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 Jリーグのブラジル人選手のツイッター・アカウントに人種差別の書き込みをしたのは高校生だった。昨年、サポーターが掲げた差別的な横断幕が問題化して以降、Jリーグは対策に力を入れるが、なぜ、サッカーばかりで差別が目立つのか。

 差別投稿があったのは先月28日、今季のチャンピオンシップの準決勝で、2位浦和レッズと3位ガンバ大阪の試合。延長の末、3―1でガンバが勝った。

 「黒人奴隷なんだからおとなしくしね」。3点目を決めたガンバのパトリック選手のツイッターにそんな投稿があった。

 投稿した埼玉県内の男子高校生は翌29日、保護者と高校を訪れ、名乗り出た。30日にはレッズの事務所を訪れ謝罪。Jリーグを通じてガンバやパトリック選手にも謝罪した。自宅でテレビ観戦して投稿し、「試合に負けて悔しかった」と話したという。

 レッズは昨年3月、スタジアムの入場口に、サポーターが「外国人お断り」を意味する「JAPANESE ONLY(ジャパニーズオンリー)」と書いた横断幕を掲げ、Jリーグから無観客試合の処分を受けた。差別撲滅に5カ年の行動計画をつくり、毎試合、スタジアム内で人権啓発のパネルを展示し、サポーターに差別撲滅への署名を呼びかけている。Jリーグも昨年4月、観戦ルールなどの「統一禁止事項」に、スタジアム内での差別的な言動を加えた。

 それでも、昨年8月には横浜F・マリノスのサポーターが外国人選手に、バナナをかざすという差別的行為があり、マリノスに500万円の制裁金と譴責(けんせき)処分が科された。

 なぜ、サッカーで差別問題が続くのか。サッカーと人種差別に詳しい神戸大の小笠原博毅准教授(社会学)は「攻守が切り替わる野球や、プレーが途切れるラグビーに比べ、サッカーはプレーが続き攻守が頻繁に入れ替わる。その分、観客は選手と一体化し、熱狂を生みやすい」とみる。興奮すると、選手の見た目の特徴を攻撃し、憂さ晴らしする心理が働くという。