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女性登用30%:政府断念 20年度目標、分野別数値に

毎日新聞 2015年12月03日 23時01分(最終更新 12月04日 00時48分)

 政府は3日、第4次男女共同参画基本計画案を男女共同参画会議(議長・菅義偉官房長官)の専門調査会に提示し、大筋で了承された。小泉政権時代の2003年に設定した「社会のあらゆる分野で20年までに指導的地位に女性が占める割合を30%程度」にする目標を事実上断念し、20年度末までに国家公務員の本省課長級に占める女性の割合を7%とするなど現実的な数値目標を盛り込んだ。【山田泰蔵】

 12年の衆院選では、安倍晋三総裁率いる自民党も、政権公約に「30%目標」を「確実に達成」と掲げていた。国家公務員の課長級は03年の1.6%から今年は3.5%に上がったが、伸びは鈍く、10年以上たっても、女性参画は「依然として進んでいない」(内閣府)のが実情だ。世界経済フォーラムが先月発表した、女性の参画度合いなど男女の平等度を示すジェンダーギャップ指数は、145カ国中101位と世界的にも日本は立ち遅れている。

 基本計画では、中心施策である「あらゆる分野における女性の活躍」の中で、20年度末までに国や自治体、民間企業などの各分野で指導的地位の女性の占める割合について数値目標を設定。国家公務員は7%(現在3・5%)のほか、市町村の本庁課長級が20%(同14・6%)、民間企業の課長級で15%(同9・2%)とした。指導的地位とは、役所や企業では「課長級以上」と定義される。

 指導的地位には当たらない国家・地方公務員の「係長級」については30%以上の数値目標が設定された。民間企業の係長級は25%を目標としている。

 計画作成を担当する内閣府の担当者は「引き続き20年までに30%を目指し、さらなる努力を行うのは当然だが、女性参画が遅れている分野では、現実的レベルで高い目標を設定した」としている。

 ◇リーダー育成、不十分

 政府が女性の登用に関する数値目標を事実上、下方修正したのは、過去12年の取り組みが不十分だったことを示している。安倍晋三首相は「女性活躍推進」に力を入れてきたが、新スローガン「1億総活躍社会実現」によってその影は薄くなりつつある。

 2003年の「30%目標」は12年になって安倍首相の下、再び表舞台に登場した。成長戦略の柱に「女性活躍」を掲げ、政府の最重要課題に位置付けた。14年には第2次安倍改造内閣で初の「女性活躍担当相」を設置。社会全体に女性の管理職登用増を呼びかける一方、公務員の女性職員の採用・登用拡大を目指すとともに、男性職員の育休取得促進など霞が関の働き方改革を進めてきた。8月には「女性活躍推進法」も成立した。

 今になって「20年に30%」目標を断念したのは、これまで指導的地位を担う女性の育成が十分でなかったことを意味する。安倍政権で進んだ女性登用に向けた環境整備は、スタートラインに立ったにすぎないとも言える。

 ただ、「1億総活躍」の登場で「女性活躍は一時的に盛り上がったが、すでに下降気味だ」との指摘もある。早稲田大学非常勤講師(ジェンダー論)の皆川満寿美さんは「新目標は低い。政治のリーダーシップで取り組みを強化し、『20年に30%』を実現させるべきだ」と指摘する。【細川貴代】

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