあった。

一番キツかったのは素人に感想を最低二千字お願いします、と白紙を寄越したとあるテレビ局。

その局ではさすがに感想の出来が悪かったのか、メールでよく書けている模範感想を匿名で抜粋して寄越すようになった。参考にしろ、という訳である。

たまに自分の文章があると嬉しかったし、政治に関する話題では右!左!ときっぱり偏った感想が二つ並んでいるのも面白かった。

一番忘れられないのは冒頭でも書いた十五分の県政放送番組の感想。

あれは十五分番組といっても音楽五分、CMが五分。実質たったの五分間の番組である。

それでも政策など突っ込みどころのある内容ならそれについて調べたことを書けば埋められるからまだ良かった。

一番酷かったのが新年。知事の年頭の挨拶。
ものすごーく無難。ものすごーく普通。
何をどうすれば…‼︎

あれほどの苦境はなく、結局私はその回の感想を諦めた(どうしても書けない時は休んで良かった。ただし報酬はもちろんナシ)。

その時送られてきた模範感想が本当に最高で、私はお腹を抱えて大爆笑した。

好き過ぎてプリントアウトして持っていたのだが、残念なことにメールも印刷した紙も無くしてしまった。

うろ覚えで書いてみる。地名や言葉はだいぶ曖昧だし相当端折っている。


知事のご挨拶大変有り難い物でした。
さて、知事の牛革のベルトがスーツの間から覗いておりました。 

あれを見て私が思い出しましたのは戦地にて上官のベルトを食べた思い出であります。

極寒の地で私共は大変飢えておりました。ある時スープを作りましたが具が無いのです。
そこで上官の牛革のベルトなら食べられるかも知れない、とこっそり仲間で算段し、少しばかり切り落として煮込んでみました。
ばれぬように刻んだ分だけ穴も一つばかり増やしておきました。

実際には食べられるものではなかったのですが、次の朝上官殿がベルトがきつくなった気がする、食べておらぬのに太るとはどうしたことか、と首をかしげておられた姿は忘れ得ません。


今朝私は冷蔵庫に大切にしまっておいたケーキを孫に食べられてしまったのですが、きっとこれもあの頃上官殿のベルトを食べた報復。

悪いことをすると報いが来るのだと思い知った元日でございました。
 

うまく書けなかった…実際はもっと年季の入った味のある文章で、戦地について詳しく丁寧に書いてあった。


とんでもないことにこれが県政放送の模範感想なのである。

これだから地方局って好きだ!


そのメールが届いてからこんなに自由で良いんだ!と二千字埋めるのがちょっと楽しくなった。

みんな同じことを考えたのか、その後「あれを見て思い出したのは…」という一文が模範感想によく登場した。


さすがに難易度が高すぎたのか、翌年度その局の感想はよくあるアンケート形式になってしまい、模範感想も読めなくなってしまった。

あのおじいちゃんはもうお亡くなりになられたのだろうか。

それとも本当はおじいちゃんじゃなくて作り話だったのかも。
それはそれで凄いな。
番組モニターで突如始まる創作文芸。

あの頃私達が楽しんで書いていた余談ばかりの感想文は本当に番組編成の役に立ったのだろうか?

そこら辺は相当自信がない。


と言う訳で、ハードルが低い話を追記するはずが、「あれを見て思い出したのは」話になっちゃったよ! というお話お話。