携帯通信料:値下げ3月にも 端末「0円」是正
毎日新聞 2015年12月03日 21時03分(最終更新 12月04日 00時12分)
携帯電話の通信料金の引き下げ策を検討していた総務省は、電気通信事業法に基づく指針を制定する方針を固めた。NTTドコモなど携帯電話大手3社が過剰な携帯電話端末の値引き販売をやめる代わりに、通信料金を値下げすることを盛り込む。3社は指針に基づき、来年3月に始まる春商戦に向けて料金の安い新プランを導入する見通しだ。
指針は、携帯電話利用者間の不公平感の解消が柱となる。大手各社は販売代理店に「販売奨励金」を支払い、代理店は携帯電話会社を乗り換える顧客に対し、奨励金を元手に携帯端末を大幅に値下げして販売している。奨励金は顧客らが支払う通信料金などによって賄われており、長期間同じ携帯電話会社を利用する顧客にとっては不公平になるとの指摘が出ていた。
このため指針では、奨励金の支払いに一定の制限をかける方針。携帯各社が奨励金を減らすことで浮いたお金を利用して、長期利用者らの通信料金を引き下げるよう促す。現在のように、10万円近いスマートフォンが「0円」で販売されるようなケースはなくなる見通しだ。
また、データ通信をあまり使わない利用者向けに、低価格の料金プランを提供する必要性についても指針に盛り込む。大手3社のスマートフォン向けのデータ通信プランは2ギガバイト以上しか提供しておらず、利用量が少なくても多い人と同じ料金の支払いが求められていた。大手3社は指針を受けて、1ギガバイトなどの低額な料金プランの設定を検討する方針。
携帯料金の引き下げの検討は今年9月、安倍晋三首相が家計負担の軽減を目的に、総務省に指示したことがきっかけ。総務省と同省の有識者会議が事業者や消費者団体からヒアリングを行うなどして、具体案を検討してきた。同会議では、「通信料金の引き下げで幅広い利用者が恩恵を受けるよう見直すべきだ」との意見が出ていた。【工藤昭久、山口知】