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 関西電力高浜原発3、4号機が立地する福井県高浜町の野瀬豊町長は3日、町議会で再稼働への同意を表明した。町議会はすでに3月に同意している。県議会も会期末となる今月17日に同意する方向で、その後は西川一誠知事の判断が焦点となる。だが、福井地裁が4月に運転禁止の仮処分命令を出しており、再稼働の行方は見通せていない。

 高浜3、4号機は2月に原子力規制委員会の新規制基準に基づく審査に合格した。野瀬町長は11月に林幹雄経済産業相と面談し、国が事故対応に責任を持つと説明を受けた。一部が高浜原発から半径5キロ圏にかかる京都府舞鶴市長にも同月に面談し、近く同意する意向を伝えていた。

 また、野瀬町長は残る課題として広域避難計画の整備を挙げていた。重大事故時に避難路が混雑する課題が残り、スクリーニング(放射線量検査)の実施場所も決まっていなかった。しかし、内閣府の担当者から2日、残る課題がクリアされ、国や関係府県が広域避難計画を調整する「地域原子力防災協議会」の開催日程にめどがついたと報告を受け、同意に踏み切った。

 野瀬町長は「これで再稼働を判断するための条件に挙げていた内容はすべて整った。それぞれの要件を確認して総合的に勘案し、再稼働に理解をするという判断をした」と述べた。

 西川知事は高浜町と県議会の意向を踏まえる考えだが、同意条件として掲げている「地元の雇用・地域経済への対策」「原子力への国民理解について国の対応を最終的に確認する」が残っており、判断時期は明言していない。

 高浜3、4号機をめぐっては4月、福井地裁が再稼働を禁じる仮処分を決定。関電が同地裁に申し立てた異議審の審理は11月に終結した。決定期日は未定だが、住民側代理人は、来年1月中旬ごろと見込んでいる。決定が覆らない限り、地元の同意を得ても関電は2基を再稼働できない。

 関電は町長の同意を受けて「立地地域や社会の理解を得ながら、安全性の確保を大前提として一日も早い再稼働に全力で取り組む」とコメントを発表した。(大久保直樹、堀川敬部)