中国人民元の基軸通貨への浮上は、韓国経済にとってメリットにもデメリットにもなり得る。
人民元が来年10月、国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)構成通貨となれば、中長期的に人民元の地位が高まり、人民元の価値上昇につながる可能性が高い。人民元の価値上昇は単純には中国に輸出を行う韓国企業の価格競争力強化につながる。しかし、専門家はSDR組み入れだけで韓国の競争力が強まるとは断言できないと指摘する。
中国から原材料、部品などを輸入後にそれを加工して再輸出する韓国企業が多いため、人民元が上昇すれば、第3国に輸出する商品の単価が上昇し、競争力がむしろ低下しかねないからだ。そうした相殺効果を踏まえ、国際金融センターのイ・チフン中国チーム長は「中国経済自体の下振れ圧力、米利上げなどによる人民元下落など大きな不確定要素に比べれば、人民元のSDR組み入れが韓国の貿易収支に与える影響は小さい」と予想した。
人民元の国際化で中国の金融・資本市場がさらに開放されることによる影響も「諸刃の剣」だ。人民元の影響力が強まれば、為替差益を狙う外国人が韓国の株式や債券を売却し、中国に投資先をシフトする可能性がある。一方、韓国金融市場では人民元建てのさまざまな金融商品が登場し、ウォン・人民元の直接取引拡大で企業の貿易決済コストが軽減されるというプラス効果もある。
韓国銀行によると、昨年12月にソウルにウォン・人民元の直接取引市場が開設されて以降、人民元建て貿易決済の規模は4倍に膨らんだ。
韓国銀行関係者は「人民元国際化で金融機関の中国市場進出、新規投資商品の開発など人民元関連の資本取引が拡大を続けると期待される」と述べた。人民元の台頭が韓国経済にとってメリットになるか、デメリットになるかは結局、韓国側の対応にかかっている。