テレビの跡地の用途はテレビしかない
全国のアナログテレビを粗大ゴミにして空けたVHF帯は、結局テレビ以外の使い道がない。それなら「マルチメディア放送」なんかやめて、テレビ放送をすればいいのだ。VHFのアンテナはまだかなり残っているので、テレビにデジタルチューナーをつけるだけで受信できる。
今は画像圧縮技術が発達しているので、VHF帯の70メガヘルツがあれば、地デジのHDTV放送なら40チャンネル以上とれ、4Kや8Kの放送もできる。アメリカではUHF帯からVHFに引っ越す作業が行われる予定だが、日本ではUHF帯の中継局を整理するだけでいい。UHF帯は200メガヘルツ以上も余っているからだ。
問題はテレビ局がこれを浪費していることだが、徐々に整理されている。昨年から運用開始した東京スカイツリーは、関東1都6県で21~28チャンネルしか使っていないので、29~52チャンネルは空いている。これから電波を整理すれば、全国で200メガヘルツ近く電波が開放できる。
ここで重要なのは、VHF帯もUHF帯も、総務省の裁量を排して周波数オークションで配分することだ。NOTTVが失敗したのは、官僚が電波を社会主義的に配分したからだ。民主党政権のとき電波法改正でオークションを可能にしたが、総務省は撤回してしまった。
電波をオークションで開放すれば、VHF帯とUHF帯の合計で200メガヘルツ以上が新しいビジネスのフロンティアになり、国庫収入も2兆円近く上がる。新しいモバイルキャリアやテレビ局が参入すれば、イノベーションも実現できる。これこそ最強の「成長戦略」ではないか。